土地仲介の仕組みと仲介手数料|相場・計算方法を解説

公開日: 2025/11/6

土地仲介の仕組みとは?基本を理解する

土地の売買を検討する際、「仲介手数料はいくらかかるのか」「仲介業者はどう選べばよいのか」と悩む方は少なくありません。

この記事では、土地仲介の基本的な仕組みと、仲介手数料の法定上限・計算方法、媒介契約の種類と選び方、信頼できる業者の選び方を、国土交通省・公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会の公式情報を元に解説します。

初めて土地売買を行う方でも、仲介の仕組みと費用を正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 仲介手数料は成功報酬型で、契約不成立なら支払不要
  • 法定上限は取引額×3%+6万円+消費税(400万円超の場合)で、これを超える請求は違法
  • 媒介契約は専属専任・専任・一般の3種類があり、自身の状況に応じた選択が必要
  • 信頼できる業者を選ぶため、複数社を比較検討し、宅建業免許番号を確認することが重要

注意: この記事は2025年10月時点の情報に基づいています。最新の法規制・制度については国土交通省の公式サイトをご確認ください。

仲介手数料の仕組みと法定上限

土地仲介では、不動産会社が売主と買主の間に立ち、物件調査・契約書作成・重要事項説明・住宅ローン手続き支援等を行います。仲介手数料は成功報酬型で、売買契約が成立した場合のみ支払い義務が発生し、契約不成立なら支払不要です。

仲介手数料の法定上限と計算方法

国土交通省によると、仲介手数料の法定上限は以下の通りです。

取引額 上限額
200万円以下 取引額×5%+消費税
200万円超400万円以下 取引額×4%+2万円+消費税
400万円超 取引額×3%+6万円+消費税

400万円超の場合は速算式(取引額×3%+6万円+消費税)を使うと簡単に計算できます。この上限を超える請求は違法であり、消費者庁・自治体に相談すべきです。

仲介手数料の計算例(1000万円・3000万円・5000万円)

具体的な計算例を3パターン提示します。

① 1000万円の土地

  • 計算: 1000万円×3%+6万円 = 36万円
  • 消費税込: 39.6万円

② 3000万円の土地

  • 計算: 3000万円×3%+6万円 = 96万円
  • 消費税込: 105.6万円

③ 5000万円の土地

  • 計算: 5000万円×3%+6万円 = 156万円
  • 消費税込: 171.6万円

低廉な空き家特例(2024年7月改正)

2024年7月改正により、売買価格が800万円以下の空き家等について、仲介手数料の上限を33万円(税込)とする特例が設けられました。調査費用の負担軽減が目的です。

ただし、広告費等の実費は別途請求される場合があるため、媒介契約書に明記されているか確認が必要です。

媒介契約の種類と選び方

媒介契約には専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の3種類があり、それぞれ依頼できる業者数・サービス内容が異なります。

専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の違い

項目 専属専任媒介 専任媒介 一般媒介
依頼社数 1社のみ 1社のみ 複数社可
自己発見取引 不可
レインズ登録義務 あり(5日以内) あり(7日以内) なし
報告頻度 1週間に1回以上 2週間に1回以上 なし

国土交通省によると、レインズ(REINS)とは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営する物件情報ネットワークです。専任・専属専任媒介契約では物件情報の登録義務があり、全国の不動産会社に情報が共有されるため、早期売却の可能性が高まります。

各契約のメリット・デメリット

専属専任媒介

  • メリット: 1社のみのため手厚いサポート、積極的な営業活動が期待できる
  • デメリット: 自分で買主を見つけても仲介手数料が必要

専任媒介

  • メリット: 専属専任とほぼ同じだが、自己発見取引が可能
  • デメリット: 1社のみのため、業者選びを間違えると売却が長引く可能性

一般媒介

  • メリット: 複数社に依頼でき、幅広く買主を探せる
  • デメリット: 積極的な営業は期待しにくい、レインズ登録義務なし

自分に合った媒介契約の選び方

自身の状況(急いで売りたい・高く売りたい等)に応じた選択が必要です。

  • 急いで売りたい: 専任・専属専任媒介(手厚いサポート、レインズ登録で早期売却の可能性)
  • 高く売りたい: 一般媒介(複数社に依頼し、最も条件の良い買主を選択)

契約期間は3ヶ月が一般的で、期間中の解約には違約金が発生する場合があるため、契約前に契約書の内容(契約期間・報告頻度・広告費の負担・解約条件等)を十分確認することが重要です。

信頼できる仲介業者の選び方

仲介業者を選ぶ際は、法的義務を理解し、複数の選択基準で比較検討することが重要です。

仲介業者の法的義務(重要事項説明・調査義務・善管注意義務)

宅地建物取引業法に基づき、仲介業者には以下の義務があります。

  • 重要事項説明義務: 宅地建物取引士が契約前に、土地の権利関係・法規制・インフラ状況・取引条件等を書面で説明
  • 調査義務: 物件の権利関係・法規制・インフラ状況を調査
  • 善管注意義務: 依頼者の利益を最優先し、誠実に業務を遂行

これらの義務を果たさない場合、宅地建物取引業法違反で行政処分の対象となります。

業者選びのチェックポイント(実績・対応・地域精通度・宅建業免許番号)

以下の4つのポイントで複数社を比較検討してください。

① 実績

  • 取引件数・年数を確認
  • 同じエリアでの売却実績があるか

② 対応

  • 質問への回答の丁寧さ・レスポンス速度
  • 契約を急かさず、リスクも説明するか

③ 地域精通度

  • 地域の相場・開発計画・学区等に詳しいか
  • 地域特有の法規制(農地転用・市街化調整区域等)を理解しているか

④ 宅建業免許番号

特定の業者を一方的に推奨するのではなく、一般的な選び方の基準を理解し、複数社を比較検討することが重要です。

土地仲介の仕組みと手数料まとめ

土地仲介の重要ポイントを再確認します。

仲介手数料は成功報酬型で、法定上限は取引額×3%+6万円+消費税(400万円超の場合)です。この上限を超える請求は違法であり、消費者庁・自治体に相談すべきです。

媒介契約は専属専任・専任・一般の3種類があり、自身の状況(急いで売りたい・高く売りたい等)に応じて選択することが重要です。契約期間は3ヶ月が一般的で、期間中の解約には違約金が発生する場合があるため、契約書の内容を十分確認してください。

信頼できる業者を選ぶため、実績・対応・地域精通度・宅建業免許番号を確認し、複数社を比較検討することをおすすめします。国土交通省のネガティブ情報検索システムで行政処分歴を確認することも有効です。

次のアクションとして、複数の不動産会社に相談すること、媒介契約書の内容を十分確認すること、国土交通省のネガティブ情報検索システムで業者の行政処分歴を確認することを提示します。

よくある質問

Q1仲介手数料は値引き交渉できますか?

A1交渉自体は可能ですが、業者が応じるかどうかは個別の判断となります。法定上限内であれば、交渉は法的に問題ありません。ただし値引きにより、サービス品質(広告・営業活動)が低下する可能性があります。手数料無料・半額の業者は、売主から手数料を得ている、別の収益源がある等の理由を確認することを推奨します。サービス内容と手数料のバランスを考慮して判断してください。

Q2媒介契約期間中に業者を変更できますか?

A2契約期間中の解約は可能ですが、違約金が発生する場合があります。契約書に解約条件(違約金の額・解約通知期間等)が記載されているため、事前確認が必須です。専任・専属専任媒介の契約期間は3ヶ月が一般的です。業者の対応に不満がある場合は、まず担当者に相談し、改善が見られない場合は解約を検討してください。

Q3レインズに登録しないとどうなりますか?

A3専任・専属専任媒介では登録義務があります(専属専任5日以内、専任7日以内)。登録しないと宅地建物取引業法違反で行政処分の対象となります。一般媒介では登録義務はありません。レインズ登録により全国の不動産会社に物件情報が共有され、早期売却の可能性が高まります。登録証明書の交付を受け、登録内容を確認することをおすすめします。

Q4仲介手数料以外に支払う費用はありますか?

A4原則として仲介手数料のみです。ただし媒介契約書に明記されている場合、広告費(新聞折込・ネット広告等)や調査費(測量・地盤調査等)の実費を別途請求される場合があります。契約前に、どのような費用が発生する可能性があるか、上限額はいくらかを確認することが必須です。明記されていない費用の請求は拒否できます。

Q5自分で買主を見つけた場合も仲介手数料は必要ですか?

A5専任媒介・一般媒介では自己発見取引が認められており、仲介手数料は不要です(ただし契約書作成等のサポートを受けた場合は別途費用発生の可能性)。専属専任媒介では自己発見取引が認められず、仲介手数料が必要です。自己発見取引の可能性がある場合は、専属専任媒介を避け、専任媒介または一般媒介を選択することをおすすめします。