不動産会社選びが重要な理由
不動産の売買を検討する際、「どの不動産会社に依頼すればいいのか」「失敗したくない」と不安に感じる方は少なくありません。
仲介手数料は法定上限(売買は物件価格の3%+6万円+消費税)で同じでも、サービス内容は大きく異なります。販売力・広告戦略・交渉力・アフターサポートの差により、売却価格・購入条件・取引のスムーズさに数百万円単位の差が生じる可能性があります。
この記事では、売却と購入それぞれで不動産会社を選ぶポイントを、国土交通省の公式情報を元に解説します。初めて不動産取引をする方でも、失敗しない選び方を理解できます。
この記事のポイント
- 仲介手数料は同じでもサービス内容に大きな差がある
- 宅建免許の確認、宅建士在籍数、対応エリア、実績が基本チェック項目
- 売却は販売力・査定根拠の説明力、購入は物件情報の豊富さ・交渉力を重視
- 大手と地場の優劣は一概に言えず、物件の特性・エリアで選ぶべき
- 複数社(3-5社)と面談し、比較検討することが失敗しない鍵
不動産会社選びの基本チェック項目
不動産会社を選ぶ際は、まず宅建免許・宅建士在籍数・対応エリア・実績を確認します。
宅建免許番号の確認方法
国土交通省の宅地建物取引業者検索システムで、免許番号・商号から業者の登録状況を確認できます。免許番号の()内の数字は更新回数を示し、数字が多いほど老舗です(例:国土交通大臣(5)は5回更新=25年以上営業)。
宅地建物取引業免許は不動産の売買・賃貸の仲介を行うために必要な国土交通大臣または都道府県知事の免許で、免許がない業者との取引は違法です。
宅建士の在籍数と従業員数
国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システム(2025年4月更新)で、従業員数・宅建士数も確認可能です。宅建士数が多いほど体制が充実しています。
重要事項説明は宅建士のみが行え、事務所には一定数の宅建士配置が義務付けられています。
対応エリアと実績
対応エリア(全国展開・地域密着)と過去の成約実績(仲介件数ランキング等)も確認してください。2025年最新の不動産仲介おすすめ会社ランキングでは、仲介件数・店舗数等の客観的データで複数社を比較できます。
【売却】不動産会社を選ぶポイント
売却は「販売力」が最重要です。
販売力と広告戦略
REINS(レインズ)は国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営する物件情報ネットワークで、宅建業者間で物件情報を共有するシステムです。専任媒介契約・専属専任媒介契約ではREINSへの登録義務があります。
ポータルサイト(SUUMO・HOME'S等)への掲載実績、チラシ・オープンハウス等のオフライン施策も確認してください。三井のリハウスによると、販売戦略を具体的に提示できる会社が信頼できます。
査定根拠の説明力
査定額が高いだけでなく、査定根拠(類似物件の成約事例、市場動向等)を丁寧に説明できるかを重視してください。複数社査定時に各社が査定額を吊り上げて契約を取ろうとするリスクがあるため、査定根拠の説明を求めることが重要です。
媒介契約の種類(一般・専任・専属専任)
媒介契約は不動産会社に売却・購入の仲介を依頼する際の契約で、以下の3種類があります。
| 契約種別 | 複数社契約 | REINS登録義務 | 定期報告義務 |
|---|---|---|---|
| 一般媒介 | 可 | なし | なし |
| 専任媒介 | 不可(1社のみ) | あり | あり(2週間に1回) |
| 専属専任媒介 | 不可(1社のみ) | あり | あり(1週間に1回) |
専任媒介契約・専属専任媒介契約は1社のみと契約するため、選択を誤ると他の選択肢を失うリスクがあります。信頼できる1社があれば専任、複数社比較したければ一般を選びます。
【購入】不動産会社を選ぶポイント
購入は「物件情報の豊富さ」が最重要です。
物件情報の豊富さとREINS活用
大手はREINS(宅建業者間の物件情報ネットワーク)を活用して多数の物件を紹介できます。REINS登録物件は宅建業者であればどの会社でも紹介可能なため、特定の会社でしか扱えない物件は稀です。
交渉力とアフターサポート
交渉力(価格交渉、契約条件の調整)も重視してください。アフターサポート(住宅ローン相談、リフォーム紹介、税務相談等)の有無も確認します。
物件のデメリット説明
三井のリハウスによると、物件のデメリット(日当たり、騒音、近隣状況等)を正直に説明してくれるかが信頼性の指標です。メリットのみを強調する会社は避けるべきです。
大手不動産会社と地場業者の違い
大手と地場のどちらを選ぶべきかは、物件の特性・エリア・取引目的により異なります。
大手のメリット・デメリット
メリット:
- ネームバリュー(安心感)
- 広告力(ポータルサイト・チラシ等)
- REINS活用で多数の物件紹介
- 転勤サポート(全国展開)
デメリット:
- 担当者の異動が多い
- 地域密着度が低い
- マニュアル対応になりがち
地場のメリット・デメリット
メリット:
- 地域ネットワーク(地元の物件情報に強い)
- 個別対応力(柔軟な交渉)
- 長期的な関係構築
デメリット:
- 広告力が弱い
- ネームバリューが低い
- 全国展開していない
どちらを選ぶべきか
大手不動産会社 VS 地場業者の比較によると、都市部の新築マンション売却は大手の広告力が有利、地方の古民家売却は地場の地域ネットワークが有利です。物件の特性・エリア・取引目的に応じて選択してください。
大手が必ず良い・地場が必ず良いという一方的な断定は誤解を招きます。
不動産会社選びで避けるべきポイント
以下のような業者は避けるべきです。
おとり物件を使う業者
おとり物件は実際には契約できない好条件の物件を広告に掲載し集客する行為で、宅建業法の誇大広告禁止規定に違反します。要注意!不動産屋選びの7つの注意点によると、おとり物件を使う業者は信頼性が低いです。
仲介手数料の上限超過請求
仲介手数料の上限規制(売買は物件価格の3%+6万円+消費税、賃貸は家賃の1ヶ月分+消費税)を超える請求は違法です。事前確認が重要です。
強引な契約を迫る業者
強引な契約を迫る(即決を要求、他社との比較を妨げる)業者は避けるべきです。ネット上の口コミは匿名性が高く信頼性が不明なため、参考程度に留め、実際の面談で判断してください。
まとめ:複数社面談で比較しよう
不動産会社選びは、仲介手数料は同じでもサービス内容に大きな差があります。宅建免許の確認、宅建士在籍数、対応エリア、実績を基本チェックしてください。
売却は販売力・査定根拠の説明力、購入は物件情報の豊富さ・交渉力を重視します。大手と地場の優劣は一概に言えず、物件の特性・エリアで選ぶべきです。
複数社(3-5社)と面談し、販売戦略・過去の成約事例・手数料の内訳等を質問して比較検討することが失敗しない鍵です。信頼できる不動産会社と相談しながら、スムーズな取引を進めましょう。
