仲介手数料無料のデメリット:注意点とリスクを解説

公開日: 2025/11/6

仲介手数料無料とは:基本的な仕組みと法律上の上限

不動産の購入や賃貸を検討する際、「仲介手数料無料」の物件を見かけて魅力を感じる一方、「何か裏があるのでは?」と不安になる方も多いでしょう。

この記事では、仲介手数料無料の仕組み、デメリットやリスク、確認すべきポイントを、国土交通省・国民生活センターの公式情報をもとに解説します。無料だからダメというわけではなく、サービス内容を事前確認すれば安心して利用できることがわかります。

この記事のポイント

  • 仲介手数料無料は宅建業法で認められた正当なビジネスモデル
  • 両手仲介・売主負担・自社物件等の仕組みで無料化を実現
  • サービス品質の低下・物件選択肢の制限・別名目での費用請求がデメリット
  • 重要事項説明の丁寧さ・契約書の内容・トータルコストを確認すれば安心

仲介手数料無料の仕組み:なぜ無料にできるのか

仲介手数料は、不動産取引成立時に不動産会社に支払う手数料で、宅建業法により上限が定められています。売買は物件価格の3%+6万円+消費税、賃貸は家賃の1ヶ月分+消費税が上限です(国土交通省)。

仲介手数料無料とは、買主・借主側の仲介手数料をゼロにするサービスです。無料だから違法というわけではなく、正当なビジネスモデルで運営されている業者も多くあります。主な仕組みは以下の3つです。

両手仲介による収益確保

両手仲介とは、同じ不動産会社が売主・買主の両方から仲介手数料を受領する取引形態です。HOMESによると、買主側を無料にしても売主側から受領できるため、採算が取れます。例えば物件価格3000万円の場合、売主から約105万円(3%+6万円+消費税)の手数料を受け取れば、買主側を無料にしても利益が出ます。

売主・貸主負担(AD・広告料)

売主・貸主が広告費(AD:Advertisement)を負担し、買主・借主は無料になるケースです。SUUMOによると、空室リスクを抱える貸主が早期入居を促すため、仲介手数料を負担することがあります。ADが家賃の2-3ヶ月分と高い物件では、借主の仲介手数料を無料にしても不動産会社に利益が残ります。

自社物件の場合

不動産会社が自ら所有・管理する物件の場合、仲介手数料が不要です。自社物件では売主と仲介業者が同一のため、仲介という概念がなく、手数料を請求しないことが一般的です。また、IT活用によりコストを削減し、低価格運営を実現している業者もあります。

仲介手数料無料のデメリット:主な注意点とリスク

仲介手数料無料にはメリットがある一方、いくつかのデメリットやリスクもあります。

サービス品質の低下リスク

仲介手数料無料の業者では、サービス品質が低下するリスクがあります。仲介手数料無料のデメリット&トラブルによると、重要事項説明が簡素化される、契約後のアフターフォローが不十分、内見の調整が遅いなどの問題が指摘されています。

ただし、無料だから仕方ないと諦めるべきではありません。宅建業法で定められた義務(重要事項説明書の交付、契約書の作成等)は遂行されるべきであり、サービス内容を事前に確認することが重要です。

物件選択肢の制限

仲介手数料無料の業者では、無料対応可能な物件(両手仲介・AD有り等)のみ紹介される可能性があります。希望条件に合う物件があっても、無料対応できない物件は紹介されないリスクがあり、最適な物件を逃すかもしれません。

複数の不動産会社(無料業者・有料業者)を併用し、幅広い選択肢を確保することが推奨されます。

不動産会社の立場に注意

両手仲介の場合、売主・貸主の利益を優先され、買主・借主の利益が守られないリスクがあります。例えば、売主側の値下げ交渉に応じてもらえない、物件の欠陥情報が十分に開示されない等の問題が発生する可能性があります。

片手仲介(売主側・買主側に別々の不動産会社が付く取引形態)の業者と比較し、自分の利益を守ってくれる業者を選ぶことが重要です。

よくあるトラブル事例:別名目での費用請求

仲介手数料無料に関連するトラブル事例を具体的に紹介します。

書類作成費・事務手数料の請求

仲介手数料無料のトラブル事例によると、契約書作成費10-30万円、事務手数料5-10万円等の名目で請求されるケースがあります。契約書作成・重要事項説明書作成は本来仲介手数料に含まれるべき業務であり、別請求は宅建業法違反の可能性があります。

「仲介手数料無料」と謳いながら、実質的に手数料を別名目で請求している場合は、不動産会社に確認すべきです。納得できない場合は、消費者センターや宅地建物取引業協会に相談することもできます。

敷金・礼金・家賃の高額設定

仲介手数料無料でも、敷金・礼金・家賃が相場より高ければ、トータルコストは高くなります。例えば、仲介手数料無料でも礼金が家賃の2ヶ月分(相場は1ヶ月分)であれば、実質的な負担は増えます。

個別項目ではなく、初期費用の総額(敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・火災保険等)と月々の家賃で比較し、トータルコストが本当に安いかを確認することが重要です。

物件価格への上乗せ

売買の場合、仲介手数料分を物件価格に上乗せされるケースもあります。例えば、相場3000万円の物件が3100万円で販売されていれば、仲介手数料無料でも実質的な負担は増えます。

周辺の類似物件の成約価格と比較し、物件価格が適正かを確認しましょう。不動産ポータルサイトの相場情報や、不動産鑑定士の意見を参考にすることも有効です。

仲介手数料無料のメリット:費用削減効果

仲介手数料無料のメリットは、費用削減です。HOMESによると、売買で3000万円の物件なら約105万円(物件価格の3%+6万円+消費税)、賃貸で家賃10万円なら約11万円(家賃の1ヶ月分+消費税)の削減効果があります。

初期費用を抑えて不動産取引ができるのは大きなメリットです。ただし、メリットだけに注目せず、サービス内容・トータルコスト・トラブルリスクを総合的に判断すべきです。無料だからダメではなく、確認すべきポイントを押さえれば安心して利用できます。

まとめ:無料だから悪いのではなく、サービス内容を確認する

仲介手数料無料は、両手仲介・売主負担・自社物件等の正当なビジネスモデルで運営されており、費用削減のメリットがあります。ただし、サービス品質の低下・物件選択肢の制限・別名目での費用請求等のリスクもあります。

無料だから必ず悪質というわけではありません。確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 重要事項説明が丁寧か(宅建業法で義務付けられた内容を満たしているか)
  • 契約書に別費用(書類作成費・事務手数料等)の記載がないか
  • アフターサポート(契約後の相談対応等)があるか
  • トータルコスト(敷金・礼金・物件価格含む)が本当に安いか

複数の不動産会社を比較し、サービス内容を事前確認してから契約することをおすすめします。信頼できる業者を選び、安心して不動産取引を進めましょう。

よくある質問

Q1仲介手数料無料は違法ではないのですか?

A1違法ではありません。宅建業法で定められているのは仲介手数料の上限規制のみで、無料にすることは禁止されていません。両手仲介・売主負担・自社物件等の正当なビジネスモデルで運営されている業者が多く、費用削減のメリットがあります。ただしサービス内容を事前に確認することが重要です。

Q2書類作成費や事務手数料は払う必要がありますか?

A2基本的には払う必要がありません。契約書作成・重要事項説明書作成は、仲介手数料に含まれるべき業務です。別名目での請求は宅建業法違反の可能性があるため、不動産会社に確認すべきです。納得できない場合は、消費者センターや宅地建物取引業協会に相談することもできます。

Q3仲介手数料無料でもサービス品質は同じですか?

A3業者により異なります。重要事項説明の丁寧さ・アフターフォロー等が低下するリスクがありますが、宅建業法で定められた義務(重要事項説明書の交付等)は遂行されるべきです。事前に「契約後のサポート内容」「重要事項説明の時間」等を確認し、複数社を比較することが推奨されます。

Q4両手仲介の場合、買主側の利益は守られますか?

A4守られないリスクがあります。両手仲介では、売主・貸主の利益を優先され、買主・借主が不利な条件で契約させられる可能性があります。値下げ交渉に応じてもらえない、物件の欠陥情報が不十分などの問題が発生する場合もあります。片手仲介の業者と比較し、自分の利益を守ってくれる業者を選びましょう。

Q5仲介手数料無料と有料、どちらを選ぶべきですか?

A5サービス内容とトータルコストで判断します。無料でもサービス品質が高い業者はあります。重要事項説明の丁寧さ・契約書内容(別費用の有無)・アフターサポート・総額(敷金・礼金・物件価格含む)を複数社で比較し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。費用だけでなく、安心して取引できるかを重視しましょう。