不動産一括査定とは|複数社に一斉に査定依頼できるサービス
不動産売却を検討する際、「一括査定サービスは便利そうだけど、営業電話がしつこいと聞いて不安」「個人情報の扱いが心配」と感じる方は少なくありません。
この記事では、不動産一括査定のデメリット(営業電話、個人情報の共有、査定額のバラつき等)と対処法を、国土交通省・消費者庁の公式情報を元に解説します。
一括査定サービスを利用する前に、デメリットを正しく理解し、適切な対策を取ることで、安心して利用できるようになります。
この記事のポイント
- 一括査定は1回の入力で複数社に査定依頼できるが、個人情報が複数社に共有される
- 営業電話・メールが多い(複数社から一斉に連絡が来るため)が、申込時に「メール連絡希望」と明記することで対策可能
- 査定額にバラつきがあり、高額査定で契約を誘導するケースもあるため、査定額の根拠を必ず確認すべき
- しつこい営業は宅地建物取引業法で禁止されており、断られた後の再勧誘は違法行為
- 机上査定を選択すれば訪問査定より営業電話を受けにくい
不動産一括査定サービスは、1回の入力で複数の不動産会社に査定依頼できるWebサービスです。個人情報(氏名、住所、電話番号、メールアドレス、物件情報)が複数社に共有されます。
仕組みと個人情報の流れ
一括査定サービスに入力した個人情報は、サービス運営会社を経由して複数の不動産会社に送信されます。国土交通省の不動産業における個人情報保護ガイドラインによると、個人情報の第三者提供には本人同意が原則です。
一括査定サービスの利用規約には「複数の不動産会社に個人情報を提供する」旨が記載されており、申込時に同意したとみなされます。そのため、複数社から営業電話・メールが来る仕組みです。
メリットも理解した上で利用
一括査定にはデメリットだけでなく、メリットもあります。
- 複数社の査定額を比較できる(相場を把握しやすい)
- 高く売ってくれる会社を見つけやすい
- 1回の入力で済む(個別に連絡する手間が省ける)
デメリットとメリットを天秤にかけた上で、利用を判断することが重要です。
デメリット1: しつこい営業電話・メールが多い
一括査定の最大のデメリットは、営業電話・メールが多いことです。
複数社から一斉に連絡が来る理由
ホームズの記事によると、「しつこい電話は基本的にない」ものの、「複数社から一斉に連絡が来る」ため、負担感があると説明されています。
一括査定サービスで5社に依頼した場合、5社すべてから電話・メールが来る可能性があります。申込直後から電話が鳴り続け、対応に追われる事態も考えられます。
営業電話の目的は媒介契約の獲得
営業電話の目的は、媒介契約(不動産会社に売却を依頼する契約)の締結です。不動産会社は、できるだけ早く契約を結びたいため、申込後すぐに電話をかけてきます。
電話では、査定結果の説明だけでなく、「すぐに売却活動を始めましょう」「今なら高く売れます」等の勧誘を受ける場合があります。
対処法
営業電話を減らす方法は以下の通りです。
- 申込時に「メール連絡希望」と明記: 備考欄に「メールでの連絡を希望します」と記載する
- 机上査定を選択: 訪問査定より営業圧力が低い
- 電話が来たら最初に「検討段階」と伝える: 急いでいないことを明示し、過度な勧誘を避ける
- 不要な会社には明確に断る: 「他社に決めました」と伝え、再勧誘を防ぐ
SUUMOの記事(2025年)によると、メール連絡希望の明記や備考欄活用が有効とされています。
デメリット2: 個人情報が複数社に共有される
一括査定では、個人情報が複数の不動産会社に共有されます。
個人情報保護法との関係
国土交通省の不動産業における個人情報保護ガイドラインによると、個人情報の第三者提供には本人同意が必要です。一括査定サービスの利用規約には「複数の不動産会社に個人情報を提供する」旨が記載されており、申込時に同意したとみなされます。
ただし、適切に管理している事業者も存在するため、「個人情報が必ず流出する」とは限りません。大手サービスはプライバシーマークを取得しており、一定の管理体制が整っています。
オプトアウトの確認
オプトアウトとは、個人情報の第三者提供を拒否する権利です。一括査定サービスでは、利用前にオプトアウトの選択肢があるか確認すべきです。
一部のサービスでは、査定を依頼する会社を自分で選択でき、不要な会社への情報提供を避けられます。
対処法
個人情報の共有リスクを減らす方法は以下の通りです。
- プライバシーマーク取得のサービスを選ぶ: 個人情報保護体制が整っている
- 査定を依頼する会社を自分で選択できるサービスを使う: 不要な会社への情報提供を避ける
- 利用規約・プライバシーポリシーを事前に確認: 個人情報の取扱いを理解した上で申込む
デメリット3: 査定額にバラつきがある
一括査定では、査定額にバラつきが生じる場合があります。
高額査定で契約を誘導するケース
不動産売却マスターの記事によると、一部の不動産会社は、媒介契約を獲得するために高額査定を提示し、契約後に「この価格では売れない」と値下げを提案するケースがあります。
高額査定に飛びつくと、実際には売れず、最終的に相場より低い価格で売却する事態も考えられます。
査定額の根拠を必ず確認
査定額の根拠(周辺の成約事例、物件の状態、市場動向等)を必ず確認してください。根拠が曖昧な高額査定は、契約誘導の可能性があります。
複数社の査定額を比較し、極端に高い・低い査定は除外して、中央値を参考にすることを推奨します。
対処法
査定額のバラつきに対処する方法は以下の通りです。
- 査定額の根拠を必ず確認: 周辺の成約事例、物件の状態を聞く
- 極端に高い・低い査定は除外: 中央値を参考にする
- 複数社の説明を聞いて判断: 1社だけで決めない
デメリット4: 売却を急かされる場合がある
一括査定後、「今なら高く売れます」「早く売却活動を始めましょう」と売却を急かされる場合があります。
不動産会社の都合で急がされるリスク
不動産会社は、媒介契約を早く結びたいため、売却を急かす傾向があります。ただし、売却は大きな決断であり、焦って決めると後悔するリスクがあります。
対処法
売却を急かされた場合の対処法は以下の通りです。
- 「検討段階」と明確に伝える: 急いでいないことを示す
- 複数社の説明を聞いて比較: 1社だけで決めない
- 不明点は質問し、納得してから契約: 焦らず冷静に判断
法的な対処法|しつこい営業は宅建業法違反
しつこい営業は、宅地建物取引業法で禁止されています。
宅建業法で禁止されている行為
国土交通省の公式注意喚起によると、以下の行為は宅地建物取引業法違反です。
- 業者名・目的不告知: 電話で業者名や勧誘目的を告げない
- 断られた後の再勧誘: 「お断りします」と伝えた後も勧誘を続ける
- 深夜の電話: 夜9時以降の電話勧誘
断られた後の再勧誘は違法行為であり、監督機関(国土交通省、都道府県庁)に通報できます。
監督処分の基準
国土交通省の監督処分基準によると、不当な勧誘を行った業者には業務停止・免許取消の罰則が科されます。
読者に「違法行為は取り締まられる」ことを示し、過度に不安を感じる必要はないことを伝えます。
対処法
- 明確に断る: 「お断りします」と伝える
- 再勧誘があれば記録: 日時、業者名、内容を記録
- 監督機関に通報: 国土交通省、都道府県庁の宅建業担当課に相談
一括査定のメリットも理解しよう
デメリットばかりを強調すると不公平なため、メリットも再確認します。
メリット1: 複数社の査定額を比較できる
1社だけの査定では、その金額が適正かどうか判断できません。複数社の査定額を比較することで、相場を把握しやすくなります。
メリット2: 高く売ってくれる会社を見つけやすい
査定額だけでなく、販売戦略、担当者の対応を比較し、信頼できる会社を見つけることができます。
メリット3: 1回の入力で済む
個別に不動産会社に連絡する手間が省けます。忙しい方にとって、時間の節約になります。
まとめ:デメリットを理解した上で賢く利用しよう
不動産一括査定のデメリットは、営業電話・メールが多い、個人情報が複数社に共有される、査定額にバラつきがある、売却を急かされる場合がある、の4つです。
対処法として、申込時に「メール連絡希望」と明記、机上査定を選択、査定額の根拠を必ず確認、明確に断る、等を実践してください。
しつこい営業は宅地建物取引業法で禁止されており、断られた後の再勧誘は違法行為です。監督機関(国土交通省、都道府県庁)に通報できます。
メリット(複数社比較、相場把握、時間節約)とデメリットを天秤にかけ、自分に合った方法で利用してください。不明点は不動産会社・消費生活センターに相談し、安心して売却活動を進めましょう。
