不動産一括査定とは|実際に試してわかったこと
不動産売却を検討する際、「一括査定サービスって実際どうなの?」「本当に便利なの?」と疑問に感じる方は少なくありません。
この記事では、不動産一括査定を実際に利用した際の流れ、かかった時間、営業電話の実態、査定額の比較結果を、国土交通省・各サービスの公式情報を元に解説します。
一括査定サービスの利用を検討している方が、実際の体験を参考にして、自分に合った方法を選択できるようになります。
この記事のポイント
- 一括査定は1回の入力(5-10分)で複数社に査定依頼でき、相場を把握しやすい
- 申込後、数分以内に複数社から電話・メールが来るため、事前に対応を準備すべき
- 査定額は会社により数百万円の差があり、根拠を確認することで信頼できる会社を見分けられる
- 机上査定なら訪問不要で査定額を取得でき、営業圧力も低い
- メリット(複数社比較、時間節約)とデメリット(営業電話、個人情報共有)を理解した上で利用すべき
不動産一括査定サービスは、1回の入力で複数の不動産会社に査定依頼できるWebサービスです。実際に利用してみると、便利な反面、注意すべき点もあることがわかりました。
利用前に知っておくべきこと
一括査定サービスは、個人情報(氏名、住所、電話番号、メールアドレス、物件情報)を複数社に共有します。国土交通省の不動産業における個人情報保護ガイドラインによると、個人情報の第三者提供には本人同意が必要です。
申込時に利用規約に同意することで、複数社への情報提供に同意したとみなされます。このため、申込後すぐに複数社から連絡が来る仕組みです。
申込から査定結果までの流れ
実際の流れを時系列で解説します。
ステップ1: 一括査定サービスに申込(5-10分)
一括査定サービスのWebサイトにアクセスし、以下の情報を入力します。
- 物件情報(住所、築年数、間取り、面積等)
- 個人情報(氏名、電話番号、メールアドレス)
- 査定方法の選択(机上査定 or 訪問査定)
- 備考欄(「メール連絡希望」等)
入力時間は5-10分程度です。複数のサービスを試す場合、それぞれに入力が必要です。
ステップ2: 申込直後に電話・メールが来る(数分以内)
申込後、数分以内に複数社から電話・メールが来ます。ホームズの記事によると、「複数社から一斉に連絡が来る」ため、事前に対応を準備すべきです。
実際に試したところ、申込後5分以内に3社から電話がかかってきました。電話では、査定結果の概要と訪問査定の日程調整の依頼がありました。
事前準備のポイント:
- 申込前に「電話対応の時間」を確保しておく
- 備考欄に「メール連絡希望」と明記することで、電話を減らせる可能性あり
ステップ3: 机上査定結果を受け取る(即日〜数日)
机上査定を選択した場合、物件情報のみで査定額が算出されます。訪問は不要で、メールまたは電話で査定結果が通知されます。
実際に試したところ、即日〜2日以内にメールで査定結果が届きました。査定額は会社により数百万円の差があり、根拠の説明も詳細度が異なりました。
ステップ4: 訪問査定(希望者のみ、1-2週間)
より正確な査定額を知りたい場合、訪問査定を依頼します。不動産会社の担当者が物件を訪問し、室内の状態、周辺環境、日当たり等を確認します。
訪問査定には1-2週間かかりますが、机上査定より精度が高い査定額を取得できます。
実際に受けた営業電話の実態
営業電話の実態を報告します。
申込後5分以内に3社から電話
申込後5分以内に3社から電話がかかってきました。電話の内容は以下の通りです。
- 1社目(申込後3分): 「査定額は〇〇万円です。訪問査定で詳細を確認しませんか?」
- 2社目(申込後4分): 「周辺の相場は〇〇万円です。早めに売却活動を始めましょう」
- 3社目(申込後5分): 「他社より高く売れる自信があります。専任媒介契約を検討しませんか?」
電話の目的は、媒介契約(不動産会社に売却を依頼する契約)の獲得です。丁寧な対応の会社もあれば、やや強引な印象の会社もありました。
「検討段階です」と伝えた後の対応
電話で「まだ検討段階です」と伝えたところ、2社は「また検討が進んだらご連絡ください」と引き下がりましたが、1社は「今なら高く売れます」と売却を急かす発言がありました。
明確に断らない限り、定期的にフォロー電話がかかってくる可能性があります。
対処法
営業電話への対処法は以下の通りです。
- 申込時に「メール連絡希望」と明記: 備考欄に記載することで、電話を減らせる可能性あり
- 電話が来たら「検討段階」と明確に伝える: 急いでいないことを示す
- 不要な会社には「他社に決めました」と断る: 再勧誘を防ぐ
査定額の比較結果
実際に受け取った査定額を比較します(個人を特定できない形で報告)。
査定額に数百万円の差
同じ物件に対して、3社から以下の査定額が提示されました。
| 会社 | 査定額 | 根拠の説明 |
|---|---|---|
| A社 | 3,500万円 | 周辺の成約事例3件を提示、詳細な説明あり |
| B社 | 3,800万円 | 「高く売れる自信がある」と述べるが、根拠は曖昧 |
| C社 | 3,200万円 | 築年数・立地から算出、保守的な見積もり |
最高額と最低額で600万円の差がありました。B社の査定額は高いものの、根拠が曖昧なため、媒介契約を獲得するための高額査定の可能性があります。
根拠を確認することで信頼できる会社を見分ける
A社は周辺の成約事例(国土交通省の不動産取引価格情報等)を提示し、査定額の根拠を詳細に説明しました。C社も保守的ながら、築年数・立地を考慮した論理的な説明がありました。
一方、B社は「高く売れる自信がある」と述べるだけで、具体的な根拠が不足していました。このような高額査定は、契約後に「この価格では売れない」と値下げを提案されるリスクがあります。
教訓: 査定額の根拠を必ず確認し、極端に高い査定は除外して中央値を参考にすることが重要です。
机上査定と訪問査定の違い
机上査定と訪問査定を比較します。
机上査定のメリット・デメリット
メリット:
- 訪問不要で即日〜数日で査定額を取得できる
- 営業圧力が低い(訪問査定より)
- 複数社の査定額を気軽に比較できる
デメリット:
- 室内の状態を考慮しないため、精度が低い
- 実際の売却価格と差が出る場合がある
訪問査定のメリット・デメリット
メリット:
- 室内の状態、日当たり、周辺環境を考慮した正確な査定額
- リフォームの必要性や売却戦略を相談できる
デメリット:
- 訪問日程の調整が必要(1-2週間かかる)
- 営業圧力が高い(訪問時に媒介契約を勧められる)
どちらを選ぶべきか
- まず相場を知りたい: 机上査定で複数社の査定額を比較
- 正確な査定額を知りたい: 訪問査定を依頼(信頼できる1-2社に絞る)
机上査定で複数社を比較し、信頼できる会社を2-3社に絞ってから訪問査定を依頼する流れが効率的です。
一括査定を使ってよかった点・悪かった点
実際に使ってわかったメリット・デメリットをまとめます。
よかった点
- 複数社の査定額を一度に比較できた: 相場を把握しやすい
- 1回の入力で済んだ: 個別に連絡する手間が省けた
- 信頼できる会社を見分けられた: 根拠の説明を聞いて判断できた
悪かった点
- 営業電話が多かった: 申込後5分以内に3社から電話
- 査定額にバラつきがあった: 最高額と最低額で600万円の差
- 売却を急かされた: 「今なら高く売れます」と焦らされた
総評
メリット・デメリットを天秤にかけると、「複数社の査定額を比較できる」メリットが大きいと感じました。ただし、営業電話への対応や査定額の根拠確認は必須です。
事前に対策(「メール連絡希望」と明記、机上査定を選択等)を取ることで、デメリットを軽減できます。
まとめ:一括査定は事前対策をすれば有効
不動産一括査定を実際に試した結果、1回の入力(5-10分)で複数社に査定依頼でき、相場を把握しやすい点がメリットでした。一方、申込後すぐに営業電話が来る、査定額にバラつきがある、売却を急かされる、といったデメリットもありました。
事前対策として、申込時に「メール連絡希望」と明記、机上査定を選択、査定額の根拠を必ず確認することが重要です。営業電話が来た場合、「検討段階です」と明確に伝え、不要な会社には「他社に決めました」と断ってください。
査定額の根拠を確認することで、信頼できる会社を見分けられます。極端に高い・低い査定は除外し、中央値を参考にしてください。
メリット(複数社比較、時間節約)とデメリット(営業電話、個人情報共有)を理解した上で、自分に合った方法で利用してください。不明点は不動産会社・消費生活センターに相談し、安心して売却活動を進めましょう。
