不動産一括査定とは|実体験からわかった仕組みと流れ
不動産を売却しようと考えたとき、「一括査定って本当に便利なの?」「営業電話がしつこいって聞くけど大丈夫?」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、実際に不動産一括査定を利用した体験を時系列で詳しくレポートします。申込から連絡、訪問査定、査定額の提示、営業電話への対応まで、国土交通省の公式情報も参考にしながら、メリット・デメリットを客観的に解説します。
初めて一括査定を検討している方でも、実際の流れとリスクを正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 一括査定は複数社に一度に査定依頼でき、相場把握と会社比較が同時にできる
- 申込後30分〜2時間で3-6社から電話・メールが来る(営業対応は必須)
- 査定額のバラツキは10-20%程度で、最大1000万円以上の差が出ることもある
- 営業電話を断る際は「他社に決めた」と明確に伝えることが重要
- 個人情報は複数の不動産会社に提供されるため、プライバシーポリシーを事前確認すべき
実際にやってみた①|申込から連絡までの流れ
申込手順|入力項目と所要時間(3分)
一括査定の申込は驚くほど簡単です。スマホやPCから以下の項目を入力するだけで、所要時間は約3分でした。
入力項目:
- 物件情報(住所、築年数、面積、間取り)
- 個人情報(氏名、電話番号、メールアドレス)
- 希望する連絡方法(電話・メール)
大手一括査定サイトでは、物件情報は住所を入力すると自動で取得されるため、入力の手間が省けます。
連絡のタイミング|30分〜2時間で電話・メールが届く
申込直後、予想以上に早く連絡が来ました。最初の電話は申込から30分後、その後2時間以内に3社から電話があり、さらに2社からメールが届きました。
最初の電話の内容は主に訪問査定の日程調整です。「いつ訪問させていただけますか?」という確認が中心で、強引な営業トークはありませんでした。
メールは机上査定(簡易査定)の結果を送ってくる会社もあり、「概算で○○万円程度」という情報が得られました。
連絡してきた会社数|実際に3-6社から連絡があった
私の場合、申込から24時間以内に合計5社から連絡がありました。内訳は電話3社、メール2社です。
マイナビニュースの調査によると、30人の経験者のうち、平均4.2社から連絡があったとのことです。申込時に選択する会社数により変動しますが、3-6社が一般的です。
実際にやってみた②|訪問査定の様子と査定額提示
訪問査定の流れ|所要時間30-60分の実態
訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に物件を訪問して行う詳細査定です。私の場合、所要時間は約45分でした。
訪問査定でチェックされた項目:
- 室内の状態(傷・汚れ・設備の動作確認)
- 日当たり・眺望
- 周辺環境(駅からの距離、スーパー・病院の有無)
- 管理状況(マンションの場合、共用部の清掃状況等)
担当者は写真撮影やメモを取りながら、丁寧にチェックしていました。質問にも親切に答えてくれて、信頼できる印象を受けました。
査定額の提示|2-3日後にメールまたは電話で連絡
訪問査定から2-3日後に、各社から査定結果が提示されました。連絡方法はメールが3社、電話が2社でした。
メールには査定額だけでなく、根拠(周辺の成約事例、物件の強み・弱み)も詳しく記載されていて、非常に参考になりました。
査定額のバラツキ|最大1270万円の差が出た事例も
私の場合、5社の査定額は以下の通りでした。
| 会社 | 査定額 | 備考 |
|---|---|---|
| A社 | 3,200万円 | 最高額 |
| B社 | 3,100万円 | |
| C社 | 2,900万円 | |
| D社 | 2,800万円 | |
| E社 | 2,700万円 | 最低額 |
最高額と最低額の差は500万円(約18%)でした。一般的には10-20%のバラツキが発生します。
フドマガの実験では、6社で最高3,170万円、最低1,900万円と、1,270万円の差が出たとの報告もあります。
査定額が異なる理由:
- 高額査定: 契約獲得のため意図的に高く設定(売れない可能性あり)
- 低額査定: 成約率重視で確実に売れる価格を提示
どちらが良いかは一概に言えません。査定の根拠を詳しく説明できる会社を選ぶのが安全です。
実際にやってみた③|営業電話の実態と断り方
営業電話の頻度と内容|しつこさの実態
申込後、最初の1-2日は電話が集中しました。その後は徐々に減りましたが、1週間程度は断っていない会社から定期的に連絡がありました。
営業電話の内容:
- 訪問査定の日程調整
- 媒介契約の勧誘(「専属専任媒介契約なら早く売れます」等)
- 売却実績の紹介
しつこいと感じたのは1社のみで、他の会社は常識的な範囲でした。ただし、マイナビニュースの調査では、30人中5人が「しつこい営業に困った」と回答しており、会社により対応が異なります。
断り方のポイント|明確な意思表示が重要
営業電話を断る際は、曖昧な返答ではなく明確に意思表示することが重要です。
効果的な断り方:
- ❌ 「検討します」「また連絡します」→ 曖昧で逆効果
- ✅ 「他社に決めました」→ 明確で理解されやすい
- ✅ 「売却を見送ることにしました」→ これ以上の連絡を避けられる
私は「他社に決めました」と伝えたところ、すべての会社がすぐに理解してくれました。
トラブル事例|国民生活センターの相談事例
国民生活センターやHOME4Uによると、以下のようなトラブル事例が報告されています。
トラブル事例:
- しつこい営業電話が1日10回以上かかってきた
- 高額査定で契約したが、実際には売れず、大幅な値下げを要求された
- 個人情報が予期せぬ会社に提供され、営業電話が止まらない
このようなトラブルを避けるためには、事前に複数社の口コミを確認し、信頼できるサイトを選ぶことが重要です。
一括査定のメリットとデメリット|客観的な評価
メリット|相場把握と会社比較が同時にできる
メリット1: 複数社を一度に比較できる
通常、1社ずつ査定依頼すると、何度も同じ情報を入力する手間がかかります。一括査定なら1回の入力で3-6社に依頼できるため、効率的です。
メリット2: 相場を正確に把握できる
1社のみでは査定額が適正か判断できませんが、複数社の査定額を比較することで、相場の範囲が見えてきます。
メリット3: 会社の対応を比較できる
担当者の対応やコミュニケーションの質も、会社選びの重要な要素です。訪問査定の際に実際に会って、信頼できる会社を見極められます。
デメリット|営業対応と個人情報提供が必要
デメリット1: 営業電話への対応が必要
申込後、複数社から電話・メールが来るため、対応に時間を取られます。営業電話が苦手な方には負担になる可能性があります。
デメリット2: 個人情報が複数社に提供される
一括査定サイトは、入力された個人情報(氏名、電話番号、メール、物件情報)を複数の不動産会社に提供します。国土交通省によると、個人情報の第三者提供には同意が必要で、プライバシーポリシーを確認すべきです。
向いている人・向いていない人
向いている人:
- 初めての売却で相場が分からない
- 複数社を比較して最適な会社を選びたい
- 時間に余裕があり、営業電話にも対応できる
向いていない人:
- すでに依頼先が決まっている
- 営業電話が苦手
- 個人情報の提供に不安がある
一括査定を使う際の注意点|失敗しないためのポイント
査定額=売却価格ではない
査定額はあくまで不動産会社の予想価格であり、実際の売却価格とは異なります。市場の需要や売却タイミングにより、査定額より高く売れることも、低くなることもあります。
査定額を鵜呑みにせず、根拠を確認することが重要です。
高額査定の罠に注意
高額査定は魅力的ですが、契約獲得のための戦略の可能性があります。実際には売れず、後から大幅な値下げを要求される事例も報告されています。
査定額だけでなく、成約実績や担当者の説明の質を重視してください。
個人情報の取り扱いを確認
一括査定サイトを利用する際は、プライバシーポリシーを必ず確認してください。個人情報がどの会社に提供されるのか、どのように管理されるのかを把握しておくことが重要です。
国土交通省の指針に従った適切な管理を行っているサイトを選びましょう。
まとめ|一括査定は相場把握に有効だが営業対応は覚悟が必要
不動産一括査定は、複数社を比較し相場を正確に把握するのに非常に有効なツールです。申込後30分〜2時間で3-6社から連絡が来て、訪問査定を経て査定額が提示されます。
査定額のバラツキは10-20%程度で、各社の戦略(高額査定で契約獲得 vs 成約率重視)を見極める必要があります。
営業電話への対応は必須ですが、「他社に決めた」と明確に伝えれば問題なく断れます。個人情報は複数社に提供されるため、プライバシーポリシーを事前に確認することをおすすめします。
次のステップは、訪問査定の依頼先を2-3社に絞り込み、媒介契約の種類(専属専任・専任・一般)を検討することです。信頼できる担当者と出会えれば、売却成功の可能性が大きく高まります。
