不動産レインズとは?業者専用データベースの仕組みを理解する
不動産の売却や購入を検討する際、「レインズ」という言葉を耳にすることがあります。しかし、「一般人は見られないのか」「どう活用すればいいのか」と疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、レインズの仕組み、一般の方でも閲覧できる方法、売却時の活用法を、国土交通省の公式情報をもとに解説します。
初めて不動産取引をする方でも、レインズを正しく理解し、取引を有利に進められるようになります。
この記事のポイント
- レインズは不動産業者専用のデータベースだが、一般の方も「レインズマーケットインフォメーション」で過去の取引価格を閲覧可能
- 専任・専属専任媒介契約では7日以内・5日以内にレインズ登録義務あり
- 2025年1月から登録証明書のQRコードで取引状況を確認でき、囲い込み防止に役立つ
- 一般媒介契約はレインズ登録義務がなく、物件が広く流通しない可能性がある
- レインズ活用により早期売却や適正価格の把握が期待できる
レインズとは?不動産業者専用データベースの基本
レインズ(REINS)は、Real Estate Information Network Systemの略で、不動産業者専用のデータベースです。
全国4つの機構が運営しています。
| 機構名 | 対象エリア | 
|---|---|
| 東日本不動産流通機構 | 東日本エリア | 
| 中部圏不動産流通機構 | 中部エリア | 
| 近畿圏不動産流通機構 | 近畿エリア | 
| 西日本不動産流通機構 | 西日本エリア | 
不動産業者が物件情報を共有し、取引を円滑化する仕組みです。レインズの詳細情報は不動産業者のみがアクセスできますが、一般の方も「レインズマーケットインフォメーション」で過去の取引価格を閲覧できます。
レインズへの登録義務と媒介契約の種類
不動産を売却する際、媒介契約の種類によってレインズへの登録義務が異なります。
専属専任媒介契約:5日以内の登録義務
専属専任媒介契約は、最も厳しい契約形態です。
- レインズ登録: 契約締結から5日以内に登録義務
- 報告義務: 1週間に1回以上
- 自己発見取引: 不可(売主が自分で買主を見つけても、必ず媒介業者を通す必要がある)
不動産会社の販売活動が最も積極的に期待できます。
専任媒介契約:7日以内の登録義務
専任媒介契約は、専属専任よりやや緩やかです。
- レインズ登録: 契約締結から7日以内に登録義務
- 報告義務: 2週間に1回以上
- 自己発見取引: 可能(売主が自分で買主を見つけることもできる)
自己発見取引の可能性を残しつつ、積極的な販売活動を期待できます。
一般媒介契約:登録義務なし
一般媒介契約は、最も自由度が高い契約です。
- レインズ登録: 義務なし
- 報告義務: なし
- 自己発見取引: 可能
- 複数社への依頼: 可能
複数社に依頼できる反面、不動産会社の販売意欲が下がる可能性があります。また、レインズ登録義務がないため、物件が広く流通せず売却に時間がかかるリスクもあります。
2025年1月からの新機能
国土交通省の発表によると、2025年1月から以下の機能が追加されました。
- QRコード付き登録証明書: 売主が取引状況を確認できる
- 取引状況の3つのステータス:- 公開中
- 書面による購入申込あり
- 売買契約締結
 
取引状況登録義務化により、透明性が大きく向上しました。
一般の方でもレインズを見る方法(レインズマーケットインフォメーション)
一般の方は、レインズマーケットインフォメーションで過去の成約価格を検索できます。
過去の成約価格を検索できる公式サイト
国土交通省のリニューアル発表によると、レインズマーケットインフォメーションでは以下の情報を検索できます。
- 全国のマンション・戸建ての過去の成約価格
- 最寄駅、用途地域、取引時期等で絞り込み
- 平均価格、価格帯の分布
検索方法と活用のポイント
レインズマーケットインフォメーションの使い方は以下の通りです。
- サイトにアクセス
- 地域・物件種別を選択
- 最寄駅や取引時期で絞り込み
- 過去の成約価格を確認
ただし、個別物件の詳細情報(築年数、間取り、設備等)は限定的です。あくまで相場の目安として活用し、正確な査定は不動産会社に依頼する必要があります。
売却時のレインズ活用法と登録証明書の確認
売主目線でのレインズ活用法を解説します。
登録証明書で自分の物件が登録されているか確認
専任・専属専任媒介契約を締結後、不動産会社から登録証明書が交付されます。
- 専属専任媒介: 契約締結から5日以内に交付
- 専任媒介: 契約締結から7日以内に交付
2025年1月以降の新規登録物件では、登録証明書にQRコードが付いており、以下を確認できます。
- 取引状況(公開中・書面による購入申込あり・売買契約締結)
- 他社からの問い合わせ状況
これにより、不動産会社が適切に販売活動をしているか確認できます。
囲い込みを防ぐ方法
囲い込みとは、不動産会社が自社で買主も見つけて売主・買主双方から仲介手数料を得る(両手仲介)ため、他社からの問い合わせを「商談中」と偽って断る行為です。宅建業法違反ではありませんが、業界慣行として問題視されています。
SUUMOの専門記事では、囲い込みを防ぐ方法として以下が推奨されています。
- 定期的に不動産会社へ問い合わせ状況を確認
- 登録証明書のQRコードで取引状況を定期チェック
- 売却活動が長期化する場合は、不動産会社の変更も検討
2025年1月の取引状況登録義務化により、透明性は向上しましたが、依然として注意が必要です。
レインズのメリットとデメリット・注意点
レインズ活用のメリットとデメリットを整理します。
メリット:早期売却・適正価格の把握
レインズ登録により、以下のメリットが期待できます。
- 早期売却: 全国の不動産業者に物件情報が共有され、早期売却が期待できる
- 適正価格の把握: 過去の取引価格から適正価格を把握できる
- 透明性の向上: 2025年1月以降、取引状況を売主が確認できる
デメリット:価格交渉リスク・囲い込みの可能性
一方、以下のデメリット・注意点もあります。
- 価格交渉リスク: 他の類似物件と比較されやすく、価格交渉が入りやすい
- 囲い込みリスク: 一部の悪質な不動産会社による囲い込みの可能性(2025年1月の取引状況登録義務化で透明性は向上したが依然注意が必要)
- 非掲載物件の存在: レインズに登録されていない物件もある(新築の直接販売、一般媒介契約の物件等)
そこに住むならの記事では、レインズのメリット・デメリットを中立的に解説しています。
まとめ:レインズを正しく理解して不動産取引を有利に進める
レインズは不動産業者専用のデータベースですが、一般の方も「レインズマーケットインフォメーション」で過去の取引価格を調べられます。
売却時は専任・専属専任媒介契約でレインズ登録義務があり、2025年1月以降は登録証明書のQRコードで取引状況を確認できます。囲い込みリスクもありますが、定期的な確認で防ぐことができます。
次のアクションとして、以下をおすすめします。
- レインズマーケットインフォメーションでの相場確認
- 不動産会社への媒介契約の相談
- 登録証明書のQRコードで定期的に取引状況を確認
レインズは不動産取引の透明性向上に役立つツールです。正しく理解して活用しましょう。
