不動産レインズとは?仕組みと一般の方でも見られる方法を解説

公開日: 2025/10/31

不動産レインズとは?業者専用データベースの仕組みを理解する

不動産の売却や購入を検討する際、「レインズ」という言葉を耳にすることがあります。しかし、「一般人は見られないのか」「どう活用すればいいのか」と疑問に思う方も多いでしょう。

この記事では、レインズの仕組み、一般の方でも閲覧できる方法、売却時の活用法を、国土交通省の公式情報をもとに解説します。

初めて不動産取引をする方でも、レインズを正しく理解し、取引を有利に進められるようになります。

この記事のポイント

  • レインズは不動産業者専用のデータベースだが、一般の方も「レインズマーケットインフォメーション」で過去の取引価格を閲覧可能
  • 専任・専属専任媒介契約では7日以内・5日以内にレインズ登録義務あり
  • 2025年1月から登録証明書のQRコードで取引状況を確認でき、囲い込み防止に役立つ
  • 一般媒介契約はレインズ登録義務がなく、物件が広く流通しない可能性がある
  • レインズ活用により早期売却や適正価格の把握が期待できる

レインズとは?不動産業者専用データベースの基本

レインズ(REINS)は、Real Estate Information Network Systemの略で、不動産業者専用のデータベースです。

全国4つの機構が運営しています。

機構名 対象エリア
東日本不動産流通機構 東日本エリア
中部圏不動産流通機構 中部エリア
近畿圏不動産流通機構 近畿エリア
西日本不動産流通機構 西日本エリア

不動産業者が物件情報を共有し、取引を円滑化する仕組みです。レインズの詳細情報は不動産業者のみがアクセスできますが、一般の方も「レインズマーケットインフォメーション」で過去の取引価格を閲覧できます。

レインズへの登録義務と媒介契約の種類

不動産を売却する際、媒介契約の種類によってレインズへの登録義務が異なります。

専属専任媒介契約:5日以内の登録義務

専属専任媒介契約は、最も厳しい契約形態です。

  • レインズ登録: 契約締結から5日以内に登録義務
  • 報告義務: 1週間に1回以上
  • 自己発見取引: 不可(売主が自分で買主を見つけても、必ず媒介業者を通す必要がある)

不動産会社の販売活動が最も積極的に期待できます。

専任媒介契約:7日以内の登録義務

専任媒介契約は、専属専任よりやや緩やかです。

  • レインズ登録: 契約締結から7日以内に登録義務
  • 報告義務: 2週間に1回以上
  • 自己発見取引: 可能(売主が自分で買主を見つけることもできる)

自己発見取引の可能性を残しつつ、積極的な販売活動を期待できます。

一般媒介契約:登録義務なし

一般媒介契約は、最も自由度が高い契約です。

  • レインズ登録: 義務なし
  • 報告義務: なし
  • 自己発見取引: 可能
  • 複数社への依頼: 可能

複数社に依頼できる反面、不動産会社の販売意欲が下がる可能性があります。また、レインズ登録義務がないため、物件が広く流通せず売却に時間がかかるリスクもあります。

2025年1月からの新機能

国土交通省の発表によると、2025年1月から以下の機能が追加されました。

  • QRコード付き登録証明書: 売主が取引状況を確認できる
  • 取引状況の3つのステータス:
    1. 公開中
    2. 書面による購入申込あり
    3. 売買契約締結

取引状況登録義務化により、透明性が大きく向上しました。

一般の方でもレインズを見る方法(レインズマーケットインフォメーション)

一般の方は、レインズマーケットインフォメーションで過去の成約価格を検索できます。

過去の成約価格を検索できる公式サイト

国土交通省のリニューアル発表によると、レインズマーケットインフォメーションでは以下の情報を検索できます。

  • 全国のマンション・戸建ての過去の成約価格
  • 最寄駅、用途地域、取引時期等で絞り込み
  • 平均価格、価格帯の分布

検索方法と活用のポイント

レインズマーケットインフォメーションの使い方は以下の通りです。

  1. サイトにアクセス
  2. 地域・物件種別を選択
  3. 最寄駅や取引時期で絞り込み
  4. 過去の成約価格を確認

ただし、個別物件の詳細情報(築年数、間取り、設備等)は限定的です。あくまで相場の目安として活用し、正確な査定は不動産会社に依頼する必要があります。

売却時のレインズ活用法と登録証明書の確認

売主目線でのレインズ活用法を解説します。

登録証明書で自分の物件が登録されているか確認

専任・専属専任媒介契約を締結後、不動産会社から登録証明書が交付されます。

  • 専属専任媒介: 契約締結から5日以内に交付
  • 専任媒介: 契約締結から7日以内に交付

2025年1月以降の新規登録物件では、登録証明書にQRコードが付いており、以下を確認できます。

  • 取引状況(公開中・書面による購入申込あり・売買契約締結)
  • 他社からの問い合わせ状況

これにより、不動産会社が適切に販売活動をしているか確認できます。

囲い込みを防ぐ方法

囲い込みとは、不動産会社が自社で買主も見つけて売主・買主双方から仲介手数料を得る(両手仲介)ため、他社からの問い合わせを「商談中」と偽って断る行為です。宅建業法違反ではありませんが、業界慣行として問題視されています。

SUUMOの専門記事では、囲い込みを防ぐ方法として以下が推奨されています。

  • 定期的に不動産会社へ問い合わせ状況を確認
  • 登録証明書のQRコードで取引状況を定期チェック
  • 売却活動が長期化する場合は、不動産会社の変更も検討

2025年1月の取引状況登録義務化により、透明性は向上しましたが、依然として注意が必要です。

レインズのメリットとデメリット・注意点

レインズ活用のメリットとデメリットを整理します。

メリット:早期売却・適正価格の把握

レインズ登録により、以下のメリットが期待できます。

  • 早期売却: 全国の不動産業者に物件情報が共有され、早期売却が期待できる
  • 適正価格の把握: 過去の取引価格から適正価格を把握できる
  • 透明性の向上: 2025年1月以降、取引状況を売主が確認できる

デメリット:価格交渉リスク・囲い込みの可能性

一方、以下のデメリット・注意点もあります。

  • 価格交渉リスク: 他の類似物件と比較されやすく、価格交渉が入りやすい
  • 囲い込みリスク: 一部の悪質な不動産会社による囲い込みの可能性(2025年1月の取引状況登録義務化で透明性は向上したが依然注意が必要)
  • 非掲載物件の存在: レインズに登録されていない物件もある(新築の直接販売、一般媒介契約の物件等)

そこに住むならの記事では、レインズのメリット・デメリットを中立的に解説しています。

まとめ:レインズを正しく理解して不動産取引を有利に進める

レインズは不動産業者専用のデータベースですが、一般の方も「レインズマーケットインフォメーション」で過去の取引価格を調べられます。

売却時は専任・専属専任媒介契約でレインズ登録義務があり、2025年1月以降は登録証明書のQRコードで取引状況を確認できます。囲い込みリスクもありますが、定期的な確認で防ぐことができます。

次のアクションとして、以下をおすすめします。

レインズは不動産取引の透明性向上に役立つツールです。正しく理解して活用しましょう。

よくある質問

Q1レインズは誰でも見られますか?

A1レインズの詳細情報は不動産業者のみ閲覧可能です。ただし、一般の方も「レインズマーケットインフォメーション(http://www.contract.reins.or.jp/)」で過去の成約価格を検索できます。個別物件の詳細は見られませんが、地域・物件種別ごとの相場の目安として活用できます。

Q2レインズに登録されるタイミングはいつですか?

A2専属専任媒介契約は契約締結から5日以内、専任媒介契約は7日以内にレインズ登録義務があります。一般媒介契約は登録義務なしです。登録後、不動産会社から登録証明書が交付されます(専属専任は5日以内、専任は7日以内)。2025年1月以降の新規登録物件では、QRコード付き登録証明書で取引状況を確認できます。

Q3レインズに掲載されない物件もありますか?

A3あります。①新築物件で販売会社が直接販売する場合、②一般媒介契約の物件(登録義務なし)、③売主の希望で非公開にする場合等です。レインズで見つからない=存在しないわけではありません。気になる物件がある場合は、複数の不動産会社に問い合わせることをおすすめします。

Q4登録証明書のQRコードで何が確認できますか?

A42025年1月以降の新規登録物件では、QRコードで取引状況(公開中・書面による購入申込あり・売買契約締結)を確認できます。他社からの問い合わせ状況も把握でき、囲い込み防止に役立ちます。それ以前の物件は旧システムのため、不動産会社に直接問い合わせ状況を確認する必要があります。

Q5囲い込みとは何ですか?

A5不動産会社が自社で買主も見つけて売主・買主双方から仲介手数料を得る(両手仲介)ため、他社からの問い合わせを「商談中」と偽って断る行為です。宅建業法違反ではありませんが、業界慣行として問題視されています。定期的に不動産会社へ問い合わせ状況を確認したり、登録証明書のQRコードで取引状況をチェックすることで防げます。