不動産会社が嫌がる客とは|業者本音と賢い交渉術
不動産取引を控えている方の中には、「不動産会社に軽く見られたくない」「適切な対応で良い条件を引き出したい」と考える方が少なくありません。
この記事では、不動産会社が対応に困る客の特徴を業者アンケート調査に基づいて解説し、適切な交渉術と避けるべき行動を整理します。国土交通省や消費者庁の公式情報を元に、消費者の正当な権利と過度な要求の違いも明示します。
対等な関係で後悔しない不動産取引を実現する方法が分かります。
この記事のポイント
- 「不動産会社が嫌がること」=「業者にとって手間がかかる・利益が少ない」であり、必ずしも消費者が悪いわけではない
- 過度な要求や非常識な行動は避けるべきだが、消費者の正当な権利(重要事項説明の要求、複数社査定等)は遠慮なく行使すべき
- 根拠のある値引き交渉、予算・時期の明示、営業時間内の連絡等、適切な行動で賢く交渉できる
- 買う時と売る時で業者との関係性が異なり、対応を変える必要がある
- トラブル時は国民生活センター(電話188)や都道府県の宅建業法違反相談窓口に相談可能
不動産会社が対応に困る客の特徴とは
「不動産会社が嫌がること」とは、業者にとって手間がかかる、または利益が少ない行動を指します。ただし、これは必ずしも消費者が悪いわけではありません。
過度な要求や非常識な行動は避けるべきですが、一方で消費者の正当な権利(重要事項説明を求める、複数社に査定依頼、セカンドオピニオンを得る等)は遠慮なく行使すべきです。
本記事では、不動産会社30名へのアンケート調査に基づき、対応に困る客の特徴と適切な交渉術を解説します。
業者が嫌がる行動7選とその理由
不動産会社が対応に困る行動を7つ紹介します。
1. 根拠のない大幅値引き要求
どのような行動か:
- 相場を無視した大幅な値引き要求(「半額にしろ」等)
- 値引きの根拠を示さない
業者が困る理由:
- 仲介手数料は法律で上限が定められており、過度な値引きは業者の収益を圧迫
- 値引きしすぎると売却活動が消極的になるリスクがある
2. 購入意思が不明確(冷やかし)
どのような行動か:
- 予算・購入時期を明示しない
- 情報収集のみで購入意思がない
業者が困る理由:
- 時間をかけても成約に至らない
- 本気の顧客への対応時間が削られる
3. 複数社への同時専任媒介
どのような行動か:
- 複数の不動産会社と専任媒介契約を締結(契約違反)
業者が困る理由:
- 専任媒介契約は1社のみに依頼する契約であり、複数社に依頼すると契約違反
- 不動産会社が広告費用をかけても他社で成約される可能性があり、投資が無駄になる
4. レスポンスが遅い・連絡を無視
どのような行動か:
- 不動産会社からの連絡を無視
- 返信が数日~数週間遅れる
業者が困る理由:
- 売却・購入のタイミングを逃す
- 他の顧客への対応が遅れる
5. 過度な要求(深夜の連絡等)
どのような行動か:
- 深夜・早朝の連絡
- 休日に何度も電話
- 過剰なサービスを要求
業者が困る理由:
- 営業時間外の対応は業者の負担が大きい
- 他の顧客への対応時間が削られる
6. 知識をひけらかす態度
どのような行動か:
- 不動産会社の担当者を見下す
- 「こんなことも知らないのか」と批判
業者が困る理由:
- 信頼関係が構築できず、スムーズな取引ができない
- 担当者のモチベーションが下がる
7. 契約後のキャンセル・書類提出遅延
どのような行動か:
- 売買契約後に理由なくキャンセル
- 必要書類の提出が遅れる
業者が困る理由:
- 契約後のキャンセルは業者の時間と労力が無駄になる
- 書類提出遅延は決済が遅れ、他の顧客への対応にも影響
適切な行動と避けるべき行動の違い
業者が嫌がる行動と適切な行動を対比します。
値引き交渉
| ❌ 避けるべき行動 | ✅ 適切な行動 | 
|---|---|
| 相場無視の大幅値引き要求 | 周辺の成約事例を基にした交渉 | 
| 根拠を示さない | 物件の瑕疵や市場動向を根拠に提示 | 
| 「無料にしろ」等の極端な要求 | 仲介手数料の上限(3%+6万円+消費税)を理解した上で交渉 | 
物件探し
| ❌ 避けるべき行動 | ✅ 適切な行動 | 
|---|---|
| 予算・時期を明示しない | 予算・購入時期・希望条件を明確に伝える | 
| 冷やかし・情報収集のみ | 本気度を示す(資金計画を立てている、内覧希望日を提示等) | 
業者選び
| ❌ 避けるべき行動 | ✅ 適切な行動 | 
|---|---|
| 複数社に専任媒介契約(契約違反) | 一般媒介で複数社に依頼、または1社に絞って専任媒介 | 
| 契約内容を確認しない | 媒介契約の種類と違いを理解して選択 | 
コミュニケーション
| ❌ 避けるべき行動 | ✅ 適切な行動 | 
|---|---|
| 連絡を無視、返信が遅い | 24-48時間以内に返信 | 
| 深夜・早朝の連絡 | 営業時間内(平日9-18時、土日は事前に確認)に連絡 | 
| 業者を見下す態度 | 分からない点は素直に質問、対等な関係を維持 | 
消費者の正当な権利と賢い交渉術
消費者の正当な権利は遠慮なく行使すべきです。
複数社査定・セカンドオピニオンは遠慮不要
以下の行動は消費者の正当な権利であり、不動産会社が嫌がったとしても行うべきです。
- 複数社に査定依頼:3-5社に依頼して相場を把握
- セカンドオピニオン:弁護士、税理士、他の不動産会社に意見を求める
- 比較検討:他社の条件と比較して決定
重要事項説明の熟読・質問は義務
宅地建物取引業法により、不動産会社は重要事項説明を行う義務があります。
消費者は以下の行動を取ることが推奨されます。
- 重要事項説明書を熟読:契約前に十分な時間をかけて確認
- 不明点を質問:分からないことは納得するまで質問
- 専門家に相談:弁護士・税理士等に確認
これらは消費者の正当な権利であり、不動産会社が嫌がったとしても遠慮する必要はありません。
契約前の熟考期間の確保
消費者契約法により、不動産取引で不当な勧誘(断定的判断の提供、不実告知等)があれば契約取消が可能です。
- 契約前に十分な検討時間を求める:「今日中に決めてください」と急かされても、焦らず検討
- クーリングオフ:宅地建物取引業法により、一定の条件下(事務所以外での契約等)でクーリングオフが可能
買う時と売る時での対応の違い
買う時と売る時で、不動産会社との関係性が異なります。
買う時
- 業者の立場:売主側の仲介であることが多く、買主にとって必ずしも味方ではない
- 対応:複数社を比較し、冷静に判断
売る時
- 業者の立場:売主の味方だが、囲い込み(他社に物件情報を出さず自社で買主を見つける)のリスクあり
- 対応:専任媒介契約では定期的な報告義務があるため、進捗を確認。対応が悪ければ契約解除も検討
まとめ|対等な関係で良い取引を実現する
不動産会社が嫌がることは避けつつ、消費者の正当な権利は遠慮なく行使することが重要です。
根拠のない値引き要求・冷やかし・過度な要求は避け、周辺事例を基にした交渉・予算明示・営業時間内の連絡を心がけましょう。一方で、複数社査定・重要事項説明の質問・セカンドオピニオンは正当な権利です。
トラブル時は、国民生活センター(電話番号188)や各都道府県の宅建業法違反相談窓口に相談してください。対等な関係で、後悔しない不動産取引を実現しましょう。
