不動産会社が嫌がる客とは?業者本音と賢い交渉術

公開日: 2025/10/27

不動産会社が嫌がる客とは|業者本音と賢い交渉術

不動産取引を控えている方の中には、「不動産会社に軽く見られたくない」「適切な対応で良い条件を引き出したい」と考える方が少なくありません。

この記事では、不動産会社が対応に困る客の特徴を業者アンケート調査に基づいて解説し、適切な交渉術と避けるべき行動を整理します。国土交通省や消費者庁の公式情報を元に、消費者の正当な権利と過度な要求の違いも明示します。

対等な関係で後悔しない不動産取引を実現する方法が分かります。

この記事のポイント

  • 「不動産会社が嫌がること」=「業者にとって手間がかかる・利益が少ない」であり、必ずしも消費者が悪いわけではない
  • 過度な要求や非常識な行動は避けるべきだが、消費者の正当な権利(重要事項説明の要求、複数社査定等)は遠慮なく行使すべき
  • 根拠のある値引き交渉、予算・時期の明示、営業時間内の連絡等、適切な行動で賢く交渉できる
  • 買う時と売る時で業者との関係性が異なり、対応を変える必要がある
  • トラブル時は国民生活センター(電話188)や都道府県の宅建業法違反相談窓口に相談可能

不動産会社が対応に困る客の特徴とは

「不動産会社が嫌がること」とは、業者にとって手間がかかる、または利益が少ない行動を指します。ただし、これは必ずしも消費者が悪いわけではありません。

過度な要求や非常識な行動は避けるべきですが、一方で消費者の正当な権利(重要事項説明を求める、複数社に査定依頼、セカンドオピニオンを得る等)は遠慮なく行使すべきです。

本記事では、不動産会社30名へのアンケート調査に基づき、対応に困る客の特徴と適切な交渉術を解説します。

業者が嫌がる行動7選とその理由

不動産会社が対応に困る行動を7つ紹介します。

1. 根拠のない大幅値引き要求

どのような行動か

  • 相場を無視した大幅な値引き要求(「半額にしろ」等)
  • 値引きの根拠を示さない

業者が困る理由

  • 仲介手数料は法律で上限が定められており、過度な値引きは業者の収益を圧迫
  • 値引きしすぎると売却活動が消極的になるリスクがある

2. 購入意思が不明確(冷やかし)

どのような行動か

  • 予算・購入時期を明示しない
  • 情報収集のみで購入意思がない

業者が困る理由

  • 時間をかけても成約に至らない
  • 本気の顧客への対応時間が削られる

3. 複数社への同時専任媒介

どのような行動か

  • 複数の不動産会社と専任媒介契約を締結(契約違反)

業者が困る理由

  • 専任媒介契約は1社のみに依頼する契約であり、複数社に依頼すると契約違反
  • 不動産会社が広告費用をかけても他社で成約される可能性があり、投資が無駄になる

4. レスポンスが遅い・連絡を無視

どのような行動か

  • 不動産会社からの連絡を無視
  • 返信が数日~数週間遅れる

業者が困る理由

  • 売却・購入のタイミングを逃す
  • 他の顧客への対応が遅れる

5. 過度な要求(深夜の連絡等)

どのような行動か

  • 深夜・早朝の連絡
  • 休日に何度も電話
  • 過剰なサービスを要求

業者が困る理由

  • 営業時間外の対応は業者の負担が大きい
  • 他の顧客への対応時間が削られる

6. 知識をひけらかす態度

どのような行動か

  • 不動産会社の担当者を見下す
  • 「こんなことも知らないのか」と批判

業者が困る理由

  • 信頼関係が構築できず、スムーズな取引ができない
  • 担当者のモチベーションが下がる

7. 契約後のキャンセル・書類提出遅延

どのような行動か

  • 売買契約後に理由なくキャンセル
  • 必要書類の提出が遅れる

業者が困る理由

  • 契約後のキャンセルは業者の時間と労力が無駄になる
  • 書類提出遅延は決済が遅れ、他の顧客への対応にも影響

適切な行動と避けるべき行動の違い

業者が嫌がる行動と適切な行動を対比します。

値引き交渉

❌ 避けるべき行動 ✅ 適切な行動
相場無視の大幅値引き要求 周辺の成約事例を基にした交渉
根拠を示さない 物件の瑕疵や市場動向を根拠に提示
「無料にしろ」等の極端な要求 仲介手数料の上限(3%+6万円+消費税)を理解した上で交渉

物件探し

❌ 避けるべき行動 ✅ 適切な行動
予算・時期を明示しない 予算・購入時期・希望条件を明確に伝える
冷やかし・情報収集のみ 本気度を示す(資金計画を立てている、内覧希望日を提示等)

業者選び

❌ 避けるべき行動 ✅ 適切な行動
複数社に専任媒介契約(契約違反) 一般媒介で複数社に依頼、または1社に絞って専任媒介
契約内容を確認しない 媒介契約の種類と違いを理解して選択

コミュニケーション

❌ 避けるべき行動 ✅ 適切な行動
連絡を無視、返信が遅い 24-48時間以内に返信
深夜・早朝の連絡 営業時間内(平日9-18時、土日は事前に確認)に連絡
業者を見下す態度 分からない点は素直に質問、対等な関係を維持

消費者の正当な権利と賢い交渉術

消費者の正当な権利は遠慮なく行使すべきです。

複数社査定・セカンドオピニオンは遠慮不要

以下の行動は消費者の正当な権利であり、不動産会社が嫌がったとしても行うべきです。

  • 複数社に査定依頼:3-5社に依頼して相場を把握
  • セカンドオピニオン:弁護士、税理士、他の不動産会社に意見を求める
  • 比較検討:他社の条件と比較して決定

重要事項説明の熟読・質問は義務

宅地建物取引業法により、不動産会社は重要事項説明を行う義務があります。

消費者は以下の行動を取ることが推奨されます。

  • 重要事項説明書を熟読:契約前に十分な時間をかけて確認
  • 不明点を質問:分からないことは納得するまで質問
  • 専門家に相談:弁護士・税理士等に確認

これらは消費者の正当な権利であり、不動産会社が嫌がったとしても遠慮する必要はありません。

契約前の熟考期間の確保

消費者契約法により、不動産取引で不当な勧誘(断定的判断の提供、不実告知等)があれば契約取消が可能です。

  • 契約前に十分な検討時間を求める:「今日中に決めてください」と急かされても、焦らず検討
  • クーリングオフ:宅地建物取引業法により、一定の条件下(事務所以外での契約等)でクーリングオフが可能

買う時と売る時での対応の違い

買う時と売る時で、不動産会社との関係性が異なります。

買う時

  • 業者の立場:売主側の仲介であることが多く、買主にとって必ずしも味方ではない
  • 対応:複数社を比較し、冷静に判断

売る時

  • 業者の立場:売主の味方だが、囲い込み(他社に物件情報を出さず自社で買主を見つける)のリスクあり
  • 対応:専任媒介契約では定期的な報告義務があるため、進捗を確認。対応が悪ければ契約解除も検討

まとめ|対等な関係で良い取引を実現する

不動産会社が嫌がることは避けつつ、消費者の正当な権利は遠慮なく行使することが重要です。

根拠のない値引き要求・冷やかし・過度な要求は避け、周辺事例を基にした交渉・予算明示・営業時間内の連絡を心がけましょう。一方で、複数社査定・重要事項説明の質問・セカンドオピニオンは正当な権利です。

トラブル時は、国民生活センター(電話番号188)や各都道府県の宅建業法違反相談窓口に相談してください。対等な関係で、後悔しない不動産取引を実現しましょう。

よくある質問

Q1仲介手数料の値引き交渉はできますか?

A1法律で上限(物件価格×3%+6万円+消費税)が定められていますが、値引き交渉は可能です。ただし過度な要求(無料にしろ等)は業者に嫌がられ、サービス低下のリスクがあります。周辺事例や物件の瑕疵を根拠に、適切な範囲で交渉することをおすすめします。

Q2複数の不動産会社に同時に依頼してもいいですか?

A2一般媒介契約なら複数社に依頼可能です。専任媒介契約は1社のみのため、複数社に専任媒介を依頼すると契約違反となります。比較検討後に1社に絞ることを推奨します。

Q3不動産会社の対応が悪い場合どうすればいいですか?

A3宅建業法違反(重要事項説明義務違反、誇大広告等)があれば、各都道府県の宅建業法違反相談窓口に相談してください。契約トラブルは国民生活センター(電話番号188)に相談可能です。

Q4買う時と売る時で業者との関係は違いますか?

A4買う時は業者が売主側の仲介であることが多く、必ずしも買主の味方ではありません。売る時は業者が売主の味方ですが、囲い込みのリスクがあります。いずれも複数社を比較し、対等な関係を維持することが重要です。