住宅ローン金利引き上げの影響は?返済額の変化と対策

公開日: 2025/11/11

住宅ローン金利引き上げの影響は?返済額の変化と対策

変動金利で住宅ローンを返済中の方にとって、金利引き上げのニュースは不安の種です。返済額がどのくらい増えるのか、どう対策すべきかを知りたい方は少なくありません。

この記事では、日本銀行の政策金利引き上げによる住宅ローンへの影響、返済額増加のシミュレーション、対策(繰上返済、固定金利への借り換え等)を解説します。過度に不安を煽らず、冷静な判断を促す内容です。

この記事のポイント

  • 日銀が2024年7月に0.25%、2025年1月に0.5%に政策金利を引き上げた
  • 借入3,000万円の場合、金利0.5%上昇で月約6,000円増
  • 借入4,500万円の場合、金利0.5%上昇で月約8,000円増
  • 対策として繰上返済、固定金利への借り換え、家計の見直しがある
  • 変動金利は依然として低水準(0.6-0.7%)であり、適切な返済計画があれば過度に心配する必要はない

住宅ローン金利引き上げの影響:返済額はどのくらい増えるか

変動金利で住宅ローンを返済中の読者に対し、金利引き上げによる返済額増加を具体的に解説します。日本銀行が2024年7月に0.25%、2025年1月に0.5%に政策金利を引き上げたことで、変動金利にどう影響するか、返済額がどのくらい増えるかを明確化します。

過度に不安を煽らず、冷静な判断を促す方針で説明していきます。

金利引き上げの背景:日銀の政策金利変更

2024年7月に0.25%、2025年1月に0.5%に引き上げ

日本銀行が2024年7月に政策金利を0.25%に、2025年1月に0.5%に引き上げました。これは長期にわたるゼロ金利政策からの転換であり、物価上昇や経済状況を考慮した判断です。

政策金利→短期プライムレート→住宅ローン変動金利への影響

政策金利の変更は各銀行の短期プライムレートに影響し、住宅ローンの変動金利が上昇する仕組みです。政策金利が0.5%上昇すると、短期プライムレートも同程度上昇し、住宅ローンの変動金利も連動して上がります。

今後の金利動向(不確実性が高い)

モゲチェックの2025年10月時点の最新金利動向によると、変動金利・固定金利ともに上昇傾向にあります。ただし、今後の金利動向は経済状況により変動し、専門家でも正確な予測は困難です。日銀の政策金利は景気・物価を見ながら調整されるため、「今後も上がり続ける」と断定することはできません。

返済額増加のシミュレーション:借入額別の影響

借入3,000万円の場合:金利0.5%上昇で月約6,000円増

借入3,000万円(35年返済)で金利が0.5%上昇した場合、月々の返済額は約6,000円増加します。年間では約7.2万円、35年間では約252万円の負担増です。

借入4,500万円の場合:金利0.5%上昇で月約8,000円増

日本経済新聞の報道によると、約1年前に変動金利で4,500万円を35年返済で借りた場合、2025年1月の利上げにより月約8,000円増加します。年間では約9.6万円、35年間では約336万円の負担増です。

住宅金融支援機構のシミュレーションツールを使えば、自分の借入額で金利上昇の影響を具体的に試算できます。

5年ルール・125%ルールの仕組みと未払い利息のリスク

変動金利には5年ルール(返済額は5年間据え置き)と125%ルール(返済額の増加は前回の1.25倍まで)があります。SBI新生銀行の解説によると、これらのルールは返済額の急増を抑える仕組みですが、利息部分が増えて元金返済が進まないリスクがあります。

急激な金利上昇時は未払い利息が発生し、最終返済時に一括返済が必要になる場合もあるため、完全に保護されるわけではありません。

金利引き上げへの対策:繰上返済、借り換え、家計の見直し

繰上返済で元金を減らす(ただし手元資金とのバランスが重要)

繰上返済により元金を減らすことで、利息負担を軽減できます。ただし、手元資金とのバランスが重要です。緊急時の生活資金(生活費の6ヶ月分程度)を確保した上で、余裕資金を繰上返済に充てることが推奨されます。

ダイヤモンドの専門家分析によると、低金利(0.3-0.5%)のうちは借り続けるべきという意見もあれば、金利上昇前に繰上返済すべきという意見もあります。自分の状況に応じて判断することが重要です。

固定金利への借り換え(諸費用がかかる、金利差が小さい場合は効果が薄い)

固定金利への借り換えにより、今後の金利上昇リスクを回避できます。ただし、諸費用(数十万円)がかかるため、金利差が0.5%以上ない場合は効果が薄い点に注意が必要です。

返済残高・残存期間・手元資金を考慮し、住宅金融支援機構のシミュレーションツールで試算してから判断してください。

返済期間の延長、家計の見直し

返済期間を延長することで月々の返済額を減らすこともできます。ただし、総返済額は増加するため、長期的な視点で判断が必要です。

家計の見直し(固定費の削減、不要な支出の見直し)により、返済額増加に対応できる場合もあります。保険料、通信費、サブスクリプション等の見直しを検討してください。

まとめ:冷静に自分の状況を確認し、必要に応じて専門家に相談しよう

金利引き上げで返済額は増加しますが、変動金利は依然として低水準(0.6-0.7%)であり、適切な返済計画があれば過度に心配する必要はありません。

①返済額のシミュレーション、②繰上返済・借り換えの検討、③家計の見直しを順に行い、必要に応じてファイナンシャルプランナー等の専門家に相談することを推奨します。

「変動金利を選んだのは失敗」という後悔ではなく、冷静に自分の状況を確認し、適切な対策を取ることが重要です。

よくある質問

Q1金利が上がったらすぐに借り換えるべきですか?

A1借り換えには諸費用(数十万円)がかかるため、金利差が0.5%以上ない場合は効果が薄いです。返済残高・残存期間・手元資金を考慮し、住宅金融支援機構のシミュレーションツールで試算してから判断することが重要です。金利差が小さい場合は借り換えず、繰上返済や家計の見直しで対応する方が有効な場合もあります。

Q25年ルールと125%ルールがあれば安心ですか?

A2返済額の急増は抑えられますが、利息部分が増えて元金返済が進まず、未払い利息が発生するリスクがあります。最終返済時に一括返済が必要になる場合もあり、完全に保護されるわけではありません。金利が急上昇した場合は、5年ルール・125%ルールだけでは対応しきれない可能性があるため、繰上返済や借り換えも検討してください。

Q3今後も金利は上がり続けますか?

A3将来の金利動向は経済状況により変動し、専門家でも正確な予測は困難です。日銀の政策金利は景気・物価を見ながら調整されるため、「今後も上がり続ける」と断定することはできません。金利が上昇する可能性もあれば、下がる可能性もあるため、過度に不安を抱かず、現時点での返済計画を見直すことが重要です。

Q4変動金利から固定金利に途中で変更できますか?

A4変動金利期間中は金利タイプの変更が可能ですが、固定金利期間中の変更は不可です。借り換えという手段もありますが、手数料(数十万円)がかかるため、最初の選択が重要です。変動金利から固定金利への変更を検討する場合は、金利差、諸費用、残存期間を総合的に判断してください。