中古住宅購入の諸費用の重要性
中古住宅を購入する際、「諸費用はどのくらいかかるのか」「いつ・どのように準備すればよいのか」という疑問を持つ方は少なくありません。諸費用は物件価格の6-9%と高額になり、原則現金払いのため、事前に正確な金額を把握しておくことが重要です。
この記事では、中古住宅購入の諸費用の種類、400万円物件の費用内訳、価格帯別の比較、支払時期について、LIFULL HOME'Sやリクルート等の情報を元に解説します。
諸費用の負担を正確に理解し、無理のない資金計画を立てましょう。
この記事のポイント
- 中古住宅の諸費用は物件価格の6-9%が目安(新築は5-7%より高い理由:仲介手数料)
- 400万円の中古住宅では諸費用約24-36万円(6-9%)が必要
- 諸費用は原則現金払いで住宅ローンに含まれないため、事前に数百万円の現金を用意する必要がある
- 仲介手数料は物件価格×3%+6万円+消費税が上限(400万円超の場合)
諸費用の基礎知識
(1) 諸費用とは何か
諸費用とは、物件価格とは別に必要な費用の総称です。仲介手数料、登記費用、税金、保険料、ローン関連費用等が含まれます。
諸費用に含まれる主な項目:
- 仲介手数料
- 登記費用(登録免許税+司法書士報酬)
- 税金(印紙税、不動産取得税等)
- 住宅ローン関連費用(融資手数料、保証料、保険料等)
- その他(物件調査費用、引越費用等)
諸費用は原則現金払いで、住宅ローンに含まれないことが多いため、事前に数百万円の現金を用意する必要があります。
(2) 諸費用の相場(物件価格の6-9%)
中古住宅の諸費用は、**物件価格の6-9%**が相場です。
| 物件価格 | 諸費用(6%) | 諸費用(9%) |
|---|---|---|
| 400万円 | 24万円 | 36万円 |
| 1000万円 | 60万円 | 90万円 |
| 2000万円 | 120万円 | 180万円 |
| 3000万円 | 180万円 | 270万円 |
| 4000万円 | 240万円 | 360万円 |
(出典: LIFULL HOME'S、アドキャスト)
(3) 新築との違い(仲介手数料の有無)
中古住宅の諸費用が新築より高い理由は、仲介手数料の有無です。
| 項目 | 新築 | 中古 |
|---|---|---|
| 諸費用の相場 | 5-7% | 6-9% |
| 仲介手数料 | 不要(不動産会社から直接購入) | 必要(100万円超も) |
(出典: LOHAS studio)
新築は不動産会社から直接購入するため仲介手数料が不要ですが、中古は仲介業者を通すため仲介手数料がかかります。
諸費用の種類と内訳
(1) 物件関連の諸費用(仲介手数料、税金、登記費用)
仲介手数料:
- 計算式: 物件価格×3%+6万円+消費税(400万円超の場合)
- 上限: 法律で上限が定められており、これを超える請求は違法
- 例: 3000万円の物件 → (3000万円×3%+6万円)×1.1 = 105.6万円
(出典: 不動産ステーション)
200万~400万円の物件の仲介手数料:
- 計算式: 物件価格×4%+2万円+消費税
- 例: 400万円の物件 → (400万円×4%+2万円)×1.1 = 19.8万円
税金:
| 税金 | 金額目安 | 支払時期 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 1万~6万円(契約金額により変動) | 契約時 |
| 登録免許税 | 固定資産税評価額の2%(所有権移転)、0.4%(抵当権設定) | 登記時 |
| 不動産取得税 | 固定資産税評価額の3%(軽減措置あり) | 購入後6ヶ月~1年後 |
| 固定資産税・都市計画税 | 日割り精算 | 引渡し時 |
(出典: リクルート)
登記費用:
- 登録免許税+司法書士報酬: 20-30万円が目安
- 所有権移転登記: 固定資産税評価額の2%
- 抵当権設定登記: 債権額(借入額)の0.4%
(2) 住宅ローン関連の諸費用(融資手数料、保証料、保険料)
融資事務手数料:
- 定額型: 3-5万円
- 定率型: 融資額の2.2%
住宅ローン保証料:
- 一括前払い: 融資額の2%程度(例:3000万円で60万円)
- 金利上乗せ: 年0.2%程度(初期費用を抑える選択肢)
(出典: オープンハウス)
保険料:
| 保険 | 金額目安 | 加入必須 |
|---|---|---|
| 火災保険 | 20-30万円(10年一括払い) | 住宅ローン利用時は必須 |
| 地震保険 | 10-20万円(5年契約) | 任意 |
| 団体信用生命保険 | 金利に含まれることが多い | ほぼ必須 |
(3) その他の諸費用
フラット35利用時:
- 物件調査手数料: 戸建て6-8万円、マンション4-6万円
(出典: オープンハウス)
その他:
- 引越費用
- リフォーム費用(中古住宅の場合、購入後に必要になることが多い)
- 家具・家電購入費
400万円物件の諸費用目安
(1) 400万円物件の諸費用(約24-36万円)
400万円の中古住宅購入時の諸費用は、約24-36万円(物件価格の6-9%)が目安です。
諸費用の内訳例:
| 項目 | 金額(概算) |
|---|---|
| 仲介手数料 | 19.8万円 |
| 印紙税 | 1万円 |
| 登記費用 | 10万円 |
| その他 | 5-10万円 |
| 合計 | 35.8-40.8万円 |
注意: 住宅ローンを利用する場合、融資手数料・保証料・保険料が別途必要になります。
(2) 仲介手数料の計算方法
400万円の物件の仲介手数料は、物件価格×4%+2万円+消費税で計算されます。
計算例(400万円の物件):
- 400万円 × 4% = 16万円
- 16万円 + 2万円 = 18万円
- 18万円 × 1.1(消費税) = 19.8万円
400万円超の物件の場合:
- 計算式: 物件価格×3%+6万円+消費税
- 例(500万円の物件): (500万円×3%+6万円)×1.1 = 23.1万円
(出典: 不動産ステーション)
(3) 諸費用の支払時期
諸費用は一度に支払うのではなく、契約時・決済時・引渡後に分けて支払います。
| 時期 | 支払項目 | 金額目安 |
|---|---|---|
| 契約時 | 印紙税、手付金 | 数万円~ |
| 決済時(引渡時) | 仲介手数料、登記費用、融資手数料、保証料、保険料等 | 大部分 |
| 引渡後 | 不動産取得税 | 購入後6ヶ月~1年後 |
不動産取得税は購入後6ヶ月~1年後に納付通知が来るため、購入時に現金で用意しておく必要があります。
価格帯別の諸費用比較
(1) 低価格帯(300万~1000万円)の諸費用
| 物件価格 | 諸費用(6%) | 諸費用(9%) |
|---|---|---|
| 300万円 | 18万円 | 27万円 |
| 600万円 | 36万円 | 54万円 |
| 800万円 | 48万円 | 72万円 |
| 1000万円 | 60万円 | 90万円 |
低価格帯の物件は諸費用も比較的少額ですが、リフォーム費用が別途必要になる可能性が高いため、総コストで判断することが重要です。
(2) 中価格帯(2000万~3000万円)の諸費用
| 物件価格 | 諸費用(6%) | 諸費用(9%) |
|---|---|---|
| 2000万円 | 120万円 | 180万円 |
| 2500万円 | 150万円 | 225万円 |
| 3000万円 | 180万円 | 270万円 |
2024年12月時点の最新シミュレーション例(オープンハウス):
- 3000万円の物件: 諸費用287万600円
中価格帯の物件は諸費用が100万円を超えるため、数百万円の現金を事前に用意する必要があります。
(3) 高価格帯(4000万円)の諸費用
| 物件価格 | 諸費用(6%) | 諸費用(9%) |
|---|---|---|
| 4000万円 | 240万円 | 360万円 |
2024年12月時点の最新シミュレーション例(オープンハウス):
- 4000万円の物件: 諸費用378万6400円
高価格帯の物件は諸費用が300万円を超えるため、住宅ローン保証料の支払い方法(一括前払い or 金利上乗せ)を選択することで初期費用を抑える選択肢があります。
まとめ:状況別の準備方法
中古住宅の諸費用は物件価格の6-9%が目安で、400万円の中古住宅では約24-36万円が必要です。中古住宅の諸費用が新築より高い理由は仲介手数料で、物件価格の3%+6万円+消費税が上限(400万円超の場合)です。
諸費用は原則現金払いで住宅ローンに含まれないため、事前に数百万円の現金を用意する必要があります。ただし、一部の金融機関では諸費用を含めたフルローンも提供しているため、現金を用意できない場合の選択肢となります。
不動産取得税は購入後6ヶ月~1年後に納付通知が来るため、購入時に現金で用意しておく必要があります。また、中古住宅の場合、購入後にリフォーム費用が別途必要になる可能性があるため、事前に物件の状態を確認し、総コストで判断することが重要です。
諸費用の相場は6-9%ですが、物件の状態やローン条件により13%程度になる場合もあります。詳細は宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーへの相談を推奨します。
