不動産売却の仲介手数料無料の仕組み
不動産売却を検討している方の中には、「仲介手数料無料をうたう業者があるが、本当に無料なのか」「無料でもサービス品質は変わらないのか」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、仲介手数料無料のビジネスモデル、メリット・デメリット、向いている人・向いていない人、業者選びのポイントを解説します。仕組みを理解することで、自分に合った不動産売却の選択肢を見つけられます。
この記事のポイント
- 仲介手数料無料のビジネスモデルは、買主から手数料を受け取る「片手取引」、自社買取・転売、広告料収入等で成り立つ
- 売却価格3,000万円の場合、仲介手数料(約105.6万円)が無料になり、手取り額が増加
- 販売活動が限定的になる可能性、囲い込みのリスク、対象物件が限定されるなどのデメリットも存在
- 費用優先で人気物件を短期売却したい人に向いており、販売力重視で難易度高い物件を高値売却したい人には向いていない
- 複数業者に査定依頼し、サービス内容・査定額・販売戦略を総合的に比較することが重要
(1) 買主から手数料を受け取る「片手取引」
仲介手数料無料のビジネスモデルの1つは、売主からの手数料を免除し、買主からの手数料のみを受け取る「片手取引」です。通常の仲介では、売主と買主の両方から手数料を受け取る「両手取引」が一般的ですが、無料業者は売主の負担を軽減する代わりに、買主からの手数料で収益を確保します。
(2) 自社買取・転売による利益確保
一部の業者は、自社で物件を買い取り、リノベーション後に転売することで利益を確保するビジネスモデルを採用しています。この場合、買取価格は市場相場の7〜8割程度になるケースが多いため、注意が必要です。
(3) 広告料収入によるビジネスモデル
広告枠の販売や提携先からの紹介料で収益を得るビジネスモデルもあります。売主からの仲介手数料を免除する代わりに、他の収益源で運営しています。
メリットとデメリット
(1) メリット:費用削減(売却価格×3%+6万円+消費税)
仲介手数料の法定上限は、売却価格×3%+6万円+消費税です。これが無料になることで、大幅な費用削減が可能です。
| 売却価格 | 仲介手数料(法定上限) | 節約額 |
|---|---|---|
| 2,000万円 | 72.6万円 | 72.6万円 |
| 3,000万円 | 105.6万円 | 105.6万円 |
| 5,000万円 | 171.6万円 | 171.6万円 |
(計算式:(売却価格×3%+6万円)×1.1)
(2) メリット:売却手取り額の増加
仲介手数料が無料になることで、売却手取り額が増加します。同じ売却価格でも、手元に残る金額が多くなる点が大きなメリットです。
(3) デメリット:販売活動が限定的になる可能性
買主から手数料を受け取るビジネスモデルの場合、買主を自社で見つける必要があるため、販売活動が限定的になる可能性があります。他社に広く物件情報を公開せず、自社の顧客のみに紹介するケースもあり、売却期間が長期化したり、売却価格が低くなるリスクがあります。
(4) デメリット:囲い込みのリスク
囲い込みは宅建業法違反の違法行為ですが、実態として発生しているケースがあります。囲い込みにより、買主の選択肢が限定され、適正価格での売却が困難になる可能性があります。物件情報を広く公開しているか、透明性の高い販売活動を行っているかを確認することが重要です。
(5) デメリット:対象物件が限定される
仲介手数料無料のサービスは、全ての物件が対象ではありません。人気物件や高額物件は対象外、マンションのみ対象、など制限がある場合が多いため、事前に確認が必要です。
向いている人・向いていない人
(1) 向いている人:費用優先、人気物件、短期売却希望
- 費用を最優先する人: 仲介手数料の節約を重視する方
- 人気物件を所有している人: 駅近、築浅など需要が高く、買い手が見つかりやすい物件
- 短期売却を希望する人: 3ヶ月以内など、早期売却を目指す方
(2) 向いていない人:販売力重視、難易度高い物件、高値売却希望
- 販売力を重視する人: 広範囲に物件情報を公開し、積極的な販売活動を求める方
- 難易度の高い物件を所有している人: 郊外、築古、再建築不可など、買い手が見つかりにくい物件
- 高値売却を優先する人: 時間をかけてでも、最高値での売却を目指す方
仲介手数料無料業者の選び方
(1) 両手取引を避ける業者か確認
両手取引を前提とせず、売主の利益を最優先する業者を選ぶことが重要です。物件情報を広く公開し、透明性の高い販売活動を行っているか確認してください。
(2) サービス品質の比較(査定精度、販売力)
仲介手数料が無料でも、サービス品質が低ければ意味がありません。査定精度、販売戦略、担当者の対応品質を総合的に比較してください。
(3) 対象物件の範囲確認
自分の物件が仲介手数料無料の対象となるか、事前に確認してください。マンションのみ対象、築年数制限、エリア制限など、業者によって条件が異なります。
仲介手数料の法的上限と計算方法
(1) 上限額の法的根拠(宅建業法第46条)
仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法第46条で定められています。売主が支払う仲介手数料の上限は、以下の通りです。
(2) 計算式(売却価格×3%+6万円+消費税)
一般的な計算式は以下の通りです。
仲介手数料 = (売却価格×3%+6万円)×1.1(消費税)
(3) 800万円以下の物件の特例(2024年改正)
2024年7月1日から、800万円以下の空き家・空き地については、仲介手数料の上限が33万円(税込)に引き上げられました。低額物件の流通促進を目的とした改正です。
まとめ:本当にお得かを見極める
不動産売却の仲介手数料無料は、買主から手数料を受け取る「片手取引」、自社買取・転売、広告料収入等のビジネスモデルで成り立っています。売却価格3,000万円の場合、約105.6万円の仲介手数料が無料になる点が大きなメリットです。
一方、販売活動が限定的になる可能性、囲い込みのリスク、対象物件が限定されるなどのデメリットも存在します。費用優先で人気物件を短期売却したい人に向いていますが、販売力重視で高値売却を目指す人には向いていません。
複数業者に査定依頼し、サービス内容・査定額・販売戦略を総合的に比較することをおすすめします。本当にお得かどうかは、総合的な判断が必要です。


