仲介手数料「分かれ」とは?片手取引との関係を理解する
不動産売却を検討している方の中には、不動産会社から「分かれ」という言葉を聞いたが意味が分からず、自分に有利な取引形態なのか不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、仲介手数料「分かれ」の定義、両手仲介との違い、囲い込み問題、売主へのメリット・デメリット、仲介形態の見分け方を解説します。取引形態を理解することで、有利な売却を実現できます。
この記事のポイント
- 「分かれ」は片手仲介と同義で、売主側・買主側それぞれに不動産会社が付く取引形態
- 仲介手数料の上限は(売却価格×3%+6万円)+消費税で、片手・両手に関わらず売主負担は同じ
- 両手仲介は1社が売主・買主双方から手数料を受領し、報酬が2倍だが利益相反の懸念がある
- 囲い込みは両手成約を優先するため他社への物件情報提供を拒否する行為で、宅建業法違反
- 片手仲介(分かれ)は利益相反が少なく売主の利益を優先しやすいが、業者の信頼性も重要
(1) 「分かれ」の定義(片手仲介と同義)
「分かれ」とは、片手仲介と同義の不動産業界用語です。HOMESによると、売主側と買主側で別々の不動産会社が仲介し、各社が自分の依頼者からのみ仲介手数料を受領する取引形態を指します。
片手仲介(分かれ)の仕組み:
- 売主側業者(元付): 売主から仲介手数料を受領
- 買主側業者(客付): 買主から仲介手数料を受領
各社が自分の依頼者の利益を最優先する構造です。
(2) 売主側業者と買主側業者が別々に仲介
片手仲介(分かれ)では、売主側業者(元付)が物件情報を広く公開し、買主側業者(客付)が買主を見つけてきます。
取引の流れ:
- 売主が元付業者に売却を依頼
- 元付業者が物件情報をREINS(不動産流通標準情報システム)等に登録
- 客付業者が買主を見つける
- 元付業者と客付業者が協力して取引を成立
(3) 各社が自分の依頼者からのみ手数料受領
片手仲介(分かれ)では、各社が自分の依頼者からのみ仲介手数料を受領します。
- 売主側業者:売主から(売却価格×3%+6万円)+消費税
- 買主側業者:買主から(売却価格×3%+6万円)+消費税
売主が支払う仲介手数料は、両手仲介と変わりません。
仲介手数料の基礎知識:上限規定と計算方法(2024年7月改正対応)
(1) 宅建業法46条による上限規定
仲介手数料の上限は、国土交通省によると、宅地建物取引業法第46条で定められています。
上限を超える請求は違法(宅建業法違反)です。
(2) 計算方法(400万円超:価格×3%+6万円+消費税)
400万円超の物件の仲介手数料上限は、以下の速算式で計算できます。
仲介手数料 = (売却価格×3%+6万円)×1.1(消費税)
| 売却価格 | 仲介手数料(上限) |
|---|---|
| 1,000万円 | 39.6万円 |
| 3,000万円 | 105.6万円 |
| 5,000万円 | 171.6万円 |
(3) 2024年7月改正(800万円以下の物件は上限33万円)
売買の窓口によると、2024年7月から800万円以下の物件については、仲介手数料の上限が33万円(税込)に引き上げられました。
これは空き家対策のための制度改正で、低価格物件の仲介活性化を目的としています。
(4) 上限を超える請求は違法
宅建業法で定められた上限を超える仲介手数料を請求することは違法です。上限を超える請求を受けた場合は、管轄の都道府県庁の宅建業担当課に相談してください。
両手仲介と片手仲介(分かれ)の違いを徹底比較
(1) 両手仲介の仕組み(1社が売主・買主双方を仲介)
両手仲介とは、1社が売主と買主の両方を仲介し、双方から仲介手数料を受領する取引形態です。
イエイによると、不動産会社にとっては報酬が2倍になるため、両手成約を優先する動機があります。
両手仲介の仕組み:
- 1社が売主・買主双方を仲介
- 売主から(売却価格×3%+6万円)+消費税を受領
- 買主から(売却価格×3%+6万円)+消費税を受領
- 合計で報酬が2倍
(2) 片手仲介(分かれ)の仕組み(売主側・買主側で別々の会社)
片手仲介(分かれ)では、売主側業者(元付)と買主側業者(客付)が別々に仲介します。
片手仲介(分かれ)の仕組み:
- 売主側業者が物件情報を広く公開
- 買主側業者が買主を見つける
- 各社が自分の依頼者の利益を最優先
(3) 仲介手数料の金額は変わるのか(売主負担は同じ)
不動産売買の歩き方によると、売主が支払う仲介手数料の金額は、片手・両手に関わらず同じです。
| 取引形態 | 売主が支払う手数料 | 不動産会社の受領額 |
|---|---|---|
| 片手仲介(分かれ) | (価格×3%+6万円)+消費税 | 売主からのみ |
| 両手仲介 | (価格×3%+6万円)+消費税 | 売主+買主から(合計2倍) |
両手仲介の場合、不動産会社は買主からも同額の手数料を受領するため、合計で報酬が2倍になります。
(4) 元付・客付の関係性
不動産業界では、以下の用語が使われます。
- 元付(もとづけ): 売主側の不動産会社、物件の情報を最初に得た会社
- 客付(きゃくづけ): 買主側の不動産会社、買主を見つけてくる会社
片手仲介(分かれ)では、元付と客付が協力して取引を成立させます。
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両手仲介の問題点:囲い込みと利益相反のリスク
(1) 囲い込みとは(他社への物件情報提供拒否)
囲い込みとは、両手成約を優先するため、他社への物件情報提供を拒否する行為です。
イエイによると、囲い込みは宅建業法違反ですが、実際に行われているケースがあります。
囲い込みの手口:
- REINSに物件情報を登録するが、他社からの問い合わせに「商談中」と虚偽の回答
- 物件情報を広く公開せず、自社の顧客のみに紹介
- 他社経由の購入希望者を断る
(2) 利益相反の問題(売主と買主の利益対立)
両手仲介では、不動産会社が売主と買主の双方の代理人となるため、利益相反の問題が発生します。
利益相反の例:
- 売主: できるだけ高く売りたい
- 買主: できるだけ安く買いたい
- 不動産会社: 双方から手数料を受領するため、どちらの利益を優先すべきか判断が難しい
REDSによると、海外では両手仲介を禁止する国もありますが、日本では合法です。
(3) 売却価格が下がる可能性
囲い込みにより、買主の選択肢が限定され、適正価格での売却が困難になる可能性があります。
囲い込みのリスク:
- 他社経由の購入希望者を断ることで、高値での売却機会を失う
- 自社の顧客のみに限定するため、売却期間が長期化
- 早期売却のため、相場より低い価格での売却を提案される
(4) 両手仲介自体は合法だが問題視されている
両手仲介自体は日本では合法ですが、利益相反の問題や囲い込みのリスクから、問題視されています。
一方、両手仲介が必ずしも不利とは限らず、業者の信頼性や販売活動の積極性も重要です。信頼できる業者であれば、両手仲介でも適正価格での売却が可能です。
売主にとっての片手・両手のメリット・デメリットと見分け方
(1) 片手仲介(分かれ)のメリット・デメリット
メリット:
- 利益相反が少なく、売主の利益を優先しやすい
- 物件情報が広く公開され、買主の選択肢が増える
- 高値での売却機会が増える
デメリット:
- 元付業者と客付業者の連携が必要で、やや手間がかかる
- 客付業者の質にばらつきがある
(2) 両手仲介のメリット・デメリット
メリット:
- 1社が窓口となるため、やり取りがスムーズ
- 売主・買主双方の希望を調整しやすい
- 信頼できる業者であれば、迅速な取引が可能
デメリット:
- 利益相反の問題がある
- 囲い込みのリスクがある
- 売却価格が下がる可能性がある
(3) 仲介形態の見分け方(媒介契約書の確認)
仲介形態は、媒介契約書で確認できます。
確認ポイント:
- 専属専任媒介契約・専任媒介契約: 1社に依頼、両手仲介になる可能性が高い
- 一般媒介契約: 複数社に依頼可能、片手仲介(分かれ)が一般的
また、複数の不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME'S等)に物件が掲載されているか確認することで、囲い込みの可能性を判断できます。
(4) 囲い込みを防ぐための対策
囲い込みを防ぐための対策:
- 複数の不動産会社に査定依頼: 一般媒介契約で複数社に依頼することで、囲い込みを防げる
- REINS登録証明書の確認: 専任媒介契約の場合、REINSへの登録が義務付けられている。登録証明書を確認する
- 定期的に物件の掲載状況を確認: SUUMO、HOME'S等のポータルサイトに物件が掲載されているか確認
- 他社からの問い合わせ状況を確認: 他社からの問い合わせがあるか、業者に定期的に確認
まとめ:仲介形態を理解して有利な売却を実現する
「分かれ」は片手仲介と同義で、売主側・買主側それぞれに不動産会社が付く取引形態です。仲介手数料の上限は(売却価格×3%+6万円)+消費税で、片手・両手に関わらず売主負担は同じです。
両手仲介は1社が売主・買主双方から手数料を受領し、報酬が2倍ですが、利益相反の懸念があります。囲い込みは両手成約を優先するため他社への物件情報提供を拒否する行為で、宅建業法違反です。
片手仲介(分かれ)は利益相反が少なく売主の利益を優先しやすいですが、業者の信頼性も重要です。媒介契約書や物件の掲載状況を確認し、囲い込みを防ぐ対策を講じることで、有利な売却を実現できます。
