マンション売却手続きの全体像と期間
マンションを売却する際、初めての方は「何から始めればいいのか」「どのくらいの期間がかかるのか」と不安を抱えることが多いでしょう。売却手続きは、査定依頼から決済・引き渡しまで複数のステップを踏む必要があります。
この記事では、マンション売却の手続き全体を時系列で網羅的に解説し、各ステップの必要書類と所要期間を具体的に示します。国土交通省の不動産取引ガイドラインや国税庁の税制情報を元に、実務担当者向けの手順と注意点を詳しく説明します。
40-60代のマンション売却検討者の方でも、手続きの流れや必要書類、各ステップにかかる期間を正確に把握し、スムーズに売却を進められるようになります。
この記事のポイント
- マンション売却は平均3〜6ヶ月、準備から引き渡しまで全体で約6ヶ月を見込む必要がある
- 売却の流れは8ステップ:査定依頼→媒介契約→販売活動→内覧対応→売買契約→準備→決済・引き渡し→確定申告
- 複数の不動産会社に査定依頼を行い、査定額だけでなく販売戦略や担当者の対応も比較する
- 必要書類は登記済証(権利証)、管理規約、修繕積立金証明書、固定資産税納税通知書など多岐にわたる
- 売却益が出た場合は確定申告が必須で、自宅売却の場合は3,000万円の特別控除が適用できる
(1) 売却の流れ8ステップの概要
マンション売却の全体像は、以下の8ステップで構成されます。
| ステップ | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 査定依頼 | 複数の不動産会社に査定を依頼 | 1週間〜10日 |
| 2. 媒介契約 | 不動産会社と媒介契約を締結 | 1日〜3日 |
| 3. 販売活動 | 物件情報を公開し、買主を探す | 1〜3ヶ月 |
| 4. 内覧対応 | 購入希望者に物件を案内 | 販売活動期間中 |
| 5. 売買契約 | 買主と売買契約を締結、手付金受領 | 1日 |
| 6. 準備期間 | 決済・引き渡しの準備 | 1〜2ヶ月 |
| 7. 決済・引き渡し | 残代金受領、鍵の引き渡し | 1日 |
| 8. 確定申告 | 売却の翌年2〜3月に確定申告 | 1ヶ月 |
(2) 売却にかかる期間の目安(平均3-6ヶ月)
売却期間は平均3〜6ヶ月です。物件の人気度や市場状況により大きく変動します。
- 早いケース(2〜3ヶ月): 立地が良く、価格設定が適切な人気物件
- 標準的なケース(3〜6ヶ月): 一般的な立地・状態の物件
- 遅いケース(6ヶ月以上): 立地が不利、価格設定が高すぎる、または市場環境が悪い
(3) 仲介と買取の違い
マンション売却には「仲介」と「買取」の2つの方法があります。
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 市場で個人の買主を探す | 不動産会社が直接買い取る |
| 期間 | 3〜6ヶ月 | 1週間〜1ヶ月 |
| 価格 | 市場相場(高値が期待できる) | 市場相場の7〜8割程度 |
| 向いているケース | 高く売りたい、時間に余裕がある | 早く現金化したい、築古物件 |
早く売りたい場合は買取、高く売りたい場合は仲介を選びます。
売却準備:査定依頼から媒介契約まで
(1) 複数社への査定依頼(査定期間1週間程度)
売却の第一歩は、複数の不動産会社に査定を依頼することです。査定方法には、簡易査定(机上査定)と訪問査定の2種類があります。
- 簡易査定: 物件情報を元に概算価格を算出(1〜3日)
- 訪問査定: 実際に物件を訪問して詳細に査定(1週間程度)
複数の不動産会社に査定依頼を行い、査定額だけでなく販売戦略や担当者の対応も比較してください。長谷工の仲介によると、3社以上に依頼するのが一般的です。
(2) 媒介契約の種類(専属専任・専任・一般)
不動産会社と結ぶ媒介契約には、以下の3種類があります。
| 契約の種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 専属専任媒介契約 | 1社専任、自己発見取引も不可 | 積極的な販売活動、定期報告義務(1週間に1回以上) | 他社に依頼できない |
| 専任媒介契約 | 1社専任、自己発見取引は可能 | 積極的な販売活動、定期報告義務(2週間に1回以上) | 他社に依頼できない |
| 一般媒介契約 | 複数社に同時依頼可能 | 複数社から広く買主を探せる | 販売活動が消極的になる可能性 |
人気物件なら一般媒介契約、売却が難しい物件なら専任媒介契約がおすすめです。
(3) 売り出し価格の決定方法
売り出し価格は、査定額を参考に決定します。価格設定のポイントは以下の通りです。
- 相場よりやや高め: 交渉の余地を残す(査定額の5-10%程度)
- 相場と同等: 早期売却を優先
- 相場より低め: 緊急売却の場合
価格設定が低すぎると損失が出る一方、高すぎると買い手が見つからず売却期間が長期化します。
販売活動と内覧対応のポイント
(1) 販売活動期間の目安(1-3ヶ月)
媒介契約締結後、不動産会社が販売活動を開始します。主な販売活動は以下の通りです。
- 不動産ポータルサイトへの物件掲載(SUUMO、HOME'S等)
- レインズ(不動産流通機構の物件情報システム)への登録
- チラシ配布、新聞広告
- 自社顧客への紹介
販売活動期間は1〜3ヶ月が一般的です。2〜3月は新生活シーズン前で取引が活発化するため、高値売却の可能性が高まる最適なタイミングです。
(2) 内覧対応のコツと注意点
購入希望者が現れると、内覧(物件見学)が行われます。内覧対応のコツは以下の通りです。
- 整理整頓: 室内を清潔に保ち、不要な物を片付ける
- 明るさの確保: カーテンを開け、照明をつけて明るい印象を与える
- 換気: 事前に換気し、においを取り除く
- 設備の不具合を開示: 設備表や告知書で適切に開示しないと、契約解除や損害賠償請求のリスクがある
スターマイカによると、設備の不具合を適切に開示しないと、契約解除や損害賠償請求のリスクがあります。
(3) 価格交渉への対応方法
購入希望者から価格交渉の申し出があった場合、以下のポイントを考慮します。
- 値引きの許容範囲: 事前に最低売却価格を設定しておく
- 交渉の余地: 売り出し価格に5-10%程度の値引き余地を残しておく
- 市場状況: 需要が高い時期は強気の交渉、低い時期は柔軟な対応
売買契約から決済・引き渡しまで
(1) 売買契約締結時の手続き(手付金受領)
買主が決まったら、売買契約を締結します。契約時の主な手続きは以下の通りです。
- 重要事項説明: 宅建士による物件の重要事項説明(買主向け)
- 売買契約書の締結: 売主・買主が契約書に署名・押印
- 手付金の受領: 売買代金の5-10%程度を手付金として受領
- 仲介手数料の支払い: 仲介手数料の半額を不動産会社に支払う(残額は決済時)
(2) 契約後の準備期間(1-2ヶ月)
売買契約締結から決済・引き渡しまで、1〜2ヶ月の準備期間があります。この期間に行う主な準備は以下の通りです。
- 住宅ローンの完済: 住宅ローンが残っている場合は抵当権抹消手続きが必要
- 引っ越しの準備: 引き渡し日までに退去
- 公共料金の解約: 電気・ガス・水道等の解約手続き
- 管理組合への連絡: マンション管理組合に売却を通知
住宅ローンが残っている場合は抵当権抹消手続きが必要で、引き渡しの約1ヶ月前から準備を開始します。
(3) 決済・引き渡し当日の流れ
決済・引き渡しは、通常金融機関の応接室で行われます。当日の流れは以下の通りです。
- 書類の確認(登記済証、印鑑証明書等)
- 残代金の支払い(買主から売主へ)
- 固定資産税の精算(日割り計算)
- 仲介手数料の支払い(残額)
- 司法書士による登記手続き(所有権移転、抵当権抹消)
- 鍵の引き渡し
(4) 固定資産税の精算方法
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課される税金です。売却時は引き渡し日を基準に日割り精算するのが一般的です。
計算例:
- 固定資産税: 年間12万円
- 引き渡し日: 7月1日
- 売主負担: 1月1日〜6月30日(181日分)= 59,342円
- 買主負担: 7月1日〜12月31日(184日分)= 60,658円
必要書類一覧と取得方法
(1) 査定・媒介契約時の必要書類
査定・媒介契約時に必要な書類は以下の通りです。
| 書類名 | 用途 | 取得方法 |
|---|---|---|
| 登記済証(権利証) | 所有権の証明 | 不動産購入時に受領 |
| 固定資産税納税通知書 | 税額の確認 | 毎年4-6月に市区町村から送付 |
| 管理規約・使用細則 | マンションのルール確認 | 購入時に受領、管理組合で再取得可能 |
| 図面(間取り図) | 物件情報の確認 | 購入時に受領、管理組合で再取得可能 |
(2) 売買契約時の必要書類(登記済証、管理規約等)
売買契約時に必要な書類は以下の通りです。
| 書類名 | 用途 | 取得方法 |
|---|---|---|
| 登記済証(権利証) | 所有権の証明 | 不動産購入時に受領 |
| 印鑑証明書(3ヶ月以内) | 本人確認 | 市区町村役場で取得(300円程度) |
| 本人確認書類 | 本人確認 | 運転免許証、パスポート等 |
| 管理規約・使用細則 | マンションのルール | 購入時に受領、管理組合で再取得可能 |
| 修繕積立金証明書 | 管理費・修繕積立金の滞納有無 | 管理組合または管理会社で取得 |
| 設備表・告知書 | 設備の状況、不具合の開示 | 不動産会社が用意(売主が記入) |
(3) 決済時の必要書類
決済時に必要な書類は以下の通りです。
| 書類名 | 用途 | 取得方法 |
|---|---|---|
| 登記済証(権利証) | 所有権移転登記 | 不動産購入時に受領 |
| 印鑑証明書(3ヶ月以内) | 本人確認 | 市区町村役場で取得(300円程度) |
| 住民票(3ヶ月以内) | 住所確認 | 市区町村役場で取得(300円程度) |
| 固定資産税納税通知書 | 税額精算 | 毎年4-6月に市区町村から送付 |
| 銀行口座情報 | 残代金の振込先 | 通帳またはキャッシュカード |
| 鍵一式 | 引き渡し | - |
登記済証は所有権を証明する書類で必須です。紛失した場合は司法書士による本人確認手続きが必要になります。
まとめ:スムーズな売却のための行動指針
マンション売却は平均3〜6ヶ月、準備から引き渡しまで全体で約6ヶ月を見込む必要があります。売却の流れは8ステップで、査定依頼→媒介契約→販売活動→内覧対応→売買契約→準備→決済・引き渡し→確定申告の順に進みます。
複数の不動産会社に査定依頼を行い、査定額だけでなく販売戦略や担当者の対応も比較してください。必要書類は登記済証(権利証)、管理規約、修繕積立金証明書、固定資産税納税通知書など多岐にわたるため、早めに準備しておくことが重要です。
売却益が出た場合は国税庁への確定申告が必須です。自宅売却の場合は3,000万円の特別控除が適用できるため、利益が3,000万円以下なら税金はかかりません。
個別の手続きや税金については、不動産会社の宅建士や税理士などの専門家に相談し、スムーズな売却を目指しましょう。


