住宅ローンとは?金利の種類と選び方を初心者向けに解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/17

住宅ローンの金利とは?マイホーム購入に必要な基礎知識

住宅ローンを利用してマイホームを購入する際、「金利」は最も重要な要素の一つです。金利とは、借りたお金(元金)に対して支払う利息の割合を指します。

この記事では、住宅ローン金利の基本的な仕組み、金利タイプの種類、選び方のポイントを、金融機関や住宅金融支援機構の公式情報を元に解説します。初めて住宅ローンを利用する方でも、自分に合った金利タイプを選べるようになります。

この記事のポイント

  • 住宅ローン金利は「変動金利型」「固定金利期間選択型」「全期間固定金利型」の3種類から選択できる
  • 3,000万円を30年間で返済する場合、金利が1%増えるだけで支払総額は500万円以上も増加する
  • 変動金利は0.6-0.7%程度と低金利だが金利上昇リスクあり、固定金利は1.8-2.2%程度で金利変動リスクなし
  • 返済余力があり短期借入なら変動金利、余裕がなく長期借入なら固定金利が向いている
  • 金利タイプの選択は個人の状況により異なるため、専門家への相談を推奨

(1) 住宅ローン金利が総返済額に与える影響

住宅ローン金利は、借入額と返済期間に応じて総返済額に大きな影響を与えます。三菱UFJ銀行の試算によると、以下のような違いが生じます。

借入額 返済期間 金利1.0% 金利2.0% 差額
3,000万円 30年 約3,474万円 約3,983万円 約509万円
5,000万円 35年 約5,957万円 約6,990万円 約1,033万円

このように、金利がわずか1%違うだけで、総返済額は数百万円も変わります。住宅ローンを利用する際は、金利タイプを慎重に選ぶことが重要です。

(2) 基準金利と適用金利の違い

住宅ローンの金利には「基準金利」と「適用金利」の2つがあります。

  • 基準金利: 金融機関が設定する基準となる金利(店頭表示金利とも呼ばれる)
  • 適用金利: 実際に借入者に適用される金利。基準金利から優遇幅(店頭金利引き下げ幅)を引いた金利

例えば、基準金利が2.475%、優遇幅が▲1.85%の場合、適用金利は0.625%となります。金融機関の広告では「最優遇金利」として適用金利が表示されることが多いため、基準金利と混同しないよう注意が必要です。

(出典: 三菱UFJ銀行

住宅ローン金利の3つのタイプと基本的な仕組み

住宅ローン金利には、「変動金利型」「固定金利期間選択型」「全期間固定金利型」の3つのタイプがあります。三井住友銀行の情報を元に、それぞれの特徴を解説します。

(1) 変動金利型:市場金利に連動して半年ごとに見直し

変動金利型は、市場金利(短期プライムレート)に連動して、半年ごと(毎年4月と10月)に金利が見直されるタイプです。

特徴:

  • 金利は半年ごとに見直されるが、返済額は5年間固定される
  • 5年ごとに返済額が変更されるが、増加幅は前回の返済額の1.25倍までに制限される
  • 2025年11月現在、適用金利は0.6-0.7%程度と、固定金利より低い水準で推移

向いているケース:

  • 返済余力があり、金利上昇時でも対応できる方
  • 借入期間が短い(10-15年以内)方
  • 金利動向を定期的にチェックできる方

(2) 固定金利期間選択型:一定期間は固定、期間終了後に選択可能

固定金利期間選択型は、一定期間(3年、5年、10年等)は固定金利で、期間終了後は変動金利または再度固定金利を選択できるタイプです。

特徴:

  • 固定期間中は金利が変わらず、返済額も一定
  • 固定期間終了後は、変動金利または固定金利(期間を再選択)に切り替え可能
  • 2025年11月現在、10年固定金利は1.8-2.2%程度で推移

向いているケース:

  • 当面(5-10年間)は返済額を固定したい方
  • 将来的に金利動向を見ながら柔軟に対応したい方
  • 子供の教育費など、一定期間は支出を固定したい方

(3) 全期間固定金利型(フラット35):完済まで金利が変わらない

全期間固定金利型は、借入時点で金利が確定し、完済まで変動しないタイプです。代表的な商品に住宅金融支援機構が提供する「フラット35」があります。

特徴:

  • 借入時点で金利が確定し、完済まで変わらない
  • 返済額が一定で、将来の返済計画が立てやすい
  • 2025年11月現在、フラット35の金利は1.5-2.0%程度で推移

向いているケース:

  • 返済余力が少なく、金利上昇リスクを避けたい方
  • 借入期間が長い(25-35年)方
  • 将来的に収入が増える見込みが少ない方

変動金利と固定金利の違い:メリット・デメリット比較

変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか迷う方は多いでしょう。三井住友銀行の情報を元に、それぞれのメリット・デメリットを比較します。

(1) 変動金利のメリット・デメリット

メリット:

  • 固定金利より低金利で借入可能(2025年11月現在0.6-0.7%程度)
  • 低金利が続けば、総返済額を抑えられる
  • 繰り上げ返済により元金を早期に減らせる

デメリット:

  • 金利上昇リスクがある(将来的に返済額が増加する可能性)
  • 返済計画が立てにくい(金利変動により総返済額が不透明)
  • 金利動向を定期的にチェックする必要がある

(2) 固定金利のメリット・デメリット

メリット:

  • 金利上昇リスクがない(借入時点で総返済額が確定)
  • 返済計画が立てやすい(返済額が一定)
  • 金利動向を気にする必要がない

デメリット:

  • 変動金利より高金利(2025年11月現在1.8-2.2%程度)
  • 低金利が続いた場合、変動金利より総返済額が多くなる
  • 固定期間中は金利引き下げの恩恵を受けられない

(3) 金利タイプ別の返済シミュレーション(3,000万円・30年)

3,000万円を30年間で返済する場合の試算例を以下に示します(三井住友銀行のシミュレーションツールを使用、元利均等返済・ボーナス払いなし)。

金利タイプ 適用金利 月返済額 総返済額 総利息額
変動金利 0.7% 約82,000円 約2,952万円 約▲48万円
10年固定 1.8% 約95,000円 約3,420万円 約420万円
全期間固定(フラット35) 2.0% 約99,000円 約3,564万円 約564万円

※上記は金利が変動しなかった場合の試算例です。実際の返済額は金融機関により異なります。

(出典: 三井住友銀行

このように、変動金利と固定金利では総返済額に数百万円の差が生じる可能性があります。ただし、変動金利は金利上昇リスクがあるため、将来的に返済額が増加する可能性があることを考慮する必要があります。

金利タイプの選び方:年収・借入期間・リスク許容度別ガイド

金利タイプの選択は、個人の返済余力・借入期間・リスク許容度により異なります。全国銀行協会の情報を元に、選び方のポイントを解説します。

(1) 返済余力がある場合・短期借入:変動金利が向いているケース

以下のような方は、変動金利が向いている可能性があります。

  • 年収が高く、返済余力がある方(返済負担率が20%以下)
  • 借入期間が短い方(10-15年以内)
  • 繰り上げ返済を計画している方(元金を早期に減らせる)
  • 金利動向を定期的にチェックできる方
  • 金利上昇時でも対応できる貯蓄がある方

日本住宅金融支援機構の調査によると、新規借入者の約68-80%が変動金利を選択しています。ただし、金利上昇リスクがあるため、余裕を持った返済計画を立てることが重要です。

(2) 返済余力が少ない場合・長期借入:固定金利が向いているケース

以下のような方は、固定金利が向いている可能性があります。

  • 返済余力が少ない方(返済負担率が25%以上)
  • 借入期間が長い方(25-35年)
  • 将来的に収入が増える見込みが少ない方
  • 金利上昇リスクを避けたい方
  • 返済計画を固定したい方(教育費・老後資金の計画を立てやすい)

固定金利は変動金利より高めですが、金利上昇リスクを回避できるため、長期的に安心して返済できます。

(3) 専門家への相談を推奨する理由

金利タイプの選択は、個人の年収・借入額・返済期間・リスク許容度により異なります。以下の専門家への相談を推奨します。

  • ファイナンシャルプランナー(FP): ライフプラン全体を考慮したアドバイス
  • 銀行の住宅ローン担当者: 金融機関ごとの商品特性・優遇幅の説明
  • 税理士: 住宅ローン控除等の税制面のアドバイス

特に、初めて住宅ローンを利用する方は、複数の専門家に相談することで、より適切な判断ができます。

2025年最新の金利動向と今後の見通し

住宅ローン金利は、日本銀行の金融政策や市場金利の動向により変動します。住まいサーフィンの情報を元に、最新の金利動向を解説します。

(1) 2024年のマイナス金利政策終了と追加利上げの影響

2024年3月、日本銀行はマイナス金利政策を終了し、2024年7月には追加利上げ(短期金利0.25%)を実施しました。これにより、住宅ローン金利は以下のように変化しました。

  • 変動金利: 短期プライムレートに連動するため、2024年10月以降、多くの金融機関が約0.15%引き上げ
  • 固定金利: 10年物国債利回りに連動するため、変動金利より先に上昇傾向

変動金利と固定金利は異なる指標に連動するため、必ずしも同じタイミングで変動するわけではありません。

(2) 2025年11月現在の金利相場(変動0.6-0.7%、固定1.8-2.2%)

価格.comの情報を元に、2025年11月現在の金利相場をまとめます。

金利タイプ 金利相場 代表的な金融機関
変動金利 0.6-0.7% auじぶん銀行、住信SBIネット銀行、ソニー銀行 等
10年固定金利 1.8-2.2% 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行 等
フラット35(全期間固定) 1.5-2.0% 住宅金融支援機構

※金利は金融機関により異なります。最新の金利は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

(3) 今後の金利見通しと注意点

今後の金利動向については、以下の点に注意が必要です。

  • 日銀の追加利上げ: 日本経済の回復状況により、追加利上げが実施される可能性がある
  • 変動金利の上昇リスク: 短期金利が上昇すれば、変動金利も上昇する見込み
  • 固定金利の先行上昇: 市場が金利上昇を織り込んでいるため、固定金利は変動金利より先に上昇する傾向

金利は市場動向や日銀の政策により変動するため、執筆時点(2025年11月)の金利相場を参考にしつつ、最新情報は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

まとめ:自分に合った住宅ローン金利タイプの選び方

住宅ローン金利は、「変動金利型」「固定金利期間選択型」「全期間固定金利型」の3種類から選択できます。変動金利は低金利(0.6-0.7%程度)ですが金利上昇リスクがあり、固定金利は高め(1.8-2.2%程度)ですが金利変動リスクを回避できます。

金利タイプの選択は、個人の返済余力・借入期間・リスク許容度により異なります。返済余力があり短期借入なら変動金利、余裕がなく長期借入なら固定金利が向いている傾向があります。

金利は市場動向や日銀の政策により変動するため、最新情報は各金融機関の公式サイトでご確認ください。また、金利タイプの選択に迷う場合は、ファイナンシャルプランナーや銀行の住宅ローン担当者への相談を推奨します。

よくある質問

Q1変動金利と固定金利のどちらを選ぶべき?

A1返済余力があり短期借入なら変動金利、余裕がなく長期借入なら固定金利が向いています。日本住宅金融支援機構の調査では約68%が変動金利を選択していますが、個人の状況により異なるため、ファイナンシャルプランナーや銀行担当者への相談を推奨します。

Q2変動金利の見直し時期はいつ?

A2変動金利は半年ごと(毎年4月と10月)に見直されます。ただし、返済額の変更は5年ごとに行われ、急激な金利上昇時でも返済額の増加幅は前回の1.25倍までに制限されています。

Q32025年の住宅ローン金利はどれくらい?

A32025年11月現在、変動金利は0.6-0.7%程度、10年固定金利は1.8-2.2%程度、フラット35(全期間固定)は1.5-2.0%程度で推移しています。ただし金融機関により異なるため、複数社の比較を推奨します。

Q4金利が1%上がると返済額はどれくらい増える?

A43,000万円を30年間で返済する場合、金利が1%増えるだけで支払総額は500万円以上増加します。金利タイプの選択は長期的な家計に大きな影響を与えるため、慎重な検討が必要です。

R

Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事