住宅ローン金利の動向と選び方|変動・固定の比較と銀行別特徴

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/17

住宅ローン金利の基礎知識と最新動向

住宅購入や借り換えを検討する際、「金利はどの銀行が安いのか」「変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか」と悩む方は少なくありません。

この記事では、住宅ローン金利の仕組み、変動金利・固定金利・フラット35の違い、銀行タイプ別の特徴、2024年以降の金利上昇動向と今後の見通しを、住宅金融支援機構りそなグループ等の公式情報を元に解説します。

初めて住宅ローンを検討する方でも、自分に合った金利タイプと銀行を選べるようになります。

この記事のポイント

  • 住宅ローン金利は政策金利(日銀の金融政策)と市場金利によって決まる
  • 変動金利・全期間固定金利・固定金利期間選択型・フラット35の4種類があり、ライフプランやリスク許容度に応じて選ぶべき
  • メガバンク、ネット銀行、地方銀行で金利水準・サービス内容・審査基準が異なる
  • 2024年3月に日銀がマイナス金利政策を解除し、同年10月から住宅ローン金利が本格的に上昇開始
  • 金利以外に手数料・団信・繰上返済手数料も比較し、複数の銀行を検討することが重要

変動金利・固定金利・フラット35の違い

住宅ローンの金利タイプは主に「変動金利型」「全期間固定金利型」「固定金利期間選択型」の3種類があり、加えて住宅金融支援機構が提供する「フラット35」があります。

(1) 変動金利型のメリット・デメリット

変動金利型は、半年ごとに金利が見直されるタイプです。3つの金利タイプのうち一番金利が低く設定されています。

メリット:

  • 当初の金利が低い(2025年11月時点で都市銀行の中央値は0.713%)
  • 金利が下がれば返済額も減少

デメリット:

  • 将来的に金利が上昇すると返済額が増加するリスクがある
  • 返済計画が立てにくい

りそなグループによると、変動金利は「金利上昇リスクを許容できる」「繰上返済で早期完済を目指す」方に適しています。

(2) 全期間固定金利型のメリット・デメリット

全期間固定金利型は、借入を行った時点で借入金利が確定し、ローンを完済するまで変動しない金利タイプです。

メリット:

  • 返済計画が立てやすい
  • 金利上昇リスクがない

デメリット:

  • 変動金利より金利が高め
  • 金利が下がっても恩恵を受けられない

子どもの教育費がかさむ期間や、子育て・介護で一時的に仕事をセーブする期間が見込まれる場合には、固定金利を選ぶとよいでしょう。

(3) 固定金利期間選択型のメリット・デメリット

固定金利期間選択型は、一定期間(3年、5年、10年等)は金利を固定し、期間終了後に再度金利タイプを選択できるタイプです。

メリット:

  • 固定期間中は返済額が変わらない
  • 固定期間終了後に金利タイプを見直せる

デメリット:

  • 固定期間終了後、金利が上昇している可能性がある
  • 変動金利より金利がやや高め

「当面は返済額を安定させたいが、将来的には柔軟に対応したい」という方に適しています。

(4) フラット35の特徴

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利型住宅ローンです。最長35年間金利が変わりません。

特徴:

  • 借入時に返済終了までの金利・返済額が確定
  • 保証料不要、繰上返済手数料無料
  • 技術基準を満たす住宅が対象(省エネ性能、耐震性等)

2025年11月時点で、フラット35の金利は10年固定金利選択型よりやや低い水準で推移しています。

銀行タイプ別の特徴と金利比較

住宅ローンを提供する金融機関は、メガバンク、ネット銀行、地方銀行に大別されます。それぞれ金利水準・サービス内容・審査基準が異なります。

(1) メガバンク(みずほ、UFJ等)の特徴

メガバンクは、全国規模で展開する大手銀行です。

メリット:

  • ブランドの安心感がある
  • 店舗数が多く、対面相談がしやすい
  • 金融商品のラインナップが豊富

デメリット:

  • ネット銀行に比べて金利がやや高め
  • 審査が厳格

2025年11月時点で、みずほ銀行・三菱UFJ銀行の変動金利は年0.7%前後で推移しています。

(2) ネット銀行(イオン、ソニー、PayPay等)の特徴

ネット銀行は、店舗を持たずインターネット中心で営業する銀行です。

メリット:

  • 変動金利が低い(年0.3-0.5%台)
  • 事務手数料が安い場合がある
  • 24時間オンラインで手続き可能

デメリット:

  • 対面サポートが限定的
  • 審査基準が厳しい(自営業、転職直後は不利)

イオン銀行ソニー銀行PayPay銀行等が代表例です。

(3) 地方銀行(東邦、横浜、福岡、京都等)の特徴

地方銀行は、特定の地域を営業基盤とする銀行です。

メリット:

  • 対面での相談がしやすい
  • 審査が柔軟(自営業、転職直後等でも対応)
  • 地域優遇金利がある(「地元に住んでいる」「地元の企業に勤めている」等の条件で金利優遇)

デメリット:

  • ネット銀行に比べて金利が高めに設定されている場合がある

東邦銀行の「住宅ローン金利応援コース」では、変動金利で年0.700%〜、固定3年で年0.950%〜を提供しています(2024-2025年時点)。店頭表示金利から変動金利で年1.775%引き下げ、固定金利で年1.100%引き下げの優遇があります。

住まいサーフィンによると、地方銀行は「地元に住んでいる」「地元の企業に勤めている」等の条件で金利優遇が受けられるため、該当する場合は検討する価値があります。

(4) 金利水準の比較

スゴい住宅ローン探しによると、2025年11月時点での金利水準は以下の通りです。

銀行タイプ 変動金利 10年固定金利選択型
ネット銀行 0.3-0.5% 1.5-2.0%
メガバンク 0.7%前後 2.17%(中央値)
地方銀行 0.7-1.0% 1.0-2.5%

(出典: スゴい住宅ローン探し、各銀行公式サイト)

金利水準は銀行・金利タイプによって大きく異なるため、複数の銀行を比較検討することが重要です。

2024年以降の金利上昇と今後の見通し

2024年3月以降、日本銀行の金融政策変更により、住宅ローン金利は上昇トレンドに転じました。

(1) 日銀のマイナス金利政策解除(2024年3月)

2024年3月、日本銀行はマイナス金利政策を解除しました。これは17年ぶりの利上げです。

マイナス金利政策とは、日本銀行が金融機関から預かる当座預金の一部にマイナス金利を適用する政策でした。この政策解除により、金融機関の貸出金利(住宅ローン金利を含む)が上昇する環境になりました。

住まいサーフィンによると、2024年7月には短期金利を0.25%に引き上げ、2025年1月には0.5%に引き上げました。

(2) 2024年10月以降の金利引き上げ

2024年10月から住宅ローン金利が本格的に上昇開始しました。五大銀行(みずほ、三菱UFJ、三井住友、りそな、埼玉りそな)が既存契約に対して約0.15%の金利引き上げを決定しました。

2024年10月までは0.3%台だった変動金利が、2025年4月には0.6%台に上昇しています。

(3) 2025年以降の見通しと注意点

モゲチェックによると、2025年11月時点で、変動金利は春の利上げ以降横ばい推移していますが、固定金利は上昇トレンドが続いており、10年国債利回りは約17年ぶりの高水準です。

2025年以降も日銀の金融政策次第で、変動・固定ともに金利が上昇する可能性があります。

注意点:

  • 記事執筆時点(2025年)の情報であり、金利や制度は変更される可能性があるため、必ず最新情報を確認してください
  • 金利上昇局面では、固定金利への切り替え、繰上返済で元本削減、返済計画の見直しなどが有効です

金利タイプと銀行の選び方

住宅ローンの選択は、金利だけでなく、ライフプラン、手数料、団信、審査基準等を総合的に検討する必要があります。

(1) ライフプラン別の金利タイプ選択

ライフプラン 推奨金利タイプ 理由
子どもの教育費がかさむ期間がある 固定金利(全期間または期間選択型) 返済額を安定させ、教育費の支出と両立
早期完済を目指す 変動金利 当初の金利が低く、繰上返済で早期完済可能
金利上昇リスクを避けたい 全期間固定金利またはフラット35 返済終了まで金利が確定
当面は返済額を安定させたいが、将来的には見直したい 固定金利期間選択型 固定期間中は安定、期間終了後に再選択可能

(出典: りそなグループ

どの金利タイプを選ぶべきかは、ライフスタイルやリスクへの許容度によって異なります。

(2) 金利以外の比較ポイント(手数料、団信、繰上返済)

住宅ローン選びでは、金利だけでなく以下の諸条件も比較検討することが重要です。

事務手数料:

  • 定額型(3-10万円)と定率型(借入額の2.2%)がある
  • 借入額が大きい場合、定額型の方が総コストを抑えられる

団体信用生命保険(団信):

  • 住宅ローン契約者が死亡または高度障害状態になった場合、保険金でローン残債が完済される生命保険
  • がん保障、三大疾病保障等の特約付き団信もあり、保障内容と金利上乗せ幅を確認

繰上返済手数料:

  • 一部繰上返済・全額繰上返済の手数料が無料か有料か
  • ネット銀行は無料が多いが、メガバンク・地方銀行は有料の場合がある

(3) 複数の銀行を比較する重要性

金利水準、サービス内容、審査基準は銀行によって大きく異なります。少なくとも3社以上を比較し、自分の状況に合った銀行を選びましょう。

比較のポイント:

  • 金利(変動・固定・フラット35)
  • 事務手数料
  • 団信の内容
  • 繰上返済手数料
  • 審査基準(自営業、転職直後等への対応)
  • 対面サポートの有無

(4) 専門家への相談の重要性

住宅ローンの選択は個別の状況によって最適解が異なるため、専門家(ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー等)への相談を推奨します。

特に以下の場合は相談が有効です:

  • 自営業、転職直後等で審査が不安
  • 金利タイプの選択に迷っている
  • 繰上返済のタイミングを知りたい
  • 借り換えを検討している

まとめ:自分に合った住宅ローンを選ぶポイント

住宅ローン金利は、変動金利・全期間固定金利・固定金利期間選択型・フラット35の4種類があり、ライフプランやリスク許容度に応じて選ぶべきです。メガバンク、ネット銀行、地方銀行で金利水準・サービス内容・審査基準が異なるため、複数の銀行を比較検討することが重要です。

2024年3月に日銀がマイナス金利政策を解除し、同年10月から住宅ローン金利が本格的に上昇しています。今後も金利上昇の可能性があるため、最新の金融政策動向に注意してください。

金利だけでなく、手数料、団信、繰上返済手数料も比較し、自分の状況に合った銀行・金利タイプを選びましょう。迷った場合は、専門家(ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー)への相談を推奨します。

よくある質問

Q1変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか?

A1変動金利は当初の金利が低い(2025年11月時点で都市銀行の中央値は0.713%)ですが、将来の金利上昇リスクがあります。固定金利は返済計画が立てやすいですが、金利がやや高めです。子どもの教育費がかさむ期間や、子育て・介護で一時的に仕事をセーブする期間が見込まれる場合には、固定金利を選ぶとよいでしょう。ライフプランと金利上昇リスクへの許容度で判断してください。

Q22024年以降、住宅ローン金利は上昇しているのか?

A2はい、上昇しています。2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除し、7月に短期金利を0.25%に、2025年1月には0.5%に引き上げました。2024年10月から住宅ローン金利が本格的に上昇開始し、五大銀行が既存契約に対して約0.15%の金利引き上げを決定しました。今後も日銀の金融政策次第でさらなる上昇の可能性があります。

Q3地方銀行とネット銀行、メガバンクの違いは?

A3地方銀行は対面サポートが充実しており、審査が柔軟で、地域優遇金利があります。ネット銀行は低金利ですが、審査が厳しく対面サポートが限定的です。メガバンクは安心感がありますが、金利がやや高めです。金利水準、サポート体制、審査基準が異なるため、少なくとも3社以上を比較検討することを推奨します。

Q4住宅ローン選びで金利以外に確認すべきことは?

A4事務手数料(定額型か定率型か)、団体信用生命保険(団信)の内容(がん保障、三大疾病保障等の特約の有無)、繰上返済手数料(一部・全額繰上返済が無料か有料か)、審査基準(自営業、転職直後等への対応)、対面サポートの有無を確認してください。金利だけでなく総コストとサービス内容で比較することが重要です。

Q5今後の金利上昇に備えるにはどうすればよいか?

A5固定金利への切り替え、繰上返済で元本削減、返済計画の見直しなどが有効です。変動金利を選ぶ場合は、金利上昇リスクを考慮した余裕ある返済計画を立ててください。金利タイプの選択や返済計画に迷った場合は、専門家(ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー)への相談を推奨します。

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Room Match編集部

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