レインズ(REINS)とは?仕組みと活用法を解説

公開日: 2025/10/27

レインズ(REINS)とは?不動産取引での役割

不動産の売買を検討する際、「レインズ」という言葉を耳にすることがあります。しかし、「自分で物件情報を見られるのか」「どんな仕組みなのか」と疑問に感じる方は少なくありません。

この記事では、レインズ(REINS)の仕組み、不動産取引での役割、一般利用者の活用法を、国土交通省の公式情報を元に解説します。

レインズは不動産会社専用のデータベースですが、「REINS Market Information」で過去の成約価格を誰でも閲覧できることも明らかにします。

この記事のポイント

  • REINSは不動産会社専用のデータベースで、一般公開されていない
  • 専任媒介・専属専任媒介契約時はREINS登録が義務化(専任媒介7日以内、専属専任媒介5日以内)
  • 2025年1月から登録証明書に2次元コードが記載され、売主が自分で取引状況を確認可能
  • REINS Market Informationで過去1年間の成約価格を誰でも閲覧できる
  • 囲い込み規制が強化され、虚偽登録には業務停止命令・免許取消の罰則

レインズ(REINS)とは?不動産取引での役割

REINSの正式名称と運営団体

REINS(レインズ)は、**Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)**の略称で、不動産会社間で物件情報を共有するデータベースです。

国土交通大臣指定の不動産流通機構(東日本・中部・近畿・西日本の4機構)が運営しています。

不動産会社専用のデータベース(一般公開なし)

REINSは不動産会社専用のデータベースで、一般公開はされていません。閲覧できるのは、宅地建物取引業者のみです。

ただし、「REINS Market Information」で過去1年間の成約価格は誰でも閲覧可能です(詳細は後述)。

物件情報の広域共有による成約率向上

REINSのメリットは、以下の3点です。

  1. 物件情報の広域共有: 囲い込み(情報隠蔽)を防止
  2. 成約価格の透明化: 適正価格の判断材料を提供
  3. 取引の適正化: 不動産取引の公正性を確保

物件情報を広く共有することで、売主・買主双方にメリットがあります。

専任媒介契約時のREINS登録義務と確認方法

3種類の媒介契約(専属専任・専任・一般)

不動産売却時の媒介契約は、以下の3種類があります。

媒介契約 契約社数 自己発見取引 REINS登録 報告義務
専属専任媒介 1社専任 不可 5営業日以内 1週間に1回
専任媒介 1社専任 7営業日以内 2週間に1回
一般媒介 複数社可 任意 なし

(出典: 不動産流通機構

REINS登録義務(専任媒介7日以内、専属専任媒介5日以内)

専任媒介契約専属専任媒介契約を締結した場合、不動産会社はREINSへの登録が義務化されています。

  • 専属専任媒介: 契約後5営業日以内にREINS登録
  • 専任媒介: 契約後7営業日以内にREINS登録

登録後、不動産会社は売主に登録証明書を交付する義務があります。

売主による登録証明書の確認(2025年1月から2次元コード記載)

2025年1月から、登録証明書に2次元コードが記載されるようになりました。

売主は、2次元コードを読み取ることで、以下の取引状況を自分で確認できます。

  • 公開中: 他の不動産会社に公開されている
  • 書面による購入申込あり: 購入希望者がいる
  • 売主都合で一時紹介停止中: 売主の要望で一時的に紹介を停止

これにより、囲い込み(情報隠蔽)を防止し、透明性が向上しました。

2025年の法改正:囲い込み規制強化

囲い込み問題とは?(両手仲介を狙った情報隠蔽)

囲い込みは、不動産会社が両手仲介(売主・買主の両方から仲介手数料を受け取る)を狙って、他社に物件情報を出さず、自社顧客のみに紹介する不適切行為です。

売主にとっては、早期売却・高値売却の機会損失となります。

2025年1月の取引状況登録義務化

2025年1月施行の宅建業法改正により、取引状況の登録が義務化されました。

不動産会社は、以下の取引状況をREINSに登録する義務があります。

  • 公開中: 他社に公開
  • 書面による購入申込あり: 購入希望者がいる
  • 売主都合で一時紹介停止中: 売主の要望で一時停止

虚偽登録(「商談中」と虚偽報告)には、業務停止命令・免許取消等の罰則が課されます。

虚偽登録時の罰則(業務停止命令・免許取消)

虚偽登録時の罰則は、以下の通りです。

  • 業務停止命令: 一定期間の営業停止
  • 免許取消: 宅地建物取引業の免許取消

これにより、囲い込み規制が強化され、不動産取引の透明性が向上しました。

一般利用者の活用法:REINS Market Informationで相場確認

REINS Market Informationとは?(一般公開サイト)

REINS Market Informationは、不動産流通機構が一般公開する成約価格検索サイトです。

過去1年間の取引事例(成約価格・所在地・面積・築年数等)を誰でも閲覧可能です。

過去1年間の成約価格を誰でも閲覧可能

REINS Market Informationでは、以下の情報を検索できます。

  • 成約価格: 実際の取引価格
  • 所在地: 都道府県・市区町村
  • 面積: 土地面積・建物面積
  • 築年数: 建物の築年数

2023年のリニューアルで戸建住宅の検索条件が追加され、より詳細な相場確認が可能になりました。

検索条件(都道府県・市区町村・物件種別)

検索条件は、以下の通りです。

  • 都道府県: 47都道府県から選択
  • 市区町村: 市区町村を選択
  • 物件種別: マンション・戸建住宅

ただし、過去1年間のデータであり、現在の市場価格と必ずしも一致しない点に注意してください。あくまで参考情報として活用すべきです。

まとめ:REINSの仕組みを理解し、信頼できる不動産会社を選ぶ

REINSは不動産会社専用のデータベースで一般公開なしですが、REINS Market Informationで過去の成約価格を確認可能です。

専任・専属専任契約時はREINS登録が義務化されており、登録証明書(2次元コード)で取引状況を確認できます。2025年1月の法改正で囲い込み規制が強化され、虚偽登録には罰則が課されます。

REINS登録は義務ですが、実効性に課題があるため、最終的には信頼できる不動産会社選びが重要です。

次のアクション:専任媒介契約時に登録証明書を確認し、2次元コードで取引状況を定期的に確認してください。レスポンスが悪い・進捗報告がない業者は疑い、複数社に一般媒介で依頼することも選択肢です。信頼できる不動産会社を選び、透明性の高い取引を実現しましょう。

よくある質問

Q1一般人がREINSの物件情報を見ることはできますか?

A1不可です。REINSは不動産会社専用のデータベースで一般公開されていません。ただし、REINS Market Informationで過去1年間の成約価格は誰でも閲覧可能です。実際の物件情報(現在売り出し中の物件)を見るには、不動産会社に依頼する必要があります。

Q2専任媒介契約を結べば必ずREINSに登録されますか?

A2法律上は義務ですが、登録しない業者や虚偽登録(「商談中」と虚偽報告)も存在します。登録証明書で確認し、2025年1月以降は2次元コードで取引状況を自分で確認可能です。定期的に確認し、登録されていない・虚偽登録の疑いがある場合は、業者に問い合わせるか、契約を見直すことを検討してください。

Q3囲い込みを避けるにはどうすれば良いですか?

A3①専任媒介契約時に登録証明書を確認、②2次元コードで取引状況を定期的に確認、③レスポンスが悪い・進捗報告がない業者は疑う、④複数社に一般媒介で依頼も選択肢です。2025年1月の法改正で囲い込み規制が強化されましたが、最終的には信頼できる不動産会社を選ぶことが最も重要です。

Q4REINS Market Informationの情報は正確ですか?

A4不動産流通機構が公式に提供する成約価格データで信頼性は高いです。ただし、過去1年間のデータであり、現在の市場価格と必ずしも一致しない点に注意してください。エリアの相場を把握する参考情報として活用し、最新の市場動向は不動産会社に確認することをおすすめします。