不動産売却の流れを7ステップで完全解説!期間・費用・注意点まとめ

公開日: 2025/10/31

不動産売却の流れとは?全体像と期間の目安を把握する

不動産を初めて売却する際、「どんな手続きが必要なのか」「どれくらいの期間がかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。

不動産売却は、情報収集から確定申告まで7つのステップがあり、平均3~6ヶ月の期間を要します。この記事では、国土交通省国税庁の公式情報を元に、各ステップの期間目安と注意点を解説します。

全体の流れを理解することで、スムーズな売却を実現できます。

この記事のポイント

  • 不動産売却は7ステップ(情報収集→査定→媒介契約→売却活動→売買契約→決済・引き渡し→確定申告)で進む
  • 平均的な売却期間は3~6ヶ月、相場より高く設定すると長期化する
  • 媒介契約には3種類あり、物件の人気度に応じて選ぶべき
  • 内覧準備を徹底することで成約率が大きく向上する
  • 売却翌年の確定申告を忘れると無申告加算税が課される

ステップ1-3:準備から媒介契約まで(1~3週間)

情報収集・相場確認(1週間程度)

売却の第一歩は、周辺物件の相場を把握することです。不動産ポータルサイトや国土交通省の不動産取引価格情報で、同じエリア・物件種別の取引事例を調べましょう。

相場とかけ離れた高値設定は売却の長期化を招きます。一般的に相場より10~20%高いと内覧すら入らず、3ヶ月経過後の値下げで「売れ残り物件」の印象を与えるリスクがあります。

査定依頼(1~2週間)

複数の不動産会社(3~5社)に査定を依頼し、査定額だけでなく販売戦略も比較します。査定額が高いからといって必ずしもその価格で売れるとは限りません。各社の根拠や販売計画を確認しましょう。

媒介契約(1日)

不動産会社と締結する媒介契約には3種類あります。

契約種別 複数社依頼 レインズ登録 報告頻度 自己発見取引
専属専任媒介 不可(1社のみ) 5日以内 週1回以上 不可
専任媒介 不可(1社のみ) 7日以内 2週に1回以上
一般媒介 可(複数社) 義務なし 義務なし

人気物件(駅近、築浅等)なら一般媒介で複数社に依頼し、競争原理で高く売れる可能性があります。売却が難しい物件なら専任媒介で1社に集中依頼し、積極的な販売活動を期待する方が効果的です。

ただし、専任・専属専任媒介には「囲い込み」(自社で買主を見つけるため、他社への情報提供を制限する行為)のリスクもあるため、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。

ステップ4:売却活動(1~3ヶ月)

広告・宣伝活動の開始

不動産会社がレインズ登録、ポータルサイト掲載、チラシ配布等で販売活動を開始します。専任・専属専任媒介ではレインズ登録が義務付けられており、全国の不動産会社が物件情報を閲覧できます。

内覧対応と成約率を高めるコツ

内覧準備不足は成約率を大きく下げます。以下のポイントを徹底しましょう。

  • 水回りの清掃:キッチン、浴室、トイレは特に念入りに
  • 整理整頓:生活感を抑え、部屋を広く見せる
  • 照明の明るさ確保:昼間でも照明をつけ、明るい印象に
  • 臭い対策:ペット臭、タバコ臭は大きなマイナス要因

ホームステージング(家具や小物で室内を演出する手法)の活用も検討すべきです。費用は10~30万円程度ですが、早期売却・高値売却の効果が期待できます。

価格交渉の進め方

買主から値下げ交渉が入ることは一般的です。事前に下限価格を設定し、どこまで譲歩できるかを決めておきましょう。売却活動が3ヶ月以上長期化する場合は、価格見直しや不動産会社の変更も検討が必要です。

ステップ5-6:契約から引き渡しまで(1~2ヶ月)

売買契約の締結と手付金の受領

買主が決まったら、売買契約を締結します。不動産会社が重要事項説明を行い、契約書に署名・押印します。この時点で手付金(売買代金の5~10%)を受領します。

契約書では契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)の期間を確認しましょう。個人間売買では引き渡し後3ヶ月程度に限定するのが一般的です。契約内容と異なる物件を引き渡した場合、買主は修補請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除が可能となります。

決済・引き渡しの手続き

売買契約から1~2ヶ月後、残代金の受領、所有権移転登記、鍵の引き渡しを同日に実施します。住宅ローン残債がある場合は抵当権抹消登記も必要です。

買主の住宅ローン審査が通らなかった場合は白紙解約(手付金返還)となる「住宅ローン特約」が付されていることが一般的です。

ステップ7:確定申告と税金(売却翌年の2~3月)

譲渡所得の計算方法

不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税が課税されます。計算式は以下の通りです。

譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)

  • 取得費:購入時の価格、仲介手数料、登記費用等
  • 譲渡費用:売却時の仲介手数料、印紙税、測量費等

短期譲渡と長期譲渡の違い

所有期間によって税率が大きく異なります。

所有期間 税率
短期譲渡(5年以内) 39.63%(所得税30.63% + 住民税9%)
長期譲渡(5年超) 20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)

※所有期間は売却した年の1月1日時点で判定されます。

3000万円特別控除の活用

居住用財産を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります(国税庁)。ただし、この特例を受けるには確定申告が必須です。

申告を怠ると無申告加算税(最大20%)と延滞税が課されます。売却翌年の2月16日~3月15日に必ず申告しましょう。

売却にかかる費用の内訳

仲介手数料(売買代金×3%+6万円+消費税)

仲介手数料は成功報酬で、売買代金に応じて以下のように計算されます(400万円超の場合)。

仲介手数料 = 売買代金 × 3% + 6万円 + 消費税

例:3,000万円の物件なら約105.6万円となります。

税金(印紙税、譲渡所得税)

  • 印紙税:売買契約書に貼付(売買代金1,000万円超5,000万円以下なら1万円)
  • 譲渡所得税:前述の通り、短期譲渡39.63%、長期譲渡20.315%

その他の費用(抵当権抹消費用、ハウスクリーニング等)

  • 抵当権抹消費用:司法書士報酬込みで1~3万円
  • ハウスクリーニング:5~10万円
  • 引越し費用
  • 相続登記費用(相続物件の場合)

費用総額は売買代金の5~7%が目安です。

まとめ:スムーズな売却のための3つのポイント

不動産売却は7つのステップ(情報収集→査定→媒介契約→売却活動→売買契約→決済・引き渡し→確定申告)で進み、平均3~6ヶ月の期間を要します。

成功のための3つのポイントは以下の通りです。

  • 複数社査定で適正価格を把握:相場とかけ離れた高値設定は売却の長期化を招く
  • 内覧準備を徹底:水回りの清掃や照明の明るさ確保で成約率を高める
  • 確定申告を忘れずに:3000万円特別控除を活用して節税する

次のアクションとして、不動産一括査定サイトでの査定依頼や、不動産会社への相談を検討しましょう。売却は数ヶ月かかるため、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。

よくある質問

Q1不動産売却にかかる期間はどれくらいですか?

A1平均3~6ヶ月です。内訳は準備・査定で1~3週間、媒介契約で1日、売却活動で1~3ヶ月、契約から引き渡しで1~2ヶ月、確定申告で1ヶ月程度です。相場より高く設定すると長期化する可能性が高く、3ヶ月経過後も売れない場合は価格見直しや不動産会社の変更を検討すべきです。

Q2売却時に必要な書類は何ですか?

A2登記済権利証(登記識別情報)、身分証明書、実印・印鑑証明書、固定資産税納税通知書、購入時の売買契約書・重要事項説明書が基本です。一戸建ての場合は建築確認済証、マンションの場合は管理規約・議事録も必要です。売却前にこれらの書類を揃えておくと、手続きがスムーズに進みます。

Q3売却損が出た場合も確定申告は必要ですか?

A3売却損(譲渡損失)が出た場合、確定申告は原則不要です。ただし、損益通算や繰越控除の特例を受ける場合は申告が必須です。損益通算により給与所得等と相殺でき、税金が還付される可能性があるため、税理士への相談を推奨します。特例を受けない場合は申告不要ですが、念のため専門家に確認すると安心です。

Q4相続した不動産をすぐに売却できますか?

A4相続登記が完了すれば売却可能です。2024年4月から相続登記が義務化されており、相続から3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。相続登記未了の物件は売却できないため、まず登記手続きを完了させる必要があります。登記には戸籍謄本等の書類収集に時間がかかるため、早めに司法書士に相談しましょう。

Q5一般媒介と専任媒介、どちらを選ぶべきですか?

A5物件の人気度によります。人気物件(駅近、築浅等)なら一般媒介で複数社に依頼し、競争原理で高く売れる可能性があります。売却が難しい物件なら専任媒介で1社に集中依頼し、積極的な販売活動を期待する方が効果的です。専任媒介はレインズ登録義務や報告頻度が高い反面、囲い込みリスクもあるため、不動産会社の提案も参考に判断しましょう。