不動産売却とは?基本的な流れを理解しよう
不動産を売却したいけれど、「どうすれば高く売れるのか」「どれくらいの費用がかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、不動産売却の流れ、高く売るためのコツ、費用・税金を、国土交通省、国税庁の公式情報を元に解説します。
初めて不動産を売却する方でも、成功のポイントを押さえて、納得のいく売却を実現できます。
この記事のポイント
- 不動産売却の流れは査定→媒介契約→売却活動→売買契約→決済・引渡しの7ステップ
- 高く売るコツは適正価格の設定、売り出しタイミング、内覧対策
- 媒介契約は3種類(一般・専任・専属専任)があり、物件特性に応じて選ぶ
- 仲介手数料は売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税が上限
- 譲渡所得税は所有期間により税率が大きく異なる(5年以下39.63%、5年超20.315%)
不動産売却の流れ(7ステップ)
不動産売却は、以下の7つのステップで進みます。
査定と媒介契約
まず、不動産会社に査定を依頼します。査定では、類似物件の取引事例、立地、築年数、物件の状態等から売却価格の目安を算出します。複数社に査定を依頼し、査定根拠を確認することが重要です。査定期間は1-2週間程度です。
査定後、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には3種類あります(詳細は後述)。
売却活動と内覧対応
媒介契約後、不動産会社が広告掲載、内覧対応等の売却活動を行います。売却活動の期間は1-5ヶ月程度です。
内覧時は、整理整頓、照明、換気、におい対策を心がけることで、内覧者の印象を良くできます。
売買契約の締結
買主が見つかったら、売買契約を締結します。契約時には手付金(売却価格の10%程度)を受領し、契約書に署名・押印します。
決済・引渡し
売買契約から1.5-2ヶ月後、決済・引渡しを行います。残金を受領し、鍵を引渡し、所有権移転登記を行います。
媒介契約の種類と選び方
媒介契約は、売主と不動産会社の間で結ぶ売却仲介の契約です。3種類の契約にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
一般媒介契約
複数の不動産会社と同時に契約できるため、競争が促進され、早期売却の可能性が高まります。ただし、不動産会社の積極性が低くなる場合があります。
メリット:
- 複数社が競って売却活動を行う
- 幅広いネットワークで買主を探せる
デメリット:
- 手厚いサポートは期待薄
- レインズ登録義務なし
- 報告義務なし
向いている物件: 人気エリアの物件、築浅の物件
専任媒介契約
1社のみと契約し、レインズ登録義務があります。不動産会社の手厚いサポートが期待できます。
メリット:
- 手厚いサポートが期待できる
- レインズ登録義務あり(7日以内)
- 2週間に1回以上の報告義務
デメリット:
- 1社のみとの契約
- 不動産会社の実力に依存
向いている物件: 売りにくい物件、じっくり売却したい場合
専属専任媒介契約
1社のみと契約し、自己発見取引も不可です。最も手厚いサポートが期待できますが、自由度は最も低くなります。
メリット:
- 最も手厚いサポートが期待できる
- レインズ登録義務あり(5日以内)
- 1週間に1回以上の報告義務
デメリット:
- 自己発見取引も不可
- 最も自由度が低い
向いている物件: 売却が難しい物件、確実に売却したい場合
(出典: 国土交通省)
読者の物件特性(人気エリアなら一般、売りにくい物件なら専任等)に応じて選ぶことが重要です。
高く売るためのコツ
不動産を高く売るには、以下の3つのポイントを押さえましょう。
適正価格の設定方法
売り出し価格の設定は、売却成功の鍵を握ります。
推奨戦略:
- 不動産業界では、相場より1-2割高めで売り出す戦略が一般的です
- 反応を見ながら段階的に値下げ
- 査定根拠を確認し、類似物件の取引事例と比較
査定額が最も高い不動産会社を選ぶのではなく、査定根拠が妥当な会社を選ぶことが重要です。
売り出しタイミング
不動産の売却には繁忙期があります。
繁忙期:
- 2-3月: 転勤・入学シーズンで需要が高まります(不動産業界の統計によると)
- 9-10月: 転勤の多い時期
税制上のタイミング:
- 所有期間が5年を超えると、譲渡所得税の税率が39.63% → 20.315%に大幅に下がる
タイミングを見極めることで、より有利な条件で売却できる可能性があります。
内覧対策
内覧時の印象が売却価格に大きく影響します。以下の対策が効果的です。
- 整理整頓: 余計な物を片付け、広く見せる
- 照明: 全ての照明をつけ、明るく見せる
- 換気: 内覧前に十分に換気し、においを取り除く
- におい対策: ペット臭、タバコ臭、カビ臭は特に注意
- ハウスクリーニング: 水回りを中心にプロに依頼(物件の規模や地域により異なりますが、一般的には費用3-10万円程度)
- ホームステージング: 家具・小物で演出し、魅力的に見せる
過剰な投資は不要ですが、適度な準備で内覧者の印象を良くすることが重要です。
仲介手数料と諸費用
不動産売却にかかる主要な費用を解説します。
仲介手数料の計算方法
仲介手数料は、不動産会社に支払う成功報酬です。2025年10月時点の法定上限は以下の通りです(売却価格400万円超の場合)。
仲介手数料の上限 = 売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税
例: 3000万円で売却した場合
3000万円 × 3% + 6万円 = 96万円
96万円 × 1.1(消費税) = 105.6万円
仲介手数料は成約時のみ発生します。査定や売却活動に対して費用は発生しません。
(出典: 国土交通省)
その他の費用
仲介手数料以外にも、以下の費用がかかります。
| 費用項目 | 内容 | 目安額 | 
|---|---|---|
| 登記費用 | 抵当権抹消登記 | 1-2万円 | 
| 印紙税 | 売買契約書に貼付 | 1-3万円 | 
| 測量費用 | 土地の境界確定 | 50-100万円(必要な場合のみ) | 
| ハウスクリーニング費用 | 水回り等の清掃 | 3-10万円 | 
総額の目安は売却価格の5-7%程度です。
信頼できる不動産会社の選び方
信頼できる不動産会社を選ぶには、以下のポイントを確認しましょう。
査定根拠の説明
類似物件の取引事例、立地・築年数・状態の評価等を具体的に説明できるかを確認します。「この価格なら売れます」という言葉だけでなく、根拠を明確に示せる会社を選びましょう。
販売実績
エリア内での成約件数、平均販売期間を確認します。実績が豊富な会社は、市場の動向を把握しており、適切なアドバイスが期待できます。
対応の丁寧さ
質問への回答、連絡の迅速さを確認します。売却活動中も密に連絡を取る必要があるため、対応の丁寧さは重要な判断基準です。
複数社の査定を比較し、最高額だけでなく根拠の妥当性を重視することが重要です。
まとめ:まずは複数社の査定から始めよう
不動産売却を成功させるには、流れ・費用・高く売るコツを事前に理解することが重要です。売却期間は3-6ヶ月、費用は売却価格の5-7%程度が目安です。
高く売るには、適正価格の設定、売り出しタイミング、内覧対策が鍵です。信頼できる不動産会社を選び、適切な媒介契約を結ぶことで、売却成功の可能性を高められます。
まずは複数社に査定依頼し、査定根拠を確認することから始めてください。
