固定資産税評価額とは?計算シミュレーションの前に知っておくべきこと
不動産を所有すると毎年課税される固定資産税。「評価額はどう決まるのか」「自分の物件の税額はいくらか」と疑問に感じる方は少なくありません。
この記事では、固定資産税評価額の仕組み、計算方法、軽減措置、実際のシミュレーション例を、総務省・国税庁の公式情報を元に解説します。
評価額の決まり方を理解することで、固定資産税額を正確に把握し、軽減措置を活用して税負担を抑えることができます。
この記事のポイント
- 固定資産税評価額は市町村が決定し、3年ごとに評価替えが行われる(基準年度:2024年、2027年…)
- 固定資産税は評価額×1.4%が標準税率(都市計画税は評価額×0.3%が上限)
- 住宅用地の軽減措置(200㎡まで評価額×1/6)や新築住宅の軽減措置(3年間または5年間、税額×1/2)を活用できる
- 評価額は固定資産税課税明細書で確認、市町村の担当課で閲覧も可能
固定資産税評価額の決まり方
固定資産税評価額は、市町村が「固定資産評価基準」に基づいて決定します。
評価替えは3年ごと
総務省によると、固定資産税評価額は3年ごとに評価替えが行われます。
直近の基準年度は2024年(令和6年)で、次回は2027年(令和9年)です。評価替えにより、地価の変動や建物の経年劣化が反映されます。
土地の評価方法
土地の評価額は、路線価方式または倍率方式で算出されます。
路線価方式は、市街地に適用される方法で、道路に面した土地1㎡あたりの価格(路線価)を基準に算出します。路線価は公示地価の約70%水準です。
倍率方式は、市街地以外に適用される方法で、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて算出します。
建物の評価方法
建物の評価額は、再建築価格(同じ建物を新築する場合の費用)から経年劣化を差し引いて算出します。
築年数が経過するほど評価額は下がりますが、一定の下限値(再建築価格の20%程度)まで下がると、それ以上は減額されません。
固定資産税の計算方法
固定資産税は、評価額に税率を乗じて算出します。
標準税率は1.4%
総務省によると、固定資産税の標準税率は1.4%です。ただし、市町村によっては独自の税率を設定している場合があります。
固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1.4%
都市計画税は0.3%が上限
都市計画区域内の土地・建物には、固定資産税とは別に都市計画税が課されます。税率は0.3%が上限です。
都市計画税 = 固定資産税評価額 × 0.3%(上限)
合計すると、固定資産税1.4%+都市計画税0.3%=1.7%が標準的な税率です。
固定資産税の軽減措置
住宅用地や新築住宅には、軽減措置が適用されます。
住宅用地の軽減措置(小規模住宅用地の特例)
総務省によると、住宅用地には以下の軽減措置が適用されます。
| 区分 | 面積 | 固定資産税 | 都市計画税 | 
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200㎡まで | 評価額×1/6 | 評価額×1/3 | 
| 一般住宅用地 | 200㎡超 | 評価額×1/3 | 評価額×2/3 | 
(出典: 総務省)
例えば、評価額3000万円の土地(200㎡以下)なら、固定資産税は評価額3000万円×1/6×1.4%=7万円となります(軽減なしなら42万円)。
新築住宅の軽減措置(3年間または5年間、税額×1/2)
新築住宅の建物部分には、以下の軽減措置が適用されます。
- 一般住宅: 新築後3年間、固定資産税が1/2に減額
- 3階建以上の耐火・準耐火建築物(マンション等): 新築後5年間、固定資産税が1/2に減額
適用条件は、床面積50㎡以上280㎡以下の住宅です。
固定資産税の計算シミュレーション例
具体的な例で、固定資産税額を計算してみましょう。
例1:新築戸建て住宅(土地200㎡、建物評価額1000万円)
前提条件:
- 土地評価額: 3000万円(200㎡以下)
- 建物評価額: 1000万円(新築、床面積100㎡)
- 税率: 固定資産税1.4%、都市計画税0.3%
計算:
土地:
- 固定資産税: 3000万円×1/6×1.4% = 7万円
- 都市計画税: 3000万円×1/3×0.3% = 3万円
- 土地合計: 10万円
建物(新築3年間軽減あり):
- 固定資産税: 1000万円×1.4%×1/2 = 7万円
- 都市計画税: 1000万円×0.3% = 3万円
- 建物合計: 10万円
初年度合計: 20万円
4年目以降(建物軽減なし): 10万円(土地)+14万円(建物)= 24万円
例2:中古マンション(専有面積70㎡、土地持分評価額1000万円、建物評価額800万円)
前提条件:
- 土地持分評価額: 1000万円(マンション全体の敷地の持分)
- 建物評価額: 800万円(築15年、軽減なし)
- 税率: 固定資産税1.4%、都市計画税0.3%
計算:
土地:
- 固定資産税: 1000万円×1/6×1.4% = 2.3万円
- 都市計画税: 1000万円×1/3×0.3% = 1万円
- 土地合計: 3.3万円
建物:
- 固定資産税: 800万円×1.4% = 11.2万円
- 都市計画税: 800万円×0.3% = 2.4万円
- 建物合計: 13.6万円
年間合計: 16.9万円
固定資産税評価額の確認方法
固定資産税評価額は、以下の方法で確認できます。
固定資産税課税明細書
毎年4-6月頃に市町村から送付される固定資産税課税明細書に、評価額が記載されています。土地・建物それぞれの評価額を確認しましょう。
市町村の担当課で閲覧
市町村の固定資産税担当課(税務課等)で、固定資産課税台帳を閲覧できます。本人確認書類(運転免許証等)を持参し、窓口で申請しましょう。
固定資産評価証明書の取得
市町村の窓口で固定資産評価証明書を取得できます。手数料は1通300-400円程度です。相続・売買等で評価額の証明が必要な場合に利用します。
まとめ
固定資産税評価額は、市町村が3年ごとに評価替えを行い決定します(基準年度:2024年、2027年…)。
固定資産税は評価額×1.4%が標準税率で、都市計画税は評価額×0.3%が上限です。
住宅用地の軽減措置(200㎡まで評価額×1/6)や新築住宅の軽減措置(3年間または5年間、税額×1/2)を活用することで、税負担を抑えられます。
評価額は固定資産税課税明細書で確認できます。疑問があれば、市町村の担当課に問い合わせましょう。
