固定資産税とは|土地・建物にかかる地方税
不動産を購入したり相続したりすると、毎年「固定資産税」という税金を支払う必要があります。
この記事では、固定資産税の仕組み、計算方法、支払い時期、軽減措置について、総務省や国土交通省の公式情報を元に解説します。
初めて不動産を所有する方でも、固定資産税の基本を理解できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税は土地・家屋・償却資産を所有する人に毎年課税される市町村税
- 税率は標準1.4%で、評価額(実勢価格の70%程度)に対して課税される
- 年4回に分けて納付し、通常4月・7月・12月・2月に納付期限がある
- 住宅用地の特例や新築住宅の減額措置により、税額を大きく抑えられる場合がある
- 不動産取得税は取得時1回のみの課税だが、固定資産税は毎年課税される点が異なる
固定資産税の基本|誰が・何に・いつ払うのか
固定資産税は、1月1日時点で土地・家屋・償却資産を所有している人に課税される地方税です。課税主体は市町村(東京23区は都)で、総務省の統計によると市町村税収の約41%を占める重要な財源となっています。
課税対象となる固定資産
| 種類 | 内容 | 例 | 
|---|---|---|
| 土地 | 宅地、田、畑、山林等 | マンションの敷地、戸建ての土地 | 
| 家屋 | 住宅、店舗、工場等 | マンション、戸建て、賃貸アパート | 
| 償却資産 | 事業用の機械・設備 | 店舗の設備、工場の機械 | 
(出典: 総務省)
不動産取得税との違い
固定資産税と混同されやすい税金に「不動産取得税」があります。両者の違いは以下の通りです。
| 項目 | 固定資産税 | 不動産取得税 | 
|---|---|---|
| 課税時期 | 毎年 | 取得時1回のみ | 
| 課税主体 | 市町村 | 都道府県 | 
| 税率 | 標準1.4% | 原則4%(土地・住宅は3%) | 
| 納付時期 | 年4回分割 | 取得後3-6か月後 | 
固定資産税は毎年継続的に課税されるため、不動産を所有する限り支払い続ける必要があります。
固定資産税の税率と計算方法
固定資産税の計算式は以下の通りです。
固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率
標準税率1.4%の仕組み
固定資産税の標準税率は1.4%です。ただし、市町村が条例で独自に税率を設定できるため、一部の自治体では1.5%や1.6%になっている場合があります。お住まいの市町村の税率は、課税明細書や自治体の公式サイトで確認できます。
固定資産税評価額の決まり方
固定資産税評価額は、市町村が3年ごとに見直しを行います(評価替え)。総務省の基準により、土地は公示価格(時価)の約70%、家屋は建築費の50-70%程度が目安とされています。
評価額は毎年4-6月に送付される「固定資産税・都市計画税 課税明細書」で確認できます。
計算例:マンションと戸建て
【ケース1】マンション(評価額2000万円、住宅用地)
- 土地評価額: 1000万円
- 建物評価額: 1000万円
- 住宅用地の特例適用(小規模住宅用地、200㎡以下)
計算:
- 土地: 1000万円 × 1/6 × 1.4% = 約2.3万円
- 建物: 1000万円 × 1.4% = 14万円
- 合計: 約16.3万円/年
【ケース2】戸建て(評価額3000万円、新築)
- 土地評価額: 2000万円(200㎡以下)
- 建物評価額: 1000万円
- 新築住宅の減額措置適用(3年間、税額1/2)
計算:
- 土地: 2000万円 × 1/6 × 1.4% = 約4.7万円
- 建物: 1000万円 × 1.4% × 1/2 = 7万円(1-3年目)
- 合計: 約11.7万円/年(1-3年目)
- 4年目以降: 約18.7万円/年
固定資産税の支払い時期と納付方法
固定資産税は年4回に分けて納付します。納付期限は市町村により異なりますが、一般的には以下のような時期です。
一般的な納付期限
| 期別 | 納付月 | 備考 | 
|---|---|---|
| 第1期 | 4月または5月 | 年税額を一括納付も可能 | 
| 第2期 | 7月 | - | 
| 第3期 | 12月 | - | 
| 第4期 | 2月 | - | 
毎年4-6月に市町村から「納税通知書」と「課税明細書」が郵送されます。納付方法は以下の通りです。
納付方法
- 納付書での支払い(コンビニ、銀行、郵便局)
- 口座振替
- クレジットカード(手数料がかかる場合あり)
- スマホ決済(PayPay、LINE Pay等、自治体により異なる)
納付期限を過ぎると延滞金が発生します。総務省の規定により、延滞金は年14.6%または特例基準割合+7.3%(令和7年は8.7%)が適用されるため、期限内の納付が重要です。
固定資産税の軽減措置
固定資産税には、住宅用地や新築住宅に対する軽減措置があります。これらを活用することで、税額を大きく抑えることができます。
住宅用地の特例(評価額×1/6)
住宅の敷地として使われている土地(住宅用地)には、課税標準額の軽減措置があります。
軽減措置の内容
| 区分 | 面積 | 課税標準額 | 
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200㎡以下 | 評価額 × 1/6 | 
| 一般住宅用地 | 200㎡超 | 評価額 × 1/3 | 
(出典: 東京都主税局)
例えば、評価額2000万円・面積150㎡の土地の場合、軽減措置により課税標準額が約333万円(2000万円×1/6)となり、税額は約4.7万円(333万円×1.4%)になります。
新築住宅の減額措置(3-5年間、税額1/2)
新築住宅の家屋部分には、一定期間、税額が1/2に減額される措置があります。
減額措置の内容
| 住宅の種類 | 減額期間 | 床面積要件 | 
|---|---|---|
| 一戸建て住宅 | 3年間 | 50㎡以上280㎡以下 | 
| マンション等 | 5年間 | 50㎡以上280㎡以下 | 
| 認定長期優良住宅 | 5年間(一戸建て) 7年間(マンション) | 50㎡以上280㎡以下 | 
(出典: HOME4U)
申請方法と期限
住宅用地の特例は、住宅を取得し居住を開始すると自動的に適用されます。ただし、新築住宅の減額措置は、翌年1月31日までに市区町村に申告が必要な場合があります(自治体により異なります)。
申請漏れを防ぐため、不動産を取得したら速やかに市区町村の資産税課に確認することをおすすめします。
まとめ:固定資産税を正しく理解しよう
固定資産税は、土地・家屋を所有する人に毎年課税される市町村税です。税率は標準1.4%で、評価額(実勢価格の70%程度)に対して課税されます。
住宅用地の特例(評価額×1/6)や新築住宅の減額措置(3-5年間、税額1/2)を活用すれば、税額を大きく抑えることができます。
毎年4-6月に送付される課税明細書を確認し、軽減措置の適用漏れがないか確認しましょう。不明点があれば、お住まいの市区町村の資産税課に問い合わせることをおすすめします。
