土地売却の流れと費用・税金を完全ガイド|初めてでも失敗しない

公開日: 2025/10/27

土地売却とは|売却の流れと全体像

土地を売却する際、「どこから手をつければいいのか」「費用や税金はいくらかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、土地売却の全ステップ(査定→媒介契約→売却活動→売買契約→決済・引渡し)を時系列で整理し、各段階で必要な書類・期間・費用を明示します。国税庁国土交通省の公式情報を元に、譲渡所得税の計算方法と節税特例も具体例で解説します。

初めて土地を売却する方でも、失敗しないための重要なポイントを理解できるようになります。

この記事のポイント

  • 土地売却は査定→媒介契約→売却活動→契約→決済の5ステップで、全体で4-8ヶ月程度かかる
  • 費用は仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税が上限)、測量費(30-80万円)、登記費用(1-3万円)が目安
  • 税金は譲渡所得税で、短期譲渡(5年以下)39.63%、長期譲渡(5年超)20.315%
  • 3000万円特別控除等の節税特例を活用できる場合がある
  • 相続登記・境界確定・地下埋設物の確認がトラブル回避の鍵

土地売却の流れ(全5ステップ)

土地売却は以下の5ステップで進みます。

ステップ1: 査定(期間目安:1週間)

複数の不動産会社に査定を依頼し、売却価格の相場を把握します。査定は3-5社に依頼して比較することが推奨されます。

国土交通省の土地総合情報システムで実際の取引事例を確認し、事前に相場を把握しておくとスムーズです。

ステップ2: 媒介契約(期間目安:1日)

査定結果を比較し、信頼できる不動産会社と媒介契約を締結します。媒介契約には以下の3種類があります。

媒介契約の種類 依頼先 自己発見取引 報告義務 レインズ登録
専属専任 1社のみ 不可 週1回以上 5営業日以内
専任 1社のみ 可能 2週間に1回以上 7営業日以内
一般 複数社可 可能 義務なし 義務なし

(出典: 国土交通省

売却期限がある場合は専任系、じっくり売りたい場合は一般媒介が適しています。

ステップ3: 売却活動(期間目安:3-6ヶ月)

不動産会社が広告掲載、現地案内、価格交渉等を実施します。専任媒介契約の場合、定期的に活動報告を受けられます。

ステップ4: 売買契約(期間目安:1日)

買主が決まったら、売買契約を締結します。手付金(売却価格の5-10%)を受け取り、重要事項説明を受けます。

ステップ5: 決済・引渡し(期間目安:1-2ヶ月)

残金を受け取り、所有権移転登記を行います。土地を引き渡して売却完了です。

全体で4-8ヶ月程度かかることを見込んでおきましょう。

土地売却にかかる費用と税金

土地売却では、費用と税金の両方が発生します。

売却にかかる費用

主な費用は以下の通りです。

費用項目 内容 金額目安
仲介手数料 売却価格×3%+6万円+消費税(上限) 100-200万円
確定測量費 隣地所有者立会いのもと境界を確定 30-80万円(土地家屋調査士会による)
登記費用 抵当権抹消等の登記手続き 1-3万円
印紙税 売買契約書に貼付 1-3万円

仲介手数料の計算式(売却価格×3%+6万円+消費税)は上限額であり、交渉可能です。

譲渡所得税の計算と税率

土地を売却して利益が出た場合、譲渡所得税(所得税+住民税)がかかります。

計算式

  1. 譲渡所得 = 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用
  2. 課税譲渡所得 = 譲渡所得 - 特別控除
  3. 税額 = 課税譲渡所得 × 税率

取得費は土地を購入したときの価格や諸費用(仲介手数料、登記費用等)です。不明な場合は概算取得費(売却価格の5%)を使用できますが、実額のほうが節税になります。

譲渡費用は仲介手数料、測量費、登記費用等です。

税率は所有期間によって異なります。

所有期間 区分 所得税 住民税 復興特別所得税 合計
5年以下 短期譲渡 30% 9% 0.63% 39.63%
5年超 長期譲渡 15% 5% 0.315% 20.315%

(出典: 国税庁

所有期間は売却年の1月1日時点で判定します。例:2019年4月購入→2024年5月売却の場合、2024年1月1日時点で4年9ヶ月のため短期譲渡となります。

特別控除の活用

居住用財産(自宅の土地)を売却した場合、以下の特例を活用できる可能性があります。

  • 3000万円特別控除:譲渡所得から最大3000万円を控除(所有期間は不問だが、住まなくなって3年経過後の売却は適用外)
  • 軽減税率の特例:所有期間10年超の自宅を売却した場合、課税譲渡所得6000万円以下の部分に税率14.21%を適用

詳細は国税庁のWebサイトで確認してください。

査定から媒介契約まで

複数社査定の重要性

査定価格は不動産会社によって異なります。1社のみの査定では適正価格を判断できません。

査定依頼のポイント

媒介契約の種類と選び方

媒介契約は専属専任・専任・一般の3種類があります。

選び方の目安

  • 専属専任・専任:1社に集中して売却活動を依頼したい、報告義務で進捗を把握したい、売却期限がある場合
  • 一般:複数社に依頼して比較したい、じっくり売りたい場合

専任媒介契約では、不動産会社がレインズ(不動産流通機構の物件情報システム)に登録する義務があり、多くの買主候補に情報が届きます。

土地売却の注意点とよくあるトラブル

相続登記の義務化(2024年4月施行)

2024年4月に相続登記が義務化され、現在も適用されています。相続した土地は売却前に必ず登記を完了させる必要があります。

登記せずに放置すると、10万円以下の過料が課される可能性があります。司法書士に依頼して早めに登記してください。

境界確定測量の必要性

境界が未確定のまま売却すると、買主とのトラブルや売買契約解除のリスクがあります。

確定測量のポイント

  • 隣地所有者の立会いのもと境界を確定
  • 費用は30-80万円が目安
  • 測量図を作成し、境界標を設置

境界確定により、安心して売却できます。

地下埋設物・土壌汚染のリスク

地下埋設物(古い基礎、浄化槽、廃材等)や土壌汚染が売却後に発覚すると、契約不適合責任を追及される可能性があります。

対策

  • 事前に地歴調査(過去の土地利用状況を調査。費用は5-10万円程度)や土壌調査を実施
  • 告知義務を怠らない(知っている事実は必ず買主に伝える)
  • 契約不適合責任の範囲を契約書で明確化

売却以外の選択肢(活用・寄付)

土地を売却せずに活用する方法もあります。

活用方法

  • 賃貸(駐車場、資材置き場等)
  • 太陽光発電設備の設置
  • 農地として利用

売却が困難な土地(再建築不可、法令制限、立地不良)は、自治体への寄付や相続土地国庫帰属制度の活用も選択肢です。

ただし、寄付は自治体が受け入れるとは限らず、国庫帰属は審査と負担金(10-20万円程度)が必要です。

まとめ|土地売却で失敗しないために

土地売却は査定→媒介契約→売却活動→契約→決済の5ステップで、全体で4-8ヶ月程度かかります。費用は仲介手数料・測量費が主で、税金は譲渡所得税(短期39.63%、長期20.315%)です。

相続登記の義務化、境界確定、地下埋設物の確認がトラブル回避の鍵となります。複数社に査定を依頼し、相場を把握した上で信頼できる不動産会社を選びましょう。

税金や法的な手続きに不安がある場合は、税理士や司法書士等の専門家に相談することをおすすめします。

よくある質問

Q1土地の取得費が分からない場合どうすればいいですか?

A1売却価格の5%を概算取得費として使用できます(国税庁の特例)。ただし実額のほうが節税になるため、売買契約書・領収書を探すことが重要です。見つからない場合は税理士に相談し、他の証拠(通帳記録、登記簿の抵当権設定額等)で立証できる可能性もあります。

Q2仲介手数料は必ず支払う必要がありますか?

A2仲介手数料の計算式(売却価格×3%+6万円+消費税)は上限額であり、交渉可能です。ただし安すぎると売却活動が消極的になるリスクもあるため、サービス内容とのバランスで判断してください。

Q3相続した土地は登記しなくても売却できますか?

A32024年4月から相続登記が義務化されたため、売却前に登記を完了させる必要があります。登記せずに放置すると10万円以下の過料が課される可能性があります。司法書士に依頼して早めに登記してください。

Q4境界が確定していない土地でも売却できますか?

A4売却自体は可能ですが、買主とのトラブルや契約解除のリスクがあります。確定測量(30-80万円)を行い、隣地所有者の立会いのもと境界を確定させることが推奨されます。