土地を買うには何をすべき?購入の流れ・費用・注意点

公開日: 2025/11/4

土地を買うには何から始めればいいのか

土地購入を検討する際、「何から手をつければいいのか分からない」「建物購入と何が違うのか」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、土地購入の流れを7つのステップに分けて解説します。初心者が見落としがちな注意点(用途地域・接道義務・地盤調査等)、必要な諸費用、関連する法律まで、国土交通省・法務局・国税庁の公式情報を元に網羅的に説明します。

土地購入は建物購入と異なり、事前確認が極めて重要です。慎重に検討を進めることで、失敗を防ぐことができます。

この記事のポイント

  • 土地購入は7ステップ(予算決定→土地探し→現地調査→売買契約→住宅ローン審査→決済→登記)で進める
  • 諸費用は購入価格の7-10%程度が目安(仲介手数料・登記費用・不動産取得税等)
  • 用途地域・接道義務・地盤調査等の事前確認が必須(建物と異なる重要なポイント)
  • 住宅ローンは土地と建物を一体で審査されることが多い
  • 関連法律(宅建業法・国土利用計画法・農地法等)による規制・届出義務がある

土地購入の流れ(7ステップ)

土地購入は以下の7つのステップで進めます。建物購入と比べて、事前調査と法規制の確認が重要になります。

ステップ1:予算決定と資金計画

土地購入では、土地代に加えて以下の費用を考慮する必要があります。

  • 土地代
  • 建物代(注文住宅を建てる場合)
  • 諸費用(購入価格の7-10%程度)

諸費用には、仲介手数料・登記費用・不動産取得税・印紙税・測量費用・地盤調査費用等が含まれます。これらを合計した総額で資金計画を立てることが重要です。

ステップ2:土地探し(ネット・不動産会社)

土地を探す方法は主に以下の3つです。

  • 不動産ポータルサイト:SUUMO、LIFULL HOME'S等で全国の土地情報を検索
  • 地元不動産会社:地域に密着した情報を持っている場合が多い
  • 自治体の空き地バンク:自治体が運営する土地情報サイト

土地探しは時間がかかる場合があります。希望条件(立地・価格・広さ・用途地域等)を明確にし、複数の候補地を比較検討することをおすすめします。

ステップ3:現地調査(用途地域・接道・地盤)

気になる土地が見つかったら、現地調査を行います。以下の項目を確認することが重要です。

確認項目 内容
用途地域 都市計画法で定められた土地利用の区分。建てられる建物の種類・規模が制限される
建ぺい率・容積率 敷地面積に対する建築面積・延床面積の割合。用途地域ごとに上限が決まっている
接道義務 幅員4m以上の道路に2m以上接していなければ建築不可(建築基準法第43条)
インフラ整備 上下水道・ガス・電気の引込状況。整備されていない場合、工事費用(数十万-数百万円)が必要
地盤の状態 地盤が軟弱な場合、地盤改良工事(数十万-数百万円)が必要になる
境界の明示 隣地との境界が明確か。曖昧な場合、測量・境界確定(30-100万円)が必要

これらの確認を怠ると、購入後に「建物が建てられない」「追加工事費用がかかる」等のトラブルが発生する可能性があります。

ステップ4:売買契約(手付金・仲介手数料)

購入を決めたら、売買契約を締結します。契約時には以下の支払いが発生します。

  • 手付金:売買代金の5-10%程度。契約解除時の違約金の性質を持つ
  • 仲介手数料(半額):売買価格×3%+6万円+消費税の半額程度

契約前には、宅地建物取引士による重要事項説明が行われます(宅地建物取引業法第35条)。土地の権利関係・法令上の制限・インフラ整備等の説明を受け、不明点があれば必ず質問してください。

ステップ5:住宅ローン審査(建物と一体)

土地のみの住宅ローンは審査が厳しく、多くの金融機関は土地+建物の一体審査を求めます。建物プランが確定していない場合、つなぎ融資を利用する方法もあります。

住宅ローンの審査には、以下の書類が必要です。

  • 売買契約書
  • 重要事項説明書
  • 建物プラン(注文住宅の場合)
  • 収入証明書(源泉徴収票・確定申告書等)

審査には通常1-2週間程度かかります。

ステップ6:決済・残代金支払い

住宅ローンの審査が通ったら、決済日を設定します。決済時には以下の支払いが発生します。

  • 残代金(売買代金 - 手付金)
  • 仲介手数料(残額)
  • 登録免許税・司法書士報酬
  • 固定資産税の日割り精算

決済と同時に、所有権移転登記の手続きが行われます。

ステップ7:所有権移転登記

決済後、法務局で所有権移転登記を行います。登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的です(報酬5-15万円程度)。

登記には、登録免許税(固定資産税評価額×2%)がかかります。登記が完了すると、登記識別情報通知(旧:権利証)が交付されます。

土地購入にかかる諸費用の内訳

土地購入時には、土地代以外に以下の諸費用が必要です。諸費用の合計は購入価格の7-10%程度が目安ですが、地域・物件により差異があります。

仲介手数料(売買価格×3%+6万円+消費税)

不動産会社に支払う報酬です。宅地建物取引業法で上限が定められています。

計算例:2,000万円の土地の場合

  • 2,000万円×3%+6万円+消費税 = 72.6万円(上限)

登記費用(登録免許税+司法書士報酬)

所有権移転登記にかかる費用です。

  • 登録免許税:固定資産税評価額×2%
  • 司法書士報酬:5-15万円程度

不動産取得税・印紙税

土地を取得した際に課される税金です。

  • 不動産取得税:固定資産税評価額×3%(宅地の場合、評価額の1/2に軽減措置あり)
  • 印紙税:売買契約書に貼付(2,000万円の場合1万円)

国税庁の公式サイトで詳細を確認できます。

その他の諸費用

  • 測量費用:境界確定が必要な場合、30-100万円
  • 地盤調査費用:5-10万円
  • 水道負担金:上下水道の引込が必要な場合、数十万円

土地購入前の注意点(初心者が見落としがちなポイント)

土地購入では、建物購入と異なる注意点があります。以下のポイントを必ず確認してください。

用途地域・建ぺい率・容積率の確認

用途地域は都市計画法に基づく土地利用の区分で、13種類あります。建てられる建物の種類・規模が制限されるため、購入前の確認が重要です。

  • 第一種低層住居専用地域:建築制限が厳しい(住宅中心)
  • 商業地域:建築の自由度が高い(店舗・事務所も可)

建ぺい率・容積率も用途地域ごとに上限が定められています。例えば、敷地100㎡・建ぺい率60%の場合、建築面積は60㎡までです。

接道義務・境界確認

建築基準法第43条により、建築物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。接道義務を満たさない土地は建築不可です。

境界が曖昧な土地は、将来トラブルのリスクがあります。購入前に売主に測量・境界確定を依頼することをおすすめします。

地盤調査・埋設物・災害履歴

地盤が軟弱な場合、地盤改良工事(数十万-数百万円)が必要になります。購入前に地盤調査を行うことが推奨されます。

地中に古い基礎・廃棄物等がある場合、撤去費用が発生する可能性があります。ハザードマップで浸水リスク、地震時の液状化リスクも確認してください。

土地購入に関連する法律と届出義務

土地購入には、以下の法律による規制・届出義務があります。

宅地建物取引業法(重要事項説明)

宅地建物取引士が契約前に重要事項説明を行う義務があります(宅地建物取引業法第35条)。土地の権利関係・法令上の制限・インフラ整備等が説明されます。

契約書面の交付義務もあり、契約内容を書面で確認できます。

国土利用計画法(事後届出義務)

一定面積以上の土地取引(市街化区域2,000㎡以上等)を行った場合、契約締結後2週間以内に都道府県知事に事後届出が必要です。

国土交通省の公式サイトで詳細を確認できます。

農地法(農地転用の許可)

農地を宅地転用する場合、農業委員会の許可が必要です(市街化区域内は届出のみ)。許可なしで転用すると違法となります。

都市計画法・建築基準法

用途地域・建ぺい率・容積率・接道義務等の建築制限があります。購入前に必ず確認してください。

まとめ:土地購入は慎重に、専門家への相談を推奨

土地購入は7つのステップ(予算決定→土地探し→現地調査→売買契約→住宅ローン審査→決済→登記)で進めます。諸費用は購入価格の7-10%程度が目安です。

用途地域・接道義務・地盤調査等の事前確認が重要で、初心者が見落としがちなポイントも多くあります。法律(宅建業法・国土利用計画法・農地法等)による規制・届出義務もあるため、不動産会社・司法書士・ファイナンシャルプランナー等の専門家への相談をおすすめします。

土地購入は慎重に検討を進めることで、失敗を防ぐことができます。まずは信頼できる不動産会社に相談し、希望条件に合った土地を探すことから始めましょう。

よくある質問

Q1土地だけ買って住宅ローンは組めますか?

A1土地のみの住宅ローンは審査が厳しく、多くの金融機関は土地+建物の一体審査を求めます。建物プランが確定していない場合、つなぎ融資を利用する方法もあります。つなぎ融資は金利が高めに設定されることが多いため、金融機関に詳細を確認してください。

Q2土地の購入に必要な頭金はいくらですか?

A2一般的には土地代の10-20%程度を頭金として用意することが推奨されます。ただし住宅ローンの審査状況や金融機関によって異なります。諸費用(購入価格の7-10%程度)も別途必要になるため、総額で資金計画を立てることが重要です。

Q3土地購入後、建物を建てるまでの固定資産税は誰が払う?

A3毎年1月1日時点の所有者が固定資産税を支払います。年の途中で購入した場合、売買契約時に日割り精算されるのが一般的です。建物がない土地は住宅用地の軽減措置(固定資産税が1/6に減額)を受けられないため、税額が高くなります。

Q4境界が確定していない土地は買わない方がいい?

A4境界が曖昧な土地は将来トラブルのリスクがあります。購入前に売主に測量・境界確定(費用30-100万円)を依頼することをおすすめします。境界確定なしで購入する場合、売買価格の値引き交渉も検討してください。境界トラブルを未然に防ぐことが重要です。