土地を買うには何から始めればいいのか
土地購入を検討する際、「何から手をつければいいのか分からない」「建物購入と何が違うのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、土地購入の流れを7つのステップに分けて解説します。初心者が見落としがちな注意点(用途地域・接道義務・地盤調査等)、必要な諸費用、関連する法律まで、国土交通省・法務局・国税庁の公式情報を元に網羅的に説明します。
土地購入は建物購入と異なり、事前確認が極めて重要です。慎重に検討を進めることで、失敗を防ぐことができます。
この記事のポイント
- 土地購入は7ステップ(予算決定→土地探し→現地調査→売買契約→住宅ローン審査→決済→登記)で進める
- 諸費用は購入価格の7-10%程度が目安(仲介手数料・登記費用・不動産取得税等)
- 用途地域・接道義務・地盤調査等の事前確認が必須(建物と異なる重要なポイント)
- 住宅ローンは土地と建物を一体で審査されることが多い
- 関連法律(宅建業法・国土利用計画法・農地法等)による規制・届出義務がある
土地購入の流れ(7ステップ)
土地購入は以下の7つのステップで進めます。建物購入と比べて、事前調査と法規制の確認が重要になります。
ステップ1:予算決定と資金計画
土地購入では、土地代に加えて以下の費用を考慮する必要があります。
- 土地代
- 建物代(注文住宅を建てる場合)
- 諸費用(購入価格の7-10%程度)
諸費用には、仲介手数料・登記費用・不動産取得税・印紙税・測量費用・地盤調査費用等が含まれます。これらを合計した総額で資金計画を立てることが重要です。
ステップ2:土地探し(ネット・不動産会社)
土地を探す方法は主に以下の3つです。
- 不動産ポータルサイト:SUUMO、LIFULL HOME'S等で全国の土地情報を検索
- 地元不動産会社:地域に密着した情報を持っている場合が多い
- 自治体の空き地バンク:自治体が運営する土地情報サイト
土地探しは時間がかかる場合があります。希望条件(立地・価格・広さ・用途地域等)を明確にし、複数の候補地を比較検討することをおすすめします。
ステップ3:現地調査(用途地域・接道・地盤)
気になる土地が見つかったら、現地調査を行います。以下の項目を確認することが重要です。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 用途地域 | 都市計画法で定められた土地利用の区分。建てられる建物の種類・規模が制限される |
| 建ぺい率・容積率 | 敷地面積に対する建築面積・延床面積の割合。用途地域ごとに上限が決まっている |
| 接道義務 | 幅員4m以上の道路に2m以上接していなければ建築不可(建築基準法第43条) |
| インフラ整備 | 上下水道・ガス・電気の引込状況。整備されていない場合、工事費用(数十万-数百万円)が必要 |
| 地盤の状態 | 地盤が軟弱な場合、地盤改良工事(数十万-数百万円)が必要になる |
| 境界の明示 | 隣地との境界が明確か。曖昧な場合、測量・境界確定(30-100万円)が必要 |
これらの確認を怠ると、購入後に「建物が建てられない」「追加工事費用がかかる」等のトラブルが発生する可能性があります。
ステップ4:売買契約(手付金・仲介手数料)
購入を決めたら、売買契約を締結します。契約時には以下の支払いが発生します。
- 手付金:売買代金の5-10%程度。契約解除時の違約金の性質を持つ
- 仲介手数料(半額):売買価格×3%+6万円+消費税の半額程度
契約前には、宅地建物取引士による重要事項説明が行われます(宅地建物取引業法第35条)。土地の権利関係・法令上の制限・インフラ整備等の説明を受け、不明点があれば必ず質問してください。
ステップ5:住宅ローン審査(建物と一体)
土地のみの住宅ローンは審査が厳しく、多くの金融機関は土地+建物の一体審査を求めます。建物プランが確定していない場合、つなぎ融資を利用する方法もあります。
住宅ローンの審査には、以下の書類が必要です。
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 建物プラン(注文住宅の場合)
- 収入証明書(源泉徴収票・確定申告書等)
審査には通常1-2週間程度かかります。
ステップ6:決済・残代金支払い
住宅ローンの審査が通ったら、決済日を設定します。決済時には以下の支払いが発生します。
- 残代金(売買代金 - 手付金)
- 仲介手数料(残額)
- 登録免許税・司法書士報酬
- 固定資産税の日割り精算
決済と同時に、所有権移転登記の手続きが行われます。
ステップ7:所有権移転登記
決済後、法務局で所有権移転登記を行います。登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的です(報酬5-15万円程度)。
登記には、登録免許税(固定資産税評価額×2%)がかかります。登記が完了すると、登記識別情報通知(旧:権利証)が交付されます。
土地購入にかかる諸費用の内訳
土地購入時には、土地代以外に以下の諸費用が必要です。諸費用の合計は購入価格の7-10%程度が目安ですが、地域・物件により差異があります。
仲介手数料(売買価格×3%+6万円+消費税)
不動産会社に支払う報酬です。宅地建物取引業法で上限が定められています。
計算例:2,000万円の土地の場合
- 2,000万円×3%+6万円+消費税 = 72.6万円(上限)
登記費用(登録免許税+司法書士報酬)
所有権移転登記にかかる費用です。
- 登録免許税:固定資産税評価額×2%
- 司法書士報酬:5-15万円程度
不動産取得税・印紙税
土地を取得した際に課される税金です。
- 不動産取得税:固定資産税評価額×3%(宅地の場合、評価額の1/2に軽減措置あり)
- 印紙税:売買契約書に貼付(2,000万円の場合1万円)
国税庁の公式サイトで詳細を確認できます。
その他の諸費用
- 測量費用:境界確定が必要な場合、30-100万円
- 地盤調査費用:5-10万円
- 水道負担金:上下水道の引込が必要な場合、数十万円
土地購入前の注意点(初心者が見落としがちなポイント)
土地購入では、建物購入と異なる注意点があります。以下のポイントを必ず確認してください。
用途地域・建ぺい率・容積率の確認
用途地域は都市計画法に基づく土地利用の区分で、13種類あります。建てられる建物の種類・規模が制限されるため、購入前の確認が重要です。
- 第一種低層住居専用地域:建築制限が厳しい(住宅中心)
- 商業地域:建築の自由度が高い(店舗・事務所も可)
建ぺい率・容積率も用途地域ごとに上限が定められています。例えば、敷地100㎡・建ぺい率60%の場合、建築面積は60㎡までです。
接道義務・境界確認
建築基準法第43条により、建築物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。接道義務を満たさない土地は建築不可です。
境界が曖昧な土地は、将来トラブルのリスクがあります。購入前に売主に測量・境界確定を依頼することをおすすめします。
地盤調査・埋設物・災害履歴
地盤が軟弱な場合、地盤改良工事(数十万-数百万円)が必要になります。購入前に地盤調査を行うことが推奨されます。
地中に古い基礎・廃棄物等がある場合、撤去費用が発生する可能性があります。ハザードマップで浸水リスク、地震時の液状化リスクも確認してください。
土地購入に関連する法律と届出義務
土地購入には、以下の法律による規制・届出義務があります。
宅地建物取引業法(重要事項説明)
宅地建物取引士が契約前に重要事項説明を行う義務があります(宅地建物取引業法第35条)。土地の権利関係・法令上の制限・インフラ整備等が説明されます。
契約書面の交付義務もあり、契約内容を書面で確認できます。
国土利用計画法(事後届出義務)
一定面積以上の土地取引(市街化区域2,000㎡以上等)を行った場合、契約締結後2週間以内に都道府県知事に事後届出が必要です。
国土交通省の公式サイトで詳細を確認できます。
農地法(農地転用の許可)
農地を宅地転用する場合、農業委員会の許可が必要です(市街化区域内は届出のみ)。許可なしで転用すると違法となります。
都市計画法・建築基準法
用途地域・建ぺい率・容積率・接道義務等の建築制限があります。購入前に必ず確認してください。
まとめ:土地購入は慎重に、専門家への相談を推奨
土地購入は7つのステップ(予算決定→土地探し→現地調査→売買契約→住宅ローン審査→決済→登記)で進めます。諸費用は購入価格の7-10%程度が目安です。
用途地域・接道義務・地盤調査等の事前確認が重要で、初心者が見落としがちなポイントも多くあります。法律(宅建業法・国土利用計画法・農地法等)による規制・届出義務もあるため、不動産会社・司法書士・ファイナンシャルプランナー等の専門家への相談をおすすめします。
土地購入は慎重に検討を進めることで、失敗を防ぐことができます。まずは信頼できる不動産会社に相談し、希望条件に合った土地を探すことから始めましょう。
