注文住宅の諸費用を完全解説|内訳・相場・節約術を徹底紹介

公開日: 2025/11/11

注文住宅の諸費用とは:建物本体価格以外にかかる費用

注文住宅を検討する際、「建物本体価格以外にどれくらいかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、注文住宅特有の諸費用の内訳、相場、節約方法を、国土交通省国税庁の公式情報を元に解説します。初めて注文住宅を建てる方でも、総予算を正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 注文住宅の諸費用は総予算の10-15%が目安(土地購入含む場合10-12%、建物のみ8-10%)
  • 税金(登録免許税、不動産取得税、印紙税)、設計料、各種申請費用、住宅ローン関連費用が主な内訳
  • 諸費用は原則として現金払いだが、一部金融機関では「諸費用ローン」として借入可能(ただし金利が高い)
  • 仲介手数料の値引き交渉、贈与税非課税枠の活用、相見積もりで諸費用を抑えられる

注文住宅の諸費用の内訳:項目別に徹底解説

注文住宅の諸費用は建物本体価格や土地代以外にかかる費用の総称です。以下の5カテゴリに分類されます。

税金関連(登録免許税・不動産取得税・印紙税)

不動産取得時には複数の税金が発生します。

税金の種類 内容 税率・目安額
登録免許税 建物の所有権保存登記・土地の所有権移転登記時に課される国税 評価額の0.15-0.4%(軽減措置適用時)
不動産取得税 不動産取得時に都道府県が課す地方税 新築住宅は多くのケースで非課税(床面積50㎡以上240㎡以下、2027年3月31日まで)
印紙税 請負契約書・住宅ローン契約書に貼付する収入印紙代 契約金額により200円-60万円と変動

不動産取得税は軽減措置により多くのケースで非課税となりますが、別荘や床面積が基準外の場合は課税されます。執筆時点(2025年)で適用期限は2027年3月31日までとなっています。

(出典: 国税庁

設計・建築関連費用(設計料・地盤調査費・建築確認申請費用)

注文住宅ならではの費用として、以下が発生します。

項目 内容 目安額
設計料 建築士に支払う設計報酬 建築費の8-15%(ハウスメーカーでは本体価格に含まれる場合も)
地盤調査費 建築前に地盤の強度を調査する費用 5-10万円(スウェーデン式サウンディング試験)
建築確認申請費用 建築基準法に基づき自治体に建築計画を申請する際の手数料 3-10万円(建物規模・構造により変動)

設計料はハウスメーカーでは建物本体価格に含まれる場合が多いですが、工務店や設計事務所では別途請求されるのが一般的です。契約前に見積もりの内訳を確認し、設計料が含まれているかチェックすることをおすすめします。

土地関連費用(仲介手数料・測量費・上下水道引込工事費)

土地購入を伴う場合、以下の費用が加わります。

項目 内容 目安額
仲介手数料 不動産会社に支払う仲介手数料 物件価格×3%+6万円+消費税(宅建業法で上限規制)
測量費 土地の境界を確定する測量費用 30-80万円
上下水道引込工事費 敷地内に上下水道を引き込む工事費用 50-100万円(距離・地域により変動)

仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が定められていますが、「上限=当然支払う金額」ではありません。値引き交渉可能であることを理解しておきましょう。

住宅ローン関連費用(事務手数料・保証料・団信保険料)

住宅ローンを利用する場合、以下の費用が発生します。

項目 内容 目安額
事務手数料 金融機関に支払う融資手続き費用 借入額の2%程度(定額制の場合3-5万円)
保証料 保証会社に支払う保証料 借入額の0-2%程度(金融機関により異なる)
団信保険料 団体信用生命保険の保険料 多くの場合、金利に含まれる

事務手数料と保証料は金融機関により大きく異なります。複数の金融機関で見積もりを取り、総費用を比較することをおすすめします。

その他費用(引越し費用・仮住まい費用・家具家電)

建築期間中の仮住まいや引越しにも費用がかかります。

  • 引越し費用: 10-30万円
  • 仮住まい費用: 家賃×建築期間(6-12ヶ月)
  • 家具家電: 50-100万円

これらは見落とされがちですが、総予算に組み込んでおく必要があります。

注文住宅の諸費用の相場:総額の10-15%が目安

国土交通省の住宅市場動向調査(令和4年度)によると、注文住宅の平均購入資金は5,963万円です。諸費用を10-12%と想定すると、約600-700万円となります。

土地購入含む場合の諸費用(総額の10-12%)

土地購入を伴う場合、仲介手数料・上下水道引込工事費が加わるため、諸費用割合が高くなります。

建築費3,000万円+土地2,000万円の場合:

  • 諸費用総額: 500-600万円
  • 内訳: 税金80万円、設計料240万円、土地関連費用150万円、住宅ローン関連費用100万円、その他30万円

建物のみの場合の諸費用(総額の8-10%)

既に土地を所有している場合、諸費用割合は低くなります。

建築費5,000万円の場合:

  • 諸費用総額: 400-500万円
  • 内訳: 税金100万円、設計料400万円、住宅ローン関連費用100万円、その他50万円

地域・業者により変動するため、複数社から見積もりを取って比較検討することをおすすめします。

諸費用の支払いタイミングと資金計画

諸費用は支払うタイミングが時期により異なります。

契約時に必要な費用(手付金・印紙税)

  • 手付金: 建築費の5-10%
  • 印紙税: 契約金額により変動(1万-6万円程度)

着工時に必要な費用(建築確認申請費用・地盤調査費)

  • 建築確認申請費用: 3-10万円
  • 地盤調査費: 5-10万円

引渡時に必要な費用(登録免許税・司法書士報酬・住宅ローン関連費用)

引渡時は諸費用の大半が集中します。

  • 登録免許税: 評価額の0.15-0.4%
  • 司法書士報酬: 5-15万円
  • 住宅ローン関連費用: 借入額の2%程度
  • 不動産取得税: 引渡後6ヶ月-1年後に納付

諸費用は原則として現金払いですが、「諸費用ローン」を提供する金融機関もあります。ただし、住宅ローンよりも金利が高い場合があるため注意が必要です。各タイミングで必要な金額を事前に把握し、資金ショートを防ぎましょう。

注文住宅の諸費用を節約する方法

諸費用を抑える具体的な方法を3つ提示します。

仲介手数料の値引き交渉(上限規制あり)

仲介手数料は宅建業法で上限が定められていますが、値引き交渉可能です。特に高額物件では交渉の余地があります。

住宅取得資金贈与の非課税枠を活用(省エネ住宅1,000万円)

親からの住宅取得資金贈与は、省エネ住宅1,000万円、一般住宅500万円まで非課税(2026年12月31日まで)。諸費用の資金調達方法として検討する価値があります。

相見積もりで司法書士報酬・火災保険を比較

司法書士報酬は自由化されており、相見積もりで2-3割削減可能です。火災保険も複数社比較で年間数千円-数万円の差が出ます。ただし、建築確認申請費用・登録免許税等の法定費用は節約できません。

まとめ:注文住宅の諸費用は総額の10-15%、事前の資金計画が重要

注文住宅の諸費用は建物本体価格の10-15%(土地購入含む場合10-12%、建物のみ8-10%)です。税金、設計料、各種申請費用、住宅ローン関連費用等、多岐にわたります。

支払いタイミング(契約時、着工時、引渡時)を把握し、資金ショートを防ぐことが重要です。仲介手数料の値引き交渉、贈与税非課税枠の活用、相見積もりで諸費用を抑えられます。

事前に複数社から見積もりを取り、総予算内で無理のない資金計画を立てましょう。信頼できる不動産会社や金融機関に相談しながら進めることをおすすめします。

よくある質問

Q1注文住宅の諸費用は住宅ローンに組み込めますか?

A1原則として諸費用は住宅ローンに組み込めず、現金払いが必要です。ただし、一部金融機関では「諸費用ローン」として別途借入可能です。住宅ローンと合わせてフルローンを組む場合、金利が高くなる場合があるため注意が必要です。事前に金融機関に確認することをおすすめします。

Q2諸費用で現金が必要なタイミングはいつですか?

A2契約時(手付金・印紙税)、着工時(建築確認申請費用・地盤調査費)、引渡時(登録免許税・司法書士報酬・住宅ローン関連費用)の3つのタイミングで現金が必要です。特に引渡時は諸費用の大半が集中するため、事前に準備が必要です。不動産取得税は引渡後6ヶ月-1年後に納付となります。

Q3不動産取得税は必ず払う必要がありますか?

A3新築住宅の場合、軽減措置(2027年3月31日まで)により多くのケースで非課税となります。床面積50㎡以上240㎡以下の住宅が対象です。ただし、別荘や床面積が基準外の場合は課税されます。都道府県税事務所に確認することをおすすめします。

Q4設計料は必ず払う必要がありますか?

A4建築士に設計を依頼する場合、設計料(建築費の8-15%)が発生します。ただし、ハウスメーカーでは建物本体価格に設計料が含まれる場合も多いです。工務店や設計事務所では別途請求されるケースが一般的です。契約前に見積もりの内訳を確認し、設計料が含まれているかチェックすることをおすすめします。