住宅ローン審査に通らない人の特徴7選|対策と借入可能性を上げる方法

公開日: 2025/11/11

「絶対通らない人」は存在しない:審査の仕組みを理解する

「住宅ローンの審査に絶対通らない人はいるのか」と不安を感じる方は少なくありません。

結論から言うと、「絶対通らない人」は存在しません。住宅ローン審査で不利になる要因はありますが、それらを改善すれば借入可能性は上がります。

この記事では、住宅ローン審査に通らない人の特徴7選、信用情報の確認方法、対策を、金融庁の最新調査(2025年1月)を元に解説します。

過去に審査に落ちた経験がある方でも、原因を特定し対策を実行すれば、住宅ローンを組める可能性は十分にあります。

この記事のポイント

  • 「絶対通らない人」は存在せず、審査で不利になる要因を改善すれば借入可能
  • 主な要因は信用情報、返済負担率、勤続年数、健康状態、他の借入、雇用形態、担保価値の7つ
  • 信用情報はCIC・JICC・KSCで開示請求して確認すべき(費用500-1,000円)
  • 返済負担率を下げる、他の借入を完済する等の対策が有効
  • フラット35は団信加入が任意・雇用形態不問で審査基準が柔軟

住宅ローン審査に通らない人の特徴7選

金融庁の調査によると、金融機関が重視する審査指標はLTV(担保価格/貸出額)・DTI(年間返済額/年収)・信用情報・健康状態等です。

審査で不利になる7つの要因を詳しく解説します。

①信用情報に延滞・債務整理の記録がある

信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に異動情報(いわゆるブラックリスト)が残っていると、審査に通りにくくなります。

異動情報の例:

  • クレジットカードやローンの延滞(3ヶ月以上)
  • 債務整理(自己破産、個人再生、任意整理)
  • 代位弁済(保証会社が代わりに返済)

保管期間:

  • 延滞解消後5年
  • 債務整理後5-10年(KSCの自己破産は10年)

異動情報が残っている間は、住宅ローン審査に通るのは難しいとされています。

②返済負担率が高すぎる(年収の35%超)

返済負担率(返済比率)とは、年収に占める年間返済額の割合です。

フラット35の審査基準:

  • 年収400万円未満: 30%以下
  • 年収400万円以上: 35%以下

例: 年収400万円の場合、年間返済額140万円(月約11.7万円)が上限

返済負担率が基準を超えると、審査に通らない可能性が高くなります。

③勤続年数が短い(1年未満等)

多くの金融機関は、勤続年数1年以上を目安としています。

転職直後や入社1年未満の場合、収入の安定性が疑われ、審査で不利になることがあります。

ただし、同業種への転職でキャリアアップした場合は、柔軟に判断されることもあります。

④健康状態が悪く団信に加入できない

**団体信用生命保険(団信)**とは、住宅ローン契約者が死亡・高度障害時に残債を保険で返済する制度です。

健康状態が悪いと団信に加入できず、一般的な住宅ローン審査に通らないことがあります。

団信加入が難しい例:

  • 過去5年以内の入院・手術歴
  • 高血圧、糖尿病等の持病
  • がん等の重大疾病

対策として、フラット35(団信加入が任意)を検討する方法があります。

⑤他の借入が多い(カードローン等)

カードローン、自動車ローン、リボ払い等の借入が多いと、返済負担率が上がり審査で不利になります。

特に、年収の3分の1を超える借入がある場合、返済能力が疑われることがあります。

対策: 住宅ローン申込前に、カードローン・リボ払いを完済する

⑥雇用形態が不安定(非正規雇用、個人事業主)

正社員に比べ、以下の雇用形態は審査が厳しくなることがあります。

  • 契約社員、派遣社員、パート・アルバイト
  • 個人事業主、フリーランス

個人事業主の場合、直近3年分の確定申告書の提出を求められることが多く、所得が安定していないと審査に通りにくくなります。

フラット35は雇用形態不問のため、非正規雇用や個人事業主でも審査可能です。

⑦物件の担保価値が低い(LTVが高い)

**LTV(Loan To Value)**とは、担保価格に対する貸出額の割合です。

例: 物件価格3,000万円、借入額2,700万円 → LTV 90%

物件の担保価値が低い(築年数が古い、立地が悪い等)と、LTVが高くなり審査で不利になることがあります。

対策: 頭金を増やしてLTVを下げる(80%以下が望ましい)

信用情報を確認する方法:CIC・JICC・KSCへの開示請求

住宅ローン申込前に、自分の信用情報を確認することが重要です。

信用情報機関は3つあり、それぞれに開示請求できます。

CIC(株式会社シー・アイ・シー)への開示請求

対象: クレジットカード、信販会社のローン

開示方法:

  • オンライン: 1,000円(即時)
  • 郵送: 1,000円(10日程度)
  • 窓口: 500円(その場で確認可)

CIC公式サイトから手続き可能です。

確認すべき項目:

  • 異動情報(延滞・債務整理の記録)
  • 延滞記録(「A」マークが3ヶ月以上続いていないか)

JICC(日本信用情報機構)への開示請求

対象: 消費者金融、銀行カードローン

開示方法:

  • スマホアプリ: 1,000円(即時)
  • 郵送: 1,000円(10日程度)
  • 窓口: 500円

KSC(全国銀行個人信用情報センター)への開示請求

対象: 銀行ローン(住宅ローン、自動車ローン等)

開示方法:

  • オンライン: 1,000円(即時)
  • 郵送: 1,000円(10日程度)

重要: 自己破産の記録はKSCに10年間保管されるため、必ず確認してください。

住宅ローン審査に通るための対策

審査で不利な要因を改善する具体的な対策を紹介します。

返済負担率を下げる(借入額削減、頭金増額)

返済負担率が高すぎる場合、以下の方法で下げることができます。

対策①: 借入額を減らす

  • 例: 3,000万円 → 2,500万円に削減
  • 月々返済額: 84,685円 → 70,571円(金利0.7%、35年)

対策②: 頭金を増やす

  • 例: 頭金100万円 → 300万円に増額
  • 借入額が200万円減り、返済負担率が下がる

他の借入を完済する

カードローン、リボ払い、自動車ローン等の借入がある場合、住宅ローン申込前に完済することを強くおすすめします。

完済すると:

  • 返済負担率が下がる
  • 信用情報が改善される
  • 審査に通りやすくなる

勤続年数を延ばす・転職を避ける

勤続年数が1年未満の場合、住宅ローン申込を1年以上経過後に延期することを検討してください。

また、住宅購入を検討している間は、転職を避けることが望ましいです。

ペアローン・収入合算を検討する

配偶者と一緒に借入する方法で、審査に通りやすくなる場合があります。

ペアローン: 夫婦それぞれが住宅ローンを組む(2本のローン)

収入合算: 夫婦の収入を合算して1本のローンを組む

メリット:

  • 借入可能額が増える
  • 返済負担率が下がる(世帯収入で計算)

注意点: どちらも配偶者に返済義務が生じるため、慎重に検討してください。

それでも通らない場合の選択肢:フラット35や他行への申込

一般的な住宅ローン審査に通らない場合、以下の選択肢があります。

フラット35(団信任意、雇用形態不問)

住宅金融支援機構のフラット35は、審査基準が柔軟です。

メリット:

  • 団信加入が任意: 健康状態が悪くても借入可能
  • 雇用形態不問: 個人事業主・非正規雇用も対象
  • 物件の技術基準を満たせば審査可能

デメリット:

  • 金利はやや高め(固定金利)
  • 団信に加入しない場合、死亡・高度障害時の保障がない(別途生命保険を検討すべき)

複数の金融機関に申し込む

住宅ローンの審査基準は金融機関により異なります。

1-2社で審査落ちしても、他行では審査に通る可能性があります。

注意点: 短期間に複数申込すると、信用情報に記録され多少不利になる可能性があるため、1-2社ずつ順番に申し込むことを推奨します。

住宅ローン審査の専門家(FP)に相談

ファイナンシャルプランナー(FP)や住宅ローン専門家に相談すると、以下のサポートを受けられます。

  • 審査落ちの原因を特定
  • 返済計画の見直し
  • 適切な金融機関の紹介

重要: 虚偽申告や信用情報改ざんは違法です。絶対に行わないでください。

まとめ:審査に通らない原因を特定し、対策を実行する

「絶対通らない人」は存在せず、不利な要因を改善すれば借入可能性は上がります。

次のアクションとして、以下を検討してください。

  1. 信用情報の開示請求(CIC・JICC・KSC)
  2. 返済負担率の計算(年収の35%以内か確認)
  3. 他の借入の完済(カードローン、リボ払い等)
  4. フラット35等の選択肢検討(団信任意、雇用形態不問)
  5. FPへの相談(審査落ちの原因を特定)

焦らず、計画的に対策を進めることで、住宅ローンを組める可能性は十分にあります。

よくある質問

Q1信用情報の異動(ブラックリスト)はいつ消えますか?

A1異動情報の保管期間は、延滞解消後5年、債務整理(自己破産・個人再生)後5-10年です。CIC・JICCは5年ですが、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の自己破産情報は10年間保管されます。異動情報が残っている間は、住宅ローン審査に通るのは難しいとされています。CIC・JICC・KSCの3機関すべてに開示請求して、正確な消去時期を確認することをおすすめします。

Q2複数の金融機関に同時に申し込むと審査で不利になりますか?

A2短期間に複数申込すると、信用情報に記録され、多少不利になる可能性があります。ただし、審査基準は金融機関により異なるため、1-2社で落ちた後に他行を検討するのは有効な方法です。一度に5-10社申し込むのではなく、1-2社ずつ順番に申し込むことを推奨します。

Q3フラット35は一般的な住宅ローンより審査が通りやすいですか?

A3一般的には通りやすいとされます。フラット35は団信加入が任意(健康状態が悪くても借入可能)、雇用形態不問(個人事業主・非正規雇用も対象)、物件の技術基準を満たせば審査可能という特徴があります。ただし、金利はやや高め(全期間固定金利)です。団信に加入しない場合、死亡・高度障害時の保障がないため、別途生命保険を検討する必要があります。

Q4カードローンやリボ払いの残債があると住宅ローン審査に通りませんか?

A4必ず通らないわけではありませんが、返済負担率(年間返済額/年収)が上がり不利になります。カードローン・リボ払いの完済が望ましいです。完済できない場合、借入額を減らすことで対応可能です。例: 住宅ローン3,000万円 → 2,500万円に削減し、返済負担率を基準内(年収の35%以下)に収める方法があります。

Q5団信に加入できない場合、住宅ローンは組めませんか?

A5一般的な住宅ローンは団信加入が必須ですが、フラット35は団信加入が任意のため、健康状態が悪くても借入可能です。ただし、死亡・高度障害時の保障がないため、別途生命保険を検討すべきです。また、配偶者を契約者にして借入する方法(ペアローン、収入合算)も選択肢として検討できます。