ノンバンクの住宅ローンとは?銀行との違い・メリット・デメリットを解説

公開日: 2025/11/6

ノンバンクの住宅ローンとは?銀行との違いを理解する

銀行の住宅ローン審査に通らなかった場合、「ノンバンクなら借りられるかもしれない」と考える方がいます。ノンバンクは審査が柔軟な一方、金利が高いという特性があります。

この記事では、ノンバンクの住宅ローンの定義、銀行との違い、メリット・デメリット、審査基準、住宅ローン控除の適用を、金融庁などの公式情報を元に解説します。

ノンバンクは「最終手段」であり、まずは銀行・フラット35を検討すべき理由も明示します。

この記事のポイント

  • ノンバンクは預金業務を行わず融資専門の金融機関で、審査が柔軟だが金利が高い(銀行0.5-1%に対し、ノンバンク3.2-8.4%)
  • 自営業・フリーランス・転職直後でも借りやすいが、総返済額が数百万円増える可能性
  • 繰上返済手数料や一括返済制約が多く、借り換えが困難になる場合がある
  • 住宅ローン控除は適用可能だが、金利高で控除額を上回る利息負担となる可能性
  • 悪質業者を避けるため、金融庁の登録検索サービスで貸金業者登録番号を確認

ノンバンクの住宅ローンとは?

ノンバンクとは、預金業務を行わず融資専門の金融機関を指します。貸金業法に基づき、金融庁に登録された正規の金融機関です。

ノンバンクの種類:

  • モーゲージバンク: 住宅ローン専門(例:アプラス、SBIエステートファイナンス等)
  • 消費者金融: 個人向け融資
  • 信販会社: クレジット・ローン業務
  • 事業者金融: 法人向け融資

銀行との法的枠組みの違い:

  • 銀行: 銀行法に基づき、預金業務と融資業務を行う
  • ノンバンク: 貸金業法に基づき、融資業務のみを行う(預金は受け入れない)

資金調達方法: ノンバンクは預金を受け入れられないため、銀行や市場から資金を調達します。このコストが金利に上乗せされるため、銀行より金利が高くなります。

銀行とノンバンクの住宅ローンを徹底比較

FP監修記事などを参考に、銀行とノンバンクの違いを整理します。

項目 銀行 ノンバンク
金利相場(2025年) 年0.5-1% 年3.2-8.4%
審査基準 勤続年数・年収基準が厳格 自営業・転職直後・外国人OK
審査スピード 本審査1-2週間 本審査最短3日
主力商品 変動金利・固定金利 フラット35
繰上返済 手数料無料が多い 手数料・回数・下限額制約あり

審査基準の違い(勤続年数・年収・雇用形態)

銀行の審査:

  • 勤続年数3年以上が目安
  • 年収400万円以上
  • 正社員優遇(契約社員・派遣社員は不利)

ノンバンクの審査:

  • 勤続年数不問(フラット35の場合)
  • 自営業・フリーランスOK
  • 外国人もOK(一定条件あり)
  • 返済比率30-40%まで柔軟(銀行は25-35%)

金利相場の違い

2025年時点の金利相場2025年最新金利比較を参照):

  • 銀行: 年0.5-1%(変動金利)
  • ノンバンク: 年3.2-8.4%

金利差の影響(3,000万円・35年ローンの場合):

  • 金利0.5%: 総返済額約3,200万円
  • 金利3.5%: 総返済額約4,200万円
  • 差額: 約1,000万円

審査スピードの違い

銀行: 本審査1-2週間

ノンバンク: 本審査最短3日(マイナビ記事を参照)

融資実行が早いため、急ぎの場合に有利です。

ノンバンクを選ぶメリット

ノンバンクを選ぶ主なメリットは以下の2つです。

審査が柔軟(銀行で断られても通る可能性)

借りやすい層:

  • 自営業・フリーランス(収入の安定性が証明しにくい)
  • 転職直後(勤続年数が短い)
  • 過去の信用情報に問題あり(債務整理・延滞歴等)
  • 外国人(永住権なしでも審査可能な場合あり)

審査で重視される項目:

  • 返済比率: 年収に占める年間返済額の割合(30-40%まで柔軟)
  • 物件担保価値: 不動産の評価額を重視(担保割れでも審査可能な場合あり)

融資実行が早い

本審査最短3日: 銀行の1-2週間と比べて大幅に短縮。急ぎの不動産取引に対応できます。

ノンバンクのデメリットと注意点

ノンバンクを選ぶ前に理解すべきデメリットは以下の通りです。

金利が高く総返済額が大幅に増える

具体例(3,000万円・35年ローン):

  • 銀行(金利0.5%): 総返済額約3,200万円
  • ノンバンク(金利3.5%): 総返済額約4,200万円
  • 差額: 約1,000万円

金利差2-4%で数百万円の差が生じるため、シミュレーション必須です。

繰上返済の制約が多い

ノンバンクの制約例注意点解説記事を参照):

  • 年間返済回数制限: 年1回のみ等
  • 返済下限額: 100万円以上のみ等
  • 高額手数料: 数十万円

これらの制約により、借り換えが困難になる場合があります。

悪質業者のリスク

悪質業者の特徴:

  • 貸金業者登録番号未登録
  • 法外な金利(利息制限法超過:元本に応じ年15-20%上限)
  • 強引な営業・不当な取り立て

対策: 金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで必ず確認してください。

ノンバンクの審査基準と住宅ローン控除の適用

審査で重視される項目

返済比率:

  • 年収に占める年間返済額の割合
  • ノンバンクは30-40%まで柔軟(銀行は25-35%)
  • 高いほど審査通過しやすいが、返済負担が増える

物件担保価値:

  • 不動産の担保評価額を重視
  • 担保割れ(ローン残高>物件価値)でも審査可能な場合あり

審査落ちするケース:

  • 無職(返済能力なし)
  • 返済比率超過(年収に対して借入額が多すぎる)

住宅ローン控除は適用されるのか

適用可能: ノンバンクでも返済期間10年以上等の要件を満たせば住宅ローン控除(年末ローン残高の0.7%を所得税から控除、最大13年)が適用されます。

注意点: 金利が高いため、控除額を上回る利息負担となる可能性があります。

シミュレーション例:

  • 控除額: 年末残高3,000万円 × 0.7% = 21万円/年
  • 利息負担(金利3.5%): 約100万円/年(初年度)
  • 差引: 約80万円の実質負担

控除があっても金利の高さで相殺されるため、総返済額の試算が必須です。

ノンバンクを選ぶ前に確認すべきこと

ノンバンクを選ぶ前に、以下を必ず確認してください。

1. まずは銀行・フラット35を検討

ノンバンクは「最終手段」です。複数の銀行やフラット35(住宅金融支援機構と民間金融機関が提携)を検討し、審査に通らなかった場合にノンバンクを選択肢とします。

2. 貸金業者登録番号の確認

金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで貸金業者登録番号を確認。未登録・法外な金利・強引な営業があれば要注意です。

3. 契約前に繰上返済条件を確認

年間返済回数、返済下限額、手数料を必ず確認。借り換えの可能性も考慮してください。

4. 総返済額のシミュレーション

金利差2-4%で数百万円の差が生じます。銀行とノンバンクの総返済額を試算し、どちらが適切か判断してください。

5. 国民生活センターのトラブル事例を参考に

国民生活センターが公表する住宅ローン関連トラブル事例(保険商品の不当販売等)を参考にリスクを理解してください。

まとめ:ノンバンクは金利の高さを理解した上で選択を

ノンバンクは審査が柔軟で融資実行が早いメリットがある一方、金利の高さによる総返済額の増加が最大のデメリットです。銀行で断られた場合の選択肢として検討する価値はありますが、契約前に必ず総返済額を試算し、繰上返済条件を確認することが重要です。

悪質業者を避けるため、貸金業者登録番号を金融庁の検索サービスで確認してください。ノンバンクは「最終手段」であり、まずは銀行・フラット35を検討することを強く推奨します。

よくある質問

Q1ノンバンクなら誰でも住宅ローンを借りられますか?

A1いいえ、ノンバンクも審査があります。銀行より柔軟ですが、返済能力(年収・返済比率)と物件担保価値を重視します。無職や返済比率超過(年収に対して借入額が多すぎる)は審査落ちします。ノンバンクは「誰でも借りられる」わけではなく、返済能力が前提です。

Q2ノンバンクの住宅ローンでも住宅ローン控除は適用されますか?

A2はい、返済期間10年以上等の要件を満たせば適用可能です。年末ローン残高の0.7%を所得税から控除(最大13年)できます。ただし金利が高いため、控除額を上回る利息負担となる可能性があり、シミュレーション必須です。控除があっても総返済額は銀行より大幅に増えます。

Q3ノンバンクの住宅ローンの金利相場はどのくらいですか?

A32025年時点で年3.2-8.4%程度です。銀行(年0.5-1%)と比べて大幅に高く、3,000万円・35年ローンで金利差3%なら総返済額が約1,000万円増加します。金利の高さが最大のデメリットなので、必ず総返済額をシミュレーションしてください。

Q4ノンバンクの住宅ローンの審査期間はどのくらいですか?

A4本審査は最短3日です。銀行(1-2週間)と比べて大幅に短く、審査スピードの速さがメリットの一つです。急ぎの不動産取引や、融資実行を早めたい場合に有利です。ただし、審査が早いからといって金利の高さを軽視してはいけません。

Q5ノンバンクの住宅ローンを選ぶ際、どうやって悪質業者を避けられますか?

A5金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で貸金業者登録番号を確認してください。未登録・法外な金利(利息制限法超過:元本に応じ年15-20%上限)・強引な営業があれば要注意です。正規の金融機関は必ず登録番号が公開されています。