住宅ローン低金利時代の賢い借り方と金利タイプの選び方

公開日: 2025/11/6

住宅ローン低金利時代とは?金利の推移と背景

住宅ローンを検討する際、「低金利時代と言われているけれど、いつまで続くのか」「変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきか」と迷う方は少なくありません。

この記事では、住宅金融支援機構や日本銀行の公式データを基に、低金利時代の背景、変動金利と固定金利の選び方、低金利を活かした賢い借り方を解説します。

初めて住宅ローンを組む方でも、自分の状況に応じた金利タイプを選択できるようになります。

この記事のポイント

  • 2025年10月時点で変動金利は約0.8%、固定金利(フラット35)は約1.9%と歴史的な低水準
  • 日銀の金融政策(2010年代以降のゼロ金利・マイナス金利)が低金利をもたらした
  • 変動金利は低いが金利上昇リスクがあり、固定金利は高いが全期間安心
  • 低金利のメリットを活かすには、借入額を抑える・返済期間を短縮・繰上返済が有効

2025年10月時点の住宅ローン金利は、変動金利が約0.8%、固定金利(フラット35)が約1.9%と、歴史的な低水準にあります。

この低金利環境は、日本銀行の金融政策によってもたらされました。2010年代以降、日銀はゼロ金利政策やマイナス金利政策を実施し、金融機関が住宅ローンを低金利で提供できる環境を整えてきました。

しかし、2025年1月に日銀が政策金利を0.5%に引き上げたことで、今後の金利動向に注目が集まっています。SBI新生銀行の解説によると、変動金利への影響は限定的ですが、将来的な金利上昇の可能性は高まっています。

変動金利と固定金利の比較:メリット・デメリット

住宅ローンを組む際、最も重要な選択の一つが「変動金利」と「固定金利」のどちらを選ぶかです。

変動金利の特徴(低金利・金利上昇リスク・5年ルール・125%ルール)

変動金利は、2025年10月時点で約0.8%と非常に低い水準です。金利が低い分、総返済額を抑えられるメリットがあります。

ただし、将来の金利上昇リスクがある点に注意が必要です。変動金利には「5年ルール」(5年間は返済額が変わらない)と「125%ルール」(返済額見直し時も前回の1.25倍まで)がありますが、金利が上昇すると利息が増え、元本が減らない「未払い利息」が発生するリスクがあります。

住まいサーフィンの解説では、変動金利を選ぶ際は、金利上昇時にも返済できる余裕が必要と指摘されています。

固定金利の特徴(全期間固定・金利上昇への安心・変動より高い)

固定金利(フラット35)は、2025年10月時点で約1.9%です。変動金利より高いですが、全期間金利が固定されるため、将来の金利上昇の影響を受けません。

返済計画が立てやすく、金利上昇への不安がない点が大きなメリットです。特に、長期間(30-35年)のローンを組む場合や、金利上昇リスクを避けたい方に向いています。

金利タイプ選択の判断基準(収入の安定性・リスク許容度・返済期間)

変動金利と固定金利のどちらを選ぶかは、「正解がない個別判断」です。以下の判断基準を参考にしてください。

判断基準 変動金利向き 固定金利向き
収入の安定性 安定している、増加見込みあり 不安定、増加見込みなし
リスク許容度 金利上昇リスクを取れる リスクを避けたい
返済期間 短期(10-20年) 長期(25-35年)
手元資金 余裕がある 余裕がない
返済比率 低い(20%以下) 高い(25%以上)

自分の状況(収入の安定性・リスク許容度・返済期間・家計の余裕度)に応じて判断することが重要です。

低金利のメリットを最大限活かす3つの借り方

低金利時代は住宅購入のチャンスですが、低金利ゆえに高額ローンを組みやすい点に注意が必要です。以下の3つの方法で、低金利のメリットを最大限活かしましょう。

借入額を抑えて無理のない返済計画を立てる

低金利だからといって、借りられる上限まで借りるのは危険です。「借入可能額≠返済可能額」であることを忘れないでください。

年収の5-6倍以内が目安とされていますが、手取り収入の20-25%以内で返済できる額に抑えることが理想です。

返済期間を短縮して総返済額を削減

低金利を活かして、返済期間を短縮することで総返済額を大幅に削減できます。

例えば、3,000万円を金利0.8%で借りた場合:

返済期間 月々返済額 総返済額 利息総額
35年 約8.3万円 約3,490万円 約490万円
25年 約11.0万円 約3,300万円 約300万円

返済期間を10年短縮すると、利息を約190万円削減できます。月々の返済額は増えますが、総返済額を抑えられるメリットは大きいです。

繰上返済を活用して利息負担を軽減

繰上返済には「期間短縮型」(返済期間を短くする)と「返済額軽減型」(月々の返済額を減らす)の2種類があります。

期間短縮型の方が利息削減効果が高いですが、手元資金とのバランスを考慮することが重要です。生活費の6ヶ月分程度は手元に残しておくことが推奨されます。

将来の金利上昇リスクへの備え方

変動金利を選んだ場合、将来の金利上昇に備える方法を知っておくことが重要です。

変動金利選択時の注意点(金利上昇シミュレーション)

金利が1%上昇した場合の返済額増加をシミュレーションしてみましょう。

例えば、3,000万円・35年・0.8%で借りた場合:

金利 月々返済額 増加額
0.8% 約8.3万円 -
1.8% 約9.8万円 約1.5万円
2.8% 約11.4万円 約3.1万円

金利が1%上昇すると、月々の返済額は約1.5万円増加します。家計への影響を事前に確認し、金利上昇時にも返済できる余裕を持つことが重要です。

借り換えのタイミングと手数料

借り換えは、金利差1%以上・残高1000万円以上・残期間10年以上が目安とされています。

ただし、借り換えには手数料(事務手数料・保証料・登記費用等で合計約43万円程度)がかかるため、軽減効果が手数料を上回るかを計算する必要があります。また、返済期間を短縮すると住宅ローン控除を失う可能性もあるため、トータルで判断しましょう。

低金利住宅ローンを選ぶ際の注意点

表面金利の低さだけで選ぶのは危険です。トータルコスト(保証料・事務手数料・団信・繰上返済手数料)で比較することが重要です。

住まいサーフィンの解説によると、事務手数料が借入額の2.2%(3,000万円なら66万円)のケースもあり、初期費用が高額になる場合があります。

保証料0円でも事務手数料が高い商品もあるため、見かけの金利に惑わされないよう注意が必要です。複数の金融機関を比較し、トータルコストで選ぶことをおすすめします。

まとめ:低金利時代の住宅ローンで失敗しないために

低金利時代は住宅購入のチャンスですが、低金利ゆえに高額ローンを組みやすい点に注意が必要です。「借入可能額≠返済可能額」であり、無理のない返済計画を立てることが最優先です。

変動金利と固定金利の選択に正解はなく、自分の状況(収入の安定性・リスク許容度・返済期間・家計の余裕度)に応じて判断することが重要です。

低金利のメリットを最大限活かすには、借入額を抑える、返済期間を短縮する、繰上返済を活用することが有効です。複数の金融機関を比較し、トータルコストで選びましょう。

金融機関や信頼できるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談しながら、将来の金利上昇リスクも考慮した返済計画を立てることをおすすめします。

よくある質問

Q1低金利はいつまで続きますか?

A1将来の金利動向を正確に予測することは誰にもできません。日銀は2025年1月に政策金利を0.5%に引き上げましたが、今後の動向は経済状況次第です。低金利が続く保証はないため、変動金利を選ぶ場合は金利上昇リスクへの備えが必要です。金利が上昇した場合の返済額をシミュレーションし、家計への影響を確認しておきましょう。

Q2変動金利で金利が上がった場合、返済額はどのくらい増えますか?

A2借入額・返済期間・金利上昇幅により異なります。例えば3,000万円・35年・0.8%で借りた場合、金利が1%上昇すると毎月の返済額は約1.5万円増加します。5年ルール・125%ルールで急激な増加は防げますが、元本が減らないリスクがあります。金利上昇時にも返済できる余裕を持つことが重要です。

Q3借り換えのタイミングはいつが良いですか?

A3金利差1%以上・残高1000万円以上・残期間10年以上が目安です。ただし借り換え手数料(43万円程度)が軽減効果を上回るケースもあり、トータルコストで判断する必要があります。返済期間短縮で住宅ローン控除を失う可能性もあるため、金融機関やFPに相談しながら検討しましょう。

Q4保証料0円の住宅ローンはお得ですか?

A4保証料0円でも事務手数料が借入額の2.2%(3,000万円なら66万円)のケースが多いです。保証料型(金利上乗せ0.2%程度)と事務手数料型のトータルコストを比較する必要があります。表面金利の低さだけで判断せず、保証料・事務手数料・団信・繰上返済手数料等を含めたトータルコストで選びましょう。