住宅ローン変動型の仕組みとリスク!固定型との選び方

公開日: 2025/11/6

住宅ローン変動型の仕組みとリスク!

住宅ローンを組む際、「変動型と固定型、どちらを選ぶべきか?」と迷う方は多いでしょう。変動型は低金利がメリットですが、金利上昇リスクもあります。

この記事では、変動型の仕組み(5年ルール・125%ルール)、メリット・デメリット、固定型との比較シミュレーションを金融庁住宅金融支援機構の公式情報を元に解説します。

金利上昇局面に入る可能性がある2025年時点で、自分のリスク許容度に応じた選択ができるようになります。

この記事のポイント

  • 変動型は短期プライムレート連動で半年ごとに金利見直し、低金利が最大のメリット
  • 5年ルール・125%ルールで急激な返済額上昇は抑制されるが、未払利息が累積するリスクあり
  • 固定型と比較すると総返済額で数百万円の差が出るが、金利上昇時は逆転する可能性
  • 変動型に向いている人は繰上返済余力あり・金利動向を注視できる・リスク許容度が高い人
  • 個人の状況により最適解は異なるため、シミュレーションと専門家への相談が推奨される

変動型住宅ローンとは

変動型住宅ローンは、金利が市場の動向に応じて変動する住宅ローンです。以下の特徴があります。

短期プライムレート連動で半年ごとに金利見直し

変動金利は短期プライムレートに連動しています。短期プライムレートとは、金融機関が優良企業向け短期融資に適用する最優遇金利で、日本銀行の政策金利に連動します。

金利見直しは半年ごと(4月・10月が一般的)に行われます。日銀が政策金利を引き上げると、短期プライムレートも上昇し、住宅ローン変動金利も上がる仕組みです。

5年ルール・125%ルールの仕組み

変動型には、金利変動による返済額の急増を抑える2つのルールがあります。

ルール 内容 メリット デメリット
5年ルール 金利が変動しても返済額は5年間一定 返済計画が立てやすい 金利上昇時に元金が減らず未払利息が発生
125%ルール 返済額見直し時、直前返済額の1.25倍が上限 返済額の急増を抑制 未払利息は元金に組み入れられ総返済額が増加

未払利息とは、金利上昇時に返済額が利息に満たない場合、返済できなかった利息のことです。元金に組み入れられ、総返済額が増加するリスクがあります。

5年ルール・125%ルールは「緩和措置」であり、金利上昇リスクをゼロにするものではない点に注意が必要です。

最新の変動金利動向(2025年10月時点)

金融庁の分析(2025年1月)によると、低金利環境で変動金利選択が増加しています。2025年10月時点の変動金利は0.6-0.8%程度で、日銀政策変更により上昇傾向にあります。

約8割が変動金利を選択(2025年4月調査)しており、変動型は主流の選択肢となっています。

変動型のメリット

低金利で総返済額を抑えられる

最大のメリットは低金利です。固定金利(1.5%程度)より0.7-0.9%程度低く、総返済額を大幅に抑えられます。

シミュレーション例(借入3,000万円・返済期間35年)

金利タイプ 金利 月々返済額 総返済額 差額
変動0.5% 0.5% 7.7万円 約3,230万円 -
固定1.5% 1.5% 9.2万円 約3,850万円 +620万円

変動0.5%なら総返済額が約3,230万円、固定1.5%なら約3,850万円と、620万円の差が出ます。

金利下降局面では返済額が減少

金利下降局面では半年ごとの見直しで金利が下がり、返済額も減少します。家計に余裕が生まれ、繰上返済や貯蓄に回すことができます。

変動型のデメリット

金利上昇リスク(日銀政策変更の可能性)

金融庁の分析によると、金利上昇局面での債務負担増加が懸念されています。日銀が政策金利を引き上げると、変動金利も上昇します。

2025年時点では日銀がゼロ金利政策から転換する可能性があり、今後の金利上昇リスクに注意が必要です。

未払利息の累積リスク

金利上昇時、5年ルール・125%ルールにより返済額は一定期間抑制されますが、元金が減らず利息が累積する副作用があります。

未払利息の例

  • 金利上昇により月々の利息が10万円に増加
  • 5年ルールにより返済額は月8万円で据え置き
  • 差額2万円が未払利息として累積
  • 未払利息は元金に組み入れられ、総返済額が増加

SBI新生銀行の解説によると、未払利息の累積リスクと返済計画の重要性が強調されています。

返済計画が不確定

変動金利は将来の金利が不確定なため、長期的な返済計画が立てにくいというデメリットがあります。家計管理や将来設計において不安要素となる可能性があります。

固定型との比較

返済額シミュレーション(借入3,000万円・35年)

変動0.5% vs 固定1.5%の比較シミュレーションです。

項目 変動0.5% 固定1.5%
月々返済額 7.7万円 9.2万円
総返済額 約3,230万円 約3,850万円
差額 - +620万円

変動型の方が月々1.5万円、総額で620万円安くなります。

金利上昇時の影響(変動1.0%→2.0%)

変動金利が1.0%→2.0%に上昇した場合の影響を試算します。

金利 月々返済額 総返済額 差額
変動0.5% 7.7万円 約3,230万円 -
変動2.0%(上昇後) 10.0万円 約4,200万円 +970万円
固定1.5% 9.2万円 約3,850万円 +620万円

変動金利が2.0%まで上昇すると、月々10.0万円(+2.3万円)、総返済額約4,200万円(+970万円)となり、固定型より不利になります。

表形式での比較(金利・返済額・総返済額・リスク)

項目 変動型 固定型
金利 0.6-0.8%(2025年10月時点) 1.5%程度
返済額 低いが変動する 高いが一定
総返済額 金利上昇なしなら低い 確定
リスク 金利上昇で返済額増加・未払利息累積 金利下降の恩恵を受けられない
向いている人 繰上返済余力あり・金利動向注視可能・リスク許容度高い 返済計画確定したい・金利上昇不安・長期安定志向

変動型と固定型の選び方

変動型に向いている人(繰上返済余力あり、金利動向注視可能、リスク許容度高い)

以下のような方は変動型が向いています。

  • 繰上返済余力がある: 金利上昇時に繰上返済で元金を圧縮できる余裕があれば、変動型のメリットを最大化できます
  • 金利動向を注視できる: 日銀の政策金利や短期プライムレートの動向を定期的にチェックし、必要に応じて固定型への借り換えを検討できる方
  • リスク許容度が高い: 金利上昇により返済額が増加するリスクを受け入れられる方

固定型に向いている人(返済計画確定したい、金利上昇不安、長期安定志向)

以下のような方は固定型が向いています。

  • 返済計画を確定したい: 将来の返済額を確定し、長期的な家計管理を安定させたい方
  • 金利上昇が不安: 金利上昇により返済額が増加することに不安を感じる方
  • 長期安定志向: 低金利より安心感を重視する方

住宅金融支援機構のガイドでは、金利上昇局面での住宅ローン選択について、両者の特性を理解した上で判断することが推奨されています。

専門家(ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー)への相談も有効です。

まとめ

変動型住宅ローンは低金利がメリットですが、金利上昇リスクがあります。5年ルール・125%ルールで急激な返済額上昇は抑制されますが、未払利息が累積するリスクも理解しておく必要があります。

固定型との比較シミュレーションでは、変動型の方が総返済額で数百万円安くなりますが、金利上昇時には逆転する可能性があります。

変動型に向いているのは繰上返済余力があり、金利動向を注視でき、リスク許容度が高い人です。固定型に向いているのは返済計画を確定したい、金利上昇が不安、長期安定志向の人です。

自分のリスク許容度に応じて選択し、専門家への相談や返済シミュレーションツールの活用も検討しましょう。

よくある質問

Q1変動金利はどのくらいの頻度で見直されますか?

A1半年ごとに金利見直し(4月・10月が一般的)が行われます。ただし5年ルールにより返済額は5年間一定です。見直し時も125%ルールで返済額の急増を抑制しますが、未払利息が発生する可能性があります。

Q25年ルール・125%ルールで安心できますか?

A2急激な返済額上昇は抑制されますが、金利上昇時に元金が減らず利息が累積する副作用があります。未払利息は元金に組み入れられ、総返済額が増加するリスクがあります。安心材料ではなく「緩和措置」と理解すべきです。

Q3変動型に向いている人はどんな人ですか?

A3繰上返済余力がある、金利動向を注視できる、リスク許容度が高い人です。金利上昇時に繰上返済で元金を圧縮できる余裕があれば、変動型のメリットを最大化できます。

Q4変動型から固定型への借り換えタイミングは?

A4金利上昇局面に入る前(日銀の政策変更前)が理想です。ただし借り換え手数料(数十万円)と金利差を試算して判断してください。残期間が長く、変動金利の上昇幅が大きい場合に有効です。