固定資産税証明書とは?主な用途
住宅ローン申請や不動産売買、相続手続きなどで「固定資産税証明書」の提出を求められ、「どこで取得できるのか」「どんな書類が必要なのか」と戸惑う方は少なくありません。
この記事では、固定資産税証明書の種類、取得方法、必要書類、手数料、代理人申請の方法を、東京都主税局・各自治体の公式情報を元に解説します。
初めて固定資産税証明書を取得する方でも、窓口に行く前に必要な準備を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税証明書は「評価証明書」と「公課証明書」の2種類があり、用途により必要な書類が異なる
- 評価証明書は評価額を証明し住宅ローン申請・相続登記で使用、公課証明書は税額も記載し確定申告・補助金申請で使用
- 取得方法は窓口・郵送・コンビニ交付の3つ、コンビニ交付はマイナンバーカード必須で手数料が100円安い
- 代理人申請は委任状(委任者の住所・氏名・押印・生年月日を記載)と代理人の本人確認書類が必要
- 最新年度の証明書は毎年4月1日以降にならないと発行されず、登記には最新年度が必要
固定資産税証明書は、固定資産課税台帳に登録された評価額や税額を証明する書類です。大きく2種類あります。
評価証明書と公課証明書の違い
東京都主税局の公式サイトによると、固定資産税証明書は以下の2種類に分かれます。
| 種類 | 記載内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 固定資産税評価証明書 | 所在地、地目または構造、地積または床面積、評価額 | 住宅ローン申請、相続登記、不動産売買 |
| 固定資産税公課証明書 | 評価証明書の内容+課税標準額+税相当額 | 確定申告、補助金申請、不動産売買時の固定資産税日割り計算 |
生駒市の公式FAQによると、評価証明書は評価額のみ記載、公課証明書は税額も記載されるため、用途により必要な書類が異なります。
住宅ローン申請では評価証明書、確定申告では公課証明書が一般的です。用途を誤ると再取得が必要になるため、事前に提出先に確認することを推奨します。
名寄帳(なよせちょう)との違い
名寄帳は、所有者ごとにすべての固定資産をまとめた一覧表です。複数の土地・建物を所有する場合に全体像を把握するために使用します。証明書ではなく、参考資料として扱われます。
固定資産税証明書の取得方法
固定資産税証明書の取得方法は3つあります。それぞれのメリット・デメリットを比較します。
窓口申請(市区町村役場)
市区町村役場の資産税課(または税務課)で申請します。即日交付が可能で、不明点をその場で確認できる点がメリットです。
メリット:
- 即日交付(5-15分程度)
- 不明点をその場で確認できる
- 本人確認がスムーズ
デメリット:
- 平日のみ(土日祝は閉庁)
- 窓口の混雑状況により待ち時間が発生
郵送申請
郵送で申請書・手数料(定額小為替)・返信用封筒を送付します。平日に役場に行けない場合に便利ですが、1-2週間かかります。
メリット:
- 平日に役場に行けない場合でも取得可能
- 遠方の不動産でも申請可能
デメリット:
- 1-2週間かかる
- 定額小為替の購入が必要(郵便局で購入、手数料100円)
コンビニ交付(マイナンバーカード)
マイナンバーカードを利用して、コンビニのマルチコピー機で取得します。大阪市の公式サイトによると、利用時間は6時30分から23時までで、手数料は窓口より100円安い場合が多いです。
メリット:
- 6時30分から23時まで利用可能
- 手数料が窓口より100円安い(自治体による)
- 全国のコンビニで取得可能
デメリット:
- マイナンバーカード必須
- 対応していない自治体がある(事前に公式サイトで確認)
対応自治体は、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)のコンビニ交付サービスで確認できます。
固定資産税証明書の取得に必要な書類と手数料
取得時に必要な書類と手数料を確認します。
本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
窓口申請の場合、本人確認書類が必須です。以下のいずれかを持参してください。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート
- 健康保険証(+住民票等の補助書類が必要な場合あり)
本人確認書類を忘れると交付されないため、注意が必要です。
代理人の場合は委任状
東京都主税局の公式サイトによると、本人以外が申請する場合、委任状が必要です。
委任状の必須記載事項:
- 委任者(本人)の住所・氏名・押印・生年月日・電話番号
- 代理人の住所・氏名・生年月日
- 委任する内容(「固定資産税評価証明書の取得」等)
- 委任日
委任状のひな形は、各自治体の公式サイトからダウンロードできます。委任状が不備(押印漏れ、生年月日欠落等)の場合、窓口で交付されないため、事前に確認してください。
例外: 相続人・借地人等は委任状不要の場合がありますが、自治体により異なるため、事前に確認することを推奨します。
手数料(200-400円程度)
東京都主税局の公式サイトによると、手数料は自治体により異なります。
| 取得方法 | 手数料の相場 |
|---|---|
| 窓口申請 | 300-400円 |
| 郵送申請 | 300-400円+定額小為替手数料100円 |
| コンビニ交付 | 200-300円(窓口より100円安い) |
2件目以降は割引が適用される自治体もあります(例: 東京都23区では2件目以降200円)。詳細は各自治体の公式サイトで確認してください。
評価証明書と公課証明書の違いと使い分け
評価証明書と公課証明書の記載内容の違いを表で比較します。
| 項目 | 評価証明書 | 公課証明書 |
|---|---|---|
| 所在地 | ○ | ○ |
| 地目または構造 | ○ | ○ |
| 地積または床面積 | ○ | ○ |
| 評価額 | ○ | ○ |
| 課税標準額 | × | ○ |
| 税相当額 | × | ○ |
| 主な用途 | 住宅ローン申請、相続登記 | 確定申告、補助金申請、固定資産税日割り計算 |
住宅ローン申請・登記には評価証明書、確定申告・不動産売買時の固定資産税日割り計算には公課証明書が一般的です。
用途を誤ると再取得が必要になるため、事前に提出先に「評価証明書と公課証明書のどちらが必要か」を確認してください。
固定資産税証明書の取得時の注意点
取得時の3つの注意点を解説します。
最新年度は4月1日以降に発行
最新年度の証明書は、毎年4月1日以降にならないと発行されません。3月中に取得しようとすると、前年度の証明書しか発行されず、登記等で使用できない場合があります。
登記には最新年度の証明書が必要なため、4月1日以降に取得してください。
取得できる人(本人・代理人・相続人・借地人)
東京都主税局の公式サイトによると、固定資産税証明書を取得できる人は以下の通りです。
- 納税義務者(所有者)
- 借地権者・借家人(賃貸借契約書等の証明書が必要)
- 相続人(戸籍謄本等の証明書が必要)
- 代理人(委任状+本人確認書類が必要)
本人以外が取得する場合、委任状または関係を証明する書類が必要です。詳細は自治体の公式サイトで確認してください。
登記事項証明書(登記簿謄本)との違い
固定資産税証明書と登記事項証明書(登記簿謄本)は、発行機関・用途が異なります。
| 項目 | 固定資産税証明書 | 登記事項証明書 |
|---|---|---|
| 発行機関 | 市区町村(資産税課) | 法務局 |
| 記載内容 | 評価額、税額 | 所有権、抵当権等の権利関係 |
| 主な用途 | 住宅ローン申請、確定申告 | 所有権移転登記、抵当権設定 |
固定資産税証明書は市区町村、登記事項証明書は法務局で取得します。混同して誤った窓口に行かないよう注意してください。
まとめ:固定資産税証明書の取得前に確認すべきこと
固定資産税証明書を取得する前に、以下の3点を確認してください。
- 用途: 評価証明書(住宅ローン申請・相続登記)または公課証明書(確定申告・補助金申請)のどちらが必要か
- 最新年度の必要性: 登記には最新年度が必要(4月1日以降に取得)
- 取得方法: 窓口(即日)、郵送(1-2週間)、コンビニ交付(マイナンバーカード必須)
代理人申請は委任状(委任者の住所・氏名・押印・生年月日を記載)と代理人の本人確認書類が必須です。自治体により手数料・手続きが異なるため、公式サイトで事前確認を推奨します。
窓口に持参する書類リスト:
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)
- 代理人の場合は委任状+代理人の本人確認書類
- 手数料(300-400円程度、自治体により異なる)
不明点は市区町村の資産税課に電話で確認し、スムーズに取得できるよう準備しましょう。
