空き家の活用・管理・処分を完全ガイド|選択肢とメリット・デメリットを徹底比較

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/29

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空き家問題の深刻化と早期対応の重要性

相続や転居により空き家を所有している方、または今後所有予定の方にとって、空き家の維持管理や固定資産税の負担、空家特措法のリスクは大きな懸念事項です。放置すると税負担が増加し、建物の劣化も加速します。

この記事では、空き家を放置するリスク、活用・売却・解体などの選択肢、税制優遇や補助金制度を、国土交通省の公式情報国税庁の税制優遇情報を元に解説します。

立地・建物状態・所有者の状況に応じた最適な対応策を理解し、損失を防ぐことができるようになります。

この記事のポイント

  • 2024年最新統計で空き家数約900万戸、空き家率13.8%と過去最多を更新
  • 特定空家に指定されると固定資産税が最大6倍に増額、管理不全空家等(2023年改正で新設)により早期段階で行政指導の可能性
  • 空き家の選択肢は売却・賃貸活用・解体・空き家バンク登録・適切な管理継続の5つ
  • 2024年4月施行の相続登記義務化により3年以内の登記が必須(違反で10万円以下の過料)

(1) 2024年最新統計:空き家数約900万戸、空き家率13.8%

2024年の調査によると、全国の空き家数は約900万戸で過去最多となりました。空き家率は13.8%に上昇し、約7軒に1軒が空き家という状況です。

高齢化・人口減少により、今後も空き家は増加する見込みです。

(2) 相続・転居による空き家の急増

空き家が増加する主な原因は以下の通りです。

  • 相続: 親が住んでいた家を相続したが、自分は別の場所に住んでいる
  • 転居: 転勤・引っ越しにより住まなくなった
  • 施設入所: 高齢者が介護施設等に入所し、自宅が空き家になった

(3) 早期対応が損失を防ぐ理由

空き家を放置すると、以下のような損失が発生します。

  • 固定資産税の負担(年間数万円~数十万円)
  • 建物の劣化(雨漏り、害虫、倒壊リスク)
  • 資産価値の減少

早期に売却・活用・解体などの対応をすることで、これらの損失を防ぐことができます。

空き家を放置するリスクと法的規制

空き家を放置することで発生するリスクと、空家特措法による法的規制を理解しましょう。

(1) 固定資産税の増額(特定空家指定で最大6倍)

通常、住宅用地には固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が適用され、税額が1/6に軽減されます。しかし、特定空家に指定されるとこの特例が外れ、税額が最大6倍に増額されます。

例えば、年間3万円だった固定資産税が18万円に増加する可能性があります。

(2) 建物の劣化加速と損害賠償リスク

空き家を放置すると、以下のような問題が発生します。

  • 建物の劣化加速: 雨漏り、害虫、カビの発生
  • 倒壊リスク: 老朽化により倒壊の危険
  • 損害賠償リスク: 倒壊・火災等で第三者に被害を与えた場合、所有者が損害賠償責任を負う
  • 近隣トラブル: 景観悪化、防犯上の問題、ゴミの不法投棄

(3) 空家特措法の改正:管理不全空家等の新設(2023年)

2023年12月13日に空家等対策特別措置法が改正され、「管理不全空家等」という新カテゴリーが設置されました。

(出典: 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」

管理不全空家等とは、特定空家になる前の段階で管理が不十分な空き家のことです。この指定により、より早期段階で行政指導を受ける可能性があります。

(4) 特定空家・管理不全空家への行政指導と強制措置

特定空家または管理不全空家等に指定されると、以下の段階的な措置が取られます。

  1. 助言・指導: 市町村からの改善要請
  2. 勧告: 勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れる
  3. 命令: 改善命令に従わない場合、50万円以下の過料
  4. 行政代執行: 所有者に代わって市町村が解体等を実施し、費用を請求

空き家の主な選択肢と状況別の比較

空き家の対応策には複数の選択肢があります。状況に応じて最適な方法を選びましょう。

(1) 売却(仲介・買取):立地が良く買い手が見込める場合

適した状況:

  • 駅近・都市部など立地が良い
  • 早期に処分したい
  • 維持管理の負担を避けたい

メリット:

  • まとまった現金を得られる
  • 固定資産税・維持管理費が不要になる
  • 3,000万円特別控除が活用できる(要件あり)

デメリット:

  • 譲渡所得税がかかる場合がある
  • 仲介手数料等の費用が発生
  • 買い手が見つからない場合は売却できない

(2) 賃貸活用(住宅・店舗・民泊):継続的な収入を得たい場合

適した状況:

  • 立地が良く賃貸需要がある
  • リフォーム費用を捻出できる
  • 継続的な収入を得たい

メリット:

  • 家賃収入を得られる
  • 物件を保有し続けられる
  • 将来的に自己使用や売却も可能

デメリット:

  • 管理コスト(修繕費、管理会社への委託費等)
  • 空室リスク
  • 確定申告が必要

(3) 解体・更地化:建物が老朽化し活用困難な場合

適した状況:

  • 建物が老朽化し修繕困難
  • 活用・売却が見込めない
  • 更地にして駐車場等に活用したい

メリット:

  • 特定空家指定のリスクを回避
  • 更地として活用しやすくなる
  • 売却しやすくなる場合がある

デメリット:

  • 解体費用(100万円~300万円程度)
  • 更地にすると固定資産税の軽減措置が外れる
  • 解体補助金の活用が可能な場合がある

(4) 空き家バンク登録:地方物件で売却・賃貸希望の場合

適した状況:

  • 地方の物件で通常の仲介では買い手・借り手が見つかりにくい
  • 仲介手数料を抑えたい

メリット:

  • 自治体が運営し、仲介手数料が不要または割安
  • 移住希望者とのマッチング
  • 自治体の補助金制度と連携している場合がある

デメリット:

  • 成約までに時間がかかる場合がある
  • 地域によっては登録物件が多く競合が激しい

(出典: 国土交通省「空き家・空き地バンク総合情報ページ」

(5) 適切な管理継続:将来的に活用予定がある場合

適した状況:

  • 将来的に自己使用や家族が使用する予定がある
  • 思い入れがあり手放したくない

メリット:

  • 物件を保有し続けられる
  • 将来的に活用・売却の選択肢が残る

デメリット:

  • 固定資産税・維持管理費の負担
  • 定期的な管理(通風、清掃、修繕等)が必要
  • 放置すると劣化が加速

売却と賃貸活用の実務ガイド

売却と賃貸活用の具体的な手順とポイントを解説します。

(1) 売却のメリット:維持管理費不要、3,000万円控除の活用

空き家を売却する最大のメリットは、維持管理費が不要になることです。また、被相続人の居住用財産の特例により、最高3,000万円(令和6年以降、相続人が3人以上の場合は2,000万円)の控除を受けられる場合があります。

(出典: 国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

(2) 売却の手順:査定・仲介手数料(800万円以下は33万円上限)

売却の流れ:

  1. 不動産会社に査定を依頼
  2. 仲介契約を締結
  3. 売却活動(広告、内覧等)
  4. 売買契約を締結
  5. 決済・引き渡し

2024年7月1日より、800万円以下の空き家の仲介手数料上限が33万円(税込)に改正されました。これにより、低額物件でも不動産会社が仲介しやすくなりました。

(3) 賃貸のメリット:継続収入、物件の維持

賃貸活用の最大のメリットは、継続的な家賃収入を得られることです。また、物件を保有し続けることで、将来的に自己使用や売却の選択肢も残ります。

(4) 賃貸のデメリット:管理コスト、空室リスク、修繕費用

賃貸活用には以下のデメリットがあります。

  • 管理コスト: 管理会社への委託費(家賃の5-10%)、修繕費用
  • 空室リスク: 借り手が見つからない場合、家賃収入が得られない
  • 確定申告: 家賃収入は不動産所得として申告が必要

リフォーム費用が高額になる場合は、売却の方が有利な場合もあります。

空き家対策の支援制度と法改正のポイント

空き家対策には様々な支援制度があります。最新の法改正もチェックしましょう。

(1) 3,000万円特別控除(要件:昭和56年5月31日以前建築、相続開始3年以内)

被相続人の居住用財産の特例では、以下の要件を満たすと最高3,000万円(令和6年以降、相続人が3人以上の場合は2,000万円)の控除を受けられます。

主な要件:

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋
  • 相続開始から3年以内の売却
  • 被相続人が居住していた家屋

詳細な要件は複雑なため、税理士への相談を推奨します。

(2) 2024年4月施行:相続登記義務化(3年以内、違反で10万円以下過料)

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料が科されます。

過去の相続も対象となるため、未登記の不動産がある場合は早期に対応しましょう。

(3) 各自治体の補助金制度(解体費用補助、リフォーム補助)

多くの自治体では、空き家対策の補助金制度を設けています。

  • 解体費用補助: 解体費用の一部を補助(上限50万円~100万円程度)
  • リフォーム補助: 空き家を賃貸・売却する際のリフォーム費用を補助
  • 空き家バンク登録奨励金: 空き家バンクに登録すると奨励金を支給

各自治体のホームページで詳細を確認し、申請期限に注意しましょう。

(4) 空家等活用促進区域制度(2023年改正で新設)

2023年の空家特措法改正により、空家等活用促進区域制度が新設されました。市町村が指定する区域内では、空き家の活用を促進するための特例措置が適用されます。

まとめ:状況別の判断基準と専門家への相談

空き家の対応策は、立地・建物状態・所有者の状況により異なります。特定空家指定や相続登記義務化などの法的リスクを避けるため、早期対応が重要です。

売却・賃貸活用・解体・空き家バンク登録・適切な管理継続の5つの選択肢から、自分の状況に合った方法を選びましょう。3,000万円特別控除や各自治体の補助金制度を活用することで、費用負担を軽減できます。

詳細は不動産会社、税理士、司法書士などの専門家への相談を推奨します。

(1) 立地・建物状態・所有者の状況で選択肢を判断

立地が良い場合: 売却または賃貸活用 立地が悪い場合: 空き家バンク登録、解体 建物が老朽化: 解体、売却(解体前提) 将来的に活用予定: 適切な管理継続

(2) 専門家への相談先(不動産会社・税理士・司法書士)

  • 不動産会社: 売却・賃貸の査定、仲介
  • 税理士: 3,000万円控除の適用、譲渡所得税の計算
  • 司法書士: 相続登記、所有権移転登記

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よくある質問

Q1空き家を放置するとどうなる?

A1特定空家に指定されると固定資産税が最大6倍に増額されます。また、建物の劣化が加速し、雨漏り・害虫・倒壊リスクが発生します。近隣トラブル(景観悪化・防犯上の問題)や、倒壊・火災等で第三者に被害を与えた場合の損害賠償リスクもあります。2023年改正で管理不全空家等という新カテゴリーが追加され、より早期段階で行政指導を受ける可能性があります。

Q2特定空家に指定される基準は?

A2倒壊の危険がある、衛生上有害である、景観を損なう、周辺の生活環境に悪影響を及ぼすといった基準に該当する空き家が対象です。指定されると固定資産税の住宅用地特例が外れ、税額が最大6倍になります。さらに、市町村から助言・指導、勧告、命令が段階的に行われ、最終的には行政代執行により強制的に解体され、費用を請求されます。

Q3空き家売却の3,000万円控除の要件は?

A3昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続開始から3年以内に売却すること、被相続人が居住していた家屋であることが主な条件です。令和6年以降、相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円に減額されます。要件は複雑で個別事情により異なるため、税理士への相談を推奨します。

Q4相続登記の義務化はいつから?

A42024年4月1日から施行されました。相続を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料が科されます。過去の相続も対象となるため、未登記の不動産がある場合は早期に対応が必要です。司法書士に相談し、速やかに登記手続きを行いましょう。

Q5空き家バンクとは?どう活用する?

A5自治体が運営する空き家の情報提供システムです。売却・賃貸希望者が登録し、買い手・借り手を探すことができます。仲介手数料が不要または割安な場合があり、移住希望者とのマッチングも行われます。地方物件に有効で、各自治体の補助金制度と連携している場合もあります。国土交通省の公式サイトから全国の空き家バンク情報を確認できます。

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Room Match編集部

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