平屋と2階建て、固定資産税はどちらが高い?
新築住宅を検討する際、「平屋と2階建てのどちらを選ぶべきか」と悩む方は少なくありません。固定資産税の違いは、長期的なコストに大きく影響するため、事前に正確な情報を把握しておくことが重要です。
この記事では、平屋と2階建ての固定資産税の違い、計算方法、固定資産税を抑えるコツを総務省の公式情報を元に解説します。
この記事のポイント
- 同じ延床面積の場合、平屋の方が固定資産税が約1.1〜1.5倍高くなる傾向がある
- 平屋は基礎と屋根の面積が約2倍必要で、建材も多く使用するため評価額が高くなる
- 固定資産税は固定資産税評価額×標準税率1.4%で計算される
- 新築住宅は3年間(認定長期優良住宅等は5年間)税額が1/2に軽減される
- 木造建築を選ぶ、シンプルな間取りで建材を抑える等の方法で固定資産税を抑えることができる
一般的な傾向:同じ延床面積なら平屋の方が高い
平屋と2階建てで、延床面積が同じ場合、平屋の方が固定資産税が高くなる傾向があります。税額差の目安は約1.1〜1.5倍です。
例えば、延床面積100㎡の住宅の場合、2階建ての固定資産税が年間10万円だとすると、平屋の固定資産税は年間11万円〜15万円程度になる可能性があります。
この差は、平屋の方が基礎や屋根の面積が大きく、建材も多く使用するため、固定資産税評価額が高くなることに起因します。
平屋の固定資産税が高くなる理由(基礎・屋根面積の影響)
平屋の固定資産税が高くなる理由は、以下の2点です。
- 基礎面積が約2倍:延床面積100㎡の住宅の場合、2階建ては1階50㎡・2階50㎡で基礎面積50㎡ですが、平屋は基礎面積100㎡が必要
- 屋根面積が約2倍:2階建ては屋根面積50㎡程度ですが、平屋は屋根面積100㎡程度が必要
基礎と屋根の面積が大きいほど、建材(コンクリート、屋根材等)が多く必要になり、建築コストが上がります。固定資産税評価額は建築コストを基に算定されるため、平屋の方が評価額が高くなります。
税額差の目安:約1.1〜1.5倍
平屋と2階建ての固定資産税の税額差は、建物の設計や仕様により異なりますが、一般的には約1.1〜1.5倍が目安です。
| 延床面積 | 2階建ての固定資産税(年間) | 平屋の固定資産税(年間) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 100㎡ | 10万円 | 11万円〜15万円 | 1万円〜5万円 |
| 120㎡ | 12万円 | 13.2万円〜18万円 | 1.2万円〜6万円 |
| 150㎡ | 15万円 | 16.5万円〜22.5万円 | 1.5万円〜7.5万円 |
(注:上記はあくまで目安であり、実際の税額は固定資産税評価額、市区町村の税率、軽減措置の適用状況により異なります)
固定資産税の計算方法と仕組み
固定資産税とは?課税の基本(標準税率1.4%)
固定資産税とは、土地・家屋・償却資産に対して課される市区町村税です。総務省によると、標準税率は1.4%です。
固定資産税の計算式は以下の通りです。
固定資産税 = 固定資産税評価額 × 標準税率1.4%
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税されます。市区町村から送付される納税通知書に基づき、年4回(通常4月、7月、12月、翌年2月)に分けて納付します。
固定資産税評価額の決まり方
固定資産税評価額は、総務大臣が定める「固定資産評価基準」に基づき、市区町村長が決定します。建物の固定資産税評価額は、以下の要素により算定されます。
- 建物の構造:木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等(木造が最も評価額が低い)
- 建築面積:基礎・屋根の面積が大きいほど評価額が高い
- 延床面積:延床面積が大きいほど評価額が高い
- 建築年数:築年数が経過するほど評価額が下がる(経年減価補正率が適用される)
- 設備・仕様:床暖房、太陽光発電、高級設備等があると評価額が上がる
平屋は基礎・屋根の面積が大きいため、2階建てより評価額が高くなる傾向があります。
新築住宅の軽減措置(3年間または5年間、税額1/2)
新築住宅には、固定資産税の軽減措置が適用されます。総務省によると、軽減措置の内容は以下の通りです。
| 住宅の種類 | 軽減期間 | 軽減内容 |
|---|---|---|
| 一般住宅 | 新築から3年間 | 税額を1/2に軽減(床面積120㎡までの部分) |
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 新築から5年間 | 税額を1/2に軽減(床面積120㎡までの部分) |
軽減期間終了後は、本来の税額(約2倍)に戻ります。資金計画を立てる際は、軽減期間終了後の税額も考慮しておくことが重要です。
例えば、固定資産税評価額1,000万円の住宅の場合、軽減措置適用時は年間7万円(1,000万円×1.4%×1/2)、軽減期間終了後は年間14万円(1,000万円×1.4%)となります。
評価替えの仕組み(3年ごと)
固定資産税評価額は、3年ごとに見直されます(評価替え)。評価替えにより、建物の経年劣化を反映し、評価額が下がる場合があります。
ただし、土地の評価額は地価の変動により上がる場合もあります。固定資産税は3年ごとに変動する可能性があるため、毎年送付される納税通知書で税額を確認することが重要です。
平屋と2階建ての固定資産税比較
基礎面積の違いが評価額に与える影響
平屋と2階建てで延床面積が同じ場合、平屋の方が基礎面積が約2倍必要です。基礎工事に使用するコンクリートの量が多いため、建築コストが上がり、固定資産税評価額も高くなります。
例えば、延床面積100㎡の住宅の場合、2階建ては基礎面積50㎡、平屋は基礎面積100㎡が必要です。基礎工事費用は1㎡あたり2万円〜3万円程度が目安なので、平屋の方が100万円〜150万円程度建築コストが高くなります。
この建築コストの差が、固定資産税評価額の差につながります。
屋根面積の違いが評価額に与える影響
平屋は屋根面積も約2倍必要です。屋根工事に使用する屋根材(瓦、スレート、金属等)の量が多いため、建築コストが上がり、固定資産税評価額も高くなります。
例えば、延床面積100㎡の住宅の場合、2階建ては屋根面積50㎡程度、平屋は屋根面積100㎡程度が必要です。屋根工事費用は1㎡あたり5,000円〜1万円程度が目安なので、平屋の方が25万円〜50万円程度建築コストが高くなります。
土地の固定資産税の違い(平屋は広い土地が必要)
平屋を建てるには、2階建てより広い土地が必要です。土地の固定資産税も考慮する必要があります。
例えば、延床面積100㎡の住宅を建てる場合、建ぺい率60%の土地では以下の土地面積が必要です。
- 2階建て:建築面積50㎡ → 土地面積83.3㎡(50㎡÷0.6)
- 平屋:建築面積100㎡ → 土地面積166.7㎡(100㎡÷0.6)
土地の固定資産税評価額が1㎡あたり5万円の場合、土地の固定資産税は以下のようになります。
- 2階建て:83.3㎡×5万円×1.4% = 年間5.8万円程度
- 平屋:166.7㎡×5万円×1.4% = 年間11.7万円程度
平屋の方が土地の固定資産税も約2倍高くなります。
具体的なシミュレーション例
延床面積100㎡の住宅(木造)を建てる場合の固定資産税シミュレーションは以下の通りです。
2階建て
- 建物の固定資産税評価額:800万円
- 建物の固定資産税:800万円×1.4% = 年間11.2万円
- 新築軽減措置適用時(3年間):年間5.6万円(11.2万円×1/2)
- 土地の固定資産税:年間5.8万円
- 合計(軽減措置適用時):年間11.4万円
- 合計(軽減措置終了後):年間17万円
平屋
- 建物の固定資産税評価額:1,000万円(基礎・屋根面積が約2倍)
- 建物の固定資産税:1,000万円×1.4% = 年間14万円
- 新築軽減措置適用時(3年間):年間7万円(14万円×1/2)
- 土地の固定資産税:年間11.7万円
- 合計(軽減措置適用時):年間18.7万円
- 合計(軽減措置終了後):年間25.7万円
税額差
- 軽減措置適用時:年間7.3万円の差(平屋の方が高い)
- 軽減措置終了後:年間8.7万円の差(平屋の方が高い)
(注:上記はあくまで目安であり、実際の税額は固定資産税評価額、市区町村の税率、軽減措置の適用状況により異なります)
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固定資産税を抑えるコツと節税方法
木造建築を選ぶ(鉄骨造・RC造より評価額が低い)
建物の構造により、固定資産税評価額が異なります。一般的に、木造 < 鉄骨造 < 鉄筋コンクリート造の順で評価額が高くなります。
固定資産税を抑えたい場合は、木造建築を選ぶことを推奨します。木造は鉄骨造やRC造より評価額が20%〜30%程度低くなる傾向があります。
シンプルな間取りで建材を抑える
複雑な間取りや高級設備を追加すると、建築コストが上がり、固定資産税評価額も高くなります。固定資産税を抑えたい場合は、以下の方法を推奨します。
- シンプルな間取り:部屋数を減らし、廊下を最小限にする
- 標準仕様を選ぶ:床暖房、太陽光発電等の高級設備を避ける
- 外壁材を抑える:高級外壁材(タイル、塗り壁等)を避け、サイディングを選ぶ
緩やかな屋根勾配を選ぶ
屋根勾配が急だと、屋根面積が増え、屋根材の使用量が多くなります。固定資産税を抑えたい場合は、緩やかな屋根勾配を選ぶことを推奨します。
緩やかな屋根勾配(3寸勾配〜4寸勾配)を選ぶことで、屋根面積を10%〜20%程度削減できます。
小屋裏収納・ロフトを活用する(登記床面積を減らす)
小屋裏収納やロフトは、一定の条件を満たせば登記床面積に算入されません。登記床面積を減らすことで、固定資産税評価額を抑えることができます。
小屋裏収納・ロフトが登記床面積に算入されない条件は以下の通りです。
- 天井高1.4m以下
- 小屋裏収納の床面積が直下階の1/2以下
- 固定式のはしごがない(可動式のはしごならOK)
これらの条件を満たすことで、小屋裏収納・ロフトを登記床面積に算入せず、固定資産税を抑えることができます。
新築住宅特例を最大限活用する
新築住宅は3年間(認定長期優良住宅等は5年間)税額が1/2に軽減されます。この軽減措置を最大限活用するために、以下の方法を推奨します。
- 認定長期優良住宅を選ぶ:軽減期間が5年間に延長される
- 床面積120㎡以下に抑える:軽減措置は床面積120㎡までの部分に適用される
認定長期優良住宅は、耐震性・省エネ性・維持管理の容易性等の基準を満たした住宅です。認定を受けることで、固定資産税の軽減期間が延長されるだけでなく、住宅ローン控除の控除額も増える場合があります。
平屋と2階建ての選び方:固定資産税以外のコスト比較
建築費の違い(平屋の方が坪単価が高い)
平屋は2階建てより建築費(坪単価)が高い傾向があります。理由は以下の通りです。
- 基礎工事費が高い:基礎面積が約2倍必要
- 屋根工事費が高い:屋根面積が約2倍必要
- 広い土地が必要:土地代が高くなる
一般的に、平屋の坪単価は2階建てより10%〜20%程度高くなります。
| 延床面積 | 2階建ての建築費 | 平屋の建築費 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 100㎡(30坪) | 1,800万円(坪単価60万円) | 2,100万円(坪単価70万円) | 300万円 |
| 120㎡(36坪) | 2,160万円(坪単価60万円) | 2,520万円(坪単価70万円) | 360万円 |
メンテナンス費の違い(平屋は外壁・屋根メンテナンスが高額)
平屋は外壁と屋根の面積が2階建てより大きいため、メンテナンス費用も高額になります。
外壁・屋根のメンテナンスは10年〜15年ごとに必要で、以下の費用がかかります。
- 外壁塗装:1㎡あたり3,000円〜5,000円程度
- 屋根塗装:1㎡あたり2,000円〜4,000円程度
延床面積100㎡の住宅の場合、2階建ては外壁面積100㎡・屋根面積50㎡程度、平屋は外壁面積80㎡・屋根面積100㎡程度が目安です。
- 2階建てのメンテナンス費:外壁30万円〜50万円 + 屋根10万円〜20万円 = 合計40万円〜70万円
- 平屋のメンテナンス費:外壁24万円〜40万円 + 屋根20万円〜40万円 = 合計44万円〜80万円
平屋の方がメンテナンス費が若干高くなります。ただし、平屋は足場が不要な場合もあり、足場代(10万円〜20万円)を節約できる可能性があります。
光熱費の違い
平屋と2階建てで光熱費に大きな差はありません。ただし、以下の点で若干の違いがあります。
- 平屋:天井が高い場合、冷暖房効率が下がり光熱費が上がる可能性がある。屋根からの熱が直接室内に伝わりやすい
- 2階建て:2階が夏は暑く冬は寒くなりやすく、冷暖房費が上がる可能性がある
光熱費を抑えたい場合は、断熱性能を高める(高断熱材、複層ガラス等)ことが重要です。
家族構成・土地面積・将来の暮らし方で選ぶ
平屋と2階建てのどちらを選ぶかは、固定資産税だけでなく、家族構成、土地面積、将来の暮らし方で判断することが重要です。
平屋が向いているケース
- 高齢者がいる、または将来のバリアフリーを重視する(階段がない)
- 広い土地がある(平屋を建てるスペースが確保できる)
- 家族構成が少人数(夫婦2人、夫婦+子供1人等)
- ワンフロアで生活動線を完結させたい
2階建てが向いているケース
- 土地面積が限られている(狭小地)
- 家族構成が多人数(夫婦+子供2人以上等)
- 建築費・固定資産税を抑えたい
- プライバシーを重視する(1階と2階で生活空間を分けたい)
まとめ:トータルコストで判断する
平屋と2階建てで、同じ延床面積の場合、平屋の方が固定資産税が約1.1〜1.5倍高くなる傾向があります。理由は、平屋の方が基礎と屋根の面積が約2倍必要で、建材も多く使用するため、固定資産税評価額が高くなるためです。
固定資産税を抑えるには、木造建築を選ぶ、シンプルな間取りで建材を抑える、緩やかな屋根勾配を選ぶ、小屋裏収納・ロフトを活用する、新築住宅特例を最大限活用する等の方法があります。
ただし、平屋と2階建てのどちらを選ぶかは、固定資産税だけでなく、建築費、メンテナンス費、光熱費、家族構成、土地面積、将来の暮らし方をトータルで判断することが重要です。
固定資産税の具体的な税額は、市区町村の評価額や軽減措置の適用状況により異なります。詳細は税理士や市区町村の担当部署にご相談ください。
