不動産売却の流れを7ステップで解説・必要書類と費用も紹介

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/17

不動産売却の全体像と7つのステップ

初めて不動産を売却する方にとって、査定依頼から引き渡しまでの全体の流れが不明で不安を感じることは少なくありません。どのような手続きが必要で、どれくらいの期間がかかるのかを事前に把握しておくことが重要です。

この記事では、不動産売却の全体像と7つのステップ(相場調査・査定依頼・媒介契約・販売活動・売買契約・決済と引き渡し・確定申告)を詳しく解説します。

各ステップでの注意点、必要書類、費用(仲介手数料・税金)、よくあるトラブルと対策も提示し、失敗しない不動産売却ができるようになることを目指しています。

この記事のポイント

  • 不動産売却は7つのステップで構成され、全体で5~6ヶ月かかるのが一般的
  • 査定は3~5社から受けて比較することで、相場より低い価格での売却を避けられる
  • 媒介契約には専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の3種類があり、それぞれメリット・デメリットを理解して選ぶ
  • 譲渡所得税は所有期間により異なり、長期(5年超)は20.315%、短期(5年以下)は39.63%
  • 売却前に登記済権利書、固定資産税納税通知書、建築確認証等の必要書類を準備しておくとスムーズに進む

(1) 不動産売却にかかる期間(5~6ヶ月が目安)

SUUMOによると、不動産売却は全体で5~6ヶ月かかるのが一般的です。

各ステップの期間の目安は以下の通りです。

ステップ 期間の目安
1. 相場調査・売却準備 1~2週間
2. 査定依頼 1~2週間
3. 媒介契約 1週間
4. 販売活動 3~4ヶ月
5. 売買契約 1~2週間
6. 決済・引き渡し 1ヶ月
7. 確定申告 売却翌年の2月16日~3月15日

(出典: SUUMOHOME4U

販売活動の期間が最も長く、3~4ヶ月かかります。売却を急ぐ場合は、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。

(2) 7つのステップの概要

不動産売却の7つのステップは以下の通りです。

  1. 相場調査・売却準備: 自分の不動産の相場を調べ、必要書類を準備する
  2. 査定依頼: 複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額を比較する
  3. 媒介契約: 不動産会社と媒介契約を締結する
  4. 販売活動: 不動産会社が販売活動を行い、購入希望者を募る
  5. 売買契約: 買主と売買契約を締結し、手付金を受け取る
  6. 決済・引き渡し: 残金を受け取り、物件を引き渡す
  7. 確定申告: 売却翌年に譲渡所得税の確定申告を行う

これらのステップを順に進めることで、スムーズに不動産売却を完了できます。

ステップ1~3:相場調査・査定依頼・媒介契約

(1) ステップ1:相場調査と売却準備

不動産売却の第一歩は、自分の不動産の相場を調べることです。相場を知らずに売却すると、相場より安く売ってしまう可能性があります。

相場調査の方法:

  • 不動産ポータルサイト: SUUMO、HOME'S等で類似物件の売出価格を確認
  • レインズ: 不動産流通標準情報システムで実際の成約価格を確認(不動産会社経由で閲覧可能)
  • 国土交通省の不動産取引価格情報: 過去の取引事例を検索できる公的データベース

相場を把握したら、必要書類の準備を始めます。登記済権利書(権利証)、固定資産税納税通知書等は査定時に必要です。

(2) ステップ2:査定依頼(机上査定・訪問査定)

HOME4Uによると、査定には机上査定と訪問査定の2種類があります。

査定方法 内容 所要時間
机上査定 物件情報をもとに概算で査定する 数時間~1日
訪問査定 実際に物件を訪問し、詳細に査定する 1~2週間

(出典: HOME4U

机上査定で大まかな相場を掴み、訪問査定で正確な査定額を確認するのが一般的な流れです。

査定時の注意点:

  • 3~5社から査定を受ける: 査定額を1社だけで判断すると、相場より低い価格で売却してしまう可能性がある
  • 査定額の根拠を確認する: 査定額が高すぎる・低すぎる場合、その根拠を不動産会社に確認する
  • 不動産一括査定サイトを活用する: 複数社の査定を効率的に受けられる

(3) ステップ3:媒介契約(専属専任・専任・一般の違い)

媒介契約には、専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の3種類があります。

媒介契約 依頼社数 レインズ登録 活動報告 自己発見取引
専属専任媒介 1社のみ 5日以内 1週間に1回 不可
専任媒介 1社のみ 7日以内 2週間に1回
一般媒介 複数社可 義務なし 義務なし

(出典: HOME4U

専属専任媒介のメリット・デメリット:

  • メリット: 不動産会社が積極的に販売活動を行う、活動報告が頻繁で安心
  • デメリット: 他社に依頼できない、自己発見取引も不可

専任媒介のメリット・デメリット:

  • メリット: 不動産会社が積極的に販売活動を行う、自己発見取引が可能
  • デメリット: 他社に依頼できない

一般媒介のメリット・デメリット:

  • メリット: 複数社に依頼できる、競争により高値売却の可能性
  • デメリット: 活動報告義務がない、レインズ登録義務がない

状況に応じて適切な媒介契約を選択してください。急ぎの場合は専属専任媒介、時間がある場合は一般媒介がおすすめです。

ステップ4~6:販売活動・売買契約・決済と引き渡し

(1) ステップ4:販売活動と内覧対応

媒介契約を締結すると、不動産会社が販売活動を開始します。販売活動の内容は以下の通りです。

  • 不動産ポータルサイトへの掲載: SUUMO、HOME'S等に物件情報を掲載
  • レインズへの登録: 専属専任媒介・専任媒介の場合、レインズに登録(他社も物件情報を閲覧可能)
  • チラシ・新聞折込: 近隣住民への周知
  • 内覧対応: 購入希望者に物件を見せる

販売活動期間は3~4ヶ月が一般的です。この間、購入希望者からの内覧依頼に対応します。

内覧対応のポイント:

  • 清掃・整理整頓: 第一印象が重要。清潔な状態で内覧に臨む
  • 換気・照明: 明るく開放的な雰囲気を演出
  • 質問に丁寧に回答: 購入希望者の質問に正確に答える

(2) ステップ5:売買契約の締結

購入希望者が決まったら、売買契約を締結します。売買契約時には、以下の手続きが行われます。

  1. 重要事項説明: 宅地建物取引士が買主に対して物件の重要事項を説明
  2. 売買契約書の締結: 売主・買主が売買契約書に署名・押印
  3. 手付金の受け取り: 売却価格の5~10%程度を手付金として受け取る

売買契約時の必要書類:

  • 実印: 売買契約書への押印に使用
  • 印鑑証明書: 3ヶ月以内に取得したもの
  • 本人確認書類: 運転免許証、パスポート等

売買契約を締結したら、通常1~2ヶ月後に決済・引き渡しを行います。

(3) ステップ6:決済と引き渡し

決済・引き渡し時には、残金を受け取り、物件の所有権を買主に移転します。

決済・引き渡しの流れ:

  1. 残金の受け取り: 売却価格から手付金を差し引いた残金を受け取る
  2. 所有権移転登記: 司法書士が所有権移転登記を行う
  3. 鍵の引き渡し: 買主に鍵を引き渡す
  4. 公共料金の精算: 固定資産税、管理費等を日割りで精算

決済・引き渡し時の必要書類:

  • 登記済権利書(権利証): 所有権移転登記に必要
  • 印鑑証明書: 3ヶ月以内に取得したもの
  • 固定資産税納税通知書: 固定資産税の精算に使用
  • 鍵一式: 玄関・各部屋の鍵をすべて引き渡す

決済・引き渡しが完了すると、不動産売却の主要な手続きは終了です。

ステップ7:確定申告と譲渡所得税

(1) 譲渡所得税の計算方法(長期・短期の税率)

国税庁によると、不動産売却時の利益(譲渡所得)には譲渡所得税がかかります。

譲渡所得の計算式:

譲渡所得 = 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用
  • 取得費: 購入時の価格、仲介手数料、登記費用等
  • 譲渡費用: 売却時の仲介手数料、登記費用、印紙税等

譲渡所得税の税率:

所有期間 税率 備考
長期(5年超) 20.315% 所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%
短期(5年以下) 39.63% 所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%

(出典: 国税庁

所有期間は、売却した年の1月1日時点で判定されます。例えば、2019年7月1日に購入した不動産を2024年12月1日に売却した場合、2024年1月1日時点では所有期間が5年未満のため、短期譲渡所得となります。

(2) 3,000万円特別控除の適用要件

国税庁によると、マイホーム(居住用財産)を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特別控除があります。

3,000万円特別控除の適用要件:

  • 自分が住んでいる家屋を売却する: 居住用財産であることが条件
  • 売却先が親族等でない: 配偶者、直系血族等への売却は対象外
  • 売却した年の前年・前々年にこの特例を受けていない: 3年に1回のみ適用可能

この特別控除を適用すると、譲渡所得が3,000万円以下の場合、譲渡所得税はかかりません。

(3) 確定申告の手続きと期限

不動産を売却した場合、売却翌年の2月16日~3月15日に確定申告を行う必要があります。

確定申告では、以下の書類を準備します。

  • 譲渡所得の内訳書: 売却価格、取得費、譲渡費用を記載
  • 売買契約書のコピー: 売却時・購入時の両方
  • 領収書: 仲介手数料、登記費用等の領収書

譲渡所得税の計算は複雑で個別の状況により異なるため、税理士に相談することをおすすめします。

必要書類と費用(仲介手数料・税金)の詳細

(1) 査定時の必要書類(登記済権利書、固定資産税納税通知書等)

HOME4Uによると、査定時には以下の書類を準備しておくとスムーズです。

書類 取得方法 備考
登記済権利書(権利証) 購入時に取得 紛失した場合は司法書士に相談
固定資産税納税通知書 毎年4~6月に市区町村から送付 固定資産税の確認に使用
建築確認証 購入時に取得(戸建ての場合) 紛失した場合は市区町村で再発行可能
購入時の売買契約書 購入時に取得 取得費の計算に使用

(出典: HOME4U

これらの書類を事前に準備しておくと、査定依頼がスムーズに進みます。

(2) 売買契約時の必要書類(実印、印鑑証明書等)

売買契約時には、以下の書類が必要です。

  • 実印: 売買契約書への押印に使用
  • 印鑑証明書: 3ヶ月以内に取得したもの(市区町村で発行)
  • 本人確認書類: 運転免許証、パスポート等
  • 住民票: 登記上の住所と現住所が異なる場合

(3) 決済・引き渡し時の必要書類

決済・引き渡し時には、以下の書類が必要です。

  • 登記済権利書(権利証): 所有権移転登記に必要
  • 印鑑証明書: 3ヶ月以内に取得したもの
  • 固定資産税納税通知書: 固定資産税の精算に使用
  • 鍵一式: 玄関・各部屋の鍵をすべて引き渡す

(4) 仲介手数料の計算方法と上限

仲介手数料は、不動産会社に支払う報酬です。仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法により以下のように定められています。

売却価格 仲介手数料の上限
200万円以下 売却価格の5%+消費税
200万円超~400万円以下 売却価格の4%+2万円+消費税
400万円超 売却価格の3%+6万円+消費税

(出典: 宅地建物取引業法)

計算例:

売却価格3,000万円の場合:

仲介手数料 = 3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円
消費税(10%) = 96万円 × 10% = 9.6万円
合計 = 96万円 + 9.6万円 = 105.6万円

仲介手数料は売却価格が高いほど高額になるため、売却計画を立てる際に考慮してください。

(5) その他の費用(登記費用、印紙税等)

不動産売却時には、仲介手数料以外にも以下の費用がかかります。

費用 金額の目安 備考
登記費用(抵当権抹消) 1~3万円程度 住宅ローンが残っている場合
印紙税 1~6万円程度 売買契約書に貼付(売却価格により異なる)
ハウスクリーニング 5~10万円程度 任意(内覧前に実施すると印象が良い)
引っ越し費用 10~30万円程度 引っ越し先への移転費用

これらの費用を合計すると、売却価格の5~10%程度が目安となります。

まとめ:不動産売却で失敗しないために

(1) 査定は3~5社から受けて比較する

査定額を1社だけで判断すると、相場より低い価格で売却してしまう可能性があります。3~5社から査定を受けて比較し、査定額の根拠を確認してください。

不動産一括査定サイトを活用すると、複数社の査定を効率的に受けられます。

(2) 囲い込みをする不動産会社に注意

囲い込みとは、不動産会社が売却物件の情報を他社に流さず、自社のみで買主を探す行為です。囲い込みをされると、売却機会が減り、売却価格が下がる可能性があります。

専属専任媒介・専任媒介の場合、レインズ登録が義務付けられていますが、登録後に「商談中」として他社からの問い合わせを拒否するケースもあります。

不動産会社の販売活動を定期的に確認し、レインズ登録証明書を受け取ってください。

(3) 独断でリフォーム・解体しない

売却前にリフォームや解体をすると、費用を無駄にする恐れがあります。買主が自分好みにリフォームしたい場合、リフォーム済み物件は敬遠される可能性があるためです。

リフォームや解体を検討する場合は、不動産会社に相談してから判断してください。

(4) 専門家(宅建士、税理士、FP等)への相談を推奨

不動産売却は高額な取引であり、税金の計算も複雑です。専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

  • 宅地建物取引士: 売却手続き、契約内容の確認
  • 税理士: 譲渡所得税の計算、確定申告
  • ファイナンシャルプランナー: 売却後の資金計画

無料相談会を活用しながら、失敗しない不動産売却を実現しましょう。

不動産売却は7つのステップ(相場調査・査定依頼・媒介契約・販売活動・売買契約・決済と引き渡し・確定申告)で構成され、全体で5~6ヶ月かかります。査定は3~5社から受けて比較し、媒介契約は状況に応じて選択してください。譲渡所得税は所有期間により異なり、マイホームは3,000万円特別控除が適用可能です。専門家に相談しながら、計画的に売却を進めましょう。

よくある質問

Q1不動産売却にはどれくらいの期間がかかる?

A1全体で5~6ヶ月が目安です。相場調査・売却準備に1~2週間、査定依頼に1~2週間、媒介契約に1週間、販売活動に3~4ヶ月、売買契約に1~2週間、決済・引き渡しに1ヶ月程度かかります。販売活動の期間が最も長く、売却を急ぐ場合は余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。確定申告は売却翌年の2月16日~3月15日に行います。

Q2媒介契約はどれを選べばいい?

A2専属専任媒介は1社のみに依頼し、自己発見取引も不可。不動産会社が積極的に販売活動を行い、活動報告が1週間に1回と頻繁です。専任媒介は1社のみに依頼しますが、自己発見取引は可能。一般媒介は複数社に依頼でき、競争により高値売却の可能性がありますが、活動報告義務がありません。急ぎの場合は専属専任媒介、時間がある場合は一般媒介がおすすめです。状況により適切な選択が異なるため、不動産会社に相談してください。

Q3売却時にかかる税金はいくら?

A3譲渡所得税は所有期間により異なります。長期譲渡所得(売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超)は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)、短期譲渡所得(5年以下)は39.63%(所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%)です。マイホーム(居住用財産)を売却した場合、3,000万円特別控除が適用可能で、譲渡所得が3,000万円以下なら譲渡所得税はかかりません。詳細は税理士に相談してください。

Q4必要書類は何を準備すればいい?

A4査定時には登記済権利書(権利証)、固定資産税納税通知書、購入時の売買契約書を準備します。戸建ての場合は建築確認証も必要です。売買契約時には実印、印鑑証明書(3ヶ月以内に取得)、本人確認書類(運転免許証、パスポート等)を用意します。決済・引き渡し時には登記済権利書、印鑑証明書、固定資産税納税通知書、鍵一式を準備してください。

Q5仲介手数料はいくら?

A5仲介手数料の上限は、売却価格400万円超の場合、売却価格の3%+6万円+消費税です。例えば、3,000万円の物件なら105.6万円(税込)が上限となります。売却価格200万円以下は5%+消費税、200万円超~400万円以下は4%+2万円+消費税です。仲介手数料は売却価格が高いほど高額になるため、売却計画を立てる際に考慮してください。

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Room Match編集部

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