不動産会社の仲介手数料と選び方のポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/20

不動産会社の仲介とは何か?基本的な仕組み

不動産の売買や賃貸を検討する際、不動産会社の仲介サービスを利用することが一般的です。しかし、仲介手数料の仕組みや、良い仲介会社の選び方について正確に理解している方は少ないかもしれません。

この記事では、不動産会社の仲介の基本的な仕組み、仲介手数料の計算方法、仲介業者の選び方、注意すべきリスクについて解説します。宅地建物取引業法を元に、正確な情報を提供します。

この記事のポイント

  • 不動産仲介とは売主・買主の間に立って売買契約を成立させる仕事で、仲介手数料は成功報酬型
  • 仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められ、簡易計算式は「売買価格×3%+6万円+消費税」
  • 良い仲介業者の選び方は、複数業者の査定比較、担当者の対応確認、行政処分歴の確認が重要
  • 大手と地域密着型はそれぞれ特徴があり、目的に応じて選ぶことが推奨される

(1) 不動産仲介の役割(売主・買主の間に立つ)

SUUMOによると、不動産仲介とは、不動産の売主・貸主と買主・借主の間に立って、売買契約や賃貸借契約を成立させる仕事です。

不動産会社の仲介業者は、以下の業務を行います。

  • 物件の調査: 物件の権利関係、法的制限、周辺環境の確認
  • 情報提供: 買主・借主に物件情報を提供
  • 条件交渉: 売主・買主の間で価格や条件を交渉
  • 契約手続き: 売買契約書・賃貸借契約書の作成、重要事項説明

(2) 仲介のメリット・デメリット

不動産仲介を利用するメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット:

  • 専門的な知識・経験により、適切な価格設定や条件交渉が可能
  • 物件の権利関係や法的制限を確認し、トラブルを防止
  • 買主・借主を広く募集し、早期成約の可能性が高まる

デメリット:

  • 仲介手数料が発生する(売買価格の3%+6万円+消費税が上限)
  • 業者の質により、サービス内容や対応が異なる

(3) 成功報酬型の手数料

仲介手数料は成功報酬型で、売買契約や賃貸借契約が成立しなかった場合は支払う必要がありません。物件の調査や見積もりの段階では費用が発生しないため、複数の業者に相談しやすいというメリットがあります。

仲介手数料の計算方法と支払いタイミング

仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められています。

(1) 宅地建物取引業法による上限額

三井のリハウスによると、仲介手数料は宅地建物取引業法で段階的に上限が決められています。

売買価格 上限額
200万円以下の部分 取引額の5%以内
200万円超〜400万円以下の部分 取引額の4%以内
400万円超の部分 取引額の3%以内

いずれも消費税が別途かかります。

(2) 仲介手数料の簡易計算式(売買価格×3%+6万円+消費税)

400万円を超える取引の場合、簡易計算式を使うことができます。

簡易計算式:

仲介手数料 = 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税

計算例:

  • 売買価格3,000万円の場合:
    • 3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円
    • 消費税(10%): 9.6万円
    • 合計: 105.6万円

(3) 支払いタイミング(契約時に半額、引渡し時に残り)

仲介手数料の支払いタイミングは、一般的に以下の通りです。

  • 売買契約時: 仲介手数料の半額を支払う
  • 物件引渡し時: 仲介手数料の残りを支払う

契約が成立しても、引渡しまでに契約が解除された場合の扱いは業者により異なるため、事前に確認してください。

不動産仲介業者の選び方と7つのチェックポイント

良い不動産仲介業者を選ぶための具体的なチェックポイントを解説します。

(1) 複数業者の査定比較

三井のリハウスによると、複数の不動産仲介業者から査定を取得し、以下のポイントを比較検討することが推奨されます。

  • 営業担当者の対応: 丁寧な説明、迅速な返信
  • 知識: 地域情報、法的知識、市場動向への理解
  • 料金体系の透明性: 仲介手数料の内訳、追加費用の有無

(2) 担当者の対応と知識の確認

担当者の対応と知識を確認することが重要です。

  • 希望条件を丁寧に聞く: ヒアリング能力
  • 物件の良い点だけでなく注意点も教えてくれる: 誠実さ
  • 法的知識: 宅地建物取引士の資格保有、宅建業法の理解

一方的に良い点だけを強調する担当者は、購入後のトラブルにつながる可能性があります。

(3) 国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで行政処分歴を確認

国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で、不動産業者の過去の行政処分歴を調べることができます。過去に宅建業法違反で処分を受けた業者は避けることが推奨されます。

大手・中堅・地域密着型の特徴と選び方

大手不動産会社と地域密着型不動産会社の特徴を比較します。

(1) 大手不動産会社の特徴(全国ネットワーク、充実したシステム)

メリット:

  • 全国規模のネットワークで広範囲の物件情報を保有
  • 充実したシステム(オンライン対応、物件検索、アフターサービス等)
  • 高い信用性とブランド力

デメリット:

  • 地域特有の情報に疎い場合がある
  • 担当者の裁量が少なく、柔軟な対応が難しい場合がある

(2) 地域密着型不動産会社の特徴(地域情報に強い、柔軟な対応)

メリット:

  • 地域特有の情報に詳しい(学区、周辺環境、地域の慣習等)
  • 柔軟な対応(価格交渉、内覧スケジュール等)
  • 地域のネットワークを活用した物件紹介

デメリット:

  • 対応エリアが限定的
  • 物件情報の数が大手より少ない場合がある
  • 会社の信用性がわかりにくい場合がある

(3) 目的に応じた選び方

以下の基準で選ぶことが推奨されます。

目的 推奨タイプ
広範囲で物件を探したい 大手不動産会社
特定エリアの詳細情報が欲しい 地域密着型不動産会社
初めての不動産取引で安心感が欲しい 大手不動産会社
柔軟な対応を求める 地域密着型不動産会社

不動産仲介で注意すべきリスクと対策

不動産仲介で注意すべきリスクと対策について解説します。

(1) おとり物件と誇大広告の見分け方

おとり物件とは、実際には契約できる見込みが低いにも関わらず、集客目的で魅力的に提示される物件です。また、誇大広告(「日本一」「破格」など)を使う業者は宅建業法違反の可能性があります。

見分け方:

  • 相場より極端に安い物件は注意
  • 問い合わせ後に「その物件は売れました」と別の物件を紹介される
  • 「日本一」「破格」など法令違反の可能性がある表現を使う業者を避ける

(2) 囲い込みのリスク(専任媒介契約)

囲い込みとは、専任媒介契約で売却依頼された物件を他社に紹介せず、自社の買主にのみ紹介する行為です。これにより、売主の利益が損なわれる可能性があります。

囲い込みは宅建業法違反の可能性があるため、レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録状況を確認することが推奨されます。

(3) 媒介契約の種類と選び方(専属専任・専任・一般)

媒介契約には3種類あります。

契約種類 特徴 メリット デメリット
専属専任媒介契約 1社のみに依頼、自己発見取引も禁止 業者が積極的に営業活動 囲い込みのリスク
専任媒介契約 1社のみに依頼、自己発見取引は可能 業者が積極的に営業活動 囲い込みのリスク
一般媒介契約 複数社に同時依頼可能 囲い込みのリスクが低い 業者の営業活動が消極的になる可能性

まとめ:良い不動産会社を見つけるために

不動産会社の仲介とは、売主・買主の間に立って売買契約を成立させる仕事で、仲介手数料は成功報酬型です。仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められ、簡易計算式は「売買価格×3%+6万円+消費税」です。

良い仲介業者の選び方は、複数業者の査定比較、担当者の対応確認、国土交通省のネガティブ情報等検索サイトで行政処分歴を確認することが重要です。大手と地域密着型はそれぞれ特徴があり、目的に応じて選ぶことが推奨されます。

おとり物件や囲い込みなどのリスクにも注意し、信頼できる不動産会社や宅地建物取引士に相談しながら、慎重に判断してください。

よくある質問

Q1仲介手数料は売主と買主のどちらが支払うのか?

A1不動産仲介を依頼した人が支払います。売主が仲介会社に売却を依頼した場合は売主が、買主が購入を依頼した場合は買主が支払います。仲介手数料は成功報酬型のため、売買契約が成立しなかった場合は支払う必要がありません。

Q2仲介手数料の上限はどうやって計算するのか?

A2宅地建物取引業法で段階的に決められており、400万円超の部分は取引額の3%以内+消費税です。400万円を超える取引の場合、簡易計算式「売買価格×3%+6万円+消費税」を使うことができます。例えば売買価格3,000万円の場合、仲介手数料は105.6万円(消費税込み)です。

Q3大手と地域密着型のどちらを選ぶべきか?

A3大手不動産会社は全国規模のネットワークと充実したシステムを持ち、地域密着型不動産会社は地域特有の情報に強みがあります。広範囲で物件を探したい場合は大手、特定エリアの詳細情報が欲しい場合は地域密着型を選ぶことが推奨されます。目的に応じてそれぞれの特徴を比較して判断してください。

Q4複数業者に依頼できるのか?

A4一般媒介契約なら複数の不動産会社に同時に売却を依頼できます。専任媒介契約では1社のみに依頼する必要があります。一般媒介契約は囲い込みのリスクが低いですが、業者の営業活動が消極的になる可能性があります。専任媒介契約は業者が積極的に営業活動を行いますが、囲い込みのリスクがあります。

Q5悪質な業者の見分け方は?

A5おとり物件(実際には契約できない物件を魅力的に提示)や誇大広告(「日本一」「破格」など)を使う業者を避けてください。国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で過去の行政処分歴を確認できます。相場より極端に安い物件や、問い合わせ後に「その物件は売れました」と別の物件を紹介される場合は注意が必要です。

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Room Match編集部

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