住宅ローンの利息計算方法と総額の目安:金利タイプ別のシミュレーションと節約術

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/25

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住宅ローンの利息を理解する重要性

住宅ローンを検討する際、「毎月いくら返済すればいいか」に目が行きがちですが、総返済額の大きな割合を占めるのが利息です。

この記事では、住宅ローンの利息計算方法、金利タイプ別のシミュレーション、利息を抑える具体的な方法を、国土交通省や住宅金融支援機構のデータを元に解説します。

初めて住宅ローンを検討する方でも、自分に合った返済計画を立てられるようになります。

この記事のポイント

  • 毎月の利息額は「直前のローン残高×月利(年利÷12)」で計算される
  • 金利0.1%の差で30年間に約50万円の利息差が生じる
  • 繰上返済は期間短縮型の方が総利息削減効果が大きい
  • 金利0.7%以上のローンなら、住宅ローン控除より繰上返済の利息軽減効果が高い
  • 2024年以降、日銀の政策変更により変動金利は上昇傾向

住宅ローンの利息を理解する重要性

(1) 利息は総返済額の大きな割合を占める

住宅ローンの総返済額は、借入額(元金)に利息を加えたものです。利息の割合は、借入額・金利・返済期間によって大きく変わります。

例えば、借入額3,000万円、年利1.5%、35年返済の場合:

項目 金額
借入額(元金) 3,000万円
利息総額 約850万円
総返済額 約3,850万円

利息だけで約850万円になり、総返済額の約22%を占めます。

(2) 金利0.1%の差で30年間に約50万円の差

金利のわずかな差が、長期的には大きな利息差を生みます。

借入額3,000万円、30年返済 年利1.0% 年利1.1% 差額
総返済額 約3,475万円 約3,528万円 約53万円

年利0.1%の差で、30年間に約50万円以上の利息差が生じます。

(出典: 三菱UFJ銀行「住宅ローンを徹底比較!知っておきたい金利の相場と利息の計算方法」

住宅ローン利息の基本知識:計算方法と仕組み

(1) 利息の計算式:直前のローン残高×月利(年利÷12)

毎月の利息額は、以下の計算式で算出されます。

月利息 = 直前のローン残高 × 月利(年利 ÷ 12)

例えば、残高3,000万円、年利1.5%の場合:

月利息 = 3,000万円 × (1.5% ÷ 12) = 3.75万円

返済が進むにつれてローン残高が減り、利息も減少します。

(出典: 三菱UFJ銀行「住宅ローンを徹底比較!知っておきたい金利の相場と利息の計算方法」

(2) 元利均等返済:毎月一定額、当初は利息割合が大きい

元利均等返済は、毎月の返済額(元金+利息)が一定の返済方式です。

特徴:

  • 毎月の返済額が一定で、家計管理がしやすい
  • 当初は利息の割合が大きく、返済が進むと元金の割合が増える

返済初期の内訳例(借入額3,000万円、年利1.5%、35年返済):

返済回数 月額返済額 元金 利息
1回目 約9.2万円 約5.5万円 約3.7万円
100回目 約9.2万円 約6.7万円 約2.5万円
200回目 約9.2万円 約7.9万円 約1.3万円

(出典: ファミリーライフサービス「住宅ローンの利息の計算方法」

(3) 元金均等返済:当初返済額が大きいが総利息は少ない

元金均等返済は、毎月の元金返済額が一定の返済方式です。

特徴:

  • 当初の返済額は元利均等返済より大きい
  • 返済が進むと月額返済額が減る
  • 総利息は元利均等返済より少ない傾向

返済額の推移例(借入額3,000万円、年利1.5%、35年返済):

返済回数 月額返済額 元金 利息
1回目 約10.9万円 約7.1万円 約3.7万円
100回目 約9.5万円 約7.1万円 約2.4万円
200回目 約8.3万円 約7.1万円 約1.2万円

元金均等返済は、当初の返済額が大きいため、収入が安定している方に適しています。

(出典: ファミリーライフサービス「住宅ローンの利息の計算方法」

金利タイプ別の利息シミュレーション:固定・変動・固定期間選択の比較

(1) 変動金利:固定金利より低いが金利上昇リスクあり

変動金利は、金融情勢により定期的に見直される金利です。

メリット:

  • 固定金利より低い(2024-2025年時点で0.3~1.0%程度)
  • 金利が低いまま推移すれば、総利息を抑えられる

デメリット:

  • 金利上昇リスクがある
  • 返済額が変動するため、将来の返済計画が立てにくい

(2) 固定金利:金利変動の心配がないが、変動金利より高め

固定金利は、借入時の金利が全期間変わらない金利です。

メリット:

  • 金利変動の心配がない
  • 返済計画が立てやすい

デメリット:

  • 変動金利より高い(2024-2025年時点で1.5~2.0%程度)
  • 金利が低下しても恩恵を受けられない

(3) 固定期間選択型:一定期間は固定、その後は変動または固定を再選択

固定期間選択型は、当初3年・5年・10年等の一定期間は固定金利、その後は変動金利または固定金利を再選択する方式です。

メリット:

  • 当初期間は金利変動の心配がない
  • 期間終了後に金利タイプを見直せる

デメリット:

  • 期間終了後に金利が上昇している場合、返済額が増える
  • 変動金利より高い場合が多い

(4) 2024年以降の金利動向:日銀の政策変更と利上げ局面

2024年以降、住宅ローン金利は上昇傾向にあります。

  • 2024年3月: 日銀がマイナス金利を解除
  • 2024年7月: 政策金利を0.25%に引き上げ
  • 2024年9月: 短期プライムレートが15年ぶりに上昇

今後も利上げ局面が予想されるため、変動金利を選択する場合は金利上昇リスクに注意が必要です。

(出典: SBI新生銀行「2025年以降の住宅ローン金利はどうなる?」

住宅ローンの利息を抑える5つの方法

(1) 頭金を多く用意して借入額を減らす

頭金を多く用意することで、借入額を減らし、利息総額を抑えられます。

借入額 年利1.5%、35年返済 利息総額
3,000万円 総返済額 約3,850万円 約850万円
2,500万円 総返済額 約3,208万円 約708万円
2,000万円 総返済額 約2,567万円 約567万円

借入額を500万円減らすと、利息総額で約140万円の差が生じます。

(2) 返済期間を短くする

返済期間を短くすることで、利息総額を抑えられます。

返済期間 借入額3,000万円、年利1.5% 利息総額
35年 総返済額 約3,850万円 約850万円
30年 総返済額 約3,711万円 約711万円
25年 総返済額 約3,559万円 約559万円

返済期間を10年短縮すると、利息総額で約290万円の差が生じます。

(3) 複数の金融機関を比較して低金利を選ぶ

金融機関により金利は異なるため、複数の金融機関を比較して低金利を選ぶことが重要です。

金利0.1%の差で30年間に約50万円の利息差が生じるため、複数行の金利を比較し、低金利の金融機関を選びましょう。

(4) 元金均等返済を選択する(可能な場合)

元金均等返済は、元利均等返済より総利息が少ない傾向があります。

返済方式 借入額3,000万円、年利1.5%、35年返済 利息総額
元利均等返済 総返済額 約3,850万円 約850万円
元金均等返済 総返済額 約3,795万円 約795万円

元金均等返済の方が約55万円利息が少なくなります。ただし、当初の返済額が大きいため、収入が安定している方に適しています。

(5) 繰上返済を計画的に行う

繰上返済は、毎月の返済とは別に元金の一部または全部を返済することで、利息総額を抑えられます。

詳細は次のセクションで解説します。

繰上返済vs住宅ローン控除:どちらが得か

(1) 繰上返済の種類:期間短縮型と返済額軽減型

繰上返済には、以下の2種類があります。

  • 期間短縮型: 毎月の返済額は変えず、返済期間を短縮する
  • 返済額軽減型: 返済期間は変えず、毎月の返済額を減らす

(2) 期間短縮型の方が総利息削減効果が大きい

期間短縮型の方が、返済額軽減型より総利息削減効果が大きい傾向があります。

例(借入額3,000万円、年利1.5%、35年返済、10年目に100万円繰上返済):

繰上返済タイプ 返済期間短縮 利息削減額
期間短縮型 約1年8ヶ月短縮 約45万円
返済額軽減型 短縮なし 約30万円

期間短縮型の方が約15万円多く利息を削減できます。

(出典: SBI新生銀行「住宅ローン返済の負担軽減はできる?」

(3) 住宅ローン控除との損益分岐点:金利0.7%が目安

住宅ローン控除は、年末ローン残高の0.7%を最大13年間所得税・住民税から控除する制度です。

金利0.7%以上のローンなら、住宅ローン控除より繰上返済の利息軽減効果の方が高くなります。

金利 推奨
0.7%未満 住宅ローン控除を優先
0.7%以上 繰上返済を検討

(出典: すみかうる「住宅ローン控除は金利1%未満で得するって本当?」

(4) 借り換えの目安:残高1000万円以上・残期間10年以上・金利差1%以上

借り換えは、現在のローンより低金利のローンに切り替えることで、利息総額を抑える方法です。

借り換えの目安:

  • 残高1,000万円以上
  • 残期間10年以上
  • 金利差1%以上

上記の条件がやや下回っても、借り換え効果がある場合があります。ただし、借り換えには事務手数料・保証料・印紙税等の諸費用がかかるため、トータルで損する可能性もあります。

(出典: SBI新生銀行「住宅ローン返済の負担軽減はできる?」

(5) 繰上返済で返済期間を10年未満にすると控除が受けられなくなる注意点

繰上返済で返済期間を10年未満に短縮すると、住宅ローン控除が受けられなくなります。

控除を受けるためには、返済期間を10年以上に保つ必要があります。

(出典: 国土交通省「住宅ローン減税」

まとめ:金利タイプの選び方と返済計画の立て方

(1) リスク許容度別の金利タイプ選択

金利タイプの選択は、リスク許容度によって異なります。

  • 金利上昇リスクを避けたい: 固定金利
  • 低金利のメリットを享受したい: 変動金利
  • バランスを取りたい: 固定期間選択型

2024年以降は利上げ局面にあるため、変動金利を選択する場合は金利上昇リスクに注意が必要です。

(2) 返済計画の定期見直しの重要性

住宅ローンの返済計画は、以下のタイミングで定期的に見直すことが重要です。

  • 金利変動時
  • 収入増減時
  • ライフイベント発生時(子供の進学、転職等)

繰上返済・借り換えを検討し、利息総額を抑える方法を模索しましょう。

(3) 専門家(FP・住宅ローンアドバイザー)への相談推奨

住宅ローンの利息計算や返済計画は複雑で、個人の状況により最適解が異なります。

ファイナンシャルプランナー(FP)や住宅ローンアドバイザー等の専門家に相談することで、自分に合った返済計画を立てることができます。

金融機関のシミュレーターも活用し、複数のプランを比較検討しましょう。

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よくある質問

Q1住宅ローンの利息はどうやって計算するのですか?

A1毎月の利息額は「直前のローン残高×月利(年利÷12)」で計算されます。例えば、残高3,000万円、年利1.5%の場合、月利息=3,000万円×(1.5%÷12)=3.75万円です。返済が進むにつれてローン残高が減り、利息も減少します。元利均等返済の場合、当初は利息の割合が大きく、返済が進むと元金の割合が増えます。

Q2住宅ローンの総返済額の目安はどれくらいですか?

A2借入額・金利・期間により大きく異なります。例えば、借入額3,000万円、年利1.5%、35年返済の場合、総返済額は約3,850万円、利息総額は約850万円です。金利0.1%の差で30年間に約50万円の利息差が生じるため、複数の金融機関を比較して低金利を選ぶことが重要です。金融機関のシミュレーターを活用し、具体的な返済計画を立てましょう。

Q3繰上返済はいつ行うのがベストですか?

A3金利0.7%以上のローンなら、住宅ローン控除より繰上返済の利息軽減効果の方が高くなります。ただし、返済期間を10年未満に短縮すると住宅ローン控除が受けられなくなるため注意が必要です。繰上返済には期間短縮型と返済額軽減型がありますが、期間短縮型の方が総利息削減効果が大きい傾向があります。ファイナンシャルプランナー等の専門家に相談し、最適なタイミングを判断しましょう。

Q4変動金利と固定金利のどちらが利息を抑えられますか?

A42024-2025年時点では、変動金利の方が固定金利より低い水準にあります(変動金利0.3~1.0%程度、固定金利1.5~2.0%程度)。ただし、2024年に日銀がマイナス金利を解除し、政策金利を0.25%に引き上げるなど、利上げ局面にあります。将来の金利動向は予測できないため、リスク許容度に応じて選択すべきです。金利上昇リスクを避けたい場合は固定金利、低金利のメリットを享受したい場合は変動金利を検討しましょう。

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Room Match編集部

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