マンション売却の仲介手数料:相場・計算方法・節約のポイントを徹底解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/19

マンション売却で仲介手数料が重要な理由

(1) 仲介手数料が売却コストの大部分を占める

マンション売却時には、仲介手数料が最も大きなコストとなります。

この記事では、仲介手数料の仕組み、法定上限額と計算方法、相場、節約方法と注意点を、宅地建物取引業法等の法規制に基づいて解説します。

適切な業者選びと手数料負担額の把握により、売却コストを正確に見積もることができます。

(2) 業者選びで手数料とサービス内容が大きく変わる

仲介手数料無料・半額を謳う業者もありますが、サービス内容や「囲い込み」リスクを理解した上で選択することが重要です。

この記事のポイント

  • 仲介手数料の法定上限は「売却価格×3%+6万円+消費税」(400万円超の場合)
  • 3,000万円のマンションなら105.6万円(税込)が上限
  • 2024年7月1日以降、800万円以下の物件は仲介手数料上限が33万円(税込)に変更
  • 仲介手数料無料の業者は「囲い込み」や売却価格低設定のリスクがあり、サービス内容の確認が必須

仲介手数料の仕組みと法定上限額

(1) 仲介手数料は成功報酬型

仲介手数料は成功報酬のため、売買契約が成立するまで支払い義務はありません。

(2) 宅建業法で定められた法定上限額

国土交通省の宅地建物取引業法第46条により、仲介手数料の上限額が定められています。

売却価格 法定上限額
200万円以下 売却価格×5%+消費税
200万円超~400万円以下 売却価格×4%+2万円+消費税
400万円超 売却価格×3%+6万円+消費税

(出典: 国土交通省

(3) 両手仲介と片手仲介の違い

  • 両手仲介: 不動産会社が売主・買主双方から仲介手数料を受け取る取引形態
  • 片手仲介: 不動産会社が売主または買主の一方から仲介手数料を受け取る取引形態

仲介手数料無料の業者は、買主から手数料を得る両手仲介を前提としています。

仲介手数料の計算方法と相場

(1) 速算式による計算方法(売却価格×3%+6万円+消費税)

400万円超の物件の場合、速算式で簡単に計算できます:

仲介手数料 = 売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税

(2) 売却価格別の仲介手数料シミュレーション

売却価格 仲介手数料(税込)
1,000万円 39.6万円
2,000万円 72.6万円
3,000万円 105.6万円
4,000万円 138.6万円
5,000万円 171.6万円

(計算式: 売却価格×3%+6万円×1.1)

(3) 2024年7月の法改正(800万円以下の特例)

三菱地所リアルエステートサービスによると、2024年7月1日以降、「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」により、800万円以下の物件は仲介手数料の上限が33万円(税込)に引き上げられました。

仲介手数料以外にかかる諸費用

(1) 印紙税・登記費用

  • 印紙税: 売買契約書に貼付する税金。契約金額により税額が異なります。
  • 抵当権抹消費用: 住宅ローン完済時に金融機関の抵当権を抹消する登記費用。

(2) 譲渡所得税(短期・長期の税率の違い)

国税庁によると、マンション売却時の利益には譲渡所得税が課されます。

所有期間 税率 内訳
5年以下(短期) 39.63% 所得税30.63%+住民税9%
5年超(長期) 20.315% 所得税15.315%+住民税5%

所有期間により税率が大きく異なるため、売却タイミングに注意が必要です。

(3) 総費用の目安(売却価格の3.5~7%)

長谷工の仲介によると、マンション売却にかかる総費用は売却価格の3.5~7%程度です。

費用項目 目安
仲介手数料 売却価格×3%+6万円+消費税
印紙税 1~3万円
譲渡所得税 利益の20~40%
抵当権抹消費用 1~3万円

(出典: 長谷工の仲介HOME4U

仲介手数料を節約する方法と注意点

(1) 仲介手数料無料・半額業者のビジネスモデル

仲介手数料無料の業者は、買主から手数料を得る両手仲介を前提としています。売主の手数料を無料にすることで、買主からの手数料のみで収益を得ます。

(2) 囲い込みのリスクとサービス内容の確認

クルーズカンパニーによると、仲介手数料無料の業者は以下のリスクがあります:

  • 囲い込み: 自社で買主を見つけるため、他社への物件情報提供を制限する行為(宅建業法違反の可能性)
  • 売却価格の低設定: 早期売却のため、市場価格より低い価格を提案するケースがある
  • サービス低下: 広告費を削減し、物件の露出が限定される

契約前にサービス内容を確認してください。

(3) 値引き交渉の可否とサービス低下リスク

仲介手数料は法定上限額以下なら交渉可能ですが、値引きによりサービス内容が低下するリスクがあります。複数の不動産会社に査定を依頼し、仲介手数料とサービス内容を比較検討してください。

まとめ:マンション売却の仲介手数料で失敗しないために

(1) 仲介手数料と総費用の把握

マンション売却時の仲介手数料は、法定上限「売却価格×3%+6万円+消費税」(400万円超の場合)です。3,000万円のマンションなら105.6万円(税込)が上限です。

総費用は売却価格の3.5~7%程度を見込むべきで、仲介手数料、印紙税、譲渡所得税、抵当権抹消費用等が発生します。

(2) 業者選びの判断基準(手数料だけでなくサービス内容も重視)

仲介手数料無料の業者は「囲い込み」や売却価格低設定のリスクがあるため、サービス内容を事前に確認してください。複数の不動産会社に査定を依頼し、手数料とサービス内容を総合的に比較することをおすすめします。

税金の計算は税理士への相談を推奨します。

よくある質問

Q1マンション売却時の仲介手数料はいくらかかる?

A1売却価格×3%+6万円+消費税が法定上限額(400万円超の場合)です。例えば3,000万円のマンションなら105.6万円(税込)が上限となります。200万円以下の場合は売却価格×5%+消費税、200万円超~400万円以下の場合は売却価格×4%+2万円+消費税が上限です。2024年7月1日以降、800万円以下の物件は仲介手数料上限が33万円(税込)に引き上げられました。

Q2仲介手数料はいつ支払うの?

A2売買契約締結時と物件引渡し時の2回に分けて支払うのが一般的です。契約時に50%、引渡し時に残り50%を支払う業者が多いです。仲介手数料は成功報酬のため、売買契約が成立するまで支払い義務はありません。

Q3仲介手数料を無料にすることは可能?

A3可能ですが、両手仲介で買主から手数料を得られる場合のみです。無料業者は囲い込み(他社への物件情報提供を制限する行為、宅建業法違反の可能性)や売却価格の低設定リスクがあるため、サービス内容を事前確認すべきです。広告費を削減し、物件の露出が限定されるケースもあります。

Q4仲介手数料以外にどんな費用がかかる?

A4印紙税、譲渡所得税、抵当権抹消費用等が発生します。総費用は売却価格の3.5~7%程度を見込むべきです。譲渡所得税は所有期間により税率が大きく異なり、5年以下(短期)は39.63%、5年超(長期)は20.315%です。詳細は税理士への相談を推奨します。

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Room Match編集部

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