土地の種類を理解する重要性
土地購入を検討する際、「地目とは何か」「用途地域による建築制限は」と迷われる方は少なくありません。
この記事では、土地の種類(地目・用途地域・権利形態)、建築制限、税金への影響を、農林水産省や法務局の公式情報を元に解説します。
30-50代の土地購入検討者または不動産投資家で、土地の種類による建築制限や税金の違いを理解したい方が、購入前に確認すべきポイントを把握できるようになります。
この記事のポイント
- 土地の「3つの分類軸」(地目・用途地域・権利形態)を体系的に理解することが重要
- 地目は23種類、建物が建てられるのは6種類(宅地・田・畑・山林・原野・雑種地)
- 用途地域は13種類(住居系9種・商業系2種・工業系2種・田園住居)で建築制限が異なる
- 農地から宅地への変更は農地転用許可(約6週間)が必須、申請期限は変更発生から1か月以内
- 固定資産税は地目により大きく異なり、宅地から農地への変更で約6倍減額される可能性
土地の「3つの分類軸」(地目・用途地域・権利形態)
土地は「地目」「用途地域」「権利形態」の3つの軸で分類されます。それぞれが建築制限・税金・売却時の影響に関わるため、購入前に理解することが重要です。
購入前に確認すべき理由(建築制限・税金・売却時の影響)
地目により建築可能性が異なり、用途地域により建ぺい率・容積率・高さ制限が異なります。権利形態により売却の自由度が異なり、固定資産税は地目により大きく変動します。
登記簿謄本・都市計画図の読み方
登記簿謄本の「表題部」欄で地目を確認し、都市計画図で用途地域を確認します。法務局で登記簿謄本を取得(手数料600円)、市区町村の都市計画課で都市計画図を閲覧できます。
地目の種類と建築可能性(23種類の分類)
23種類の地目一覧(宅地・田・畑・山林・雑種地等)
HOME4Uによると、不動産登記法で定められた地目は23種類です。主要な地目は以下の通りです:
| 地目 | 定義 | 建築可能性 |
|---|---|---|
| 宅地 | 建物の敷地 | ◯ |
| 田 | 農地(水稲・蓮等) | △(農地転用許可が必要) |
| 畑 | 農地(野菜・果樹等) | △(農地転用許可が必要) |
| 山林 | 森林 | ◯(一部制限あり) |
| 原野 | 未開墾の土地 | ◯(一部制限あり) |
| 雑種地 | 上記以外 | △(用途により異なる) |
建物が建てられる地目(6種類)
建物が建てられる地目は、宅地・田・畑・山林・原野・雑種地の6種類です。ただし、農地(田・畑)は農地転用許可が必須です。
農地(田・畑)から宅地への変更(農地転用の手続き)
農林水産省によると、農地(田・畑)を農地以外の用途(宅地・駐車場等)に変更する場合、農業委員会の許可が必須です。農地法第4条(所有者自身が転用)または農地法第5条(他者が購入・転用)の申請が必要で、許可期間は約6週間です。
農地の3段階分類(第1種~第3種農地の許可基準)
農地は3段階に分類され、許可基準が異なります:
| 分類 | 定義 | 許可基準 |
|---|---|---|
| 第1種農地 | 生産性が高い広大な農地 | 原則不許可 |
| 第2種農地 | 近い将来市街地化する環境 | 条件付き許可(近くに転用できる土地がなければ許可) |
| 第3種農地 | 市街地化が避けられない(駅300m以内等) | 原則許可 |
購入前に農業委員会で等級確認が必須です。
地目変更登記の手続き(申請期限1か月以内、過料のリスク)
地目が変更された際は、登記簿の地目を変更する地目変更登記が必要です。申請期限は変更発生から1か月以内で、期限超過時は10万円以下の過料が科される可能性があります。農地からの転用の場合は農地転用許可書の添付が必須です。
用途地域の種類と建築制限(13種類の分類)
用途地域とは(都市計画法に基づく分類)
国土交通省によると、用途地域は都市計画法に基づき、市街化区域を13種類に分類して、建築用途・建ぺい率・容積率・高さ制限を規定します。
住居系9種類(第一種低層住居専用地域~準住居地域)
住居系は9種類あり、低層住居専用地域(高さ10~12m制限)から準住居地域(高さ制限なし)まで、建築制限が段階的に緩和されます。
商業系2種類(近隣商業地域・商業地域)
商業系は2種類で、近隣商業地域は日用品の買い物等の利便性向上、商業地域は商業・業務の利便性向上を目的とします。
工業系2種類(準工業地域・工業地域)
工業系は2種類で、準工業地域は環境悪化のおそれのない工業の利便性向上、工業地域は工業の利便性向上を目的とします。
田園住居地域(2019年新設)
2019年4月の都市計画法改正で新規追加された13番目の用途地域です。農業と市街地の共存を図り、農業継続を前提に住宅建築も認める新しい地域概念です。
建ぺい率・容積率・高さ制限の違い
建ぺい率は敷地面積に対する建築面積の割合の上限、容積率は敷地面積に対する延床面積の割合の上限です。用途地域ごとに上限が定められています。
用途地域の調べ方(国土交通省オンライン・都市計画課)
国土交通省の国土数値情報ダウンロードサイトで検索可能です。各自治体の都市計画課でも確認できます。
広告
土地の権利形態(所有権・借地権・地上権)
所有権(土地の全面的な支配・売却自由)
所有権は土地の全面的な支配権で、売却・譲渡が自由です。
地上権(物権、土地所有者の承諾不要)
地上権は他人の土地に建物を築造・保有するための物権です。土地所有者の承諾不要で、登記により第三者にも主張可能です。ただし日本では採用例が少なく、ほとんどが賃借権として運用されています。
賃借権(債権、契約相手のみに効力)
賃借権は建物所有目的で土地を借りる債権です。地主との契約により成立し、契約相手(地主)にのみ効力を持ちます。
定期借地権のリスク(契約終了後の立ち退き)
定期借地権(10年~50年の有期契約)の場合、契約終了後に更新されず立ち退きが必須となります。借地人の立場は著しく弱く、建築投資が無駄になる可能性があります。契約内容の更新条項の有無を必ず確認し、更新なし条項がある場合は購入を回避することを推奨します。
物権と債権の法的効力の違い
物権(所有権・地上権)は第三者にも主張可能、債権(賃借権)は契約相手のみに効力を持ちます。
土地購入時の確認ポイントと注意点
登記簿謄本の「表題部」で地目を確認
法務局で登記簿謄本を取得し、「表題部」欄で地目を確認します(手数料600円)。
都市計画課で用途地域・建ぺい率・容積率を確認
市区町村の都市計画課で用途地域・建ぺい率・容積率を確認します。国土交通省の国土数値情報ダウンロードサイトでも検索可能です。
接道義務の確認(建物の敷地は道路に2m以上接していることが必須)
建築基準法により、建物の敷地は原則として道路に2m以上接していることが必須です(接道義務)。接道していない場合は再建築不可となります。
ハザードマップで災害リスクを確認
ハザードマップで洪水・土砂災害・津波リスクを確認し、避難場所を事前に把握しましょう。
農地の場合は農業委員会に転用可否を相談
農地(田・畑)の場合は、購入前に農業委員会に転用可否を相談することを強く推奨します。第1種農地は原則不許可のため、購入後に転用不可判明というリスクがあります。
借地権の場合は契約内容(更新条項の有無)を確認
借地権の場合は、契約内容(更新条項の有無)を必ず確認します。定期借地権の場合は契約終了後に立ち退きが必須です。
建築基準法の制限(高さ・斜線・日影規制)を建築課で事前相談
建築予定の図面を基に、建築課で事前相談を行い、高さ制限・斜線制限・日影規制の適合を確認します。
まとめ:土地の種類による税金・コストへの影響
土地の種類(地目・用途地域・権利形態)は、建築制限・税金・売却時の影響に大きく関わります。地目は23種類、用途地域は13種類、権利形態は所有権・借地権・地上権に分類されます。
固定資産税の計算方法(地目別)
固定資産税は、固定資産税評価額×1.4%(標準税率)で計算されます。評価額は地目により大きく異なります。
宅地評価額(公示地価の7割程度)
宅地の評価額は公示地価の7割程度を目安に算定されます。
住宅用地特例(小規模200㎡以下は1/6)
住宅用地に適用される固定資産税軽減制度があり、小規模住宅用地(200㎡以下)は評価額の1/6に軽減、一般住宅用地(200㎡超)は1/3に軽減されます。
地目変更で固定資産税が6倍変動する可能性
空き家を解体すると雑種地に地目変更され、住宅用地特例が失われ、固定資産税が約6倍に跳ね上がる可能性があります。
評価額に不服な場合の異議申し立て手続き
評価額に不服がある場合は、固定資産税評価審査委員会への異議申し立て(3か月以内)の手続きが可能です。専門家(税理士等)への相談を推奨します。
信頼できる不動産会社や専門家(宅建士、土地家屋調査士、税理士等)に相談しながら、登記簿謄本・都市計画図を確認し、無理のない資金計画を立てましょう。
