住宅ローンの保証料とは?連帯保証人を代行する費用
住宅ローンを組む際、「保証料」という費用が発生することを知り、「これは何のための費用なのか」「いくらかかるのか」「支払い方法は選べるのか」と疑問を感じる方は少なくありません。
この記事では、住宅ローン保証料の仕組み、相場、支払い方法(一括前払い型と金利上乗せ型)、保証料無料の住宅ローンの注意点を、金融機関の公式情報を元に解説します。
保証料の仕組みを正しく理解すれば、総返済額や初期費用を考慮した適切な住宅ローン選びができるようになります。
この記事のポイント
- 住宅ローンの保証料は保証会社が連帯保証人の役割を代行するための費用で、返済不能時に保証会社が代位弁済する
- 保証料を支払っても返済義務は継続し、返済先が金融機関から保証会社に変わるのみ
- 保証料の相場は借入金額の0%〜2%程度、一括前払い型の場合は数十万円〜100万円が目安
- 支払い方法には一括前払い型(外枠方式)と金利上乗せ型(内枠方式)があり、総返済額と初期費用が異なる
- ネット銀行やフラット35は保証料無料だが、融資手数料が借入額の2%前後に設定されることが多い
(1) 保証料の仕組み(保証会社が連帯保証人の役割を代行)
三菱UFJ銀行「住宅ローンの保証料とは?相場や計算方法をわかりやすく解説!」によると、住宅ローンの保証料とは、保証会社が連帯保証人の役割を代行するための費用です。
従来は親族や知人に連帯保証人を依頼する必要がありましたが、現在は保証会社が連帯保証人を代行する仕組みが一般的です。保証料を支払うことで、連帯保証人を立てずに住宅ローンを借りることができます。
(2) 保証会社の役割(返済不能時に代位弁済)
マネープラザONLINE「『住宅ローンの保証料とは?』支払方法の種類とメリット・デメリット」によると、保証会社は返済不能時に住宅ローン契約者に代わって金融機関に一括返済(代位弁済)を行います。
代位弁済とは、保証会社が住宅ローン契約者に代わって金融機関に残債を一括で支払うことです。これにより、金融機関は住宅ローンを回収できるため、貸し倒れリスクを軽減できます。
(3) 保証料を支払っても返済義務は継続する
重要なのは、保証料を支払っても返済義務は継続するという点です。
マネープラザONLINEによると、代位弁済が行われた後、返済先が金融機関から保証会社に変わるのみで、住宅ローン契約者は保証会社に対して引き続き返済を続ける必要があります。
「保証料を支払えば返済しなくてよい」というわけではなく、保証会社は金融機関に対して一時的に立て替えを行うだけです。
住宅ローン保証料の相場と計算方法
(1) 保証料の相場(借入金額の0%〜2%、または数十万円〜100万円)
auじぶん銀行「住宅ローンを組む際に求められる『保証料』について解説!相場や支払方法もご紹介」によると、住宅ローンの保証料は借入金額の0%〜2%程度が相場です。
あおぞら銀行「住宅ローンの保証料はいくら必要?支払いの種類と抑える方法」によると、一括前払い型の場合、数十万円〜100万円程度が目安となります。
借入金額や返済期間により大きく異なるため、詳細は各金融機関への確認を推奨します。
(2) 計算方法(借入金額×保証料率)
三菱UFJ銀行によると、保証料は以下の計算式で算出されます。
保証料 = 借入金額 × 保証料率
保証料率は金融機関や保証会社により異なり、0.2%〜2.0%程度が一般的です。例えば、以下のように計算されます。
| 借入金額 | 保証料率 | 保証料(一括前払い型) |
|---|---|---|
| 3,000万円 | 2.0% | 60万円 |
| 4,000万円 | 2.0% | 80万円 |
| 5,000万円 | 2.0% | 100万円 |
※保証料率2.0%で試算した参考値です。実際の保証料率は金融機関により異なります。
(3) 返済期間が長いほど保証料が高くなる仕組み
auじぶん銀行によると、返済期間が長いほど保証料が高くなります。
これは、返済期間が長いほど貸し倒れリスクが高まるため、保証会社が負担するリスクが増加するためです。35年返済と20年返済では、保証料に大きな差が出る可能性があります。
保証料の支払い方式|一括前払い型と金利上乗せ型の比較
(1) 一括前払い型(外枠方式)のメリット・デメリット
あおぞら銀行によると、一括前払い型(外枠方式)は、住宅ローン契約時に保証料全額を一括で支払う方法です。
メリット:
- 総返済額が抑えられる(金利上乗せがないため)
- 繰上返済や借り換え時に保証料の一部が返金される可能性がある
デメリット:
- 初期費用が高額になる(数十万円〜100万円程度)
- 自己資金が不足する場合、諸費用ローンの検討が必要
一括前払い型は、初期費用を支払える資金がある場合に総返済額を抑えられる選択肢です。
(2) 金利上乗せ型(内枠方式)のメリット・デメリット
あおぞら銀行によると、金利上乗せ型(内枠方式)は、住宅ローンの金利に保証料を上乗せして毎月の返済額に含める方法です。
メリット:
- 初期費用を抑えられる(保証料の一括支払いが不要)
- 自己資金が少ない場合でも利用しやすい
デメリット:
- 金利が年0.2%程度上乗せされるため、総返済額が増加する
- 繰上返済や借り換え時に保証料の返金がない
金利上乗せ型は、初期費用を抑えたい場合に適していますが、長期返済では総返済額が増加します。
(3) どちらがお得か?総返済額と初期費用の比較
一括前払い型と金利上乗せ型のどちらがお得かは、返済期間や資金状況により異なります。
一括前払い型が適している場合:
- 初期費用を支払える自己資金がある
- 総返済額を抑えたい
- 繰上返済や借り換えを検討している
金利上乗せ型が適している場合:
- 初期費用を抑えたい
- 自己資金が少ない
- 返済期間が短い(10〜15年程度)
一般的に、一括前払い型の方が総返済額は抑えられます。ただし、初期費用が高額(数十万円〜100万円)になるため、資金状況に応じた選択を推奨します。
詳細はファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーへの相談を推奨します。
保証料無料(0円)の住宅ローンとその注意点
(1) ネット銀行やフラット35は保証料無料
SBI新生銀行「住宅ローン契約時に保証料は必要?保証料について詳しく解説」によると、ネット銀行やフラット35は保証料が無料(0円)です。
フラット35は住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンで、保証会社を利用しない仕組みのため、保証料が不要です。
ネット銀行(auじぶん銀行、SBI新生銀行、住信SBIネット銀行等)も保証料無料の住宅ローンを提供しています。
(2) 保証料無料の代わりに融資手数料が高額(借入額の2%前後)
ZUU online「住宅ローンの保証料って何?無料で選ぶと失敗する2つの理由」によると、保証料無料の住宅ローンは融資手数料が借入額の2%前後に設定されることが多いです。
例えば、以下のように試算されます。
| 借入金額 | 融資手数料(2%) |
|---|---|
| 3,000万円 | 60万円 |
| 4,000万円 | 80万円 |
| 5,000万円 | 100万円 |
保証料無料でも、融資手数料が高額になるため、諸費用の総額では大きな差がない場合があります。
(3) 諸費用の総額で比較する重要性
ZUU onlineによると、保証料と融資手数料を合わせた諸費用の総額で比較することが重要です。
比較のポイント:
- 保証料(一括前払い型または金利上乗せ型)
- 融資手数料
- その他諸費用(登記費用、印紙税、火災保険等)
「保証料無料」だけに注目せず、諸費用の総額を試算し、総返済額と初期費用の両方を考慮した比較を推奨します。
保証料の返金条件と抑える方法
(1) 繰上返済や借り換え時の返金条件
一括前払い型の保証料は、繰上返済や借り換えで一部返金される可能性があります。
返金条件は金融機関や保証会社により異なりますが、一般的に以下のケースで返金される場合があります。
- 全額繰上返済: 住宅ローンを全額返済した場合、残存期間分の保証料が返金される
- 借り換え: 他の金融機関に借り換えた場合、残存期間分の保証料が返金される
返金額は返済期間や金融機関の規定により異なるため、事前に確認することを推奨します。
(2) 一括前払い型の保証料は一部返金される可能性がある
価格.com「住宅ローンの保証料とは?返金の条件や安く抑える方法を解説」によると、一括前払い型の保証料は、繰上返済や借り換え時に一部返金される可能性があります。
金利上乗せ型の場合、保証料の返金はありません。これは、金利上乗せ型は毎月の返済額に保証料が含まれており、既に支払った分は返金されない仕組みのためです。
(3) 保証料を抑える方法(頭金を増やす、返済期間を短くする)
価格.comによると、保証料を抑える方法は以下の通りです。
頭金を増やす:
- 借入金額を減らすことで、保証料も減少する
- 例: 借入金額を3,000万円から2,500万円に減らせば、保証料も減少
返済期間を短くする:
- 返済期間が短いほど、保証料が低くなる
- 例: 35年返済を20年返済に変更すれば、保証料が減少
保証料無料の住宅ローンを選ぶ:
- ネット銀行やフラット35を検討する
- ただし、融資手数料が高額になる可能性があるため、諸費用の総額で比較
まとめ|保証料の支払方法はどう選ぶべきか
住宅ローンの保証料は、保証会社が連帯保証人の役割を代行するための費用で、借入金額の0%〜2%程度が相場です。一括前払い型の場合、数十万円〜100万円が目安となります。
支払い方法には、一括前払い型(外枠方式)と金利上乗せ型(内枠方式)があります。一括前払い型は総返済額が抑えられますが、初期費用が高額になります。金利上乗せ型は初期費用を抑えられますが、金利が年0.2%程度上乗せされます。
ネット銀行やフラット35は保証料無料ですが、融資手数料が借入額の2%前後に設定されることが多いため、諸費用の総額で比較することが重要です。
保証料を支払っても返済義務は継続し、返済先が金融機関から保証会社に変わるのみです。保証料の支払方法は返済期間や資金状況により異なるため、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーへの相談を推奨します。
