住宅ローン完済のメリットと繰上返済戦略|早期完済を目指す資金計画

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/30

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住宅ローン完済を目指す方へ|早期完済の判断基準と資金計画

住宅ローン返済中の方の中で、「早く完済して経済的自由を手に入れたい」と考える方は少なくありません。

この記事では、住宅ローン完済のメリット・デメリット、繰上返済の種類と効果、住宅ローン控除との関係、早期完済を目指す資金計画を、金融機関の公式情報や専門家の見解を元に解説します。

初めて繰上返済を検討する方でも、自分に合った返済戦略と判断基準が理解できます。

この記事のポイント

  • 住宅ローンの完済平均年齢は53.0歳、理想は65歳(定年まで)に完済すること
  • 繰上返済には期間短縮型と返済額軽減型の2種類があり、効果が異なる
  • 金利0.7%以上なら繰上返済優先、0.6%以下なら住宅ローン控除を優先
  • 完済後も固定資産税・修繕費は継続的に発生するため、老後資金とのバランスが重要
  • 完済後は抵当権抹消登記が必要(自動では消えない)

住宅ローン完済について

住宅ローン完済の平均年齢(53.0歳)

住宅ローンの完済年齢に関する統計データを見てみましょう。

住宅金融支援機構の調査(2021年度フラット35)

  • 借入時の平均年齢:41.5歳
  • 完済までの平均期間:16.0年
  • 完済平均年齢:約53.0歳(計算値)

(出典:LIFULL HOME'S

当初借入期間は平均27年ですが、実際の完済までの期間は16年と、約11年短くなっています。これは、繰上返済や借り換えを活用している人が多いことを示しています。

理想の完済年齢(65歳・定年まで)

理想の完済年齢は、一般的に**65歳(定年まで)**とされています。

理由

  • 定年後は収入が減少するため、ローン返済が負担になる
  • 年金生活に入る前に完済することで、老後資金の余裕が生まれる
  • 退職金を全額ローン返済に充てると老後資金が不足するリスクがある

定年までに完済することを目標に、無理のない返済計画を立てることが重要です。

住宅ローン完済のメリット・デメリット

メリット(精神的安心感・家計の安定性・利息削減)

住宅ローン完済の主なメリットは以下の通りです。

精神的な安心感

  • 借金がゼロになることで、精神的な負担が軽減
  • 失業や病気のリスクがあっても、住居を失う心配がない

家計の安定性

  • 毎月の返済がなくなり、自由に使えるお金が増える
  • 老後の年金生活でも住居費の負担がない

利息削減

  • 繰上返済により、将来払うはずだった利息を節約できる
  • 総返済額を大幅に減らせる可能性がある

デメリット(手元資金の減少・緊急時の備え不足)

一方で、以下のデメリットもあります。

手元資金の減少

  • 繰上返済で貯蓄を使い果たすと、緊急時の備えが不足
  • 病気・失業・災害時に対応できなくなるリスク

住宅ローン控除の減少

  • 住宅ローン控除期間中(10-13年)の繰上返済は、控除額が減少
  • 結果的に所得税負担が増える可能性がある

手数料負担

  • 金融機関によっては繰上返済手数料が1-5万円かかる
  • 残期間が短い場合、手数料が利息削減額を上回る可能性がある

(出典:りそなグループ伊予銀行

完済後も継続する費用(固定資産税・修繕費・管理費)

住宅ローンを完済しても、以下の費用は継続的に発生します。

継続する主な費用

  • 固定資産税:年間10-30万円程度(物件により異なる)
  • 修繕費:戸建ての場合、外壁・屋根の修繕で数百万円
  • 管理費・修繕積立金:マンションの場合、月額2-4万円

完済しても経済的負担がゼロになるわけではありません。老後資金の計画において、これらの費用も考慮する必要があります。

(出典:東洋経済オンライン

繰上返済の種類と効果

期間短縮型(総返済額削減効果が大きい)

期間短縮型は、繰上返済により返済期間を短縮する方法です。

特徴

  • 毎月の返済額は変わらない
  • 返済期間が短縮されることで、総返済額が大きく削減される
  • 利息削減効果が最も高い

向いている人

  • 総返済額を最小限に抑えたい
  • 毎月の返済額は問題なく支払える
  • 早期完済を目指している

返済額軽減型(家計負担軽減)

返済額軽減型は、繰上返済により毎月の返済額を減らす方法です。

特徴

  • 返済期間は変わらない
  • 毎月の返済額が減少し、家計負担が軽減
  • 期間短縮型より総返済額の削減効果は小さい

向いている人

  • 毎月の返済負担を軽減したい
  • 収入が減少する予定がある
  • 教育費等の支出増加が見込まれる

繰上返済の手数料(1-5万円)

繰上返済には手数料がかかる場合があります。

主な金融機関の手数料例

  • インターネット申込:無料~5,500円
  • 窓口申込:5,500円~33,000円
  • 全額繰上返済(完済):16,500円~55,000円

(出典:りそなグループ

手数料が高い場合、残期間が短いと手数料が利息削減額を上回る可能性があります。事前に金融機関に確認しましょう。

繰上返済のシミュレーション

繰上返済の効果をシミュレーションで確認しましょう。

条件

  • 借入額:3,000万円
  • 金利:1.0%(固定金利)
  • 借入期間:35年
  • 繰上返済額:100万円(借入から5年後)

期間短縮型

  • 返済期間短縮:約2年
  • 利息削減額:約55万円

返済額軽減型

  • 毎月返済額軽減:約2,800円
  • 利息削減額:約30万円

期間短縮型の方が利息削減効果が大きいことが分かります。

住宅ローン控除との関係と判断基準

住宅ローン控除の仕組み(0.7%控除、10-13年間)

住宅ローン控除は、住宅ローン残高の0.7%を所得税・住民税から控除する制度です。

2024年時点の制度概要

  • 控除率:年末ローン残高の0.7%
  • 控除期間:10-13年間(新築・中古・リフォームで異なる)
  • 控除上限:年間最大35万円(物件により異なる)

(出典:全国銀行協会

繰上返済で控除が減るケース

繰上返済により、以下のケースで住宅ローン控除が減少または適用外になります。

控除が減少するケース

  • 繰上返済でローン残高が減少すると、控除額も減少
  • 控除率0.7%のため、100万円繰上返済すると年間7,000円の控除が減る

控除が適用外になるケース

  • 期間短縮型の繰上返済で、返済期間が10年未満になると控除適用外
  • 一括完済すると、その時点で控除が終了

金利0.7%以上なら繰上返済優先、0.6%以下なら控除優先

繰上返済と住宅ローン控除の優先順位は、金利によって判断できます。

判断基準

  • 金利0.7%以上:繰上返済を優先(利息削減効果 > 控除減少の影響)
  • 金利0.6%以下:住宅ローン控除を優先して10年待つ方が得(控除減少の影響 > 利息削減効果)

(出典:全国銀行協会

ただし、個別の状況(年収、所得税額、控除限度額等)により最適解が異なるため、ファイナンシャルプランナー等の専門家に相談することをおすすめします。

返済期間10年未満になると控除適用外

期間短縮型の繰上返済を行う場合、返済期間が10年未満にならないよう注意が必要です。

注意点

  • 返済期間が10年未満になると、その時点で住宅ローン控除が適用外
  • 繰上返済後も返済期間が10年以上残るように調整すべき

例えば、残り12年の場合、3年以上短縮する繰上返済は控除が適用外になるリスクがあります。

早期完済を目指す資金計画と注意点

老後資金とのバランス

早期完済を目指す場合、老後資金とのバランスが最も重要です。

老後資金の目安

  • 夫婦2人で老後30年間に必要な資金:約2,000-3,000万円
  • 年金だけでは不足する可能性が高い

判断基準

  • 老後資金の見通しが立っている場合のみ、繰上返済を検討
  • 老後資金が不足する場合は、貯蓄を優先すべき

50代で住宅ローンを完済しても、老後資金が不足すれば老後破綻のリスクがあります。

(出典:東洋経済オンライン

教育費・緊急資金の確保

繰上返済の前に、教育費と緊急資金を確保することが重要です。

確保すべき資金

  • 教育費:子ども1人あたり大学まで300-1,000万円
  • 緊急資金:生活費の6ヶ月~1年分(病気・失業時の備え)

これらの資金を確保せずに繰上返済すると、急な出費に対応できなくなるリスクがあります。

他のローンとの優先順位

他にローンがある場合、金利が高いローンから優先的に返済すべきです。

金利の比較

  • 住宅ローン:0.4-1.5%程度
  • カーローン:2-4%程度
  • 教育ローン:2-4%程度
  • カードローン:10-15%程度

金利が高いローンがある場合、住宅ローンより先にそちらを完済する方が利息削減効果が大きいです。

完済後の手続き(抵当権抹消登記)

住宅ローンを完済したら、抵当権抹消登記が必要です。

抵当権抹消登記とは

  • 住宅ローンの担保として設定された抵当権を消す登記手続き
  • 自動では消えないため、自分で手続きが必要

手続きの流れ

  1. 金融機関から書類を受け取る(完済証明書、抵当権抹消書類等)
  2. 法務局で抵当権抹消登記を申請(自分で手続き可能)
  3. または司法書士に依頼(費用1-2万円程度)

注意点

  • 金融機関から届く書類には有効期限があるため、早めに手続きを
  • 2024年4月に法務局が抵当権抹消手続きの迅速化を呼びかけ

(出典:法務局SBIイーファイナンス

完済後の資産形成(新NISA等)

住宅ローン完済後は、余剰資金を資産形成に回すことが推奨されます。

2024年開始の新NISA

  • 年間360万円まで非課税で投資可能
  • 非課税保有期間が無期限
  • 老後資金の形成に最適

完済後の毎月の余剰資金を新NISAで積み立てることで、老後資金を効率的に増やせる可能性があります。

まとめ:住宅ローン完済の判断ポイント

住宅ローン完済は、精神的な安心感や利息削減のメリットがある一方、手元資金の減少や老後資金不足のリスクもあります。

住宅ローン完済の判断ポイント

  1. 金利で判断:金利0.7%以上なら繰上返済優先、0.6%以下なら控除優先
  2. 老後資金を優先:老後資金の見通しが立っている場合のみ繰上返済を検討
  3. 緊急資金を確保:生活費の6ヶ月~1年分は手元に残す
  4. 他のローンを優先:金利が高いローンから先に返済
  5. 返済期間10年以上を維持:住宅ローン控除を受け続けるため
  6. 完済後の手続き:抵当権抹消登記を早めに実施
  7. 専門家に相談:ファイナンシャルプランナー等に個別相談

住宅ローン完済は人生の大きな節目です。自分の状況(金利、年齢、家計、老後資金)を総合的に判断し、専門家に相談しながら、無理のない返済計画を立てましょう。

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よくある質問

Q1住宅ローンを早期完済すると本当に「勝ち組」?

A1早期完済は精神的安心感や利息削減のメリットがありますが、手元資金が枯渇するリスクや老後資金不足の可能性もあります。個々の状況(金利、年齢、家計)により最適解が異なるため、ファイナンシャルプランナー等の専門家に相談すべきです。完済しても固定資産税・修繕費は継続的に発生するため、完済=経済的安心ではありません。老後資金の見通しが立っている場合のみ、早期完済を検討してください。

Q2繰り上げ返済のメリット・デメリットは?

A2メリットは将来の利息削減と総返済額の減少です。期間短縮型なら返済期間を短縮でき、利息削減効果が最も高いです。デメリットは手元資金の減少と緊急時の備え不足、住宅ローン控除額の減少です。金融機関によっては繰上返済手数料が1-5万円かかる場合もあります。生活費の6ヶ月~1年分の緊急資金は手元に残したうえで、繰上返済を検討してください。

Q3住宅ローン控除と繰り上げ返済、どちらを優先すべき?

A3金利0.7%以上なら繰り上げ返済優先、0.6%以下なら住宅ローン控除を優先して10年待つ方が得です。ただし繰り上げ返済後も返済期間が10年以上残れば控除は継続可能です。期間短縮型の繰り上げ返済で返済期間が10年未満になると控除が適用外になるため注意が必要です。個別の状況により最適解が異なるため、ファイナンシャルプランナー等の専門家に相談することをおすすめします。

Q4住宅ローン完済後にやるべき手続きは?

A4抵当権抹消登記と火災保険の質権設定解除が必要です。抵当権は自動では消えないため、自分で法務局に申請するか司法書士に依頼(費用1-2万円程度)する必要があります。金融機関から届く書類には有効期限があるため、早めの手続きが推奨されます。2024年4月に法務局が抵当権抹消手続きの迅速化を呼びかけており、完済後は速やかに手続きを行いましょう。

Q5完済しても老後破綻のリスクはある?

A5あります。完済後も固定資産税(年間10-30万円程度)、修繕費(戸建ての場合数百万円)、管理費・修繕積立金(マンションの場合月額2-4万円)は継続的に発生します。50代で完済しても老後資金が不足すれば老後破綻のリスクがあるため、老後資金の計画が重要です。夫婦2人で老後30年間に必要な資金は約2,000-3,000万円が目安です。老後資金の見通しが立っている場合のみ、早期完済を検討してください。

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Room Match編集部

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