諸費用ローンとは?住宅購入時の資金調達の選択肢
住宅購入を検討する際、「物件価格以外に必要な諸費用をどう支払うか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、諸費用ローンの仕組み、金利、審査基準、住宅ローンとの違いを、三井住友銀行や国土交通省のデータを元に解説します。
諸費用の支払い方法を正確に把握し、適切な判断ができるようになります。
この記事のポイント
- 諸費用ローンは住宅購入の諸費用(手数料、税金、引越し費用等)を対象とする、住宅ローンとは別のローン
- 諸費用は新築で購入価格の約3-5%、中古で約6-8%、注文住宅で約10-12%が目安
- 諸費用ローンの金利は住宅ローンより高く、住宅ローン控除も適用されない
- 諸費用を住宅ローンに組み込む方が金利が低く、総返済額が少ない
- ファイナンシャルプランナーへの相談を推奨
(1) 諸費用ローンの定義(住宅購入の諸費用を対象とする別契約のローン)
諸費用ローンとは、住宅購入にかかる諸費用(手数料、税金、引越し費用等)を対象とする、住宅ローンとは別のローンです。
住宅ローンは物件価格を対象としますが、諸費用ローンは物件価格以外の費用を対象とします。
(2) 諸費用の金額目安(新築3-5%、中古6-8%、注文住宅10-12%)
諸費用は物件種別により異なります。三井住友銀行によると、以下が目安です。
| 物件種別 | 諸費用の目安 |
|---|---|
| 新築マンション | 購入価格の約3-5% |
| 建売・中古住宅 | 購入価格の約6-8% |
| 注文住宅 | 購入価格の約10-12% |
例えば、4,000万円の新築マンションを購入する場合、諸費用は約120万円~200万円になります。
諸費用ローンの仕組みと対象費用
(1) 対象となる諸費用(仲介手数料、登記費用、火災保険料、引越し費用等)
諸費用ローンの対象となる費用は以下の通りです。
- 仲介手数料:物件価格の3%+6万円+消費税(上限)
- 登記費用:登録免許税、司法書士報酬
- 火災保険料:住宅ローン借入期間中の加入が必要
- 保証料:保証会社に支払う費用(住宅ローン返済が困難になった場合の保証)
- 融資手数料:金融機関に支払う手数料
- 印紙税:売買契約書、住宅ローン契約書に貼付
- 引越し費用:仮住まい費用、家具購入費等
(2) 諸費用ローンのメリット(返済期間を任意設定可能、仮住まい費用等も借入可能)
諸費用ローンのメリットは以下の通りです。
- 返済期間を任意設定可能:住宅ローンとは別に返済期間を設定できる
- 仮住まい費用や家具等も借入可能:住宅ローンでは対象外の費用も借入可能
(3) 諸費用ローンのデメリット(取扱機関が少ない、借入額上限300万円~500万円、融資手数料が別途発生)
諸費用ローンのデメリットは以下の通りです。
- 取扱機関が少ない:諸費用ローンを扱う金融機関は非常に少ない
- 借入額上限がある:300万円、500万円等の上限が設けられているケースが多い
- 融資手数料が別途発生:住宅ローンとは別契約のため、融資手数料が別途発生
- 住宅ローン控除不可:諸費用ローンは住宅ローン控除の対象外
諸費用ローンの金利と返済条件
(1) 諸費用ローンの金利(住宅ローンより高く設定されるケースがほとんど)
諸費用ローンの金利は、住宅ローンより高く設定されるケースがほとんどです。カーディフ生命によると、諸費用専門のローンは住宅ローンよりも金利が高く設定されています。
例えば、住宅ローンの金利が年0.5%の場合、諸費用ローンの金利は年2.0%~3.0%程度になる場合があります(金融機関により異なります)。
(2) 返済期間と借入額上限
諸費用ローンの返済期間と借入額上限は金融機関により異なりますが、以下が一般的です。
- 返済期間:1年~15年程度
- 借入額上限:300万円~500万円程度
(3) 諸費用ローンワイド(ARUHI×アプラス)の取扱終了(2024年8月)
諸費用ローンワイド(ARUHI×アプラス共同提供)は、2024年8月現在、取扱終了となりました。
現在は他の金融機関の諸費用ローンを検討するか、諸費用を住宅ローンに組み込む方法を選択する必要があります。
諸費用ローンと住宅ローンの違い
(1) 金利の違い(諸費用ローンの方が高い)
諸費用ローンの金利は住宅ローンより高く設定されるケースがほとんどです。これは、諸費用ローンが無担保ローン(または住宅ローンより担保価値が低い)として扱われるためです。
(2) 住宅ローン控除の適用(諸費用ローンは対象外)
国税庁によると、住宅ローン控除は住宅の取得に充てるための借入金が対象です。諸費用ローンは対象外のため、所得税・住民税からの控除を受けられません。
(3) 契約・融資手数料の違い(諸費用ローンは別契約のため別途発生)
諸費用ローンは住宅ローンとは別契約となるため、融資手数料が別途発生します。住宅ローンの融資手数料に加えて、諸費用ローンの融資手数料も支払う必要があります。
(4) 返済負担の違い(2重返済となり毎月の返済額が増加)
諸費用ローンを利用すると、住宅ローンと諸費用ローンの2重返済となり、毎月の返済額が大きくなります。
例えば、住宅ローンの月額返済額が10万円、諸費用ローンの月額返済額が2万円の場合、合計12万円の返済が必要です。
諸費用を住宅ローンに組み込む方法
(1) 諸費用組み込み可能な銀行一覧(PayPay銀行、オンライン銀行等)
多くの銀行で諸費用の住宅ローン組み込みが可能です。株式会社住宅市場によると、以下の銀行が諸費用組み込みに対応しています。
- PayPay銀行
- 住信SBIネット銀行
- 楽天銀行
- イオン銀行
- その他オンライン銀行
金利変更なしで対応する銀行も多いです。
(2) 住宅ローン組み込みのメリット(金利が諸費用ローンより低い、住宅ローン控除適用)
諸費用を住宅ローンに組み込むメリットは以下の通りです。
- 金利が諸費用ローンより低い:住宅ローンの金利で諸費用も借入可能
- 住宅ローン控除が適用される:諸費用ローンと異なり、所得税・住民税からの控除を受けられる
- 1つの契約で完結:住宅ローンと諸費用ローンの2重契約が不要
- 融資手数料が1回で済む:別契約の融資手数料が不要
(3) 諸費用組み込みの注意点(全ての金融機関が対応しているわけではない)
全ての金融機関が諸費用組み込みに対応しているわけではありません。また、組み込み可能な費用の範囲も金融機関により異なります。
購入前に、複数の金融機関に確認することを推奨します。
まとめ:諸費用ローンを利用する際の判断ポイント
(1) 諸費用の支払い方法の比較(現金払い、住宅ローン組み込み、諸費用ローン)
諸費用の支払い方法は以下の3つがあります。
| 支払い方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 現金払い | 借入額が少なく、総返済額が最も少ない | 自己資金が多く必要 |
| 住宅ローン組み込み | 金利が低い、住宅ローン控除適用 | 全ての金融機関が対応しているわけではない |
| 諸費用ローン | 返済期間を任意設定可能 | 金利が高い、住宅ローン控除不可、融資手数料が別途発生 |
(2) どちらがお得か?(住宅ローン組み込みの方が金利が低く、総返済額が少ない)
諸費用ローンと住宅ローン組み込みを比較すると、住宅ローン組み込みの方が金利が低く、住宅ローン控除も適用されるため、総返済額が少ないです。
諸費用ローンは、住宅ローン組み込みができない場合の選択肢として検討してください。
(3) ファイナンシャルプランナーへの相談推奨
諸費用の支払い方法は、自己資金の状況、住宅ローンの借入可能額、金融機関の条件により異なります。
複数の金融機関に確認し、ファイナンシャルプランナーや宅建士に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。


