戸建て売却相場を知る重要性と市場動向
戸建ての売却を検討する際、「適正な売却相場はどのくらいか」「どうすれば高値で売れるか」と悩む方は少なくありません。売却相場を正確に把握せずに売却すると、数百万円の損失につながる可能性があります。
この記事では、戸建て売却相場の調べ方を「自分で調べる方法×プロに査定依頼する方法」の2軸で解説します。国土交通省の取引価格情報、路線価、固定資産税評価額等の公的データの活用法を具体的に提示し、高値売却のための準備(修繕、清掃、書類整備)も実務的に解説します。
この記事のポイント
- 売却相場は国土交通省の不動産取引価格情報で実際の取引データを確認できる
- 複数の不動産会社に査定を依頼し、比較することが重要(一般的に3-5社)
- 路線価や固定資産税評価額も相場の目安として活用できる
- 売却前に修繕や清掃を行うことで、査定額が上がる可能性がある
戸建て売却相場の調べ方(自分で調べる方法)
国土交通省の不動産取引価格情報を活用
国土交通省の不動産取引価格情報検索では、実際の戸建て取引価格データをエリア別・築年数別に確認できます。
検索方法は、エリア(都道府県→市区町村)、時期(過去2年程度)、取引の種類(中古戸建て等)を選択すると、実際の取引価格・土地面積・建物面積・築年数が表示されます。
自分の物件と類似した条件(エリア、土地面積、築年数)の取引価格を複数確認することで、相場の目安が把握できます。
路線価から土地価格の目安を算出
国税庁の路線価図・評価倍率表では、路線価(国税庁が毎年公表する土地の評価額、相続税・贈与税の算定基準)を確認できます。
路線価は公示地価の約80%とされるため、路線価÷0.8で公示地価の目安が算出できます。土地面積×公示地価で、土地価格の目安が計算できます。
ただし、路線価は相続税評価額であり、実際の売却価格とは異なる場合があります。あくまで目安として活用しましょう。
固定資産税評価額を活用する方法
固定資産税評価額は、毎年1月1日時点の不動産所有者に送付される固定資産税納税通知書に記載されています。固定資産税評価額は公示地価の約70%とされるため、固定資産税評価額÷0.7で公示地価の目安が算出できます。
ただし、固定資産税評価額も実際の売却価格とは異なる場合があるため、あくまで目安として活用しましょう。
不動産ポータルサイトの類似物件を参考にする
SUUMO、HOME'S等の不動産ポータルサイトで、類似物件(エリア、土地面積、築年数)の売出価格を確認できます。
ただし、売出価格は実際の売却価格(成約価格)ではなく、売主の希望価格です。実際には、売出価格から5-10%程度値下げして成約することが多いため、注意が必要です。
不動産会社による査定と複数査定のメリット
査定の種類(簡易査定vs訪問査定)
査定には、簡易査定(机上査定)と訪問査定の2種類があります。
- 簡易査定(机上査定): 物件情報(住所、土地面積、築年数等)を基に、過去の取引データから算出する査定。訪問なしで数日以内に結果が出る。
- 訪問査定: 不動産会社の担当者が実際に物件を訪問し、建物の状態・周辺環境を確認して算出する査定。より精度の高い査定額が出る。
売却を本格的に検討する場合は、訪問査定を依頼することを推奨します。
複数社に査定依頼する理由(3-5社が目安)
複数の不動産会社に査定を依頼し、比較することが重要です。一般的に3-5社に依頼することを推奨します。
複数査定のメリットは、査定額のばらつきを確認でき、適正価格の範囲が把握できること、各社の説明・サービスを比較できることです。
査定額の見方と注意点
査定額は「売れるであろう価格の目安」であり、実際の売却価格ではありません。高額査定を提示する会社が必ずしも良いとは限りません。
媒介契約を取るために高額査定を提示し、実際には売れずに値下げを繰り返す会社もあります。査定根拠の説明(類似物件の取引事例、市場動向等)がしっかりしているか、会社の実績も含めて総合的に判断してください。
媒介契約の種類と選び方
媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があります。
- 専属専任媒介契約: 1社のみに依頼、自己発見取引も不可、積極的な販売活動が期待できる
- 専任媒介契約: 1社のみに依頼、自己発見取引は可、積極的な販売活動が期待できる
- 一般媒介契約: 複数社に依頼可、販売活動の積極性は劣る場合がある
専属専任・専任は1社に絞るため、信頼できる会社を選ぶことが重要です。一般媒介は複数社に依頼できますが、各社の販売活動が消極的になる場合があります。
査定額に影響する要因と評価ポイント
立地・交通アクセス
駅からの距離、周辺環境(商業施設、学校、公園等)、交通アクセスが査定額に大きく影響します。駅徒歩10分以内、人気エリアは査定額が高くなります。
築年数・建物の状態
築年数が浅いほど、建物の状態が良いほど査定額が高くなります。築20年以上は建物価値が大きく下落しますが、土地の価値は維持されます。
建物の状態(外壁のひび割れ、雨漏り、シロアリ被害、設備の劣化等)が査定額に影響するため、売却前の修繕・清掃が重要です。
周辺環境と市場動向
周辺の開発計画、人口動向、市場の需給バランスが査定額に影響します。2024年は不動産価格が上昇傾向にあり、売却のタイミングとしては良好です。
土地の形状・接道状況
土地の形状(整形地vs不整形地)、接道状況(道路幅員、接道間口)が査定額に影響します。整形地・接道間口が広い土地は査定額が高くなります。
リフォーム履歴・設備の状態
リフォーム履歴(外壁塗装、屋根修繕、設備更新等)、設備の状態(キッチン、バス、給湯器等)が査定額に影響します。リフォーム履歴を書類で提示できると、査定額が上がる可能性があります。
高値売却のための準備と売却戦略
売却前の修繕・清掃のポイント
外壁のひび割れ、雨漏り、設備の故障等、目立つ不具合は修繕することで、査定額が上がる可能性があります。ただし、過度な修繕は費用対効果が低い場合があるため、不動産会社に相談しながら判断しましょう。
清掃(内覧前の徹底的な清掃、不用品の処分)も、購入希望者の印象を良くし、成約率を上げます。
必要書類の整備(権利書、図面等)
売却時に必要な書類(権利書、測量図、建築確認済証、リフォーム履歴等)を事前に整備しておくことで、スムーズな売却が可能になります。
書類が不足している場合は、再発行や測量の実施が必要になる場合があります。早めに確認しましょう。
インスペクション(住宅診断)の実施
国土交通省の既存住宅の売買における情報提供の充実では、売却時のインスペクション(住宅診断)実施を推奨しています。
インスペクション(費用5-10万円)により、建物の状態を客観的に示せるため、購入希望者の安心感が高まり、成約率が上がります。
売却のタイミング(時期・市場動向)
不動産の売却時期は、1-3月(転勤・進学シーズン)、9-11月(転勤シーズン)が需要が高く、成約しやすい時期とされています。
市場動向(金利、経済状況、地域の開発計画等)も価格に影響するため、不動産会社に相談しながらタイミングを判断しましょう。
売却の流れと税金・諸費用のまとめ
売却の基本的な流れ
売却相場の調査 → 複数社に査定依頼(3-5社) → 媒介契約締結 → 売却活動(内覧対応等) → 買主決定・売買契約 → 決済・引渡し の流れです。
一般的に3-6ヶ月程度の期間がかかります。査定から媒介契約まで1ヶ月、売却活動から買主決定まで2-4ヶ月、契約から引渡しまで1-2ヶ月が目安です。
譲渡所得税と3000万円控除
国税庁の譲渡所得税(土地・建物を売ったとき)によると、売却益(譲渡所得)に対して譲渡所得税が課税されます。
所有期間5年以下は短期譲渡所得(税率約39%:所得税30.63%+住民税9%)、5年超は長期譲渡所得(税率約20%:所得税15.315%+住民税5%)です。
自宅売却の場合は3000万円の特別控除が適用できる場合があります。一定要件(居住用財産、所有期間等)を満たす必要があるため、税理士への相談を推奨します。
仲介手数料とその他の諸費用
不動産流通推進センターによると、仲介手数料は物件価格の3%+6万円+消費税が上限です。例えば5,000万円の物件の場合、仲介手数料は171.6万円(消費税込)が上限となります。
その他の諸費用として、抵当権抹消費用、測量費用、建物解体費用(必要な場合)、引越し費用等がかかります。
売却期間の目安
一般的に3-6ヶ月程度です。市場動向や物件条件により大きく異なります。人気エリア・駅近・築浅物件は早期に成約しやすく、駅から遠い・築古物件は長期化する傾向があります。
まとめ:適正価格での売却判断
戸建て売却相場を知る方法は、国土交通省の不動産取引価格情報、路線価、固定資産税評価額等の公的データを活用する方法と、複数の不動産会社に査定を依頼する方法があります。
複数社(3-5社)に査定依頼し、査定根拠の説明がしっかりしているか、会社の実績も含めて総合的に判断することが重要です。高額査定を提示する会社が必ずしも良いとは限りません。
売却前の修繕・清掃、必要書類の整備、インスペクション(費用5-10万円)の実施により、査定額が上がり成約率が高まります。売却時の税金(譲渡所得税)は所有期間により税率が異なるため、税理士への相談を推奨します。
信頼できる不動産会社や宅地建物取引士などの専門家に相談しながら、適正価格での売却を目指しましょう。


