中古不動産とは?新築との違いを知る
「中古不動産は新築より安いが、本当にお得なのか」「どんなリスクがあるのか」と疑問に感じる方も多いでしょう。
この記事では、中古不動産の基礎知識を、国土交通省や不動産流通推進センターの公式情報を元に解説します。メリット・デメリット、購入時の注意点、新築との比較まで、初心者でも判断できる情報を提供します。
中古不動産は価格が安く選択肢が豊富ですが、建物の状態確認と法的リスクの把握が重要です。
この記事のポイント
- 中古不動産は新築より価格が2-3割安く、立地の選択肢が豊富
 - デメリットは建物の劣化リスク、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)の制限、住宅ローン控除の要件厳格化
 - 購入時はインスペクション(建物状況調査)、重要事項説明、契約不適合責任の範囲確認が必須
 - 築20年以内なら住宅ローン控除適用、旧耐震基準(1981年以前)は要注意
 
中古不動産のメリット
価格が安い
中古不動産は新築より2-3割安く購入できます。
| 物件種別 | 新築平均価格 | 中古平均価格 | 価格差 | 
|---|---|---|---|
| マンション | 4,500万円 | 3,200万円 | 約30%安い | 
| 戸建て | 3,500万円 | 2,500万円 | 約30%安い | 
(出典: 国土交通省 不動産価格指数)
立地の選択肢が豊富
中古不動産は既存の住宅地に多く、駅近・学区内・商業施設近くなど、立地の選択肢が豊富です。新築は郊外や新興住宅地に多い傾向があります。
実物を確認できる
新築は完成前に契約するケースが多いですが、中古不動産は実物を確認してから購入できます。日当たり、眺望、周辺環境を事前にチェック可能です。
リフォーム・リノベーションで自分好みに
中古不動産を購入後、リフォーム・リノベーションで自分好みに改装できます。リフォーム費用を含めても新築より安くなる場合があります。
中古不動産のデメリット
建物の劣化リスク
築年数が古い物件は、以下の劣化リスクがあります。
- 設備の老朽化: 給湯器、エアコン、水回り等の交換費用(数十万円〜)
 - 外壁・屋根の劣化: 塗装・補修費用(100-300万円)
 - 耐震性: 旧耐震基準(1981年以前)の物件は耐震補強が必要な場合がある
 
インスペクション(建物状況調査)で事前に確認することを推奨します。
契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)の制限
中古不動産の個人売主は、契約不適合責任を免責または期間限定(引渡し後3ヶ月等)とするケースが多いです。新築は10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。
購入後に欠陥が見つかっても、売主に修繕請求できない可能性があります。
住宅ローン控除の要件厳格化
中古不動産で住宅ローン控除を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 築年数: 木造は築20年以内、マンション等は築25年以内
 - 耐震基準: 新耐震基準(1981年6月以降)適合
 - 床面積: 50㎡以上
 
要件を満たさない場合、控除を受けられません。
管理状況の確認が必要(マンション)
中古マンションは、管理組合の運営状況、修繕積立金の残高、大規模修繕の計画を確認する必要があります。管理が不十分な場合、将来的に修繕費用の負担が増える可能性があります。
中古不動産購入時の注意点
インスペクション(建物状況調査)を実施
インスペクションとは、専門家(建築士等)による建物の状態調査です。費用は5-10万円程度です。
以下の項目をチェックします。
- 構造上の欠陥(基礎、柱、梁等)
 - 雨漏り、シロアリ被害
 - 設備の老朽化(給湯器、配管等)
 
重要事項説明を丁寧に確認
宅地建物取引士から重要事項説明を受ける際、以下の項目を確認します。
- 物件の法的制限(建ぺい率、容積率、都市計画法等)
 - 契約不適合責任の範囲と期間
 - 管理費・修繕積立金の滞納有無(マンション)
 
契約不適合責任の範囲を確認
契約書で、売主の契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)の範囲と期間を確認します。個人売主は免責または期間限定(引渡し後3ヶ月等)が多いため、事前に建物の状態を十分に確認することが重要です。
住宅ローン控除の適用要件を確認
築年数、耐震基準、床面積の要件を満たすか、事前に確認します。要件を満たさない場合、控除を受けられません。
新築と中古不動産の比較
新築と中古不動産を比較すると、以下の通りです。
| 比較軸 | 新築 | 中古不動産 | 
|---|---|---|
| 価格 | 高い | 2-3割安い | 
| 立地 | 郊外・新興住宅地 | 駅近・学区内等の選択肢豊富 | 
| 建物の状態 | 新品 | 劣化リスクあり | 
| 実物確認 | 完成前契約が多い | 実物確認可能 | 
| 契約不適合責任 | 10年間義務 | 免責または期間限定 | 
| 住宅ローン控除 | 全物件適用 | 築年数・耐震基準要件あり | 
| リフォーム自由度 | 低い(新築そのまま) | 高い(リノベーション可) | 
まとめ
中古不動産は価格が安く立地の選択肢が豊富ですが、建物の劣化リスク、契約不適合責任の制限、住宅ローン控除の要件厳格化に注意が必要です。
購入時はインスペクション、重要事項説明、契約不適合責任の範囲確認が必須です。築20年以内なら住宅ローン控除適用、旧耐震基準(1981年以前)は要注意です。
新築と中古不動産の比較も含めて、ライフスタイル・予算に合った物件を選びましょう。専門家(不動産会社、建築士、弁護士)への相談も推奨します。
