中古マンションは築何年がおすすめ?築年数別の特徴と選び方を徹底比較

公開日: 2025/10/31

中古マンションは築何年がおすすめ?読者の優先順位で決まる

中古マンション購入を検討する際、「築何年がおすすめ?」と悩む方は少なくありません。価格と品質のバランス、耐震性、住宅ローン控除の適用可否など、築年数によって特徴が大きく異なります。

この記事では、中古マンションの築年数選びについて、築年数別の価格相場、耐震基準、住宅ローン控除の要件を、国土交通省国税庁の公式情報を元に解説します。築年数別のメリット・デメリットを比較し、読者の優先順位(価格重視、耐震性重視、住宅ローン控除重視等)に応じた選び方を提示します。

初めて中古マンションを購入する方でも、自分に最適な築年数を見極められるようになります。

この記事のポイント

  • おすすめの築年数は読者の優先順位(価格、耐震性、住宅ローン控除等)により異なる
  • 築年数が経過するほど価格は下がるが、築10年で新築の約80%、築20年で約60-70%が目安
  • 1981年6月が新耐震基準導入の分岐点で、旧耐震(1981年5月以前)は耐震性に注意が必要
  • 住宅ローン控除は築25年以内(耐火建築物)または耐震基準適合証明があれば適用可能
  • 価格と品質のバランスから「築10-20年」が狙い目だが、管理状態の確認が最重要

築年数別の価格相場:新築を100とした場合の推移

中古マンションの価格は、築年数が経過するほど下落する傾向があります。ただし、立地・管理状態・市場環境により変動するため、あくまで目安として理解してください。

築年数別の価格推移(目安)

一般的に、新築マンションを100とした場合の価格推移は以下の通りです。

築年数 価格の目安 特徴
築5年未満 90% 設備が新しく、入居後すぐに大規模修繕の心配がない
築5-10年 80-85% 品質が良好で、住宅ローン控除も適用可能
築10-15年 70-75% 価格と品質のバランスが良い「狙い目」の築年数
築15-20年 60-70% 大規模修繕(1回目)実施済みの物件が多い
築20-25年 50-60% 価格は安いが、設備の老朽化や修繕費用に注意
築25年超 40-50% 格安だが、耐震性・管理状態・修繕履歴の確認が必須

築年数が経過するほど価格は下がりますが、築20年を超えると下落率は緩やかになります。また、駅近・都心部・タワーマンション等の立地条件が良い物件は、築年数が経過しても価格が下がりにくい傾向があります。

地域差と市場環境による変動

価格相場は地域により大きく異なります。東京23区や大阪市内等の都心部では、築20年でも新築の70%以上で取引される物件もあります。一方、郊外や地方都市では、築10年でも新築の60-70%まで下落する場合があります。

また、不動産流通推進センターの調査によると、2020年代前半のような価格高騰局面では、中古マンションも価格が上昇し、築年数による下落率が小さくなる傾向があります。市場環境も考慮して判断しましょう。

築年数と耐震性:1981年が分岐点

築年数選びで最も重要な判断基準の一つが耐震性です。1981年6月に建築基準法が改正され、新耐震基準が導入されたため、この時期が大きな分岐点となります。

新耐震基準(1981年6月以降)と旧耐震基準(1981年5月以前)

新耐震基準は、震度6-7の大地震でもほとんど倒壊しない構造を要求しています。一方、旧耐震基準は震度5程度の地震に耐える設計で、新耐震基準より耐震性能が低いとされています。

実際、阪神淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)では、旧耐震基準の建物で被害が大きかったことが報告されています。国土交通省の調査によると、阪神淡路大震災で「大破・中破」した建物の割合は、旧耐震が約28%、新耐震が約8%でした。

基準 導入時期 耐震性能 大地震での被害傾向
旧耐震基準 1981年5月以前 震度5程度に耐える 大破・中破の割合が高い(約28%)
新耐震基準 1981年6月以降 震度6-7でもほとんど倒壊しない 大破・中破の割合が低い(約8%)

(出典: 国土交通省の調査)

旧耐震マンションを選ぶ場合の注意点

旧耐震マンションは価格が安い一方、耐震性に不安があります。ただし、耐震診断や耐震改修を実施済みの物件もあるため、全面的に否定する必要はありません。

旧耐震マンションを検討する場合は、以下を確認しましょう。

  • 耐震診断の実施状況: Is値(構造耐震指標)が0.6以上なら一応安全とされる
  • 耐震改修の実施状況: 耐震補強工事を実施済みか
  • 耐震基準適合証明書の取得可能性: 住宅ローン控除を受けるために必要

耐震診断・耐震改修の実施状況は、管理組合の議事録や長期修繕計画で確認できます。不動産会社や管理会社に問い合わせましょう。

築年数と住宅ローン控除:築25年以内が基本

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、所得税・住民税から一定額を控除できる制度です。中古マンションの場合、築年数要件があります。

住宅ローン控除の築年数要件

国税庁によると、中古住宅で住宅ローン控除を受けるには、以下のいずれかを満たす必要があります(2025年10月時点。税制改正により要件が変更される可能性があるため、最新情報は国税庁の公式サイトでご確認ください)。

  • 築25年以内(耐火建築物の場合。木造等の非耐火建築物は築20年以内)
  • 耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のいずれかがある

マンションは鉄筋コンクリート造で耐火建築物に該当するため、築25年以内なら住宅ローン控除を受けられます。築25年超の場合でも、耐震基準適合証明書を取得すれば控除を受けられます。

耐震基準適合証明書の取得方法

耐震基準適合証明書は、建築士等が現行の耐震基準を満たしていることを証明する書類です。築25年超の中古マンションでこの証明書を取得すれば、住宅ローン控除を受けられます。

取得には、建築士等による耐震診断が必要で、費用は5-15万円程度かかります。旧耐震基準の物件で耐震改修を実施済みの場合、証明書を取得しやすくなります。売主や不動産会社に相談しましょう。

住宅ローン控除額の目安

2025年時点の住宅ローン控除は、借入額の0.7%を最大13年間控除できます(新築・買取再販は最大13年、中古住宅は最大10年)。控除額の上限は、住宅の性能により異なります。

住宅の種類 借入限度額 最大控除額(年間) 控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅(中古) 3,000万円 21万円 10年間
ZEH水準省エネ住宅(中古) 3,000万円 21万円 10年間
省エネ基準適合住宅(中古) 3,000万円 21万円 10年間
その他の住宅(中古) 2,000万円 14万円 10年間

例えば、借入額2,000万円の中古マンション(その他の住宅)なら、年間14万円(2,000万円×0.7%)、10年間で最大140万円の控除を受けられます。

住宅ローン控除は税額控除のため、所得税・住民税を支払っていない場合は控除を受けられません。自分の所得税額を確認し、控除可能額を試算しましょう。

築年数別メリット・デメリット比較

築年数別にメリット・デメリットを整理すると、以下の通りです。

築5年未満:高品質・高価格

メリット:

  • 設備が新しく、故障リスクが低い
  • 入居後すぐに大規模修繕の心配がない
  • 住宅ローン控除を確実に受けられる
  • 売却時の価格下落リスクが小さい

デメリット:

  • 価格が高い(新築の90%程度)
  • 選択肢が限られる(築浅物件は流通量が少ない)

適している人: 予算に余裕があり、新築に近い品質を求める人、長期保有を前提とする人

築5-10年:品質良好・価格やや高め

メリット:

  • 品質が良好で、設備の故障リスクが低い
  • 新築より10-15%程度安い
  • 住宅ローン控除を受けられる
  • 管理状態や修繕積立金の状況を確認しやすい

デメリット:

  • 価格下落率がまだ大きい(今後も下落する可能性)
  • 築5年未満に比べて選択肢は増えるが、流通量は少なめ

適している人: 品質と価格のバランスを重視する人、住宅ローン控除を確実に受けたい人

築10-20年:価格と品質のバランスが良い(狙い目)

メリット:

  • 新築の60-80%程度の価格で購入できる
  • 大規模修繕(1回目)実施済みの物件が多く、管理状態を確認しやすい
  • 流通量が多く、選択肢が豊富
  • 築10-15年なら設備もまだ使える

デメリット:

  • 築15年を超えると設備の老朽化が進む(給湯器、エアコン等の交換時期)
  • 築20年超は住宅ローン控除の要件(築25年以内)に注意が必要

適している人: 価格と品質のバランスを最優先する人、リフォーム・リノベーションを検討している人、築10-15年なら品質・価格・控除のバランスが最良

築20-30年:低価格・リノベ向き、耐震性要確認

メリット:

  • 新築の50-60%程度の低価格で購入できる
  • リノベーション前提なら、物件価格+リノベ費用で新築並みの快適性を得られる
  • 立地条件が良い物件(駅近、都心部)を安く購入できる可能性

デメリット:

  • 設備の老朽化が進み、交換費用が必要(給湯器、水回り設備等)
  • 大規模修繕(2回目)の実施時期が近く、修繕積立金の値上げリスク
  • 築25年超は住宅ローン控除の要件(築25年以内)を満たさない場合がある(耐震基準適合証明書が必要)
  • 1981年5月以前の物件は旧耐震基準で耐震性に不安

適している人: 価格最優先の人、リノベーション前提で購入する人、立地条件を重視する人(築20-25年なら住宅ローン控除も適用可能)

築30年超:格安・大規模修繕要確認

メリット:

  • 新築の40-50%程度の格安価格で購入できる
  • リノベーション前提なら、立地条件が良い物件を安く入手できる
  • 価格下落リスクが小さい(既に底値に近い)

デメリット:

  • 設備の老朽化が著しく、入居後すぐに大規模な修繕・交換が必要
  • 大規模修繕(3回目)の実施時期が近く、修繕積立金が不足している物件もある
  • 管理組合の運営が機能していない物件もある(修繕計画が未実施等)
  • 旧耐震基準の物件が多く、耐震性に不安
  • 住宅ローン控除の要件(築25年以内)を満たさない(耐震基準適合証明書が必要)

適している人: 格安で立地条件の良い物件を購入し、リノベーションで快適性を確保したい人、管理状態・修繕履歴を徹底的に確認できる人、耐震性を確認済みの人

おすすめの築年数:読者の優先順位別に提示

「おすすめの築年数」は読者の優先順位により異なります。以下を参考に、自分に合った築年数を選びましょう。

価格重視なら:築20-30年

価格を最優先するなら、築20-30年が適しています。新築の50-60%程度で購入でき、立地条件が良い物件を安く入手できる可能性があります。ただし、設備の老朽化や大規模修繕の実施時期、耐震性(1981年6月以降か)を必ず確認しましょう。

リノベーション前提なら、築30年超も選択肢です。物件価格+リノベ費用で新築並みの快適性を得られますが、管理状態・修繕履歴の確認が最重要です。

耐震性・品質重視なら:築5-15年

耐震性と品質を重視するなら、築5-15年が適しています。1981年6月以降の新耐震基準で、設備も比較的新しく、入居後すぐに大規模な修繕の心配がありません。価格は新築の70-90%程度ですが、品質と安心感を優先する人に向いています。

住宅ローン控除活用なら:築25年以内

住宅ローン控除を確実に受けたいなら、築25年以内の物件を選びましょう。築25年超でも耐震基準適合証明書を取得すれば控除を受けられますが、取得に費用(5-15万円)と時間がかかります。

築10-20年なら、価格と品質のバランスが良く、住宅ローン控除も適用可能です。最もバランスが良い築年数帯と言えます。

リノベーション前提なら:築20年超

リノベーション前提なら、築20年超の物件が適しています。物件価格が安く、立地条件が良い物件を選べます。リノベ費用は500-1,000万円程度かかりますが、物件価格+リノベ費用の合計が新築より安く、自分好みの間取り・デザインに仕上げられます。

ただし、管理状態(修繕積立金、長期修繕計画、管理組合の運営状況)を徹底的に確認しましょう。管理が機能していない物件は、将来の修繕費用負担が大きくなるリスクがあります。

管理状態・修繕履歴の確認が最重要

どの築年数を選ぶにしても、管理状態と修繕履歴の確認が最重要です。以下をチェックしましょう。

  • 修繕積立金の残高: 長期修繕計画に対して十分な残高があるか
  • 長期修繕計画の有無と実行状況: 25-30年の計画があり、計画通り修繕が実施されているか
  • 大規模修繕の実施履歴: 外壁塗装、防水工事、配管更新等が計画通り実施されているか
  • 管理組合の運営状況: 総会の開催頻度、議事録の保管状況、管理費・修繕積立金の滞納率

管理状態が良好なマンションは、築年数が経過しても資産価値が維持されやすく、将来の修繕費用負担も計画的に行えます。逆に、管理が機能していないマンションは、築年数が浅くても将来的に大きなリスクとなります。

まとめ:築年数より管理状態と自分の優先順位で選ぼう

中古マンションのおすすめ築年数は、読者の優先順位(価格、耐震性、住宅ローン控除、リノベーション前提等)により異なります。価格重視なら築20-30年、耐震性・品質重視なら築5-15年、住宅ローン控除活用なら築25年以内、リノベーション前提なら築20年超が適しています。

築年数が経過するほど価格は下がりますが、築10年で新築の約80%、築20年で約60-70%が目安です。1981年6月が新耐震基準導入の分岐点で、旧耐震(1981年5月以前)は耐震性に注意が必要です。住宅ローン控除は築25年以内(耐火建築物)または耐震基準適合証明書があれば適用可能です。

価格と品質のバランスから「築10-20年」が狙い目ですが、どの築年数を選ぶにしても、管理状態(修繕積立金、長期修繕計画、管理組合の運営状況)と修繕履歴の確認が最重要です。管理が良好なマンションは、築年数が経過しても資産価値が維持されやすく、将来の修繕費用負担も計画的に行えます。

次のアクションとして、自分の優先順位を明確化し、築年数の候補を絞り、複数物件の内覧と管理状態の確認を推奨します。信頼できる不動産会社に相談しながら、自分に最適な中古マンションを見つけてください。

よくある質問

Q1中古マンションは築何年がおすすめですか?

A1読者の優先順位により異なります。価格重視なら築20-30年(新築の50-60%)、耐震性・品質重視なら築5-15年(新築の70-90%)、住宅ローン控除活用なら築25年以内、リノベーション前提なら築20年超が適しています。価格と品質のバランスから「築10-20年」が狙い目です。築10年なら新築の約80%、築20年なら約60-70%の価格で、大規模修繕(1回目)実施済みの物件が多く、管理状態を確認しやすい点がメリットです。

Q2築30年の中古マンションは大丈夫ですか?

A2管理状態と耐震性を徹底確認すれば選択肢になります。築30年超は新築の40-50%程度の格安価格で、立地条件が良い物件を安く入手できます。ただし、①設備の老朽化が著しい、②大規模修繕(3回目)の実施時期が近く修繕積立金が不足している可能性、③旧耐震基準(1981年5月以前)なら耐震性に不安、④住宅ローン控除は耐震基準適合証明書が必要、⑤管理組合が機能していない物件もある、等のリスクがあります。リノベーション前提で、管理状態・修繕履歴・耐震診断結果を確認できる人に向いています。

Q3住宅ローン控除は築何年まで受けられますか?

A3築25年以内(耐火建築物の場合)なら確実に受けられます。築25年超でも、耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のいずれかがあれば控除を受けられます。マンションは鉄筋コンクリート造で耐火建築物に該当するため、築25年以内なら追加手続き不要です。耐震基準適合証明書の取得には5-15万円程度の費用がかかりますが、最大140万円(借入額2,000万円の場合)の控除を受けられるため、メリットは大きいです。

Q4リノベーション前提なら築何年がおすすめですか?

A4築20年超が適しています。物件価格が安く(新築の50-60%以下)、立地条件が良い物件を選べます。リノベ費用は500-1,000万円程度かかりますが、物件価格+リノベ費用の合計が新築より安く、自分好みの間取り・デザインに仕上げられます。ただし、管理状態(修繕積立金、長期修繕計画、管理組合の運営状況)を徹底的に確認しましょう。配管等の共用部分は個人でリノベできないため、共用部分の修繕履歴も重要です。築30年超でも、管理が良好で立地条件が良い物件なら選択肢になります。