登記費用の計算方法と節約術を徹底解説【2025年版】

公開日: 2025/10/31

登記費用とは?計算シミュレーションで事前に把握しよう

不動産を購入・相続する際、「登記費用がいくらかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。

登記費用は、登録免許税・司法書士報酬・その他実費の3つで構成され、事前に計算シミュレーションで試算できます。この記事では、国税庁法務省の公式情報を元に、登記費用の内訳、計算方法、節約ポイントを解説します(2025年時点の情報)。

計算方法を理解することで、必要な資金を正確に把握できます。

この記事のポイント

  • 登記費用は登録免許税・司法書士報酬・その他実費の3つで構成される
  • 登録免許税は固定資産税評価額×税率で計算され、軽減措置で大幅減額できる
  • 司法書士報酬は5~15万円が相場で、報酬は自由化されているため相見積もりが有効
  • 住宅用家屋の軽減税率は2027年3月31日まで適用される
  • オンライン計算ツールで登録免許税を自動計算できる

登記費用の内訳を3つに分解

登録免許税(国に納める税金)

登録免許税は、不動産の登記をする際に国に納める税金です。国税庁によると、計算式は以下の通りです。

登録免許税 = 固定資産税評価額 × 税率

固定資産税評価額は市区町村が決定する不動産の価格で、市場価格の70%程度が目安です。毎年送付される「固定資産税納税通知書」に記載されています。

登録免許税は登記申請時に必ず発生し、登記の種類によって税率が異なります。

司法書士報酬(専門家への依頼費用)

司法書士報酬は、登記手続きを司法書士に依頼した際に支払う費用です。報酬は自由化されており、日本司法書士会連合会の報酬アンケート結果によると5~15万円が相場です(地域や事務所により異なる場合があります。複数の司法書士に見積もりを依頼することをおすすめします)。

報酬の決定要因:

  • 物件価格:高額物件ほど報酬が高くなる傾向
  • 登記の複雑さ:共有名義、相続登記等は手間がかかるため報酬が高い
  • 地域:都市部は報酬が高い傾向

司法書士報酬は事務所によって差があるため、複数社に相見積もりを取ることで5~15万円の差が出る可能性があります。

その他実費(証明書・印紙代等)

その他実費には以下のようなものがあります。

項目 金額
登記事項証明書(窓口) 600円
登記事項証明書(郵送) 500円
登記事項証明書(オンライン) 480円
印鑑証明書 300円程度
住民票 300円程度

(出典: 法務省

その他、交通費、郵送費等の実費がかかることがあります。

登録免許税の計算方法を登記種別ごとに解説

所有権移転登記(売買・相続・贈与)の税率

所有権移転登記の税率は、取得原因によって異なります。

取得原因 本則税率
売買 2.0%
相続 0.4%
贈与 2.0%

(出典: 国税庁

抵当権設定登記の税率

住宅ローンを借りる際に必要な抵当権設定登記の税率は、債権金額(ローン借入額)の0.4%です。

登録免許税 = 債権金額 × 0.4%

住宅用家屋の軽減税率(2027年3月31日まで)

住宅用家屋の登記には、軽減税率が適用されます(国税庁)。

登記種別 本則税率 軽減税率
所有権移転(売買) 2.0% 0.15%
所有権保存(新築) 0.4% 0.15%
抵当権設定 0.4% 0.1%

軽減税率の適用期限は2027年3月31日までです。期限後は本則税率に戻る可能性があるため、注意が必要です。

軽減措置の主な適用条件

  • 床面積50㎡以上(登記簿面積)。ただし、2025年1月1日以降、合計所得金額1,000万円以下の年は40㎡以上に緩和
  • 自己居住用
  • 新築または取得後1年以内の登記
  • 中古住宅の場合:耐火建築物25年以内、木造20年以内、または耐震基準適合証明あり

適用条件を満たさない場合は本則税率が適用されるため、事前に確認しましょう。

登記費用の計算例を3パターン提示

新築住宅購入の場合(軽減税率適用)

物件情報

  • 新築一戸建て
  • 固定資産税評価額:2,000万円
  • 住宅ローン:3,000万円

計算

  • 所有権保存登記:2,000万円 × 0.15% = 3万円
  • 抵当権設定登記:3,000万円 × 0.1% = 3万円
  • 司法書士報酬:10万円(相場)
  • その他実費:0.3万円

合計:16.3万円

中古マンション購入の場合

物件情報

  • 中古マンション
  • 固定資産税評価額:1,500万円
  • 住宅ローン:2,500万円
  • 軽減措置の適用条件を満たさない(築年数オーバー)

計算

  • 所有権移転登記:1,500万円 × 2.0% = 30万円
  • 抵当権設定登記:2,500万円 × 0.4% = 10万円
  • 司法書士報酬:8万円(相場)
  • その他実費:0.3万円

合計:48.3万円

軽減措置を適用できない場合、登録免許税が大幅に高くなります。

相続登記の場合

物件情報

  • 相続した土地・建物
  • 固定資産税評価額:1,000万円

計算

  • 所有権移転登記:1,000万円 × 0.4% = 4万円
  • 司法書士報酬:5万円(相場)
  • その他実費:0.3万円

合計:9.3万円

相続登記は2024年4月から義務化されており、相続から3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。

オンライン計算ツールの使い方

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額は以下の方法で確認できます。

  1. 固定資産税納税通知書:毎年4~6月に市区町村から送付される通知書に記載
  2. 固定資産評価証明書:市区町村の資産税課で取得(手数料300円程度)
  3. 新築の場合:建物が未評価のため、司法書士が法務局備え付けの新築建物課税標準価格認定基準表で評価額を算出

計算ツールへの入力方法

国税庁や各種サイトの計算ツールで登録免許税を自動計算できます。

入力項目

  • 固定資産税評価額
  • 登記種別(所有権移転、抵当権設定等)
  • 軽減措置の適用有無

入力すると、登録免許税が自動表示されます。

注意点

  • あくまで目安であり、正確な費用は専門家に確認する必要があります
  • 軽減措置の適用条件を満たすか事前に確認しましょう

登記費用を節約する3つのポイント

軽減措置を活用する

住宅用家屋の軽減税率(2027年3月31日まで)を活用すれば、登録免許税を大幅に削減できます。

  • 所有権移転(売買):2.0% → 0.15%(約93%減)
  • 抵当権設定:0.4% → 0.1%(75%減)

軽減措置の適用条件(床面積50㎡以上[2025年1月1日以降、合計所得金額1,000万円以下の年は40㎡以上]、自己居住用、新築または取得後1年以内の登記等)を満たすか事前に確認しましょう。

司法書士への相見積もり

司法書士報酬は自由化されており、事務所によって5~15万円の差があります。複数の司法書士に見積もりを依頼し、報酬と対応の質を比較しましょう。

相見積もりのポイント

  • 報酬の内訳(登記手続き費用、交通費、実費等)を確認
  • 対応の丁寧さ、説明の分かりやすさも重視
  • 安さだけでなく、信頼性も考慮する

自分で登記する場合の注意点

法律上は本人による登記申請も可能です。ただし、以下の注意点があります。

  • 登録免許税等の実費は発生:司法書士報酬は節約できるが、登録免許税・印紙代等は必要
  • 手続きの煩雑さ:登記申請書の作成、法務局への提出、補正対応等に時間がかかる
  • 住宅ローン利用時の制約:金融機関が司法書士への依頼を条件とするケースが多い
  • 複雑なケースは専門家推奨:共有名義、相続登記等は専門知識が必要

自分で登記する場合は、法務局の「登記申請書様式」を参考に手続きを進めましょう。

まとめ:登記費用は計算シミュレーションで事前把握が可能

登記費用は、登録免許税・司法書士報酬・その他実費の3つで構成され、計算シミュレーションで事前に試算できます。

登録免許税は固定資産税評価額×税率で計算され、住宅用家屋の軽減措置(2027年3月31日まで)を活用すれば大幅に削減できます。司法書士報酬は5~15万円が相場で、相見積もりで費用を抑えられる可能性があります。

次のアクションとして、以下を推奨します。

  1. 固定資産税評価額を確認:納税通知書または市区町村の資産税課で確認
  2. オンライン計算ツールで試算:登録免許税を自動計算
  3. 複数の司法書士に見積もり依頼:報酬と対応の質を比較

複雑なケースや軽減措置の適用判断が難しい場合は、司法書士や税理士への相談を検討しましょう(2025年時点の情報)。

よくある質問

Q1登記費用は誰が負担しますか?

A1売買の場合、所有権移転登記は買主、抵当権設定登記は借主(買主)が負担するのが一般的です。相続登記は相続人が負担します。贈与登記は受贈者(贈与を受ける側)が負担するケースが多いです。ただし、契約内容によって異なる場合もあるため、不動産売買契約書で確認しましょう。

Q2登記費用は分割払いできますか?

A2登録免許税は登記申請時に一括納付が原則です。司法書士報酬は事務所によって分割払いに応じるケースもありますが、一括払いが一般的です。住宅ローンを利用する場合、登記費用を含めた諸費用ローンを組める金融機関もありますが、金利が高く設定されることが多いため注意が必要です。事前に司法書士や金融機関に確認すると良いでしょう。

Q3固定資産税評価額が不明な場合はどうすれば良いですか?

A3市区町村の資産税課で固定資産評価証明書を取得できます(手数料300円程度)。毎年4~6月に送付される固定資産税納税通知書にも記載されています。新築の場合は建物が未評価のため、司法書士が法務局備え付けの新築建物課税標準価格認定基準表で評価額を算出します。中古物件を購入する場合は、売主に納税通知書のコピーを依頼すると手続きがスムーズです。

Q4軽減措置の適用条件は何ですか?

A4住宅用家屋の軽減税率は、床面積50㎡以上(2025年1月1日以降、合計所得金額1,000万円以下の年は40㎡以上)、自己居住用、新築または取得後1年以内の登記等の要件があります。中古住宅は築年数制限(耐火建築物25年以内、木造20年以内)または耐震基準適合証明が必要です。2027年3月31日まで適用されます。適用条件を満たさない場合は本則税率となり、登録免許税が大幅に高くなるため、購入前に確認することが重要です。

Q5司法書士への依頼は必須ですか?

A5法律上は本人による登記申請も可能です。ただし、住宅ローンを利用する場合は金融機関が司法書士への依頼を条件とするケースが多いです。複雑な登記(共有名義、相続登記等)は専門知識が必要で、ミスがあると登記が受理されず時間と手間がかかります。登記手続きに不安がある場合や、時間的余裕がない場合は、司法書士への依頼を推奨します。