不動産担保ローン完全ガイド!仕組み・金利・審査基準まとめ

公開日: 2025/10/27

不動産担保ローンとは?仕組みを理解しよう

まとまった資金が必要になった際、不動産を所有していれば「不動産担保ローン」という選択肢があります。「通常のローンとどう違うのか」「審査は厳しいのか」と疑問に思う方も多いでしょう。

この記事では、不動産担保ローンの仕組み、メリット・デメリット、審査基準、住宅ローンとの違いを、金融庁等の公式情報を元に解説します。

この記事を読めば、不動産担保ローンが自分に合っているか、どの金融機関を選ぶべきかを判断できるようになります。

この記事のポイント

  • 不動産担保ローンは、自宅・土地等を担保に借りるローンで、担保価値により高額融資が可能
  • メリットは低金利(2-9%程度)・高額融資・総量規制対象外の場合があること
  • デメリットは返済不能時に不動産を失う、諸費用が高い、審査期間が長いこと
  • 審査では不動産の担保価値、信用情報と返済能力、年齢制限が重視される
  • 住宅ローンとの違いは資金使途、金利、審査基準にあり、目的に応じて選ぶことが重要

不動産担保ローンの基本的な仕組み

不動産担保ローンは、自宅・土地等の不動産を担保に入れて借りるローンです。無担保ローンと異なり、担保価値により高額融資が可能ですが、返済不能時は不動産を失うリスクがあります。

新生インベストメント&ファイナンスによると、融資限度額は不動産評価額の70-80%程度が一般的です(金融機関により60%の場合もあります)。

例:

  • 不動産評価額3,000万円の場合
  • 融資限度額 = 3,000万円 × 70-80% = 2,100-2,400万円

対象となる不動産と抵当権設定

対象不動産は、自宅(一戸建て・マンション)、土地、投資用不動産等です。借入時に「抵当権」を設定し、返済不能時に金融機関が不動産を競売にかけて債権回収できる権利を登記します。

抵当権設定には、登記費用(登録免許税・司法書士報酬等)が発生します。返済完了後は抵当権抹消登記が必要です。

不動産担保ローンのメリット

低金利で借りられる

不動産担保ローンの金利は、無担保ローンより低く設定されています。イー・ローンによると、2025年10月時点の金利は以下の通りです。

金融機関種別 金利(変動) 金利(固定)
銀行 1.25-5.00% 2.35-7.00%
ノンバンク 3.00-11.80% 5.00-14.80%

無担保ローンの金利(10-15%程度)と比べると、大幅に低いことが分かります。

高額融資が可能

担保価値により、数千万円~数億円の融資も可能です。無担保ローンでは数百万円が限度ですが、不動産担保ローンは担保価値に応じて融資額が決まるため、高額な資金調達ができます。

事業資金、教育資金、借換え等、幅広い用途に利用できます。

総量規制の適用

金融庁によると、不動産担保ローンの総量規制適用は以下の通りです。

担保種別 貸金業者の場合 銀行の場合
自宅担保 総量規制対象 総量規制対象外
投資用不動産担保 総量規制対象外 総量規制対象外

銀行の場合は総量規制対象外のため、年収の3分の1を超える借入も可能です。詳細は金融機関に確認してください。

不動産担保ローンのデメリット・リスク

返済不能時は不動産を失う

最大のデメリットは、返済不能時に不動産を失うことです。抵当権が実行され、裁判所による競売手続きが開始されます。競売では市場価格の7-8割程度で落札されることが多く、債務が残る可能性もあります。

みずほ銀行によると、返済困難な場合は早めに金融機関に相談し、返済計画の見直しを検討すべきです。

諸費用が高い

不動産担保ローンは、以下の諸費用が発生します。

費用項目 目安額
登録免許税 融資額の0.4%
司法書士報酬 5-10万円
事務手数料 融資額の1-3%
印紙税 2-6万円

例:

  • 融資額2,000万円の場合
  • 諸費用合計 = 30-80万円程度

無担保ローンでは諸費用がほとんど発生しないため、この点は大きなデメリットです。

審査期間が長い

不動産担保ローンの審査期間は、1-2週間程度です。無担保ローンは数日で完了することが多いため、急ぎの場合は注意が必要です。

不動産の調査(現地確認・登記情報確認等)が必要なため、時間がかかります。

不動産担保ローンの審査基準

不動産の担保価値

審査で最も重視されるのは、不動産の担保価値です。東京スター銀行によると、評価のポイントは以下の3つです。

  • 立地: 駅からの距離、周辺環境、利便性
  • 築年数: 築浅ほど高評価。築古は減額される
  • 物件状態: 修繕状況、設備の状態

評価方法は、路線価・固定資産税評価額・近隣取引事例等を参考にします。

信用情報と返済能力

不動産の担保価値だけでなく、申込者の信用情報と返済能力も審査されます。AGビジネスサポートによると、以下の項目が確認されます。

  • 信用情報: 信用情報機関(CIC・JICC・KSC)の照会で、過去の延滞・債務整理の有無を確認
  • 年収: 年収に対する返済比率(返済額÷年収)が30-40%以内が目安
  • 勤続年数: 勤続年数が長いほど高評価。自営業は3期分の確定申告書が必要
  • 他借入状況: 他のローン残高が多いと減額される可能性がある

年齢制限

多くの金融機関では、年齢制限があります。一般的には、申込時60-70歳、完済時70-80歳が上限です。

高齢の場合、返済期間が短くなるため、月々の返済額が高くなる点に注意が必要です。

住宅ローンとの違い

不動産担保ローンと住宅ローンの違いを比較表で整理します。

項目 住宅ローン 不動産担保ローン
資金使途 住宅購入・リフォームのみ 事業資金・教育資金・借換え等も可
金利 0.5-2% 2-9%
審査基準 年収・勤続年数重視 担保価値重視
融資期間 最長35年 最長30年
諸費用 物件価格の3-10% 融資額の2-5%

住宅購入であれば住宅ローンの方が金利が低いですが、資金使途が限定されます。事業資金等の場合は不動産担保ローンを検討しましょう。

銀行とノンバンクの違い

銀行とノンバンクの不動産担保ローンの違いを比較します。

項目 銀行 ノンバンク
金利 2-5% 3-14%
審査 厳格(信用情報重視) 柔軟(担保価値重視)
融資スピード 2-4週間 1-2週間
総量規制 対象外 自宅担保は対象

信用情報に問題がない場合は銀行を、急ぎの場合や信用情報に懸念がある場合はノンバンクを検討しましょう。ただし、ノンバンクは金利が高いため、返済計画を慎重に立てることが重要です。

まとめ:専門家に相談して慎重に判断しよう

不動産担保ローンは、低金利・高額融資が可能ですが、返済不能時は不動産を失うリスクがあります。メリット・デメリットを十分理解し、返済計画を慎重に立てることが重要です。

複数の金融機関の条件を比較し、自分の状況に合った金融機関を選びましょう。不明点があれば、ファイナンシャルプランナー等の専門家に相談することをおすすめします。

不動産担保ローンを活用して、必要な資金を調達しましょう。

よくある質問

Q1不動産担保ローンで借りられる金額はどのくらいですか?

A1不動産評価額の70-80%程度が一般的です。例えば、評価額3,000万円の不動産なら2,100-2,400万円が目安です。金融機関により60%の場合もあります。評価方法は路線価・固定資産税評価額・近隣取引事例等を参考にし、立地・築年数・物件状態が評価のポイントです。詳細は金融機関に確認してください。

Q2二番抵当でも不動産担保ローンは借りられますか?

A2可能です。ただし融資限度額は一番抵当の残債を差し引いた額が基準です。例えば、評価額3,000万円、一番抵当残債2,000万円の場合、融資可能額は(3,000万円 - 2,000万円)× 70-80% = 700-800万円程度です。一番抵当の残債が多い場合、融資額が少なくなる点に注意が必要です。

Q3不動産担保ローンは総量規制の対象ですか?

A3貸金業者の場合、自宅担保ローンは総量規制対象、投資用不動産担保ローンは対象外です。銀行は総量規制対象外のため、年収の3分の1を超える借入も可能です。総量規制対象の場合、年収の3分の1までの借入制限があります。詳細は金融機関に確認してください。

Q4返済不能になった場合、どうなりますか?

A4抵当権が実行され、裁判所による競売手続きが開始されます。不動産は市場価格の7-8割程度で落札されることが多く、債務が残る可能性もあります。返済困難な場合は早めに金融機関に相談し、返済計画の見直し(返済期間の延長、返済額の減額等)を検討すべきです。競売を避けるため、任意売却も選択肢の一つです。