土地の登記簿謄本の取り方・見方を完全解説:オンライン請求対応

公開日: 2025/11/11

土地の登記簿謄本(登記事項証明書)とは何か

不動産取引や相続手続きで「土地の登記簿謄本を取得してください」と言われ、どうすれば良いか分からないという方は少なくありません。

この記事では、土地の登記簿謄本(正式には登記事項証明書)の取得方法を窓口・郵送・オンライン請求の3パターンで解説し、取得後の見方(表題部・権利部甲区・権利部乙区)、不動産取引前の確認ポイントまで、法務局の公式情報を元に解説します。

初めて登記簿を取得する方でも、スムーズに手続きを進められるようになります。

この記事のポイント

  • 登記簿謄本の正式名称は「登記事項証明書」(以前の呼称から変更されている)
  • 取得には地番が必要で、住居表示(普段使う住所)とは異なる
  • 取得方法は3つ:窓口(600円)、オンライン窓口受取(480円)、オンライン郵送(500円)
  • 登記簿は表題部・権利部甲区・権利部乙区の3部構成
  • 抵当権・差押えが記載されている場合、取引前に必ず確認が必要

土地の登記簿謄本の正式名称と用途

法務局の公式サイトによると、登記簿謄本の正式名称は「登記事項証明書」です。以前は「登記簿謄本」と呼ばれていましたが、現在は名称が変更されています。

登記事項証明書は、土地の所在・所有者・抵当権等が記録された公的書類で、誰でも手数料を払えば取得可能です(公開情報)。不動産取引・相続・融資等で必要になる場合が多く、所有者や権利関係を確認するために使用されます。

登記簿謄本を取得する前に確認すること

登記簿取得には「地番」が必要で、住居表示(普段使う住所)とは異なることを理解しておく必要があります。

地番の調べ方(住所とは異なる)

地番とは、登記上の土地の番号です。住居表示(普段使う住所)とは異なることが多く、登記簿取得には地番が必要です。地番の調べ方に関する情報によると、以下の3つの方法で確認できます。

地番を確認する3つの方法

  1. 固定資産税納税通知書で確認: 毎年送られてくる固定資産税納税通知書に地番が記載されています。
  2. 法務局の窓口・電話での地番照会: 全国の法務局で地番照会サービスを利用できます。住所を伝えると地番を教えてもらえます。
  3. ブルーマップ(図書館等で閲覧可能): 地番と住居表示を対照できる地図で、図書館や法務局で閲覧できます。

地番を間違えると請求自体ができないため、事前確認が必須です。

登記簿謄本の取得方法は3パターン

法務局の公式サイトによると、取得方法は以下の3つです。

取得方法 手数料 受付時間 受取方法
窓口請求 600円 平日8:30-17:15 即日受取
オンライン請求+窓口受取 480円 平日8:30-21:00 翌日以降に窓口で受取
オンライン請求+郵送 500円 平日8:30-21:00 3-5日で郵送

(出典: 法務局

窓口請求(手数料600円)

全国の法務局で請求できます。地番を伝えて申請書を記入し、収入印紙を購入して提出すれば、即日で受け取れます。急ぎの場合や手続きに不安がある方に向いています。

オンライン請求+窓口受取(手数料480円)

オンラインで請求し、翌日以降に法務局の窓口で受け取る方法です。手数料が最も安く、受付時間が平日21:00までと長いのが特徴です。

オンライン請求+郵送(手数料500円)

オンラインで請求し、自宅に郵送してもらう方法です。法務局に行く時間がない方に向いていますが、受取まで3-5日かかります。

オンライン請求の具体的な手順

法務局の「かんたん証明書請求」を使ったオンライン請求の手順を解説します。

かんたん証明書請求の登録方法

  1. 申請者情報登録: 氏名・住所・メールアドレスを登録
  2. ログイン: 登録したメールアドレスとパスワードでログイン
  3. 不動産情報入力: 地番・所在を入力
  4. 受取方法選択: 窓口または郵送を選択
  5. 手数料支払い: インターネットバンキング・ATMで支払い
  6. 受取: 窓口なら翌日以降、郵送なら3-5日で受取

請求から受取までの流れ

オンライン請求は平日8:30-21:00まで受付可能で、窓口請求より受付時間が長い点がメリットです。登記情報提供サービス(一般財団法人民事法務協会)とは別サービスで、法務局のオンライン請求は正式な登記事項証明書が発行されます。

登記情報提供サービスは登記情報の閲覧のみで証明書としては使えないため、公的書類が必要な場合は法務局のオンライン請求を利用しましょう。

登記簿謄本の見方(3つの部分を解説)

登記簿の見方に関する解説によると、登記簿は3つの部分に分かれています。

表題部:土地の基本情報(所在・地番・地目・地積)

表題部には、土地の所在・地番・地目(宅地・畑・山林等)・地積(面積)が記載されます。地目は土地の用途を示し、宅地・畑・山林・雑種地等があります。

地積は土地の面積で、平方メートル(㎡)で表示されます。表題部の情報は所有者が変更登記をしない限り古いまま残る場合があるため、実際の状況と異なる可能性がある点に注意が必要です。

権利部甲区:所有権に関する事項

権利部甲区には、所有者の氏名・住所、売買・相続等の取得原因が記載されます。所有権の移転履歴がすべて記録されるため、過去の所有者も確認できます。

不動産取引では、登記名義人と売主が一致しているかを必ず確認しましょう。

権利部乙区:抵当権等の所有権以外の権利

権利部乙区には、抵当権・根抵当権・地上権・賃借権等が記載されます。抵当権がある場合は金融機関からの借入が残っていることを意味します。

抵当権が設定されている土地を購入する場合、売主が残債を完済して抵当権を抹消することが前提です。決済時に抵当権抹消登記を同時に行うのが一般的です。

登記簿謄本で確認すべきポイント

不動産取引前のチェックリストによると、以下の項目を確認することが重要です。

不動産取引前のチェックリスト

  • 所有者の確認: 登記名義人と売主が一致しているか
  • 抵当権の有無: 金融機関の借入が残っているか
  • 地目・地積の確認: 実際の状況と一致しているか
  • 差押え・仮登記の有無: 税金滞納や権利関係のトラブルがないか

抵当権・差押え・仮登記の意味

抵当権: 金融機関が融資の担保として設定する権利。抵当権が残ったままだと、将来的に競売にかけられるリスクがあります。

差押え: 税金滞納等で国・自治体が強制的に財産を確保する手続き。差押えが記載されている場合、その不動産には重大な問題がある可能性が高いため、専門家への相談を推奨します。

仮登記: 本登記の順位を保全するための暫定的な登記。仮登記がある場合、将来的に所有権が移転する可能性があります。

まとめ:登記簿謄本の取得と活用

登記簿謄本(正式には登記事項証明書)は、土地の所有者・抵当権等を確認できる公的書類です。取得には地番が必要で、オンライン請求なら480円(窓口受取)または500円(郵送)と経済的です。

登記簿は表題部・権利部甲区・権利部乙区の3部構成で、不動産取引前には所有者・抵当権・差押え等を必ず確認することが重要です。不明点があれば司法書士等の専門家に相談しましょう。

登記事項証明書自体に有効期限はありませんが、提出先によって「3ヶ月以内に取得したもの」等の指定がある場合が多いため、取得時期を事前に確認することをおすすめします。

よくある質問

Q1登記情報提供サービスと法務局のオンライン請求の違いは何ですか?

A1登記情報提供サービスは登記情報の閲覧のみで証明書としては使えません。法務局のオンライン請求は正式な登記事項証明書が発行されるため、公的書類として提出可能です。不動産取引や融資申込等で証明書が必要な場合は、法務局のオンライン請求を利用しましょう。

Q2他人の土地の登記簿も取得できますか?

A2可能です。登記簿は公開情報なので、地番さえ分かれば誰でも手数料を払って取得できます。個人情報保護の観点からの制限はありません。ただし、取得した情報の不正利用は法律で禁止されています。

Q3登記簿の地目と実際の土地の使い方が違う場合はどうなりますか?

A3表題部の地目(宅地・畑・山林等)は所有者が変更登記をしない限り古いまま残る場合があります。実際の使い方と異なる場合は地目変更登記が必要です(農地から宅地への転用等)。放置すると売買時にトラブルになる可能性があるため、早期に対応しましょう。

Q4抵当権が設定されている土地は購入できませんか?

A4購入自体は可能ですが、売主が残債を完済して抵当権を抹消することが前提です。決済時に抵当権抹消登記を同時に行うのが一般的です。抵当権が残ったままだと、将来的に競売にかけられるリスクがあるため、必ず抹消を確認しましょう。

Q5登記簿謄本の有効期限はありますか?

A5登記事項証明書自体に有効期限はありませんが、提出先によって「3ヶ月以内に取得したもの」等の指定がある場合が多いです。不動産取引や融資申込の際は、取得時期を事前に確認することをおすすめします。