土地の登記簿謄本とは?取得が必要な場面
土地の登記簿謄本(正式には「登記事項証明書」)は、土地の権利関係・面積・所在を証明する公的書類です。コンピュータ化後は紙の謄本ではなく、電子データを印刷した証明書が発行されます。
登記簿謄本が必要な場面は以下の通りです。
- 売買契約: 土地の所有者や抵当権の有無を確認
- 相続手続き: 被相続人の土地を特定し、相続人を確定
- 融資審査: 金融機関が担保価値を評価
- 境界確認: 隣地との境界トラブル防止
本記事では、法務局の公式情報を元に、登記簿謄本の取得方法を3つ(窓口・郵送・オンライン)に分けて解説します。
この記事のポイント
- 登記簿謄本の取得方法は窓口・郵送・オンラインの3種類
- 窓口申請は全国どこの法務局でも可能(管轄外でもOK)で、手数料600円、通常10-15分で取得
- 郵送申請は遠方の土地でも自宅から請求可能だが、往復の郵送期間(1-2週間)が必要
- オンライン申請は窓口受取490円・郵送受取520円で最安、登記情報提供サービス(331円)は閲覧専用で公的提出不可
- 取得前に地番(住所とは異なる)の確認が必須
取得前の準備:地番の調べ方と必要書類
地番と住所の違いに注意
登記簿謄本の取得には「地番」が必須ですが、地番は住所表示と異なる場合が多く、住所で申請しても取得できません。
地番は土地一筆ごとに法務局が付与する番号です。例えば、住所が「東京都千代田区丸の内1-1-1」でも、地番は「千代田区丸の内一丁目1番1」のように表記が異なる場合があります。
地番を調べる3つの方法
地番が分からない場合は、以下の方法で確認できます。
- 固定資産税納税通知書: 土地の所有者に毎年送付される書類に地番が記載されています。
- 権利証(登記識別情報): 土地の所有権を取得した際に発行される書類に地番が記載されています。
- ブルーマップ: 住宅地図と法務局の公図を重ね合わせた地図で、住所から地番を特定できます。法務局や図書館で無料閲覧可能です。
それでも分からない場合は、法務局の窓口で問い合わせることもできます。
申請に必要な書類
窓口申請の場合、必要なのは申請書のみです。本人確認書類は不要で、土地の所有者でなくても、地番さえ分かれば第三者でも請求できます。
ただし、取得目的の濫用(ストーカー等)は個人情報保護法違反となる可能性があるため、注意が必要です。
窓口申請の手順|全国どこの法務局でもOK
ステップ1:最寄りの法務局を確認
窓口申請の大きなメリットは、全国どこの法務局でも取得可能という点です。土地の所在地を管轄する法務局でなくても、最寄りの法務局で申請できます。
法務局の所在地は法務局のウェブサイトで確認できます。
ステップ2:申請書を記入
法務局に備え付けの申請書、または法務局のウェブサイトからダウンロードした申請書に以下を記入します。
- 土地の所在(地番)
- 請求者の氏名・住所
- 必要な通数
申請書の記入例は法務局のウェブサイトで確認できます。
ステップ3:窓口で交付請求
申請書を記入し、窓口で提出します。手数料は600円(収入印紙で支払い)です。
通常、10-15分で交付されますが、法務局の混雑状況により時間がかかる場合があります。「即日取得できる」と断定せず、時間に余裕を持って訪問することをおすすめします。
郵送申請の手順|遠方の土地でも自宅から請求可能
ステップ1:管轄法務局を確認
郵送申請の場合は、土地の所在地を管轄する法務局へ送付する必要があります。窓口申請と異なり、全国どこでも可というわけではありません。
管轄法務局は法務局のウェブサイトで確認できます。
ステップ2:申請書と返信用封筒を準備
郵送申請に必要なものは以下の3点です。
- 申請書(法務局のウェブサイトからダウンロード可能)
- 収入印紙600円分
- 返信用封筒(切手を貼付)
返信用封筒には、自分の住所・氏名を記入し、切手を貼ります。切手の金額は、請求する通数により異なりますが、通常84-120円程度です。
ステップ3:郵送で請求
申請書、収入印紙、返信用封筒を封筒に入れ、管轄法務局へ郵送します。
往復の郵送期間は通常1-2週間です。急ぎの場合は、窓口申請またはオンライン申請が適しています。
オンライン申請の手順|最安・最速で取得
登記・供託オンライン申請システムでの請求方法
登記・供託オンライン申請システムを利用すると、オンラインで登記事項証明書を請求できます。
手数料は以下の通りです。
| 受取方法 | 手数料 |
|---|---|
| 窓口受取 | 490円 |
| 郵送受取 | 520円 |
窓口申請(600円)よりも安く、窓口受取を選べば即日取得も可能です。
利用手順:
- 登記・供託オンライン申請システムでアカウント登録
- 土地の所在(地番)、受取方法を入力
- クレジットカードまたはインターネットバンキングで手数料を支払い
- 窓口受取の場合は法務局で受領、郵送受取の場合は自宅に配送
登記情報提供サービスとの違い(認証文なし)
登記情報提供サービスは、一般財団法人 民事法務協会が運営するオンライン閲覧専用サービスです。
手数料は331円と最も安いですが、以下の重要な制約があります。
- 認証文・公印がない
- 裁判所・官公庁への提出には使えない
登記情報提供サービスは、あくまで登記内容の確認用です。公的書類として提出する必要がある場合は、登記事項証明書を取得する必要があります。
使い分けの基準:
- 確認用: 登記情報提供サービス(331円)
- 公的提出: 登記事項証明書(490-600円)
3つの取得方法を比較|手数料・所要時間・メリット
以下の表で、3つの取得方法を比較します。
| 方法 | 手数料 | 所要時間 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| 窓口申請 | 600円 | 10-15分 | 全国どこの法務局でもOK、即日取得可能 | 法務局の営業時間内に訪問が必要 |
| 郵送申請 | 600円 | 1-2週間 | 遠方の土地でも自宅から請求可能 | 往復の郵送期間が必要、急ぎには不向き |
| オンライン申請(窓口受取) | 490円 | 即日 | 最安、窓口受取で即日取得可能 | システム登録が必要 |
| オンライン申請(郵送受取) | 520円 | 数日 | 最安、自宅で受領可能 | 郵送期間が必要 |
(出典: 法務省)
2025年4月に手数料改定があり、窓口450円→600円、オンライン窓口受取430円→490円、郵送受取480円→520円に変更されました。古い記事では旧手数料が掲載されている場合があるため、注意が必要です。
各方法の適した場面:
- 急ぎの場合: 窓口申請・オンライン申請(窓口受取)
- 遠方の土地: 郵送申請・オンライン申請(郵送受取)
- 費用重視: オンライン申請
まとめ:自分に合った方法で登記簿謄本を取得しよう
土地の登記簿謄本を取得する方法は、窓口・郵送・オンラインの3種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った方法を選びましょう。
重要なポイント:
- 地番の確認: 固定資産税納税通知書、権利証、ブルーマップで確認
- 手数料: 窓口600円、オンライン490-520円(2025年4月改定後)
- 所要時間: 窓口10-15分、郵送1-2週間、オンライン(窓口受取)即日
次のアクションとして、法務局の所在地を確認したり、オンライン申請システムへの登録を検討したりすることをおすすめします。
登記簿謄本は土地取引の重要な書類です。正確な情報を把握し、スムーズに取得しましょう。
