不動産登記簿謄本をオンラインで取得する方法:手順と費用

公開日: 2025/11/4

不動産登記簿謄本をオンラインで取得する方法とは

不動産取引・相続で登記簿謄本が必要になった際、「法務局に行く時間がない」「オンラインで取得できると聞いたが、どうすればいいのか」と疑問に感じる方は少なくありません。

この記事では、オンラインで登記簿謄本を取得する2つの方法を、法務局の公式情報を元に解説します。「登記・供託オンライン申請システム」と「登記情報提供サービス」の違い、手数料、利用手順、どちらを使うべきかの判断基準まで、実務的な知識を網羅的に説明します。

オンライン請求を活用することで、時間と手間を大幅に削減できます。

この記事のポイント

  • オンラインで登記簿謄本を取得する方法は2つ:「登記・供託オンライン申請システム」と「登記情報提供サービス」
  • 前者は正式な証明書(郵送)、後者は即時閲覧可能(画面表示のみ)
  • 手数料は登記・供託オンライン申請システムが480円(窓口受取)、登記情報提供サービスが331円(閲覧のみ)
  • 裁判所・官公庁への提出には登記・供託オンライン申請システムが必要
  • 物件検索には地番・家屋番号が必要(住所とは異なる)

オンラインで登記簿謄本を取得する2つの方法

不動産の登記簿謄本(正式名称:登記事項証明書)をオンラインで取得する方法は2つあります。それぞれの特徴を理解し、用途に応じて使い分けることが重要です。

サービス名 証明書の効力 取得方法 手数料 利用シーン
登記・供託オンライン申請システム 正式な証明書(法務局の認証文・公印あり) 郵送または窓口受取 480円(窓口受取)、500円(郵送) 裁判所・官公庁への提出、金融機関への提出
登記情報提供サービス 証明書ではない(画面表示のみ) 即時閲覧(PDFダウンロード可) 331円 内容確認、事前調査

この違いを理解することで、無駄な手間や費用を避けることができます。

登記・供託オンライン申請システムの使い方

登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)は、法務局が運営する公式のオンライン申請システムです。正式な登記事項証明書を取得できます。

利用手順

  1. アカウント登録:初回のみ申請者情報登録が必要
  2. 物件検索:地番・家屋番号で物件を検索(後述の「地番・家屋番号の調べ方」参照)
  3. 請求:登記事項証明書を請求
  4. 受取方法を選択:窓口受取(480円)または郵送(500円)
  5. 支払い:クレジットカード・インターネットバンキングで支払い
  6. 受取:指定した方法で証明書を受け取る

メリットとデメリット

メリット

  • 正式な証明書として使用可能(法務局の認証文・公印あり)
  • 窓口に行く必要がない(郵送受取の場合)
  • 受付時間が長い(平日8:30-21:00)
  • 手数料が窓口(600円)より安い

デメリット

  • 即時取得はできない(郵送は1-2日、窓口受取も翌日以降)
  • 地番・家屋番号が必要(住所では検索できない)
  • 平日のみ対応(土日祝は利用不可)

手数料の比較

請求方法 手数料
法務局窓口 600円
オンライン窓口受取 480円
オンライン郵送 500円

オンライン請求は窓口より120円安くなります(窓口受取の場合)。

登記情報提供サービスとは

登記情報提供サービスは、一般財団法人民事法務協会が運営する有料閲覧サービスです。即時閲覧可能ですが、証明書としては使えません。

利用手順

  1. 利用登録:初回のみ利用者登録が必要
  2. ログイン:IDとパスワードでログイン
  3. 物件検索:地番・家屋番号で物件を検索
  4. 請求:登記情報を請求
  5. 即時閲覧:画面で登記情報を確認(PDFダウンロード可)
  6. 支払い:クレジットカード・インターネットバンキングで支払い(331円)

メリットとデメリット

メリット

  • 即時閲覧可能(数分で確認できる)
  • 手数料が安い(331円)
  • 内容確認に最適

デメリット

  • 証明書ではない(法務局の認証文・公印がない)
  • 裁判所・官公庁への提出には使えない
  • PDFダウンロードできるが、証明書としての効力はない

登記簿謄本との違い

項目 登記簿謄本(登記事項証明書) 登記情報提供サービス
証明書としての効力 あり(認証文・公印あり) なし(画面表示のみ)
取得方法 郵送または窓口受取 即時閲覧(PDF)
手数料 480-600円 331円
提出先 裁判所・官公庁・金融機関 内容確認のみ

登記情報提供サービスは「内容を確認したい」場合に有効ですが、正式な証明書が必要な場合は登記・供託オンライン申請システムを使用してください。

オンライン請求の事前準備:地番・家屋番号の調べ方

オンライン請求では、物件を地番・家屋番号で検索します。住所(住居表示)とは異なるため、事前に調べる必要があります。

地番・家屋番号とは

  • 地番:登記上の土地の番号。住居表示(住所)とは異なる
  • 家屋番号:登記上の建物の番号。地番に基づいて付番されるが、住所とは異なる

区画整理地域・住居表示実施地域では、住所と地番が全く異なる番号になります。

地番・家屋番号の調べ方

以下の方法で調べることができます。

  1. 固定資産税納税通知書:地番・家屋番号が記載されている
  2. 法務局のブルーマップ:住居表示と地番の対応を示した地図(法務局で閲覧可能)
  3. 地番検索サービス法務省の地番検索サービスで無料検索可能
  4. 法務局への問い合わせ:電話または窓口で確認

マンションの場合、家屋番号が複雑なため、法務局への問い合わせが確実です。

どちらのサービスを使うべきか:利用シーン別の選び方

用途に応じて適切なサービスを選択してください。

登記・供託オンライン申請システムを使うべき場合

  • 裁判所・官公庁への提出
  • 金融機関(住宅ローン審査等)への提出
  • 相続手続き(遺産分割協議等)
  • 売買契約(正式な証明書が必要)

登記情報提供サービスを使うべき場合

  • 物件の所有者を確認したい
  • 抵当権の有無を確認したい
  • 購入前の事前調査
  • 内容を素早く確認したい

併用のおすすめ

実務では以下の使い分けが効率的です。

  1. 登記情報提供サービスで内容確認(331円、即時)
  2. 正式な証明書が必要なら登記・供託オンライン申請システムで請求(480-500円、1-2日)

この方法により、無駄な費用を避けつつ、必要な証明書を確実に取得できます。

まとめ:オンライン請求で時間と手間を削減

不動産登記簿謄本をオンラインで取得する方法は2つあります。「登記・供託オンライン申請システム」は正式な証明書(郵送または窓口受取)、「登記情報提供サービス」は即時閲覧可能(画面表示のみ)です。

手数料は前者が480-500円、後者が331円です。裁判所・官公庁への提出には前者が必要、内容確認のみなら後者が効率的です。

オンライン請求には地番・家屋番号が必要なため、事前に調べてください。固定資産税納税通知書、法務局のブルーマップ、地番検索サービスを活用できます。

用途に応じて適切なサービスを選択し、時間と手間を削減しましょう。

よくある質問

Q1オンラインで取得した登記簿謄本は裁判所に提出できますか?

A1登記・供託オンライン申請システムで取得した登記事項証明書(郵送または窓口受取)は法務局の認証文・公印があるため提出可能です。登記情報提供サービスは閲覧のみで証明書としては使えないため、裁判所・官公庁への提出には使用できません。

Q2住所で登記簿謄本を検索できますか?

A2住所(住居表示)では検索できません。地番・家屋番号が必要です。固定資産税納税通知書、法務局のブルーマップ、地番検索サービスを活用して事前に調べてください。法務局への問い合わせでも確認できます。

Q3オンライン請求は土日でも利用できますか?

A3登記・供託オンライン申請システムは平日8:30-21:00のみ対応です。土日祝は利用できません。登記情報提供サービスも平日のみ対応です。時間制限に注意してください。

Q4登記情報提供サービスで取得した情報を印刷して提出できますか?

A4登記情報提供サービスはPDFダウンロード・印刷が可能ですが、法務局の認証文・公印がないため証明書としては使えません。裁判所・官公庁・金融機関への提出には、登記・供託オンライン申請システムで取得した登記事項証明書が必要です。

Q5オンライン請求の手数料はいくらですか?

A5登記・供託オンライン申請システムは窓口受取480円、郵送500円です。登記情報提供サービスは331円(閲覧のみ)です。窓口請求(600円)よりオンライン請求が安くなります。