不動産登記簿謄本をオンラインで取得する方法とは
不動産取引・相続で登記簿謄本が必要になった際、「法務局に行く時間がない」「オンラインで取得できると聞いたが、どうすればいいのか」と疑問に感じる方は少なくありません。
この記事では、オンラインで登記簿謄本を取得する2つの方法を、法務局の公式情報を元に解説します。「登記・供託オンライン申請システム」と「登記情報提供サービス」の違い、手数料、利用手順、どちらを使うべきかの判断基準まで、実務的な知識を網羅的に説明します。
オンライン請求を活用することで、時間と手間を大幅に削減できます。
この記事のポイント
- オンラインで登記簿謄本を取得する方法は2つ:「登記・供託オンライン申請システム」と「登記情報提供サービス」
 - 前者は正式な証明書(郵送)、後者は即時閲覧可能(画面表示のみ)
 - 手数料は登記・供託オンライン申請システムが480円(窓口受取)、登記情報提供サービスが331円(閲覧のみ)
 - 裁判所・官公庁への提出には登記・供託オンライン申請システムが必要
 - 物件検索には地番・家屋番号が必要(住所とは異なる)
 
オンラインで登記簿謄本を取得する2つの方法
不動産の登記簿謄本(正式名称:登記事項証明書)をオンラインで取得する方法は2つあります。それぞれの特徴を理解し、用途に応じて使い分けることが重要です。
| サービス名 | 証明書の効力 | 取得方法 | 手数料 | 利用シーン | 
|---|---|---|---|---|
| 登記・供託オンライン申請システム | 正式な証明書(法務局の認証文・公印あり) | 郵送または窓口受取 | 480円(窓口受取)、500円(郵送) | 裁判所・官公庁への提出、金融機関への提出 | 
| 登記情報提供サービス | 証明書ではない(画面表示のみ) | 即時閲覧(PDFダウンロード可) | 331円 | 内容確認、事前調査 | 
この違いを理解することで、無駄な手間や費用を避けることができます。
登記・供託オンライン申請システムの使い方
登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)は、法務局が運営する公式のオンライン申請システムです。正式な登記事項証明書を取得できます。
利用手順
- アカウント登録:初回のみ申請者情報登録が必要
 - 物件検索:地番・家屋番号で物件を検索(後述の「地番・家屋番号の調べ方」参照)
 - 請求:登記事項証明書を請求
 - 受取方法を選択:窓口受取(480円)または郵送(500円)
 - 支払い:クレジットカード・インターネットバンキングで支払い
 - 受取:指定した方法で証明書を受け取る
 
メリットとデメリット
メリット:
- 正式な証明書として使用可能(法務局の認証文・公印あり)
 - 窓口に行く必要がない(郵送受取の場合)
 - 受付時間が長い(平日8:30-21:00)
 - 手数料が窓口(600円)より安い
 
デメリット:
- 即時取得はできない(郵送は1-2日、窓口受取も翌日以降)
 - 地番・家屋番号が必要(住所では検索できない)
 - 平日のみ対応(土日祝は利用不可)
 
手数料の比較
| 請求方法 | 手数料 | 
|---|---|
| 法務局窓口 | 600円 | 
| オンライン窓口受取 | 480円 | 
| オンライン郵送 | 500円 | 
オンライン請求は窓口より120円安くなります(窓口受取の場合)。
登記情報提供サービスとは
登記情報提供サービスは、一般財団法人民事法務協会が運営する有料閲覧サービスです。即時閲覧可能ですが、証明書としては使えません。
利用手順
- 利用登録:初回のみ利用者登録が必要
 - ログイン:IDとパスワードでログイン
 - 物件検索:地番・家屋番号で物件を検索
 - 請求:登記情報を請求
 - 即時閲覧:画面で登記情報を確認(PDFダウンロード可)
 - 支払い:クレジットカード・インターネットバンキングで支払い(331円)
 
メリットとデメリット
メリット:
- 即時閲覧可能(数分で確認できる)
 - 手数料が安い(331円)
 - 内容確認に最適
 
デメリット:
- 証明書ではない(法務局の認証文・公印がない)
 - 裁判所・官公庁への提出には使えない
 - PDFダウンロードできるが、証明書としての効力はない
 
登記簿謄本との違い
| 項目 | 登記簿謄本(登記事項証明書) | 登記情報提供サービス | 
|---|---|---|
| 証明書としての効力 | あり(認証文・公印あり) | なし(画面表示のみ) | 
| 取得方法 | 郵送または窓口受取 | 即時閲覧(PDF) | 
| 手数料 | 480-600円 | 331円 | 
| 提出先 | 裁判所・官公庁・金融機関 | 内容確認のみ | 
登記情報提供サービスは「内容を確認したい」場合に有効ですが、正式な証明書が必要な場合は登記・供託オンライン申請システムを使用してください。
オンライン請求の事前準備:地番・家屋番号の調べ方
オンライン請求では、物件を地番・家屋番号で検索します。住所(住居表示)とは異なるため、事前に調べる必要があります。
地番・家屋番号とは
- 地番:登記上の土地の番号。住居表示(住所)とは異なる
 - 家屋番号:登記上の建物の番号。地番に基づいて付番されるが、住所とは異なる
 
区画整理地域・住居表示実施地域では、住所と地番が全く異なる番号になります。
地番・家屋番号の調べ方
以下の方法で調べることができます。
- 固定資産税納税通知書:地番・家屋番号が記載されている
 - 法務局のブルーマップ:住居表示と地番の対応を示した地図(法務局で閲覧可能)
 - 地番検索サービス:法務省の地番検索サービスで無料検索可能
 - 法務局への問い合わせ:電話または窓口で確認
 
マンションの場合、家屋番号が複雑なため、法務局への問い合わせが確実です。
どちらのサービスを使うべきか:利用シーン別の選び方
用途に応じて適切なサービスを選択してください。
登記・供託オンライン申請システムを使うべき場合
- 裁判所・官公庁への提出
 - 金融機関(住宅ローン審査等)への提出
 - 相続手続き(遺産分割協議等)
 - 売買契約(正式な証明書が必要)
 
登記情報提供サービスを使うべき場合
- 物件の所有者を確認したい
 - 抵当権の有無を確認したい
 - 購入前の事前調査
 - 内容を素早く確認したい
 
併用のおすすめ
実務では以下の使い分けが効率的です。
- 登記情報提供サービスで内容確認(331円、即時)
 - 正式な証明書が必要なら登記・供託オンライン申請システムで請求(480-500円、1-2日)
 
この方法により、無駄な費用を避けつつ、必要な証明書を確実に取得できます。
まとめ:オンライン請求で時間と手間を削減
不動産登記簿謄本をオンラインで取得する方法は2つあります。「登記・供託オンライン申請システム」は正式な証明書(郵送または窓口受取)、「登記情報提供サービス」は即時閲覧可能(画面表示のみ)です。
手数料は前者が480-500円、後者が331円です。裁判所・官公庁への提出には前者が必要、内容確認のみなら後者が効率的です。
オンライン請求には地番・家屋番号が必要なため、事前に調べてください。固定資産税納税通知書、法務局のブルーマップ、地番検索サービスを活用できます。
用途に応じて適切なサービスを選択し、時間と手間を削減しましょう。
