住宅ローン控除に登記事項証明書は必要?基本ルールを解説
住宅ローン控除の申請を初めて行う際、「登記事項証明書は本当に必要なのか」「どこで取得すればいいのか」と迷う方は少なくありません。書類の準備に手間がかかるため、不要なら省きたいと考えるのは自然です。
この記事では、住宅ローン控除における登記事項証明書の要否、不要になるケース、取得方法を解説します。国税庁や法務局の公式情報を元に、2025年時点の最新ルールを提供します。
初めて住宅ローン控除を申請する方でも、必要な書類を正確に理解できるようになります。
この記事のポイント
- 初回確定申告で紙申告する場合は登記事項証明書が原則必要、2年目以降の年末調整では不要
- 令和3年7月以降、不動産番号を入力すれば登記事項証明書の添付を省略できる
- e-Tax(電子申告)では不動産番号入力でPDF添付も不要
- 土地・建物どちらが必要かはローン対象による(建物のみ購入なら建物のみ)
登記事項証明書とは何か
登記事項証明書とは、法務局で記録されている土地・建物の権利関係(所有者・抵当権等)を印刷し、その内容を証明する公的書類です。以前は「登記簿謄本」と呼ばれていましたが、現在は「登記事項証明書」に統一されています。
登記事項証明書には、不動産の所在地・面積・所有者・抵当権の有無などが記載されており、不動産取引や住宅ローン控除の申請時に利用されます。また、各不動産には13桁の「不動産番号」が付与されており、この番号を利用することで登記事項証明書の添付を省略できる場合があります(後述)。
登記事項証明書と登記簿謄本の違い
登記事項証明書と登記簿謄本は、呼び方が異なるだけで内容は同じです。不動産登記制度が電子化されたことで、現在は「登記事項証明書」が正式名称となっています。
古い情報では「登記簿謄本」と記載されている場合がありますが、2025年時点では登記事項証明書を取得すれば問題ありません。
全部事項証明書と一部事項証明書の区別
登記事項証明書には「全部事項証明書」と「一部事項証明書」の2種類があります。
全部事項証明書は、一筆の土地または一棟の建物の登記記録すべてを証明する書類です。戸建て住宅を購入した場合は、こちらを取得します。
一部事項証明書は、マンション等の区分建物で、特定の部屋(専有部分)のみの登記記録を証明する書類です。マンションを購入した場合は、こちらを取得します。
マンションで全部事項証明書を請求すると、一棟全体の登記記録(全ての部屋)が記載されるため、必要な情報だけを得るには一部事項証明書を請求します。
登記事項証明書が必要なケース
住宅ローン控除の申請時に登記事項証明書が必要になるのは、主に以下のケースです。
初回の確定申告(紙申告の場合)
住宅ローン控除を初めて申請する年は、確定申告が必要です。紙の申告書を提出する場合、登記事項証明書の原本を添付する必要があります。
確定申告では、住宅借入金等特別控除申告書に登記事項証明書を添付し、土地・建物の所在地・面積・取得日等を証明します。
ただし、後述する「不動産番号」を入力すれば、登記事項証明書の添付を省略できます(令和3年7月以降)。
土地・建物どちらが必要か
登記事項証明書は、住宅ローンの対象となった不動産について必要です。
建物のみ購入した場合(中古マンション等)は、建物の登記事項証明書のみで問題ありません。
土地付き戸建てを購入した場合は、土地・建物の両方の登記事項証明書が必要です。住宅ローンが土地・建物の両方を対象としているため、両方の登記内容を証明する必要があります。
ただし、不動産番号を入力する場合は、土地・建物それぞれの不動産番号を記入すれば、登記事項証明書の添付は不要です。
登記事項証明書が不要なケース
以下のケースでは、登記事項証明書の添付が不要です。
不動産番号を入力する場合(令和3年7月以降)
令和3年7月以降、確定申告書に不動産番号を記入すれば、登記事項証明書の添付を省略できるようになりました。これは国税庁が公式に認めた制度です。
不動産番号は13桁の番号で、各不動産に付与されています。登記事項証明書に記載されているほか、法務局の「登記情報提供サービス」で確認することも可能です。
e-Tax(電子申告)を利用する場合も、不動産番号を入力すれば登記事項証明書のPDF添付は不要です。紙の登記事項証明書を取得する手間が省けるため、時間と費用の節約になります。
2年目以降の年末調整
住宅ローン控除の2年目以降は、会社の年末調整で処理されます。年末調整では登記事項証明書の提出は一切不要です。
初回の確定申告時に税務署から「住宅借入金等特別控除証明書」が郵送されるため、2年目以降はこの証明書と金融機関から送られる「年末残高証明書」を会社に提出するだけで手続きが完了します。
登記事項証明書が必要になるのは初回の確定申告時のみであり、それ以降は不要です。
登記事項証明書の取得方法
登記事項証明書が必要な場合、以下の3つの方法で取得できます。
法務局窓口での請求
最も一般的な方法は、法務局の窓口で直接請求する方法です。
手数料:1通600円
必要なもの:
- 不動産の所在地・地番(または家屋番号)
- 本人確認書類(運転免許証等)
不動産番号が分かれば、物件所在地以外の法務局でも請求可能です。全国どこの法務局でも取得できるため、自宅や職場の近くの法務局を利用できます。
オンライン請求(登記・供託オンライン申請システム)
法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を利用すれば、インターネットで請求できます。
手数料:
- 窓口受取:1通500円
- 郵送受取:1通480円
オンライン請求は窓口請求よりも手数料が安く、自宅から手続きできるため便利です。ただし、利用登録(無料)が必要です。
郵送請求
法務局に郵送で請求することも可能です。
手数料:1通600円(収入印紙で納付)
必要なもの:
- 交付請求書(法務局HPからダウンロード可)
- 収入印紙(600円分)
- 返信用封筒(切手を貼付)
- 本人確認書類のコピー
郵送請求は手続きに時間がかかるため、急ぎの場合は窓口またはオンライン請求を利用することをおすすめします。
コピーは不可(原本必須)
登記事項証明書は原本の提出が必要です。コピーでは受け付けられません。
ただし、不動産番号を入力して添付を省略する場合は、原本・コピーの区別自体が不要になります。
まとめ:不動産番号入力で手間を省こう
住宅ローン控除の申請時、登記事項証明書は初回の確定申告(紙申告の場合)では原則必要です。しかし、令和3年7月以降は不動産番号を入力すれば添付を省略できるようになりました。
e-Tax(電子申告)を利用すれば、不動産番号を入力するだけで登記事項証明書のPDF添付も不要です。紙の登記事項証明書を取得する手間と費用(1通600円)を省けるため、積極的に活用することをおすすめします。
2年目以降の年末調整では登記事項証明書は一切不要です。初回の確定申告時にのみ必要(または不動産番号で省略可)である点を理解しておけば、無駄な手間をかけずに済みます。
次のアクションとして、登記事項証明書に記載されている不動産番号を確認してください。不動産番号が分かれば、国税庁の確定申告書等作成コーナーで不動産番号を入力し、登記事項証明書の添付を省略できます。
