不動産の無料査定を賢く活用する方法と注意点

公開日: 2025/10/31

不動産の無料査定とは?仕組みを正しく理解しよう

「不動産の無料査定を利用したいが、なぜ無料なのか不安」「査定額はどこまで信頼できるのか分からない」と感じていませんか。

この記事では、不動産の無料査定のビジネスモデル、机上査定と訪問査定の違い、複数社査定の重要性を、国民生活センターや大手不動産会社の公式情報をもとに解説します。

無料査定を賢く活用し、信頼できる不動産会社を見極める方法が分かります。

この記事のポイント

  • 無料査定は媒介契約獲得を目的としたビジネスモデル(成功報酬型)
  • 机上査定(スピード重視)と訪問査定(精度重視)の使い分けが重要
  • 査定額は会社ごとに100-300万円異なることがあり、最低3社の比較が必須
  • 査定額=売却価格ではなく「売り出し価格の目安」
  • 個人情報流出・しつこい営業電話のリスクを理解し、事前に対策する

不動産の無料査定とは?なぜ無料なのか

不動産の無料査定は、不動産会社が売主との媒介契約獲得を目的として提供するサービスです。

無料査定のビジネスモデル

不動産会社は、売却が成立したときに仲介手数料(売却価格の3%+6万円+消費税)を受け取ります。これが収益源のため、査定は無料で提供されます。

つまり、無料査定は「媒介契約を結んでもらうための営業活動」の一環です。この仕組みを理解しておくと、高額査定を提示する会社の意図が見えてきます。

有料の不動産鑑定評価との違い

有料の不動産鑑定評価は、不動産鑑定士(国家資格)が法律に基づき行う評価です。

項目 無料査定 有料鑑定評価
目的 媒介契約獲得 法的証明(裁判、相続税申告等)
実施者 不動産会社 不動産鑑定士
費用 無料 20-30万円程度
法的拘束力 なし あり

無料査定は「相場把握の第一歩」として活用しましょう。

机上査定と訪問査定の違いと使い分け

無料査定には、机上査定(簡易査定)と訪問査定(実地査定)の2種類があります。

机上査定(簡易査定):スピード重視で相場把握

机上査定は、現地訪問なしで過去の取引データ・市場相場から算出する簡易的な査定です。

メリット:

  • 数時間〜数日で結果が分かる
  • 不動産会社との対面不要
  • 複数社に同時依頼しやすい

デメリット:

  • 精度が低め(建物の状態を考慮しない)
  • 実際の売却価格と差が生じやすい

訪問査定(実地査定):精度重視で詳細な価格算出

訪問査定は、不動産会社が実際に物件を訪問し、建物状態・日当たり・劣化具合等を詳細確認して算出する精度の高い査定です。

メリット:

  • 精度が高い(建物の実態を反映)
  • 売却戦略の提案を受けられる
  • 担当者の対応を直接確認できる

デメリット:

  • 1週間程度時間がかかる
  • 不動産会社との日程調整が必要
  • 営業を受ける可能性がある

どちらを選ぶべきか

推奨する流れ:

  1. まず机上査定で相場把握(3-6社に依頼)
  2. 査定額の根拠を確認(高すぎる・低すぎる会社を除外)
  3. 売却を本格検討する段階で訪問査定(絞り込んだ2-3社に依頼)

この流れにより、効率的に信頼できる不動産会社を見極められます。

なぜ査定額は会社ごとに異なるのか

査定額が100-300万円異なることは珍しくありません。その理由を理解しましょう。

評価基準の違い(得意エリア、販売力)

不動産会社は、それぞれ得意エリア・物件種別が異なります。

例:

  • A社:都心マンションの販売実績が豊富 → 都心マンションの査定額が高め
  • B社:戸建ての販売実績が豊富 → 戸建ての査定額が高め

また、REINS(レインズ)という国土交通大臣指定の不動産流通標準情報システムの成約事例データを参照しますが、データの読み方や重視するポイントが会社により異なります。

媒介契約獲得目的の高額査定

一部の不動産会社は、媒介契約を獲得するために相場を無視した高額査定を提示することがあります。

高額査定の裏側

  1. 高額査定で媒介契約を獲得
  2. 売却活動開始後「市場動向が変わった」と値下げ要求
  3. 結局、相場通りの価格で売却

このような会社を避けるため、査定額の根拠を必ず確認しましょう。

値引き前提の価格設定

一部の会社は、購入希望者との値引き交渉を見越して、あえて高めの査定額を提示することがあります。

重要: 査定額=売却価格ではなく「売り出し価格の目安」です。実際の成約価格は市況・需給バランス・交渉により変動します。

複数社査定の重要性と比較方法

査定額が会社ごとに大きく異なるため、複数社の比較は必須です。

最低3社、推奨3-6社で比較する

1社だけの査定では、その金額が適正かどうか判断できません。最低3社、推奨3-6社に依頼しましょう。

査定額の根拠を確認する

査定額を比較する際、以下のポイントを確認してください。

  • 類似物件の成約事例(いつ、どこで、いくらで売れたか)
  • 販売戦略(どのように売却活動を行うか)
  • 過去の実績(売却までの平均期間、成約率)
  • 担当者の対応(説明が丁寧か、質問に的確に答えるか)

高額査定だけで判断しない

査定額が最も高い会社が最良とは限りません。以下の評価項目を総合的に判断しましょう。

評価項目 確認ポイント
査定額の妥当性 類似物件の成約事例と比較して適正か
根拠の説明 査定額の算出根拠が明確か
販売戦略 具体的な売却活動プランがあるか
過去の実績 売却までの平均期間・成約率は良好か
担当者の対応 誠実で丁寧な対応か

(出典: 各不動産会社の公式情報、2025年時点)

高額査定を提示する会社が必ずしも優良ではなく、契約後に値下げ要求するトラブル事例もあります。根拠をしっかり確認しましょう。

無料査定でよくあるトラブルと対処法

国民生活センターでも警告されている無料査定のトラブルを紹介します。

しつこい営業電話・訪問への対応

無料査定を依頼すると、営業電話・訪問が来ることがあります。

対処法

  • 査定依頼時に「営業電話お断り」の意思表示をする
  • 連絡手段をメールに限定する
  • 断る際は明確に「検討しません」と伝える

個人情報流出リスク

一括査定サイトに登録すると、複数社に個人情報が共有され、営業電話が集中するリスクがあります。

対処法

  • 個人情報保護法に基づく利用目的明示・同意取得を確認
  • プライバシーポリシーを読む
  • 必要最低限の情報のみ入力する
  • 信頼できる大手サイトを利用する

高額査定で契約後に値下げ要求

高額査定で媒介契約を結んだ後、「市場動向が変わった」「なかなか買い手がつかない」と値下げを要求されるトラブルがあります。

対処法

  • 査定額の根拠を詳しく確認する
  • 類似物件の成約事例と比較する
  • 媒介契約前に販売戦略を文書で確認する
  • 不安な場合は他社の意見も聞く

まとめ:無料査定を賢く活用するポイント

不動産の無料査定は、媒介契約獲得を目的としたビジネスモデルです。査定額=売却価格ではなく「売り出し価格の目安」であることを理解しましょう。

まず机上査定で相場を把握し、本格検討の段階で訪問査定を依頼する流れが効率的です。

最低3社の比較を行い、査定額の根拠・販売戦略・過去の実績・担当者の対応を総合的に評価することが重要です。高額査定だけで判断すると、契約後に値下げ要求されるリスクがあります。

個人情報の扱いと営業対応を事前に確認し、トラブルを防ぎましょう。信頼できる不動産会社を見極め、納得のいく売却を実現してください。

よくある質問

Q1無料査定と有料の不動産鑑定評価はどう違いますか?

A1無料査定は媒介契約獲得が目的で、相場の目安を知るためのものです。有料の不動産鑑定評価は、不動産鑑定士(国家資格)が法律に基づき行い、裁判・相続税申告等で法的拘束力があります。費用は20-30万円程度です。一般的な売却活動では無料査定で十分ですが、法的証明が必要な場合は有料鑑定評価を検討してください。

Q2査定額で必ず売れますか?

A2査定額はあくまで「売り出し価格の目安」であり、必ず売れる金額ではありません。実際の成約価格は、市況・需給バランス・購入希望者との交渉により変動します。高額査定を提示する会社が、必ずしも高く売れるわけではない点に注意してください。査定額の根拠を確認し、類似物件の成約事例と比較することが重要です。

Q3一括査定サイトは安全ですか?

A3一括査定サイトに登録すると、複数社に個人情報が共有され、営業電話が集中するリスクがあります。個人情報保護法に基づく利用目的明示・同意取得を確認し、プライバシーポリシーを読んだ上で利用してください。また、「営業電話お断り」の意思表示を事前に行うと安心です。信頼できる大手サイトを利用し、必要最低限の情報のみ入力することをおすすめします。

Q4査定額が高い会社を選ぶべきですか?

A4高額査定だけで判断すると、契約欲しさに相場無視の価格を提示する会社に騙される可能性があります。査定額の根拠(類似物件の成約事例)、販売戦略(どのように売却活動を行うか)、過去の実績(売却までの平均期間・成約率)、担当者の対応(誠実で丁寧か)を総合的に評価してください。高額査定で契約後に「市場動向が変わった」と値下げ要求されるトラブル事例もあります。