不動産取得税の申告は不要?申告が必要なケースと軽減措置の受け方

公開日: 2025/11/6

不動産取得税の申告は不要?結論と軽減措置を受けるための注意点

不動産を購入または相続した際、「不動産取得税の申告は必要なのか」と疑問に感じる方は少なくありません。

この記事では、不動産取得税の申告要否、軽減措置を受けるための手続き、申告しない場合のリスクを、総務省・国土交通省の公式情報を元に解説します。

初めて不動産を取得した方でも、申告の必要性と税負担を抑える方法を正確に理解できるようになります。

この記事のポイント

  • 令和5年4月1日以降、登記期限内(東京都30日、多くの県60日)に登記すれば原則申告不要
  • ただし軽減措置を受けるには申告が必須、申告しないと軽減前の税額で納税通知が来る可能性
  • 新築住宅1,200万円控除、中古住宅の築年数別控除、住宅用土地の減額が主な軽減措置
  • 申告期限は都道府県により異なる(東京都30日、多くの県60日)
  • 申告を忘れても不動産取得から5年以内なら還付請求可能

不動産取得税は都道府県が職権で課税するため、原則として申告不要です。しかし、軽減措置(新築住宅1,200万円控除、中古住宅の築年数別控除、住宅用土地の減額)を受けるには申告が必須であり、申告しないと軽減前の税額で納税通知が来る可能性があります。

東京都主税局によると、令和5年4月1日以降、30日以内に登記申請すれば申告不要となりました。ただし、非課税・免除を受ける場合は申告が必要です。申告の要否は自治体により異なるため、一律に「不要」と断定できません。

申告が必要なケースと不要なケース

不動産取得税の申告要否は、軽減措置を受けるかどうか、登記のタイミング、自治体の規定により異なります。

申告が必要なケース(軽減措置を受ける場合)

以下のいずれかに該当する場合、申告が必要です:

  • 新築住宅1,200万円控除を受ける場合(床面積50㎡以上240㎡以下)
  • 中古住宅の築年数別控除を受ける場合(昭和57年1月1日以降築または耐震基準適合)
  • 住宅用土地の減額を受ける場合(一定要件を満たす住宅用土地)
  • 非課税・免除を受ける場合(公共用地の取得等)

軽減措置の適用を受けないと、本来不要な税額を課税される可能性があります。

申告が不要なケース(登記期限内に登記した場合)

令和5年4月1日以降、以下の条件を満たせば原則申告不要です:

  • 東京都: 30日以内に登記申請
  • 多くの県: 60日以内に登記申請(岡山県の例

ただし、軽減措置を受ける場合は申告が必須となるため、注意が必要です。

自治体による申告期限の違い(東京30日、多くの県60日)

申告期限は都道府県により異なります。

都道府県 申告期限
東京都 取得後30日以内
多くの県 取得後60日以内

執筆時点(2025年)の最新情報を確認し、各都道府県税事務所の公式サイトで期限を確認してください。

軽減措置の種類と適用要件

軽減措置を受けることで、不動産取得税を大幅に減額できます。主な軽減措置は以下の3つです。

新築住宅の控除(1,200万円控除)

新築住宅の場合、以下の要件を満たせば、固定資産税評価額から1,200万円を控除できます。

要件

  • 床面積50㎡以上240㎡以下(戸建て以外の貸家住宅は40㎡以上240㎡以下)
  • 居住用または居住用貸家

計算例(固定資産税評価額2,000万円の新築マンション):

  • 控除前:2,000万円 × 3% = 60万円
  • 控除後:(2,000万円 - 1,200万円)× 3% = 24万円
  • 差額:36万円

中古住宅の控除(築年数別控除額)

中古住宅の場合、以下の要件を満たせば、築年数に応じて控除額が設定されます。

要件

  • 昭和57年1月1日以降築 または 耐震基準を満たす
  • 床面積50㎡以上240㎡以下
  • 自己居住用

控除額(築年数別):

新築時期 控除額
平成9年4月以降 1,200万円
平成元年4月~平成9年3月 1,000万円
昭和60年7月~平成元年3月 450万円
昭和56年7月~昭和60年6月 420万円

(出典: 国土交通省:不動産取得税に係る特例措置

住宅用土地の減額(課税標準×1/2×3%-控除額)

住宅用土地の場合、一定要件を満たせば大幅に減額されます。

計算式: 課税標準 × 1/2 × 3% - 控除額

控除額(以下のいずれか大きい方):

  • 45,000円
  • (土地1㎡あたりの固定資産税評価額 × 1/2)× 住宅の床面積の2倍(上限200㎡)× 3%

これらの軽減措置を受けるには、取得後60日以内の申告が必要です(自治体により異なる)。

申告手続きの流れと必要書類

軽減措置を受けるための申告手続きは以下の流れで行います。

申告先と申告期限

  • 申告先: 不動産所在地の都道府県税事務所
  • 申告期限: 取得後60日以内(東京都は30日以内)

申告期限は自治体により異なるため、各都道府県税事務所の公式サイトで確認してください。

必要書類(売買契約書・登記事項証明書・住民票等)

一般的な必要書類は以下の通りです:

  • 不動産取得税申告書(都道府県のサイトからダウンロード)
  • 売買契約書 または 贈与契約書
  • 登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 住民票(居住用の場合)
  • 建築確認済証(新築の場合)
  • 耐震基準適合証明書 または 既存住宅性能評価書(中古住宅で昭和57年以前築の場合)

自治体により異なるため、申告前に都道府県税事務所に確認してください。

申告書のダウンロード先

申告書は各都道府県の公式サイトからダウンロードできます。

例:

申告期限後でも軽減措置は受けられる場合がありますが、早めの申告を推奨します。

申告しない場合のリスクと還付請求の方法

申告しないと、軽減措置を受けられず、本来不要な税額を支払うリスクがあります。

申告しないと軽減前の税額で納税通知が届く可能性があります。登記情報は法務局から都道府県税事務所へ自動送信されるため、「申告しなくてもバレない」という認識は誤りです。

不動産取得税の申告忘れ対処法によると、申告を忘れた場合でも、不動産取得から5年以内なら還付請求が可能です。還付請求には以下の書類が必要です:

  • 納税通知書
  • 売買契約書
  • 登記事項証明書
  • 住民票
  • 建築確認済証(新築の場合)

早めに都道府県税事務所に相談してください。

申告期限を過ぎた場合の対処法

申告期限(取得後60日以内等)を過ぎても軽減措置の申請は可能です。

60日を過ぎても軽減措置は可能によると、納税通知書が届く前であれば申告を受け付ける自治体が多いです。納税通知書が届いた後でも、不動産取得から5年以内なら還付請求が可能です。

ただし、早めの対応が重要であり、期限を過ぎた場合は速やかに都道府県税事務所に相談することを推奨します。

対処法

  1. すぐに都道府県税事務所に連絡
  2. 必要書類を揃えて申告または還付請求
  3. 納税通知書が届いている場合でも、5年以内なら還付可能

まとめ:軽減措置を受けるには申告が必須、早めの手続きを

不動産取得税は原則として職権課税ですが、軽減措置を受けるには申告が必須です。申告しないと軽減前の税額で課税される可能性があります。

申告期限は取得後60日以内が一般的(東京都は30日以内)です。申告を忘れた場合でも5年以内なら還付請求可能ですが、早めの申告を推奨します。

詳細は各都道府県税事務所の公式サイトで確認し、不明点は税理士・税事務所に相談することが重要です。軽減措置を活用して、税負担を適正に抑えましょう。

よくある質問

Q1不動産取得税の申告期限はいつですか?

A1取得後60日以内が一般的ですが、東京都は30日以内など自治体により異なります。令和5年4月1日以降、登記期限内に登記すれば原則申告不要ですが、軽減措置を受ける場合は申告が必須です。各都道府県税事務所の公式サイトで確認してください。

Q2申告に必要な書類は何ですか?

A2売買契約書・登記事項証明書・住民票・建築確認済証等が一般的です。中古住宅で昭和57年以前築の場合は耐震基準適合証明書も必要になることがあります。自治体により異なるため、都道府県税事務所に確認してください。

Q3申告を忘れた場合、軽減措置は受けられませんか?

A3申告期限を過ぎても、不動産取得から5年以内なら還付請求が可能です。納税通知書が届く前であれば申告を受け付ける自治体が多いため、早めに都道府県税事務所に相談してください。還付請求には納税通知書・売買契約書・登記事項証明書等が必要です。

Q4申告しなかった場合、どうなりますか?

A4軽減前の税額で納税通知が届く可能性があります。登記情報は法務局から都道府県税事務所へ自動送信されるため、申告しなくても課税されます。軽減措置を受けるには申告が必須であり、申告しないと本来不要な税額を支払うリスクがあります。

Q5相続で取得した不動産にも不動産取得税はかかりますか?

A5いいえ、相続による取得は非課税です。ただし贈与・売買・新築等は課税対象となります。相続以外の方法で不動産を取得した場合は、軽減措置の要件を確認し、申告を検討してください。