不動産登記の料金表:登録免許税と司法書士報酬の相場

公開日: 2025/11/6

不動産登記の料金とは:登録免許税と司法書士報酬の構成

不動産の売買や相続で登記が必要になった際、「登記費用はどれくらいかかるのか」「何にお金がかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、不動産登記の料金を「登録免許税(国に支払う税金)」と「司法書士報酬(専門家への手数料)」に分けて整理し、登記種別ごとの税率・報酬相場を料金表形式で解説します。国税庁法務省の公式情報を元に、正確な費用を把握できます。

初めて不動産登記をする方でも、この記事を読めば必要な予算を準備できるようになります。

この記事のポイント

  • 不動産登記の費用は「登録免許税」「司法書士報酬」「実費」の3要素で構成される
  • 登録免許税は固定資産税評価額×税率で計算(所有権移転2%、相続0.4%等)
  • 住宅用家屋の軽減措置を活用すれば登録免許税を大幅に削減できる(0.3%等)
  • 司法書士報酬は事務所により5-20万円程度と幅がある
  • 登記費用の総額は登記種別・物件価格により異なるため、複数の司法書士から見積もりを取ることが推奨される

登録免許税の税率一覧:登記種別ごとの料金表

国税庁によると、登録免許税は不動産の登記を行う際に国に納める税金で、固定資産税評価額×税率で計算されます。

所有権移転登記の税率(売買・相続・贈与)

所有権移転登記の税率は、登記の原因により異なります。

登記の原因 税率 計算例(評価額2000万円)
売買 2% 2000万円 × 2% = 40万円
相続 0.4% 2000万円 × 0.4% = 8万円
贈与 2% 2000万円 × 2% = 40万円

(出典: 国税庁

固定資産税評価額は市場価格の約70%が目安です。固定資産税評価額は毎年4-6月頃に市区町村から送付される固定資産税納税通知書に記載されています。

抵当権設定登記の税率

抵当権設定登記は住宅ローン利用時に金融機関が担保として不動産に抵当権を設定する登記です。税率は債権額の0.4%です。

登記の種類 税率 計算例(債権額3000万円)
抵当権設定 0.4% 3000万円 × 0.4% = 12万円

(出典: 国税庁

所有権保存登記の税率

所有権保存登記は新築建物の所有権を初めて登記簿に記録する手続きです。所有権移転登記より税率が低く、0.4%です。

登記の種類 税率 計算例(評価額2000万円)
所有権保存 0.4% 2000万円 × 0.4% = 8万円

(出典: 国税庁

住宅用家屋の軽減措置:登録免許税を抑える方法

住宅用家屋の特例により、登録免許税が大幅に減額される場合があります。

軽減税率の適用要件

国税庁によると、住宅用家屋の軽減措置の適用要件は以下の通りです。

  • 床面積50㎡以上
  • 築年数要件(マンション25年以内、戸建て20年以内)または耐震基準適合
  • 取得後1年以内の登記

軽減後の税率は以下の通りです。

登記の種類 原則税率 軽減税率
所有権移転(売買) 2% 0.3%
抵当権設定 0.4% 0.1%
所有権保存 0.4% 0.15%

(出典: 国税庁

軽減措置の適用期限

軽減措置の適用期限は令和9年3月31日まで(2025年執筆時点)です。最新情報は国税庁のウェブサイトで確認してください。

計算例として、固定資産税評価額2000万円の中古マンション(軽減適用)を売買で取得した場合、登録免許税は2000万円×0.3%=6万円となります。軽減措置を活用しない場合は40万円なので、34万円の節約になります。

司法書士報酬の相場:登記種別・物件価格別の料金表

司法書士報酬は2003年の自由化により事務所ごとに異なります。

所有権移転登記(売買)の報酬相場

所有権移転登記(売買)の司法書士報酬は3-9万円程度が相場です。物件価格が高い場合や不動産が複数ある場合は加算されます。

物件価格 報酬相場
1000万円 3-5万円
2000万円 5-7万円
3000万円 6-9万円

(出典: 司法書士費用・料金相場

所有権移転登記(相続)の報酬相場

所有権移転登記(相続)は相続人の数・不動産の数により報酬が変動します。4-10万円程度が相場です。

不動産数 報酬相場
1件 4-6万円
2件 6-8万円
3件以上 8-10万円

(出典: 司法書士費用・料金相場

抵当権設定登記の報酬相場

抵当権設定登記の司法書士報酬は3-6万円程度が相場です。住宅ローン利用時は所有権移転登記と同時に依頼するケースが多く、セット料金を提示する事務所もあります。

報酬の内訳は「登記申請の代理手数料」「書類作成費」「事前調査費」等で構成されます。実費(謄本取得費1,000円程度、郵送費等)も別途必要です。

モゲチェックによると、複数不動産の場合は1件ごとに加算される場合があるため、見積もりを複数取ることが推奨されます。

登記費用の総額シミュレーション:売買・相続別の計算例

登記費用の総額を具体例で提示します。

売買による所有権移転登記の総額例

固定資産税評価額2000万円の中古マンション(軽減適用)を購入した場合:

  • 登録免許税: 2000万円 × 0.3% = 6万円
  • 司法書士報酬: 8万円
  • 実費(謄本取得・郵送等): 1万円
  • 合計: 15万円

相続による所有権移転登記の総額例

固定資産税評価額2000万円の戸建てを相続した場合:

  • 登録免許税: 2000万円 × 0.4% = 8万円
  • 司法書士報酬: 10万円
  • 実費(謄本取得・郵送等): 1万円
  • 合計: 19万円

住宅ローン利用時の総額例

所有権移転登記15万円に加え、抵当権設定登記が必要です。

  • 抵当権設定登記の登録免許税: 債権額3000万円 × 0.1% = 3万円
  • 司法書士報酬: 5万円
  • 所有権移転登記15万円 + 抵当権設定登記8万円 = 合計23万円

あくまで目安で、司法書士報酬は事務所により変動します。

まとめ:登記費用を把握して予算を準備する

不動産登記の費用は、登録免許税と司法書士報酬で構成され、登記種別・物件価格により異なります。登録免許税は固定資産税評価額×税率で計算され、住宅用家屋の軽減措置を活用すれば大幅に削減できます。

司法書士報酬は事務所により差があるため、複数の司法書士から見積もりを取り比較することが推奨されます。自分で登記する選択肢もありますが、手続きミスのリスクがあり専門家への依頼が一般的です。

最新の税率・適用期限は国税庁のウェブサイトで確認してください。信頼できる司法書士と相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。

よくある質問

Q1登記費用は住宅ローンに含められますか?

A1基本的には含められません。登録免許税・司法書士報酬は現金で用意する必要があります。一部金融機関では諸費用ローンとして別途借入可能ですが、金利が高いため注意が必要です。詳細は金融機関にご確認ください。

Q2自分で登記すれば司法書士報酬は不要ですか?

A2その通りです。司法書士に依頼せず自分で登記申請すれば報酬は不要で、登録免許税と実費のみで済みます。ただし法務局の無料相談を活用すれば可能です。手続きミスのリスクや書類作成に時間がかかる点を考慮し、専門家への依頼が一般的です。

Q3固定資産税評価額はどうやって調べますか?

A3毎年4-6月頃に市区町村から送付される固定資産税納税通知書に記載されています。売買契約前なら不動産会社に確認、または市区町村の固定資産税課で評価証明書を取得できます。固定資産税評価額は市場価格の約70%が目安です。

Q4司法書士報酬が高い場合と安い場合の違いは?

A4不動産の数・物件価格・登記の複雑さにより変動します。複数不動産の同時登記や相続人が多い場合は加算されます。都市部の事務所は報酬が高い傾向があります。見積もりを複数取り比較することが重要です。